まりっぺのお気楽読書

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『ユダヤ人のブナの木』週刊◯◯という感じ

2009-04-23 01:01:51 | ドイツの作家
DIE JUDENBUCHE 
1842年 アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ

実際にあった殺人事件がベースになっているらしいのですが
女性が書いたとは思えないほど堅苦しく、情緒もへったくれもありませんでした。

情景の描写に使われている修飾語がかろうじて小説っぽさを醸し出していますが
まるで記者の思い入れが強いルポルタージュみたいになっちゃってます。

もう少し容疑者となった少年フリードリヒの年老いた母親の嘆きが
クローズアップされていたり、フリードリヒを密かに慕う少女などがいたりしたら
小説らしくなったのでは? と思うのですけど、出来事を時系列に並べているだけ…

ある村で盗伐が相次いでいたのですが、見回りをしていた山林官が殺害されます。
その時一瞬疑われたのが、すこぶる評判の悪い男の息子フリードリヒ少年でした。
結局罪は晴れますが、実は彼は盗伐団のために見張りをしていたのでした。

数年後、今度は古売商をしていたユダヤ人アーロンがブナの木の下で殺されました。
その前日、フリードリヒは皆の前でアーロンに借金の取り立てをされて
大恥をかいていたので、真っ先に彼が疑われました。
領主のS男爵はフリードリヒの家に向かいますが、彼は逃げた後でした。

事件が迷宮入りになってしまった頃、ユダヤ人たちがブナの木の一帯を買い取り
アーロンが殺されていた木に碑文を彫りつけます。
それからその木は “ ユダヤ人のブナの木 ” と呼ばれるようになったのです。

さてさてフリードリヒですが、その後どうなったのでしょう?
実はアーロン殺しの真犯人は見つかったのですが、フリードリヒは帰って来ません。
そもそも何故フリードリヒは逃げ出したのでしょう? 村人は不思議がります。

28年後、フリードリヒと一緒に逃げた私生児ヨハネスがひょっこり戻って来ます。
トルコの奴隷となって苦労し、老人のようになっていました。
彼の帰還で謎が明らかになるかと思いきや…

この28年間の出来事も、ヨハネスの口から数行語られるだけでして
フリードリヒやヨハネスが何を考えているかも分からない…
しかも! 真犯人が逮捕されたことが分かる場面もあっけないんですよ。
ミステリーでもなく冒険小説でもなく、ましてや恋愛もない。
小説と呼ぶにはあまりにもイマジネーションが欠如していると思います。

作者はグリム兄弟と親交があったということですが、童話とまではいかなくても
もうちょっと想像力を駆使して脚色をしてもよかったのではないかしら?

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2 コメント

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あほか (とんでん)
2009-06-25 23:09:35
ヒュルスホフが、17歳の時に書いた本です。
病弱で窓の外に見えるブナの木を題材にした
想像のお話。
グリムと親交があったのはお姉さんですね。

この本はドイツでは発禁にもなりました、
映画化もドイツ版ハリウッド版があり、脚色されすぎて原作のおもかげはありません。

小説は読み手がイマジネーションを発揮するものです。あなたアホですね。
返信する
17歳とは! (まりっぺ)
2009-06-26 01:03:41
コメントありがとうございます。

17歳の時に書いたとは知りませんでした。 すごいですね。
映画もあったとは知りませんでした。

またいろいろ教えて下さい。
返信する

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