天売島は海鳥の宝庫として知られている。特にオロロン鳥(ウミガラス)は今や天売島にしか生息していなく、それも絶滅寸前と聞く。天売島に渡った私は最近増えつつあると言われるウトウの帰巣風景を観察するツアーに参加した。
焼尻島を巡り終えて、天売島に移動する最終便(15時10分発)で天売島に移動した。フェリーは羽幌港から乗ったのと同じフェリー「オロロン2」である。(写真)天売島は焼尻島から近くに見えただけに20分少々で着いた。
羽幌と二つの島の間は夏の間は高速船も含めて一日4便あるが、冬の間(10月~4月)は一日1便に減便されるようである。(一日1便とは厳しいですね)
天売港のフェリーターミナルも、焼尻島と同様ひなびた感じであった。
そのターミナルには、宿泊先の「旅館 オロロン荘」の主人が迎えに来てくれていた。
オロロン荘は旅の中でもレポートしたが、こうした離島の民宿風の宿としては想像していたよりずっと清潔な宿だった。その外観が次の写真である。
夜、ウトウの帰巣風景の観察ツアーに参加するため、早い時間の夕食となったが海の幸満載の内容だった。天売名物生ウニはもちろんのこと、各種のお造り、ナマコ酢、ツブなどなど…。生ウニは確かに甘味が感じられ最高だったが、基本的には生ものが苦手な私には猫に小判状態だった。
そして夕刻、各所の民宿宿泊者(希望者)をバスに乗せて「ウトウの帰巣風景」を観察するために赤岩に向かった。ウトウは非繁殖期は海上で生活しているが、繁殖期(4~8月)には地面に穴を掘ってコロニーを作って産卵からヒナが孵化するまで生活するという。
天売島はその繁殖地として世界最大とのことだが、バスの運転手兼ガイドによると、天売島では約80万羽、40万つがいが生活しているという。
赤岩のところにはウトウが掘った穴が無数に開いていた。
その穴のところに、ウトウが持ち帰った小魚を横取りしようとウミネコが待ち構えていた。
赤岩に着いたときには夕暮れ前、ちょうど夕陽が沈む前だった。雲に遮られて太陽がクリアには見えなかったが、それなりの夕景だった。
肝心のウトウの帰巣は辺りがくらくなった午後8時過ぎだった。ガイドによると、ウトウの餌であるイカナゴやカタクチイワシがだんだん獲れなくなり帰巣時間が遅くなっているということだったが、午後8時を過ぎたころから辺りが賑やかになってきた。
凄い勢いでウトウが頭上を飛び回り、自分の巣穴を目ざす。
鳴き声を上げるわけではなく、羽音だけをバタバタさせながら次々と降り立ってくる。
私たちは路上のすぐ傍のイタドリの下につくった巣穴に帰るウトウの姿を追った。ウトウは人や光をあまり気にしないらしく、懐中電灯の光を当てても逃げようとしない。(ただ
ウトウにストレスを与えないためにも過剰に光を当てることは避けてほしいとガイドからは言われていたが…)
そんなウトウをなんとかカメラに収めることができた。
ただ、私が見ることができた4~5羽のウトウはいずれも嘴に小魚を咥えてはいなかったようだ。
ガイドが言う。直ぐ近くの焼尻島に棲まなくて、天売島に海鳥が多く棲む不思議を語った。明確な理由は解明されていないようだが、ウトウの場合は穴を掘りやすい土の成分によるのではないかということだったが…。
ウトウは今のところ生育数は漸増傾向とのことだったが、オロロン鳥をはじめ海鳥たちにとって生育環境は、餌である小魚の確保が難しくなったり、天敵が増えたりと、厳しくなってきているようだ。
私たち観光客も彼ら海鳥たちにとっては迷惑な存在なのかもしれない。そのことを一人ひとりが自覚しながら、海鳥たちにストレスをかけないようにしなければ…。(チョット反省)