ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

2016年日本旅行・プロローグ

2016年12月03日 | ひとりごと
11月14日
今年は、長い夏休み(6月の中旬から9月の第2週目まで)の間に、結構みんな頑張って、レッスンに来たり、来れなくてもバカンス先にキーボードを持ち込んだりして練習をしていたので、
新学年が始まり、新しい学校や学年のスケジュールが把握できなくて、レッスンの回数が減るようなことがあっても、11月の発表会を無事迎えられるのだろうか…と心配するような生徒が出てこなかった。
今年はだから、いつになく楽に当日を迎えられるかも…と期待しつつ、それでも油断してなるものかと気を引き締めて教えていたつもりだったが、それはいきなりやって来た。
発表会前の最後の1週間、レッスンにやって来る生徒たちの演奏が、いきなり崩れ出した。
それは月曜日から始まり、金曜日まで続いた。
まるで、レッスン室に、『曲が突然弾けなくなる菌」が蔓延しているみたいに…。
当然、臨時レッスンの連続で、その間にプログラムの最終版を仕上げ、プリントアウトし、挨拶文を考え、生徒たちが楽しみにしているトロフィーの注文をし、届いたトロフィーを入れる、生徒たちの名前を貼った紙袋を用意し、会場に飾る花束と、一部と二部の間の休憩時間に飲食する飲み物やスナックを買い揃えたりしていると、
もう全く時間が足りなくて、その日その日の夕飯の支度だけで精一杯。
だから当然のように、日本行きの出発日の前日に、家の中の掃除や洗濯、空と海の世話を泊まり込みでやってくれる、夫の姉と歩美ちゃんのための寝床作りを、全部まとめてやらなければならなくなった。
いやはや、全く学べない人なのだ、わたしは…。

さて、発表会は、パニックに陥っていた子たちも踏ん張り、毎年司会を担当してくれている夫から、今年は特にみんなの上達がよくわかったと、まあ身内びいきではあるが褒めてもらった。
わたしもへバーデン症候群ダイエットのおかげか、テーピング無しでもピアノが弾けるようになったので、久しぶりに演奏しようかという気になり、
それで、最近、連弾ごっこをし始めた友人のジェーンに、ラベルの『マ・メール・ロア』を一緒に弾いてくれないか、と尋ねたら快諾してくれたので、それをプログラムの最後に入れたのだけど、本番の2週間前になっていきなり、「ごめん!予定が入ってた!」とキャンセルされて大弱り!
急遽、近くに住んでいるピアノ教師のさわみちゃんに、駄目元ですがりついた。
彼女には常々、「わたしは人前では絶対に弾きたくないの。だから誘っても無駄だからね」と言われていただけに、ほんとに駄目元だったのだけど、
同じ仕事をしているよしみからか、発表会を開催することの大変さを知っている者としての情けもあってか、たった10日ほどの準備期間しか無いにも関わらず引き受けてくれた。
このラベルの曲は、子ども用に作曲されたもので、だから技術的には難しくは無いのだけれど、
ここは長いフレーズとして歌うか、一音一音にこだわるかなどと、表現やテンポの調整をしたり、互いのタイミングなどについて話し合いを重ねていく時間がなんとも楽しくて、
こんなに近くに、それも音楽の嗜好や表現の波長が合う相棒がいたんだという幸福感が、疲れきっていたわたしの心を元気にしてくれた。

わたしたちの演奏を聴いて、なんだかよくわからないけど、涙が出そうになったという親御さんがちらほらいて、嬉しかった。
またお願いしてもいいよね、さわみちゃん♪

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11月15日
今は、トロントで乗り換えた、羽田行きの飛行機の中である。



結局、出発の前日は、3時間しか眠れなかった。
しかもわたしは、バタバタといろんなことをしている間に、空ちゃんをとても傷つけてしまった。
16日間も留守をするのだからと、いつもより早めに、海ちゃんを散歩に連れて行った。
その後、僕も行きたいとばかりにドアのそばに来ていた空ちゃんに、ハーネスを付けようと近づくと、いつもなら絶対に不可能だったのに、スルッと付けられた。
びっくりしながらも、彼を抱っこして玄関のドアを開けたところ、突然気が狂ったみたいに暴れ出し、わたしを引っ掻いて腕から落ちた。
ハーネスとリーシュを付けたまま、部屋の中を暴れ回り、あちこちで頭や体を打ち、やっとのことでハーネスから抜け出してからは、わたしのベッドの下に籠ったっきり全く出て来ない。
どこか怪我をしてやしないかと心配して覗いても、まん丸目玉を暗闇の中で光らせているだけで、ピクリとも動かない。
明日から留守をするからと、焦ったわたしが悪かったのだ。
後悔先に立たず。
3時間ぐらい経って、ようやく出てきてくれたけど、態度はまだまだかたい。
出発までに仲直りができるかなと思いつつ、やらなければならない事だらけで、ゆったりと撫でてあげることもできない。
でも、彼は許してくれた。
旅行中の連絡先の表を作っている時に、いつものように、わたしが座る椅子の背に乗ってきて、わたしのお尻を温めてくれた。
ありがとうね空ちゃん。

仕事帰りにやって来てくれた歩美ちゃんに、伝達事項を伝え、一緒に冷蔵庫の掃除夕飯を食べた後、やっとパッキング開始。
朦朧としているので、服の組み合わせが頭に浮かんでこない。
猫たちは、あ、またどっかに行くんだな…ボクらを置いて…と、だんだん気分が暗くなっているようで、そんな姿を見るとまた、こちらも悲しくなってしまう。

でも行く。
日本はわたしの故郷だし、会いたい人がいっぱいいる。

出発は大雨だった。

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11月16日
今回の旅は、最初の日と、母たちと行く小旅行の2日間、そして最後の4日間だけが、夫と一緒に行動する日だ。
羽田空港の入国出口から出ると、夫にぐんぐん近づいてくる人がいた。
後ずさりする夫にもめげず、その人は満面の笑顔で両手を広げ、ハグをした。
え?美保さん?
いったいどうやって時間がわかったの?
わたしたちが利用する航空会社の名前も、出発する時間も、どこから乗るかも、全く知らないはずなのに。
嬉しさで疲れが吹っ飛んだ。
空港内のレストランで一緒に夕飯を食べ、美保ちゃんが持ってきてくれた美味いもん袋を図々しくもらい、予約してあった蒲田のホテルに向かった。

クタクタに疲れているはずなのに、二人して同時に、夜中に目が覚めた。
寝直すことなど絶対に無理なほど、ぴーかんに…時差ボケ第1号。

美保ちゃんグッズでパーティ!どれもこれも、グルテンフリー&無添加で超うま!


蒲田の朝。




近所のスーパーで、お惣菜とおにぎりを買い、ホテルの部屋で食べた。
さあ始まるぞ、一年よく頑張ったで賞旅行!

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