ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

NHK番組「メイドインジャパン これが逆襲のシナリオだ」を拝見しました

2013年05月13日 | 日記
 2013年5月11日土曜日と12日日曜日の午後9時から1時間枠で、NHK(日本放送協会)が2回にわたって放映したNHKスペシャル「メイドインジャパン これが逆襲のシナリオだ」を拝見しました。

 第一回目のコメンテーターを務められた京都大学客員准教授の瀧本哲史さんがご指摘のように、この放送を見て「日本企業の逆襲のシナリオが分かる」というような簡単なテーマではありません。

 5月11日土曜日に放映した第1回を見て、NHKの担当者はテレビ番組として映像化することに苦労していると感じました。テレビ番組なので、多くの方に分かりやすく説明するために、題材を“映像化”して表現するという制限があります。



 個人的に感じたことを脈絡なく並べます。最初の題材はマツダのSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の「CX-5」を取り上げています。この「CX-5」は“クリーンディーゼル”エンジンを搭載し、乗用車風の車として日本国内である程度売れた点が話題になっています。



 NHKの担当者は、マツダを取り上げた着目点として、「一括企画」というキーワードの事例だといっています。自分たちは何を商品として市場に送り出すかというコンセプトをまとめる組織論です。商品全体のコンセプトを把握し説明できるキーマンが不可欠という組織論です。

 日本企業は1980年代以降の高度成長期は、先行モデルとなる商品があり、それを高品質化し低コスト化することで事業に成功しました。この時は、各社員は自分の専門領域内で解を求め、その解を寄せ集めて組み合わせて商品をつくれば、高品質で低コストな商品ができあがった時代でした。カイゼンが有効に働いた時代です。

 縦割り組織の弊害が目立つようになり、このやり方が通用しなくなり、2000年以降の日本の電機メーカーは投入する商品の製品寿命の短さに苦労します。同様に自動車業界でも、事業収支に苦労した日産自動車はルノーと資本提携しから資本注入を受け、1999年3月に送り込まれたカルロスゴーンさんがCOO(最高執行責任者)に就任します。

 この時にも、どんな車をつくるかを企画できるクロス・ファンクショナル・チーム(CFT)という横断的なチームをつくります。ユーザーが何を求め、商品価値として何を求めているかという商品企画が重要になった時代に、日本企業の多くは対応できませんでした。2000年代以降の共通した大命題です。

 マツダの自動車づくりでのコンセプトづくりは古くて新しい課題です(旧・東洋工業が傾いた時に「ファミリア」をヒットさせた話も同じことです)。ところが、番組では“ハイテン”という高張力鋼板を駆使して、設計を工夫し、生産性を向上させたという改良点を取り上げています。

 日本の自動車メーカーが最近、投入する自動車はかなり軽量化しています。番組で紹介された980メガパスカル級という“超ハイテン”材を車台の骨格に適用することは当たり前になっています。軽自動車では、もっと大胆な使い方を迫られています。
 
 ハイテンという専門用語に踊らされ、素人は知らないだろうという甘い判断で、このテーマを取り上げた結果、自動車技術者の方々は中身の取り上げ方の底の浅さに驚いたのではないかと想像しています。

 取り上げるべきことは、マツダがディーゼルエンジンをキーワードに日本市場に新車を投入したマーケッティング判断の中身です。マツダは、ディーゼルエンジンが主力エンジンになっている欧州市場に元々強く、独特の市場判断を下したと思います。トヨタ自動車とホンダ(本田技研工業)が次世代車にハイブリッド車を、日産が電気自動車を選ぶという判断を下しています。これに対して、マツダは“クリーンディーゼル”エンジン車を戦略上、重視する決定を下します。そのコンセプトの奥にある本音が知りたかったです。

 パナソニックのノート型パソコン事業も今後のパナソニックを占う事業態勢だと紹介しました。パナソニックは、旧松下電器産業時代からパソコン事業の継続に苦心してきました。この件は、長くなったので、明日にします。