まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『モントリオル』めくるめく愛のあとさき

2009-01-07 23:59:31 | フランスの作家
MONT-ORIOL 
1887年 ギィ・ド・モーパッサン

やはり愛はひとときの幻想なのね、 って言いたくなってしまふ物語

アンヴィルの温泉地に訪れたクリスチャーヌという若い人妻が主人公なんですが
彼女は父と兄に勧められるまま裕福な男性アンデルマットと結婚して
安閑な生活を送っていたわけです。

そこに現れたのが兄ゴントランの友人ポール・プレチニでした。
この男がまた、愛と美と芸術の賛美者で
激情的で刹那的な愛をさんざん繰り返してきた人なわけ!

夫アンデルマットが、仕事と実務的なことばかりしか話さず、妻を顧みないで
新しい温泉地の起業に躍起になっているという、おあつらえ向きの状況の中
側で熱く愛を語られていくうちに、クリスチャーヌはとうとうポールに
身をまかせてしまうわけですね。
二人の愛は深まっていくのですが、アンヴィルを去る日がやってきます。
一緒に逃げようと言うポールに、パリでの逢瀬を約束して去っていくクリスチャーヌ。

ここで第一部が終了です。
さてさて、二人の愛はどうなるんでしょう?

状況が一変するのは1年後、第二部です。

夫アンデルマットが、裕福な農夫オリオル老人から買収した温泉地モントリオルにやって来た
クリスチャーヌは、子供を身ごもっています。
父親はポールです・・・(夫は知りませんよ、もちろん)

この後、ものすごくはしょると、純粋で美的な愛を追い求めるポールは
すでに子を宿したクリスチャーヌは対象外になりつつあったわけで
彼女がすがればすがるほど嫌悪感が募っていくわけです。

そして、財産目当てで姉ルイーズにはしったゴントランに捨てられて
うちひしがれる妹シャルロット・オリオルを慰めるうちに突然愛を感じ
しまいには求婚しちゃうのです。

ロマンティックな男はやっかいなんだってば!
熱烈に愛してくれて、とろけるような思いができそうだけれども
ちょっとした幻滅や、自分の美的感覚からはずれたらササーと引いちゃいそうじゃない?

ゴントランのようにミエミエな人と結婚するルイーズの不幸は予測がつくとして
シャルロットがこの先幸福になるかどうかは分かりませんね。
だってポールにまた好きな人ができたら、ガガガーっていっちゃうかもしれないもの。

さしあたり主人公クリスチャーヌは、無事に娘も生まれて
我が子と信じて可愛がるアンデルマットを見ているうちに
ひと皮剥けて強い女性になったようでございます。

ほだされてしまう女が悪いのか? 
それとも、こういう熱い相手との恋こそが浮気の醍醐味なのか?
クセにならなければよいのだが・・・
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする