ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

国会で十分に審議されないまま強行採決され、今日まで一度も改正されていない、地位協定の抜本見直しを!

2016年05月23日 | 日本とわたし
沖縄県うるま市で、行方不明になっていた20歳の女性が、19日午後、遺体となって発見されてから、5日が経ちました。
このとても痛ましい事件について、聞くに堪えない言葉を発している政府与党内の政治家や、元政治家がいます。

「本当に最悪のタイミングだ」

これは、2009年の、就任直後のオバマ大統領からの広島訪問の要請を断っておきながら、なぜか今になってオバマ氏に広島訪問をさせ、
友好ムードを盛り上げ、初の米国大統領の広島訪問の実現を誇示し、夏の選挙の好材料にしようと企んでいた自公にとっては、
「本当に最悪のタイミング」だったんでしょうけれども、
理不尽にも命を奪われた女性はもちろんのこと、彼女を愛してやまないご遺族の方々にとって、なんと暴力的な言葉だろうと、怒りがふつふつと湧いてきました。

そしてこの、ことの本質を理解していない、もしわかって言っているのだとしたら、とんでもない言いがかりをつけるのが好きな男(橋下)は、

「米兵等の猛者に対して、バーベキューやビーチバレーでストレス発散などできるのか。
建前ばかりの綺麗ごと。
そこで風俗の活用でも検討したらどうだ、と言ってやった。
まあこれは言い過ぎたとして発言撤回したけど、やっぱり撤回しない方がよかったかも。
きれいごとばかり言わず本気で解決策を考えろ!」
「外国人が犯罪を犯したらその外国人を排斥する。
これこそ移民排斥のロジックと同じ。
朝日・毎日、その一派は移民や難民に優しいきれいごとを言って、米軍軍属など外国人が犯罪を犯せば外国人は日本から出て行け!とのロジック。
きれい事ばかり言う人権派の典型例」

などと言って、
米兵=獰猛で、ストレス発散には風俗の活用が良いなど、言われた相手が言葉を失うようなトンチンカンな主張を披露したり、
性犯罪の中でも、米軍関係者による犯罪が問題になる理由の一つは、彼らが地位協定という頑丈な盾で守られ、日本の法で裁けないという、異様な現状であるのに、
米軍(米軍関係者)と移民問題をごちゃ混ぜにして、人権派はきれい事ばかり言う人間だ、という結論に持っていったり。

でも、こんな男の、こんな浅はかな言葉に共感している人間が少なくない(というか多い)のです。
そのことがとても恐ろしい。

さらに、事件とは少し離れますが、こんな暴言を吐いた議員がいます。
自民党です。

【神奈川】基地反対派は「基地外(きちがい)」 
自民・小島県議「失言でない」

【神奈川新聞】2016/05/24
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160524-00009369-kana-l14

自民党の小島健一県議(横浜市青葉区)が、都内で開かれた集会で、沖縄県内の在日米軍基地に反対する運動を、
「基地の外にいるということで、『きちがい』」と、表現する発言をしていたことが分かった。

小島県議は8日、都内で開かれた、沖縄復帰44周年を記念する集会に出席。
国連の人種差別撤廃委員会などが、沖縄の住民を「先住民族」と認めるよう、日本政府に求めた勧告を批判し、勧告の撤回を訴えた

この中で小島氏は、沖縄の米軍基地周辺で続いている、反対運動にも言及。

「沖縄の基地の周りには、基地に反対だとかオスプレイに反対だとか、毎日のように騒いでいる人たちがいる。
これを、基地の外にいる方ということで、『きちがい』と呼んでいる。
これは神奈川県も同様で、大変苦慮している」
と発言したという。

小島氏は23日、神奈川新聞の取材に対して、
「『基地外』と言っている。
ちゃんとイントネーションを変えて発言している。
どう想像するかは別だが、差別的な発言はしないように考えている。
失言とは考えていない」と述べた。

小島氏は当選4回で、現在は総務政策常任委員長。


この集会のビデオを観ましたが、小島県議の発言に、笑ったり拍手をしたりしている会場の盛り上がりに、さらに怒りがこみ上げました。



さて、今回の死体遺棄と殺人の疑いで逮捕されたのは、元米兵で、
現在は米軍嘉手納基地内で、コンピューターや電気の配線の仕事に携わっている会社員の、32歳の男でした。
この男が、日米地位協定が定める『軍属』に当たるという文章を読んで、またもう一度、地位協定を読み直しています。

この地位協定。
米軍基地に関する手続きが、何かにつけて米軍の都合のよいものとなっています。
米軍基地や米軍が、日本の法規制を受けなくてもよく、
刑事事件を起こした際にも特権が与えられているので、法的正義を通すことができません。
行政上にも特権が与えられているので、市民生活を圧迫し、不公平な事態が生じています。

なぜこんなにも、トンデモない協定が、いまだに両国の間で結ばれているのでしょうか?

地位協定の前身は、1952年に結ばれた行政協定です。
地位協定は、『安保改定反対闘争』という国民的規模の反対運動の中で、1960年の1月に、国会で強行採決されました
1960年1月に、日米新安保条約に調印したのは岸内閣
反対ストが拡大する中、5月に自民党が新安保条約を強行採決し、6月に発効。
その後、岸内閣は総辞職しました。

あれあれ?最近の日本でも、同じようなことが起こりましたね。
孫の安倍晋三による、暴力的な強行採決…。

というわけで地位協定は、国会の中で十分に審議されることなく、行政協定の内容が、ほとんどそのまま引き継がれてしまったのです。

そして最悪なことに、
今日まで一度も、改正されていません?!

日弁連さんが、日米地位協定について、詳しく書いてくださっていますので(2014年)、少し引用させていただきます。

↓以下、一部転載はじめ
日米地位協定の改定を求めて
-日弁連からの提言-

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/nichibeichiikyoutei_201410.pdf

なぜ、日米地位協定の改正が必要なのか

1・日米地位協定って何?
日本には、132所 (専用施設83、一時使用施設49 (2014年9月現在)) の米軍基地が置かれ、約5万名の米兵・軍属、その家族約4万名が駐留しています。
これは、日米安保条約に基づくものです。

具体的に、どの場所(区域)・どの施設を、米軍に提供するのか、提供手続はどのようにして行うのか、
駐留した後の米軍、米兵・軍属、その家族は、わが国において、どのような取扱いを受けるのか、を決めているのが、日米地位協定 (略称「地位協定」)
なのです。


2・市民は、地位協定によって、影響を受けているのでしょうか?
米軍基地、米軍の活動、これらに伴う米兵・軍属、その家族の活動・生活は、いろんな分野で市民の生活と接触しています。
そこには、大小様々なトラブルが起こっています。

例えば、米軍基地から、油漏れ、騒音、悪臭等が発生し、付近住民に被害がもたらされることがあります。
基地内では、演習、施設建築等のため、自然環境の破壊が行われたりします。

また、米兵・軍属、その家族が、犯罪を起こすことがありましたし、犯罪だけでなく、さまざまな不法行為や、契約上のトラブルを起こすことがあります。

米軍基地が返還される際に、米軍によって汚染された土地が、そのまま返還されたこともあり ます。

それだけに、米軍基地、米軍の活動、米兵・軍属、その家族が惹き起こすトラブルを防止し、どのように解決を図るかは、市民にとって大変重要な問題です。

地位協定は、このようなトラブルをどのように防止し、解決するかという基本的ルールを定めていますので、
市民の生活と人権を守る上で、大変重要なものです。

また、地位協定は、米軍の、様々な行政上の特権 (国や県の立入りを拒否し、基地を管理・警護する権限、課税を免除される特権等) を定めていますので、
国土を保全し、地域の自然や生活環境を守り、地方自治体の行政を円滑・効果的に行うためにも、重要な意味を持っています。


3・地位協定には、何か問題があるのでしょうか?
地位協定には、基本的に大きな問題があります

一つめは、
米軍基地 (施設・区域) を提供・返還する手続・内容が、米軍の都合のよいものとなっている点です。
日本のどこでも、期限の定めなく、使用目的・条件を厳しく限定しないまま、施設や区域が提供され
しかも、国会の関与がなく、密室で合意される非民主的な仕組みとなっています


二つめは、
米軍基地や米軍が、わが国の法のコントロール (規制) を受けない仕組みがつくられている点です。
米軍基地や米軍を、わが国の法のコントロール (規制) の下に置くことは、
市民の生活や人権を守る上でも、また、地域の自然や生活環境を守り、地方自治体の行政を円滑・効果的に行う上で、大変重要なこと
なのです。

三つめは、
様々な特権が、米軍や米兵・軍属に与えられている点です。
刑事事件で特権が与えられているため、法的正義を害する事態が生じています

行政上、特権が与えられているため、市民生活を圧迫し、不公平な事態を生じています


4・地位協定に、なぜ、このような構造的問題点が残っているのでしょうか?
地位協定の前身は、1952年に結ばれた行政協定です。
地位協定は、安保改定反対闘争という国民的規模の反対運動の中で、1960年に、国会で強行採決されました
そのため、国会の中で十分に審議されることなく、行政協定の内容が、ほとんどそのまま引き継がれています。


今日まで一度も、改正されていません

つまり、地位協定は、今から60年以上前の古い思想、 考え方のままに「化石化」され、基本的な問題を残すものとなっているのです。
60年以上経過しているのですから、世界における人権思想や、環境保護思想の発展を反映したものにするために、抜本的に見直すことが不可欠となっています。

政府は、これまで問題が起きるたびに、「運用改善」という形で対応してきましたが、これには限界があり、不十分でした。
問題は、市民の生活と人権、行政の権限に関するものであり、 法的問題として処理しなければ、十分な対応ができない構造的なものだったからです。

地位協定を抜本的に見直し、明確なルールを定めることが不可欠なのです。


5・基地所在都道府県の改正要求
米軍基地は、32都道県 (専用施設は13都府県) に存在しますが、
沖縄県をはじめ、米軍基地の所在する都道県は、これまで、地位協定の問題点を指摘し、なんども、抜本的な見直しを求めてきています
しかし、政府の腰は重く、現在まで、地位協定の改正は行われていません

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「沖縄」が抱える基地問題について、7つのポイントでわかりやすくまとめた「#知らない沖縄」
【辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議】
https://www.youtube.com/watch?v=2xUhXj0UVuM&feature=share&app=desktop

沖縄



日本の南西部最西端に位置する県で、面責は、日本の国土の0.6%になります。
本州では見られないような、美しい大自然が魅力で、エメラルドグリーンに輝く海は、東洋一の美しさとも言われるほど。



今、その美しい島国・沖縄での新基地建設問題について、ずいぶんと長い間、騒がれていますね。
あなたはその現状について、どこまで知っているでしょうか?



今日は、いまさら聞けない、沖縄新基地建設問題について、7つのポイントでざっくりおさらいしてみましょう。




♯1 敗戦後の事情


そもそも、なぜ日本に、アメリカの基地があるのでしょう?
1945年、第二次世界大戦で、日本は敗戦国となり、戦争することを放棄しました。
そして、武器を持たないかわりに、アメリカに守ってもらうという約束をしたのです。



その際、日本全国、33都道府県に米軍騎基地が設置され、沖縄は、1972年までの27年間、米軍の統治下に置かれることになります。




♯2 沖縄に増えた基地


敗戦後、日本はまめぐるしく発展しました。
そして、全国各地で、米軍基地はいらないという、反対運動が起きました。



しかし日本政府は、米軍を日本から無くすわけにもいかず、本土の米軍基地のほとんどを、沖縄に移動させたのです。



その結果、日本のたった0.6%の面責の沖縄に、米軍基地の約74%が集中することになりました。



沖縄は、日本国に復帰した今でも、面責の約20%が米軍基地として使用されています。




♯3 米軍基地の機能


では、アメリカの軍隊について、もう少し掘り下げてみましょう。
アジア太平洋地域には、約10万人の米軍が展開されています。



そのうち、約5万人が日本に駐留しています。



沖縄には、その中の50%、約2万5千人が集中しています。




主に米軍構成は、陸軍、海軍、空軍、海兵隊で成り立っています。



沖縄に駐留する米軍は、その大半が海兵隊になります。
しかし海兵隊は、1年間のほとんどの期間、いろいろな国の軍隊と一緒に訓練するため、
長崎県佐世保にある船で、アジア太平洋地域を中心にローテーション移動をしており、いつも沖縄にいるとは限りません。



そんな広いエリアで活動しているだから、沖縄に基地を置かなくてはならないという理由には、全く当てはまりません












♯4 米軍基地の弊害


では、米軍基地があると、何が困るのでしょうか?

航空機の騒音や、実弾演習による山林火災、戦闘機などの墜落事故、米兵による事件が多発



住民との間で、大きなトラブルとなっています。

日本に復帰後、43年間で、米兵が犯罪で検挙された件数は5896件
年平均、137件
月平均、11件にのぼります。



また、日本では、アメリカ軍人を特別扱いするルールがあり、犯罪を犯した米兵を、正当に裁くことができません
しかも、そのことを米兵たちは知っています



米兵による、繰り返される性犯罪などは、大変深刻な事件です。



また、基地の周辺で、騒音問題や環境破壊があっても、日本の法律では規制できません

さらに、米軍機の墜落や不時着、部品落下などの事故は、43年間で676件



年平均で15.7件



航空機による騒音被害は、最大時で120.6デシベル



これは、飛行機のエンジン近くの音に匹敵します。


♯5 オスプレイ問題


空飛ぶ棺桶という異名を持つオスプレイ。
これが、普天間基地に24機、配備されています。
開発時からの事故が、すでに50回を超えているこの米軍機は、アメリカ本国においては、住民に十分配慮されており、人口密集地での低空飛行は禁止されています。





それなのに、沖縄では、日中深夜を問わず、住民を叩き起こす騒音を立てながら、日々離着陸しています。




♯6 普天間基地問題


ニュースで話題の、沖縄の代表的な基地のひとつである普天間基地は、近隣に学校や民家のある人口密集地の中心にあり、世界で最も危険な基地と言われています。
戦後、米軍の占領により、この地域に住んでいた住民は囚われの身となり、家を追われ、そして、その場所に基地が建設されました。





しばらくして、住民たちは解放されて戻ってきましたが、以前住んでいた家は、基地の中となっており、人々は、その周辺に住むことを余儀なくされたのです。



1996年、危険過ぎる普天間基地を完全返還すると、日米で合意しましたが、



日本政府は迷走し続け、20年が過ぎています





♯7 税金を使った辺野古新基地建設


沖縄本島北部の名護市辺野古は、自然が非常に美しい地域で、貴重な生物が住み、たくさんのサンゴもあります。



新しい基地の広さは約205ヘクタール
そのうちの約160ヘクタールは、沖縄の貴重なサンゴ礁の宝の海を、埋め立てる計画です。



甲子園球場のグラウンドの、158倍の広さの、海や自然が破壊されることになります。



そして、その埋め立て工事費だけで、なんと2311億円



建設費の総額は、約3500億円と言われています。



新国立競技場の建設費用の2520億円よりも、はるかに高額な投資となりますね。

それだけの国民の税金をかけて建設しようとしている辺野古新基地は、現在の普天間基地から、わずか36kmしか離れていません。



さらに日本政府は、毎年約3500億円の税金を、米軍基地のために使っています



これは、全国の国立大学と公立大学の授業料を、すべて無料にできる金額になります。




また、「沖縄の経済は基地に依存している」、という言葉をよく聞きますが、
実際の基地関連による収入は、わずが4.9%程度にしかすぎません。
逆に、返還された土地にできた新たな商業地域では、数十倍から数百倍に上る経済効果が生まれており、



米軍基地は、沖縄の経済発展の最大の妨げになっています


さて、ここまでが、沖縄基地問題を考える上での、重要なポイントとなります。



みなさんは、いくつくらい知っていましたか?

沖縄の人たちは、戦後、生活に密着する問題として、基地と向き合ってきていますが、沖縄住民の声は全く無視されていますね。



政府に何度訴えようと、キドク(其の都度?)スルーされています。
これは、沖縄だけの問題ではなく、日本人全体に問われている問題でもあります。



本当に、辺野古新基地建設だけが解決策なのか?
沖縄に負担を集中させることでいいのか?



みなさん一人一人が、この問題に向き合うことが、解決の第一歩となります。