まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

英文契約Best Efforts条項は精神条項か?

2011-11-03 13:29:29 | 商事法務

 

 例えばロイヤルティの支払いなどで売上のx%を支払う。最低でもXXドルを支払うよう”make best efforts / endeavours” するという条項を入れる場合がありますね。妥協の産物ですね。ライセンサーが一定額を要求し、ライセンシーは出来るかもしれないけど約束はしたくない。あるいはひどいのになると精神条項として、相手とまとめるために入れておこうということで、最初から守る意思が薄弱の場合もあります。ということで、今回はBest Efforts条項を入れたために、これは義務者により強い義務を課したものであると解釈した米国の判例をご紹介しましょう。

米国以外では、かなり精神条項と受け取られているケースも多いとは思いますが、安易に入れておけば良い。精神条項だからと考えない方がよいという話です。<o:p></o:p>

 

Bloor v. Falstaff Brewing Corp. ,601 F.2d 609 (2d Cir. 1979).のケースですね。

ビールなどを造っていたBloor社は、Ballantineの商標や営業部門の事業をFalstaff社に4百万ドルで売却しました。併せて(ビール工場だけがBloor社に残り、このビールの販売もFalstaff社が行うことになり、)Falstaff社は、1972.4-1978.3迄にFalstaff社が販売するBloor社のビールに付き、1バーレルにつき50セントをRoyalty としてBloor社に支払う事に付き、Falstaff社は、「to use best efforts to promote and maintain a high volume of sales」とし、また販売をやめたときは契約で「 a liquidated damages clause to take effect if Falstaff ceased to distribute Ballantine products.」ということで損害賠償額の予定の規定も入れたわけですね。ですから、販売は続けないと行けないのですが、この販売に手を抜いたわけですね。勿論ビジネスですからいろんな事情があり、赤字販売が続き、利益重視で広告費90%削減、販売網整理統合、リベート廃止などで売上が急減したのですが。まあ、売上高リンクのRoyalty設定も良くなかったのかもしれませんが。<o:p></o:p>

 

○   第一審ニューヨーク南部地区連邦地裁及び控訴審とも、Bloor社の主張を認めて約63万ドルをBloor社に損害賠償するように命じました。Use best efforts条項によりin good faithに行動すること、また、to the extent of its own total capabilitiesに行動しなければならないと判示しています。また、best effortsしたかどうかの基準は、同業他社とも比較して、”average, prudent, comparable”であるかも考えなければならないとしています。即ち、当事者の主観ではなく客観的な基準によるべきだとしているのですね。勿論、赤字営業でしたから「義務履行のために倒産に至るまでのことを要求するものではない」ともしています。

 

 Best Efforts条項を入れたら、ほったらかしにせずに、やはりきちんと努力しないといけないということでしょうね。<o:p></o:p>

 


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