まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

債権者保護手続は見直し必要

2010-02-14 14:48:20 | 商事法務

       資本金の額の減少や、合併・会社分割(株式移転・交換は例外を除き不要)などを行うときには、ご承知の通り債権者保護手続が要求されます。資本金の額の減少の場合は、単なる純資産の金額変更ですから、それによって資産・負債の内容が変わるわけでもありませんし、債権者にとり一番重要なキャッシュフローが変化するわけでもありません。しかし、合併などの場合は、財務内容が大きく変わりますし収益力もかわります。ということで、異議ある債権者は申し出るよう公告し、知れたる債権者には個別催告しなければなりません。異議のある債権者には、弁済・担保提供・弁済用財産の信託等をしないといけません(「債権者を害するおそれがないとき」は不要となりましたけれども)公告・催告を怠るとか異議を無視したりすると、債権者は合併無効の訴えを提起することができます(法82827/8号)。ただし、公告については、昔と違い例外が設けられました、即ち官報に加え会社公告紙か電子公告で公告するなら、個別催告は不要となりましたね。

       資本金の額の減少、合併・会社分割等の登記をする際には、添付書類として、①「公告及び催告をしたことを証する書面」や、②「異議を述べた債権者に対し,弁済若しくは担保を供し若しくは信託したこと又は資本の減少・合併などをしてもその者を害するおそれがないことを証する書面」が要求されています。

法務省は、債権者が異議を述べ、弁済などを行った件数がどれだけあるのかきちんと開示・公表すべきですね。多分殆ど異議を述べられたケースはないのではないでしょうか。私も、昔、債権者名簿を作成したり、債権者異議申述催告書を作成・送付したりしました(その当時は個別催告のみで例外は無し)。一件も異議は来ませんでしたね。また、催告書を受領したときもあります。捨てるのは気がひけたのですぐにァイルして終わりです。

       個別催告の際には債権者名簿をまず作成します。債権者名簿は、日本では月末で決済する場合が多いですから、月末の最終の買掛金リストや金融機関からの借り入れをベースに作成しますね。「知れたる債権者」ですから大変です。会社にとって債権者と認識できる人は全てです。会社費用で頼んだお弁当代の仕出し屋さん、会社の前のガソリンスタンド屋さん等も含むと解釈されています。(まあ、実際は、この辺は債権者名簿から落としますけどね)。ここの債権者は、実際上は、金融機関や大口の買掛先だけで十分なのですがね。ですから例えば資本金の5%以上の額の金銭債権を有する債権者等に限定したほうが良いと思いますね。また、債権者としては、金銭債権の債権者だけを対象としないとね、弁済など出来ないですからね。

○ 公告も例外として、官報&会社公告紙への公告でもOKとなりましたが、こんな公告見てる債権者いますかね?。上場企業の場合は開示ルールで当然開示しますし、新聞でも報道されるでしょうから分かりますが。未上場企業同士の合併等の公告が新聞の端にときどき乗っていますけど、こういった公告を見ている人は少ないでしょう。

実際は、取引先については、営業マンが報告しますし、金融機関についてはきちんと事前に経営陣等が説明しますね。また、合併等の場合は、合併が実現したときには、その旨の挨拶状等も出されますね。

       ということで、今の債権者保護手続は、制度として改善の余地が大きいと思いますね。

では、どれぐらいの、またどういった手続きが適切なのかは、どれぐらいの異議が出されているのか等の実態を把握する必要があると思います。法務省はきちんと開示すべきでしょうね(法制審議会会社法部会の審議などでは開示されているのでしょうか?私の知る限りそんなことは無いと思います)。実態が分からないのに判断ができないですね。

でも、まあ、一例を言えば以下ぐらいでしょうか。

債権者保護手続きについて、略式合併の場合は不要とすればいいでしょうね。簡易合併の場合は、存続会社側は不要でしょう。また、公告については、ろくに見もしない官報&会社公告紙公告よりも、資本金の10%以上とか5%以上の金額の資金借入先、買掛先等の債権者に限り、個別催告を行うようにするというのが良いのではないでしょうか。

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