まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

新株予約権の機能・利用方法

2008-10-01 01:00:47 | 商事法務

     新株予約権については、会社の資金調達の一つの方法と位置づけられていますが、それ以外に買収防衛策やストックオプションとしての利用がなされています。会社の資金調達は、例えば投資計画を立ててそれの所用資金を調達するというのが通常ですが、普通は(取得条項付新株予約権を除き)新株予約権者が、行使期間中に行使価額の払込を行う事により行いますから、行使期間の定めにもよりますが、会社にとっては何時どれくらいの資金が払込・入金されるのか分かりません(転換社債型新株予約権付社債の場合を除く)。従い、計画的になされる資金調達とは異なります。また、払込資金を宛てにすることも出来ませんね。

 では、新株予約権の機能あるいは利用方法にはどんなものがあるのでしょうか。

 インセンティブ報酬―ストックオプションですね。多くの企業で役員に対してあるいは役職員に対して付与しています。行使期間を、2-3年後以降にして譲渡制限を付す場合が多いですね。業績向上を目指して、頑張って働いて頂戴ということで、人参をぶら下げて走らせる・働かせる効果がありますね。上場株の場合だと、予約権行使・払込・売却を殆ど同時に行えば、売却額―払込額がキャピタルゲインとして一挙に懐に入りますね。最近は、不明朗&お手盛りの役員退職慰労金の制度を廃止してストックオプションの付与に切り替えている例も出てきていますね。

 買収防衛策―有名な例はブルドックソースの例ですね。普通株1株につき3個の割合で新株予約権の株主割当を行いました。取得条項をつけて、株主の同意無く、新株予約権を取得して、その対価として、非適格者=敵対的買収者以外の株主に対しては、予約権1個について普通株式1株を交付する。非適格者に対しては、予約権1個について金396円を交付することができるとしていました。これによりステールパートナーズの持株比率を1/4にしましたね。

最高裁は、1091項の株主平等原則の趣旨は、新株予約権無償割当の場合にも及ぶ。しかし、個々の株主の利益は、企業価値が毀損され、会社利益・株主共同の利益が害されるような場合には、その防止のために当該株主を差別的に扱っても、衡平の理念に反し相当性を欠くものでないかぎり、平等原則の趣旨に反しないとして、不平等取扱を認めています。同床異夢の株主に対して、「株主共同の利益(株主全体に共通する利益)」等という、企業価値研究会報告の造語?言葉を使用しています。資本多数決の原理ですね。多数派株主による、少数派株主の利益無視の事をどうして「共同の利益」等と言うのでしょうね。

 資金調達としての転換社債

(a)  ベンチャー企業の資金調達VCのベンチャー企業への投資はCBにすることが多いですね。企業にとってみればCBにすることにより金利を低く抑える事ができる。VCにとって見れば、上場が射程距離になれば株式に転換して上場時のIPOあるいはその後に徐々に売却してキャピタルゲインを狙えるからですね。但し、例えば3年後に上場を目指している企業の場合、5年以内に上場できない場合には、償還時に一定の利回り(Yield)を保証させられる場合もありますから、ベンチャー企業の経営者にとってみれば必ずしも良い条件とばかりとは言えませんね。

(b)    大企業の場合の甘味料(Sweetener)―社債の償還で元本プラス少しの利息、あるいは株価が上昇すればキャピタルゲインを狙えるということで、ダウンサイドリスクが限定されている割には、大きなリターンも狙えるということですね。ただし、機関投資家等は償還期限まで保有することは少ないでしょうし、金利が上昇して社債の価格が下落すると大きく損失をこうむることもありますね。

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