まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

株式持合と預合い②

2008-05-11 19:50:05 | 商事法務

○ 今回は前回の続きです。前回の株式持合と預合いについてBSという観点から発行済み株式の水増しなどもみましょう。増資の金額は、仮に1億としましょう。

       取締役が預合いを行った場合

     銀行から取締役個人が借入を行い、これを増資引受の資金として使用して払込を行います。払い込まれた預金が銀行に拘束されます。

(拘束)預金 1億円 /  資本金等 1億円

     一応取締役は株主ですから、誰か第三者が登場してこの株式を購入してくれたら、銀行に返済できます。預合いかもしれませんが、この時点(借金返済の時点)で治癒されると考えるのでしょうね。但し、だれも文句を言わなければですけどね。

     もし株式を購入してくれる第三者が登場しなければ、借入をした取締役は、銀行に返済出来ませんね。ということで、この預金1億円は、会社から借入した取締役への長期貸付金にして貸付ければ良いですね。(永久の貸付金としておくことも出来ますけど)

貸付金 1億円 / 預金 1 億円

     貸付を受けた取締役は、銀行に金利を付けて返済すればいいです。後は、会社へ1億円(+金利)の支払債務が残ります。

     取締役はどのようにして、会社に返済するのでしょうか?簡単ですね。取締役の報酬等を増額して、彼が返済できる資金を、会社の費用として取締役個人に提供すれば良いのですね。会社→取締役報酬の増額→取締役が会社に借入金の返済。

     ということで、資本金等1億円という数字だけが残って、会社から1億円が消えてしまう訳ですね。 但し、会社が、取締役個人に返済原資を提供しない場合は、会社→取締役の長期(実質永久の)貸付金等として、取締役個人から回収しないという場合もあるかもしれません。

       相互に株式持合をした場合

     A社が銀行から1億円を借りて、B社の増資を引受・払込んだ場合、及び今度は、A社の増資をB社が引受・払込んだ場合は以下ですね。そしてすぐに現金がなくなります。

BBS   

現預金  1億円  資本金等 1億円 

A社株式 1億円  現預金  1億円

ABS

    現預金  1億円  借入金  1億円

   B社株式 1億円    現預金  1億円

   現預金 1億円  資本金等 1億円

  借入金 1億円  現預金  1億円

     A社は、現預金が戻ってきましたから、これを借入した銀行に金利をつけて返済すれば良いですね。結局、1億円は、銀行→A社→B社→A社→銀行と循環する訳ですね。

     A社・B社のBSには、相手方株式を投資有価証券等として記帳されますが、お金はありません。ただし、この株式を第三者に売却すれば、お金が入ってきますね。

○ お金に色はありません。預け合いも相互第三者割当の増資も露骨に行えば犯罪になります。両方とも、きちんとお金を払い込んだ一般の株主には迷惑の行為です。持ち株比率が希薄化しますし、1株利益も減少します。

○ 預け合いは、発起人・取締役個人が銀行から借金して行いますので、一般には小規模会社の場合でしょうね。相互の第三者割当は、オーナー型企業で、オーナーが数社会社を保有しているとき等が考えられますね。但し、この場合普通は全株式譲渡制限会社でしょうから、第三者割当増資は株主総会の特別決議ですね。

○ 公開会社の第三者割当増資のときは、株主総会を開催する必要はありませんね。払込期日の2週間前までに募集事項を株主に通知or公告すれば取締役会で出来ます。公告なんて普通は見ていませんね。一般株主が知らないうちに増資されているケースもありますね。但し、有価証券報告書の継続開示会社の場合は、それによりますね(2015項)。上記の例で、もしA社とB社が合併するとき、相手方の株式を相互持ち合いしていますね。評価は、どうなるのでしょうね。多分、対等額において水膨れ額を減少させる、つまり投資有価証券と資本金等の金額を、両社とも控除して考えるということになるのでしょうね。

     相互の第三者割当増資や預け合いの場合は、一応お金が動きます。しかし、無価値な会社をDCF法など適当に評価して、株式交換で100%子会社化を行い、親会社の株式済み株式数を増やして、自分の保有比率を上げる方法等もあります。

やはり、株主になったらきちんと会社を見ておかないといけないですね。

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コメント
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