



エリザベス・ギャスケル
好きだなぁ・・・こういうの

皆が素直に神様を信じていた時代の、素朴な物語。
私なんかは困った時にだけ「 神様、仏様~

こういう本を読むと信心もいいものかもね、なんて思っちゃうわ。
でも、壷とか水晶玉とかはいらないんだけれども・・・
8篇の優しく清らかな物語が収載されています。
きれいごとに見えるかもしれませんし、退屈に感じられるかもしれませんが
こんなに騒々しく世知辛い世の中ですもの、
罪のない話しで一息つくのもいいんじゃないでしょうか?
好きだった3篇です。
『家庭の苦労(Bessy's Trouble at Home)/1852年』


病気の治療のために家を離れた母に家事を任されたベッシーは
兄弟妹たちに喜んでもらおうとプランをたてますが
なぜか皆ありがたく思ってくれません。
「 愛情に見返りを求めちゃいけません 」とはよく聞くセリフですが
なんたってベッシーは学校を出たばかりの十代の少女です。
5人の兄弟妹の面倒をみるなんて・・・よくやってると思うけどな。
『婆やの話(The Old Nurse's Story)/1852年』


婆やが子供たちに語る、皆のママが幼かった頃の不思議な体験。
両親を亡くした小さなママと若き乳母だった婆やは、大きな館に引き取られましたが
そこには入ってはならない一郭がありました。
子供が喜びそうな怖いお話ですが、実は哀しい物語。
夏になるとよく語られる怪談とはベクトルが違うようです。
『リジー・リー(Lizzie Leigh)/1850年』


道をあやまり亡き父親に勘当された娘リジーを探しに
マンチェスターへやって来た母親の未亡人と二人の息子。
兄はそこで清らかな女性スーザンに恋をし苦悩します。
リー夫人は彼女を訪ね、娘のことを打ち明けます。
“できちゃった婚” ももはやスタンダードとなりつつある今日この頃、
結婚前の妊娠や未婚の母が、こんなに責められなきゃいけない時代があったなんて
想像つきませんね。
男は責められないのよ! ちょっと不公平じゃない?

道徳の教科書みたいだといって敬遠しないで下さい
たまにはこんな物語もいいんじゃないでしょうか?

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