天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

北海道暴風雪の凍死事故でNレーン著『生命の跳躍』哺乳類が寒さの中生きるコストはトカゲの100倍を痛感

2013-03-04 21:41:54 | 日記
今日の日記は、今読んでいるニック・レーン著『生命の跳躍 進化の10大発明』( 斉藤隆央訳 2010年・みすず書房刊)に書かれている、進化の革命の一つ”温血性ーエエルギーの壁を打ち破る”のことです。添付した写真は、その著書の表紙です。
今日の読売新聞朝刊の社会面トップに、とても痛ましい事故の記事がありました。『北海道暴風雪 雪の仲娘抱いたまま 父9歳守り力尽く 車降り300メートル倉庫前で』で、2日から3日未明にかけて北海道を襲った暴風雪を外出中に受けて、親戚宅に緊急避難しようと、乗っていた車を捨てて歩き始めた父親が、猛烈な地吹雪の中、たった一人の娘を守ろうと、10時間にわたって覆いかぶさるように抱きしめて、自らの体温を奪われて、自らの命を落とした悲しい事故です。
この記事を目にした時、私は偶然にもこの著書の8章”温血性ーエエルギーの壁を打ち破る”を読んでいました。そして、この不可思議な偶然の一致に、私はとても驚きました。この悲しい事故が、人間が温血動物であることを、襲ってきた大自然の驚異がまざまざと私に見せ付けたからです。
以下に、私がとても共感した筆者の記述の一部を、引用・掲載します。
『子どものころは時間が速く流れ、年をとるとゆっくり進むという実感はある。それは、われわれの体内の設定条件たる代謝率、すなわち、心臓が鼓動し細胞が酸素の存在下で食物を燃焼させる率によるものなのだ。・・代謝率がなにより大きく影響しているのは、「温血」の生物と「冷血」の生物との違いだ。・・温血性は結局、代謝率や、生活のペースで語れる。・・われわれのサーモスタットは1日24時間、週7日、要不要にかかわらずおよそ37℃に固定されている。おまけに代替エネルギーのことなど考えていない。トカゲのように太陽エネルギーを利用することはせず、炭素を燃やす体内の発電所で莫大な熱を生み、大量の二酸化炭素を排出している。哺乳類は、元祖環境破壊者(エコ・フーリガン)なのである。・・トカゲと哺乳類を寒冷な条件、たとえば氷点近くの環境に置いてみよう。すると、トカゲは落ち葉のなかにもぐり込み、身を丸めて眠ってしまう。・・われわれは、さらに多くの食物を燃焼させる。哺乳類が寒さのなかで生きるコストは、トカゲのそれの100倍になる。これは大変なコストである。こんなコストのかかる生活様式とひきかえに、われわれは何を得ているのだろうか?明らかな答えは、”生息環境”の拡大である。・・そのおかげで、われわれは夜間に食料を探して夜更かしをし、温帯の気候なら冬のあいだも活動ができ、寒くても出歩くことができるようになった。どちらもトカゲにはできないことだ。』
このように、恒温(温血性)動物の哺乳類から進化した人間は、大変なコスト(体内ので莫大な熱を発生)をかけて、寒冷地でも生活できるようになったのです。この熱を体内で発生出来なくなったり、その熱代謝率が低下(加齢も一つの要因)すると、その生存が危うくなるのです。
そして、この悲しい出来事は、地球上で卓越した人類でも大自然の猛威の前では、まだ一つの”か弱い生き物”であることを、私に痛感させました。
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