まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

会社法と登記の不整合

2007-11-05 00:16:15 | 商事法務

     今度の会社法は、どれだけ登記の実務を十分理解して、またその整合性を念頭に置いて立案されたのでしょう?疑問ですね。

いろいろな不整合があると思います。この不整合・矛盾は、当然登記の利用者即ち会社側に押しつけられます。困ったものですね。具体例を取り上げてみましょう。

     株式会社の登記については、9113に整理されています。その他組織再編の登記等は921条以下にあります。9113項では30号に渉って登記事項が列記されています。しかし、おなじみの規定が抜けています。107条には譲渡制限株式の規定があります。譲渡制限は、当然登記事項ですね。譲渡制限株式に関する登記の事が抜けているのではないでしょうか?

○具体的な定款規定と登記

 譲渡制限株式について、会社法と登記の不整合を見てみましょう。

【定款の規定例】

A 本会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない。

B  本会社の株式又は新株予約権を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない。

C  ① 本会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない。

② 本会社の新株予約権を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない。

上記Aは、従来の普通の書きぶりですね。BCは、Aに新株予約権を加えただけで同じ内容です。単に条文を分けただけです。新株予約権は、株式と同様に譲渡制限の定めをすることが出来ます。株式と同様に考えれば良い訳ですね。262条以下には、新株予約権の譲渡の制限の規定があります。上記のB&Cとも、何の瑕疵もない有効な定款の文言です。

     法務局の対応:従来の記載だけを認めます。登記簿には、上記Aのみ即ち「本会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない。」だけが記載されます。(会社法では、取締役会だけではなく、株主総会とか代表取締役を承認機関としてもOKとなりましたが)。

Bの定款を作成し、変更登記の添付書類として法務局に提出すると「又は新株予約権」を削除しろと言われます。Cの場合は②を無視して、①だけを登記簿に記載します。

定款変更は株主総会承認事項です。法務局から、削除しろと言われて「はいわかりました。また総会開催して訂正します」等と簡単には言えません(100%子会社なら簡単には言えますけど)。だいいち法務局が、有効な定款の規定を変更しろ等とどうして言えるのですか?そんな権限など与えられていないでしょ。どういうことなんですか?ほんまにええ加減にして欲しいものですね。

コメント
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