ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

さいたま市桜区下大久保の“大久保農耕地”で、コチドリと出会いました

2013年05月21日 | 季節の移ろい
 日本の農業問題を考えるには、実際に農地を見て考えてみようなどという殊勝な考えもなく田植えされた田園風景を見に行きました。

 行った先は、さいたま市桜区下大久保の荒川沿いに広がっている通称“大久保農耕地”です。一面に広がる田圃(たんぼ)は田植えがほぼ終わり、“瑞穂の国”らしい風景が広がっています。(一部、田植えしていないところがありますが、減反対象の土地ではないかと想像しています)。

 今回、大久保農耕地には午後5時30分過ぎに訪れました。田植えが終わった田圃の背景には、夕日に照らされた、さいたま新都心の高層ビル群が見えます。



 田植えが終わった田圃のあちこちに、ダイサギやコサギがいます。見た感じでは6、7羽がお互いに距離を保って水が張られた田圃の中にいます。



 突然、けたたましい高音の鳴き声が響きました。今回訪問したお目当ての野鳥はチドリ目チドリ科チドリ属のコチドリです。名前の通りにチドリの中で一番小さい野鳥です。

 コチドリのピオピオという甲高い鳴き声がすぐそこに聞こえるのですが、スズメぐらいの小柄なコチドリ1羽がどこにいるのかが分からたいために、真剣に探しました。





 田起こしされた田圃の中では、小柄なコチドリは背景にうまく溶け込んで意外と簡単には見つかりません。

 数10メートル離れた田圃の畔にチドリ系の野鳥が1羽います。地表近くに沈みゆく夕日に照らされています。





 夕日の光の当たり方が真横からのために、羽根の色がよく分からず、シルエットになっているために、チドリ系の野鳥の種類は分かりませんでした。タカビシギあるいはアオアシシギなどではないかと想像していますが、自信はありません。

 最近は田植えされた田圃を見ると、シギ系の野鳥がいないか探すのが習慣になっています。日本の田植えされた田圃には、予想以上にさまざまな種類の野鳥が生活しています。

 “瑞穂の国”の風景は、多種多様な生物が住むビオトープ環境になっています。ハイテク技術に支えられる野菜工場とは、この点が大きく異なります。

朝日新聞紙のコラムのオピニオンに載った「攻めの農業でいいのか」を拝読しました

2013年05月20日 | 日記
 2013年5月16日に発行された朝日新聞紙朝刊の中面に掲載されたオピニオンというコラムに載った「攻めの農業でいいのか」という意見記事を読んで考えました。

 このオピニオンというコラムは2013年の参議院選挙向けに、“識者”の意見を載せるもののようです。今回は、農民作家の山下惣一(そういち)さんがTPP(環太平洋経済連携協定)に対して反対する農業従事者としての立場から意見を述べています。



 佐賀県唐津市郊外の棚田などで農業に従事する山下さんは、「自分たちのような小規模農家は農業生産を楽しんでいる」といいます。市場原理とは違う土俵で、農家としての生産を続け、自分なりの“相撲”をとるように仕事をしたいと主張します。

 小規模農家は1年間を通して、無収入の期間ができるだけ無いように、多品目(多品種)の農作物を低コストでつくり、農業生産者と消費者をつなぐ、小さなコミュニティーを築くことに智恵を絞ってきたとの工夫を語ります。「地産地消」という小さなコミュニティーによって、農業による収益を成り立たせてきたと主張します。

 安倍晋三内閣が進めるTPPによって、これまで政府のいうことを聞いて、太規模農業を実践してきた米(こめ)農家や酪農家の方が、米国などの巨大穀物農家や豪州(オーストラリア)の大農場との激しい競争にさらされ、厳しい経営状態になるだろうと予想しています。

 TPPに後から参入する日本は、農産物を関税撤廃の例外品目にしようと必死ですが、これがどうなるのかはなかなか微妙です。原則上は、日本の大規模な農業組織は市場原理にさらされます。

 山下さんは農業“製品”は工業製品と異なり、市場原理には単純にはのらない存在だといいます。「自然を相手にする農業は(事業規模などを)成長させてはいけない」とまでいい、毎年同じように収穫できる、自然と一体になった仕事の仕方に喜びを感じる農業を続けたいといいます。

 以上の山下さんのような小規模農家の主張を、現政権はどう考えているのか興味は尽きません。

 TPPに参加し原則、関税を撤廃する市場原理を基本とするだけに、日本の農業は農業法人などの企業経営による大規模農業を取り入れる一方、山下さんたちのような小規模農家が地元で好きなように「地産地消」で生きていく道も残すやり方があるのではと感じます。

 企業経営による大規模農業はトマトやリンゴ、ミカンなどの単一農作物を“工場”のように大規模に高品質でつくって、国内市場と海外市場に向けて販売することになります。あるいは、その加工品を海外で販売します。オランダのように、トマトや花を海外市場向けの商品作物に仕上げて生産することになります。安倍首相は輸出することで、規模を拡大し、利益を上げるという構図を主張しています。

 その一方で、企業経営による大規模農業は、従来のように日本各地での季節ごとの野菜や果物などを小規模でつくる訳ではありません。この仕事は従来通りに日本の小規模農家群が受け持つことになります。各地にできた道の駅などで、農家が採り立ての季節の野菜や果物などを直接、消費者に販売するやり方です。

 今回、小規模農家の代表としての山下さんは、地域に農家と消費者が混在する「地産地消」の強さを伝え、日本の農業の将来像を探ります。小規模農家の後継者問題をどうするかが一番の課題のようです。

 また、都市近郊では年金生活者である都市住民の多くが週末農業を楽しむことで、普通の人がプライベート農業に従事する未来像も提示しています。この週末農業も、その巨大な集積度によっては新しい可能性を示しそうです。

篠田節子さんの最新作の小説「ブラックボックス」をほぼ読了しました

2013年05月19日 | 
 篠田節子さんの最新作の小説「ブラックボックス」(発行は朝日新聞出版)をほぼ読了しました。最新作といっても、発行日は2013年1月4日と約5カ月前です。

 今回、ここで取り上げる直接のきっかけは、2013年5月15日に発行された朝日新聞紙の朝刊に掲載されたオピニオンというコラムの「攻めの農業でいいのか」を読んだことです。安倍晋三内閣が成長戦略の一つとして目指す、農業法人による“工業化”した農業システムでいいのかを述べた意見です。この意見を理解するのに、小説「ブラックボックス」は役に立つと感じました。

 その時々の社会問題をテーマにする小説の名手である篠田さんは「ブラックボックス」では、農業と食の安全性などを取り上げました。



 サブ主人公である農家の後継者のBは、大手肥料メーカーの開発したハイテク農法を導入し、クリーン施設“野菜工場”を運営しています。土壌や水などを無菌化し、殺虫剤を不要にしたハイテクのクリーンルームの野菜育成室では、農業従事者はパソコンモニターを監視しながら、不具合対策をとるだけです。自分の手を動かす農業ではないことに、次第に不満がつのります。

 その内に、太陽の下で自然を相手にする露地農業がしたくなったサブ主人公Bは、耕作放置地を借りて、本来の自然農業によって野菜などをつくり始めます。ただし、市場には出荷できない、売り物にはならない野菜たちを収穫します。

 一方、主人公Aは故郷に戻って、深夜のサラダ工場で働き始めます。このハイテクサラダ工場の従業員は、外国人の“研修生”です。無菌にするために、低温という過酷な労働環境で働くために、体調不調を訴える者が続出します。主人公Aは日本人という理由で、パート契約だが生産現場の事実上の責任者をさせられます。

 コンビニやスーパーに並ぶサラダのパックが、毎日きちんと棚に並ぶ背後にある、研修生という名の低賃金労働者の実体が浮かび上がります。以前に、あるパネル討論のテレビ番組で、農家の方が「日本の農家は研修生無しでは成り立たない」と説明します。農業も漁業も、学生アルバイト以下の低賃金で働く外国人研修生を織り込んだ生産態勢が不可欠になっていると説明されました。

 小説「ブラックボックス」は、ハイテクサラダ工場の労働環境問題から食の安全とは何かという問題にまで踏み込んで行きます。その兆候の一つは小学校の児童に多発する食物アレルギーなどです。

 生物である人間が食べる農作物とは何かなどの、かなり重たい問題に正面から取り組んだ小説です。ただし、なかなか微妙ですが、農業とは何か、食の安全とは何かという簡単には答えが出ない大問題に取り組んだためでしょうか、小説としての面白さは今一つと感じました。篠田さんの小説家としての力量からすると、“料理”しきれていないと感じました。

 朝日新聞紙朝刊に掲載されたオピニオン「攻めの農業でいいのか」の内容については今後考えます。日本の農業をどうするかは、複雑で難しい問題です。

静岡県熱海市の“ロールケーキ専門店”のエトワールに立ち寄りました

2013年05月18日 | グルメ
 静岡県熱海市の海岸沿いを通る時に、2回に1回ぐらいの頻度で立ち寄る洋菓子店があります。海沿いに通っている国道135号線沿いの東海岸町にある「ロールケーキ専門店」を自称するエトワールというお店です。

 実は、エトワールのロールケーキは、本ブログの2011年1月31日編で一度、ご紹介してしています。

 当然、今回も立ち寄りました。夏に灯りに引き寄せられる虫のようです。今回はロールケーキを4種類、一つずつ買い求めました。



 向かって左側奥からモンブラン(クリが載っています)、その右側の紅茶、手前左側の塩キャラメル、その右側のレモンです(各ケーキの名前は記憶に頼っています。すぐ食べたので、名前を正確にメモしていませんでした)。

 各ケーキの土台が、小振りのロールケーキになっています。1個300円弱と、大きさの割には高い感じです。ところが、夕方閉店間際に行ったために、ショーケースには、それぞれの種類ごとに、1、2個しか残っていない様子の売れ行きでした。

 ロールケーキの生地は、最近はやりのふわふわ系ではありません。ロールケーキの生地のスポンジケーキはやや硬めの実が詰まった感じです。このロールケーキの生地の硬さは好みが分かれるところです。

 各ロールケーキの名前ごとに、生地の中に何かが織り込んであります。テーマごとに適した“仕事”が施してあります。

 ロールケーキ専門店の「えとわーる」は、熱海市のJR熱海駅から海岸寄りまで坂を下た辺りの、東海岸町にあります。湯河原市側から有料道路の「熱海海岸自動車道」の出口側と、国道135号線が合流する交差点付近です。

 一番の問題はお店近くに駐車場がなく、いくらか歩く必要があることです。このハンデキャップを考えると、エトワールのロールケーキを気に入ったお客が熱心に買いに行っていることになります(現在は、少し離れた所にある市営駐車場の利用を薦めています)。

 話は変わります。熱海市の伊豆山近くで、イソヒヨドリを1羽、見かけました。





 逆光で、イソヒヨドリの美しいお腹の羽根があまり見えません。あたりをキョロキョロと見ています。

 静岡県では静岡市清水区の由比の由比ヶ浜あたりの海岸で、イソヒヨドリとたまに出会います。出合いを楽しみにしていますが、あまりかなうことが無いことも、自然の理です。

神奈川県箱根町の仙石原にある箱根湿性花園では、クリンソウなどが咲いています

2013年05月17日 | 旅行
 神奈川県足柄下郡箱根町の仙石原にある箱根町立箱根湿性花園は、湿原などに育つ野草などを育てている植物園です。

 ミズバショウ(水芭蕉)がちょうど咲き終わったことで、春から初夏への移ろいが感じられるころです。

 ニホンサクラソウ(日本桜草)がやその仲間のクリンソウ(九輪草)の花が湿地の中で咲いています。春を示すニホンサクラソウです。サクラソウの仲間で、日本で一番大きい種類のクリンソウも花を咲かせています。毎年5月に咲くそうです。



 カキツバタの花がちょうど、見ごろです。

 箱根湿性花園は育成しているので、カキツバタの花を簡単に見ることができますが、自然のカキツバタは最近はかなり減っていて、観察することは難しくなっています。



 アヤメ科の仲間のヒオウギアヤメの花も、点々と咲いています。



 箱根湿性花園の中は、小川が流れ、池なども多数設けて、湿地を形成しています。

 その小川や池の岸辺の水の中に、水生植物のアサザの花が咲いています。



 アサザは絶滅危惧水生植物です。

 その名前からも“骨太”の感じがするコウホネの花があちこちに咲いています。



 春から秋まで開園される箱根湿性花園では、訪れる季節ごとに、その季節の野草の花を観察できます。夏になれば、あちこちに多数咲くニッコウキスゲ(正確にはゼンテイカ)の花を楽しめます。