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THE LAST STATION ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
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1990年 ジェイ・パリーニ
副題は『トルストイ最後の旅』です。
何度も書いているように、私は作家の私生活にはあまり興味がないのですが
トルストイの奥様が悪妻だったという話しを聞いたことがあったので
ちょいと真相が知りたくなって読んでみました。
トルストイ本人と、奥様ソーニャ、弟子のチェルトコフ、三女サーシャ
主治医マコヴィーツキー、秘書ブルガーゴフの手記と日記、手紙で
最晩年である1910年にトルストイを取り巻いていた環境と
トルストイが82歳で家を出て、田舎の駅で亡くなった経緯を紹介しています。
手記などの内容は本物でしょうが、ノンフィクション、記録と考えず
物語として読んだ方が断然面白いと思います。
とにかく、ソーニャの手記はトルストイや彼を取り巻く人たちへの憎悪が滲み出ているし
ソーニャ以外の人たちはソーニャの行動を激しく非難しています。
ソーニャはチェルトコフからトルストイを守らなければいけないと
常に行動に目を光らせて、何から何まで知らずにはいられません。
チェルトコフ、マコヴィーツキー、サーシャは、
ソーニャがトルストイを窮地に陥れると考えて彼を自分で保護しようと躍起です。
誰も彼もが自分が一番トルストイを理解していると思っているし
自分が一番信頼を得ている、あるいは愛されていると考えています。
皆から愛されるというのは幸せなことでしょうが、こうも愛されると窮屈そう…
どいつもこいつもほっといてくれやしないという毎日はしんどくないですか?
皆の手記をほぼ平等に取り上げ、両者の言い分が書かれていますが
とりあえず、一番の悪者はソーニャに見える…というのが読み終わった感想です。
でも…トルストイファンの皆さん、怒らないで下さいね![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/gp17.gif)
ここからソーニャに譲歩して、ものすごく味方になって深読みしてみます。
トルストイは自分が贅沢な暮らしをしていることを恥じていて抜け出したいと書いています。
でもソーニャを愛していて彼女の言い分も尊重しなければ、と考えて耐えていました。
トルストイは貴族(伯爵)らしからぬ服装をして下級の人々とも気さくに接して
時には貧民街にまで出かけて行って語り合うなど、階級を捨てたような行動もしています。
でもさ…結局は捨ててないわけよね。
例えばソーニャがものわかりのいい妻で、トルストイの言いなりだったら?
「私も子供たちも、遺産や階級はいりませんよ」と彼の意志に従っていたら
トルストイは身分を捨てて貧しい人たちの中で暮らしたでしょうか?
『幼年時代』、『少年時代』を読めばわかるように根っからの上流育ちのトルストイ。
きっと思い切れなかったと思うわ、それに捨てる必要もないと思うし…
ソーニャはそんなトルストイの、恰好の言い訳になったんじゃないかと思うんですよね。
そしてトルストイが命の残り少なさに気がついた時、ソーニャを捨てることで
自分の主張を正当化してみせた…っていうのはどうでしょう?
本当に本当に、ソーニャに百歩譲った感想です。
でも50年我慢して連れ添った女性を捨てるにはあまりにも唐突な行動なんですもの。
それまでにソーニャと別れても、誰も非難しなかったと思うのに…それほど強烈な妻です。
ともあれ、文豪とよばれたトルストイを取り巻く人間劇、
実話だろうがフィクションだろうがかまわないほど入り込めますよ。
映画化されるそうですが愛の部分が強調されてたら雰囲気台無しだと思います。
本の方がドロドロしてて面白いんじゃないかと思いますが…
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1990年 ジェイ・パリーニ
副題は『トルストイ最後の旅』です。
何度も書いているように、私は作家の私生活にはあまり興味がないのですが
トルストイの奥様が悪妻だったという話しを聞いたことがあったので
ちょいと真相が知りたくなって読んでみました。
トルストイ本人と、奥様ソーニャ、弟子のチェルトコフ、三女サーシャ
主治医マコヴィーツキー、秘書ブルガーゴフの手記と日記、手紙で
最晩年である1910年にトルストイを取り巻いていた環境と
トルストイが82歳で家を出て、田舎の駅で亡くなった経緯を紹介しています。
手記などの内容は本物でしょうが、ノンフィクション、記録と考えず
物語として読んだ方が断然面白いと思います。
とにかく、ソーニャの手記はトルストイや彼を取り巻く人たちへの憎悪が滲み出ているし
ソーニャ以外の人たちはソーニャの行動を激しく非難しています。
ソーニャはチェルトコフからトルストイを守らなければいけないと
常に行動に目を光らせて、何から何まで知らずにはいられません。
チェルトコフ、マコヴィーツキー、サーシャは、
ソーニャがトルストイを窮地に陥れると考えて彼を自分で保護しようと躍起です。
誰も彼もが自分が一番トルストイを理解していると思っているし
自分が一番信頼を得ている、あるいは愛されていると考えています。
皆から愛されるというのは幸せなことでしょうが、こうも愛されると窮屈そう…
どいつもこいつもほっといてくれやしないという毎日はしんどくないですか?
皆の手記をほぼ平等に取り上げ、両者の言い分が書かれていますが
とりあえず、一番の悪者はソーニャに見える…というのが読み終わった感想です。
でも…トルストイファンの皆さん、怒らないで下さいね
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ここからソーニャに譲歩して、ものすごく味方になって深読みしてみます。
トルストイは自分が贅沢な暮らしをしていることを恥じていて抜け出したいと書いています。
でもソーニャを愛していて彼女の言い分も尊重しなければ、と考えて耐えていました。
トルストイは貴族(伯爵)らしからぬ服装をして下級の人々とも気さくに接して
時には貧民街にまで出かけて行って語り合うなど、階級を捨てたような行動もしています。
でもさ…結局は捨ててないわけよね。
例えばソーニャがものわかりのいい妻で、トルストイの言いなりだったら?
「私も子供たちも、遺産や階級はいりませんよ」と彼の意志に従っていたら
トルストイは身分を捨てて貧しい人たちの中で暮らしたでしょうか?
『幼年時代』、『少年時代』を読めばわかるように根っからの上流育ちのトルストイ。
きっと思い切れなかったと思うわ、それに捨てる必要もないと思うし…
ソーニャはそんなトルストイの、恰好の言い訳になったんじゃないかと思うんですよね。
そしてトルストイが命の残り少なさに気がついた時、ソーニャを捨てることで
自分の主張を正当化してみせた…っていうのはどうでしょう?
本当に本当に、ソーニャに百歩譲った感想です。
でも50年我慢して連れ添った女性を捨てるにはあまりにも唐突な行動なんですもの。
それまでにソーニャと別れても、誰も非難しなかったと思うのに…それほど強烈な妻です。
ともあれ、文豪とよばれたトルストイを取り巻く人間劇、
実話だろうがフィクションだろうがかまわないほど入り込めますよ。
映画化されるそうですが愛の部分が強調されてたら雰囲気台無しだと思います。
本の方がドロドロしてて面白いんじゃないかと思いますが…