まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ゲイルズバーグの春を愛す』あぁ、勘違い ヾ(_ _。)

2009-01-15 22:21:34 | アメリカの作家
I LOVE GALESBURG IN THE SPRINGTIME 
1962年 ジャック・フィニィ

大掃除で見つけた本、第2弾ですが・・・
わたくし、完全にアンダスンの『ワインズバーグ・オハイオ』と混同してました

表題の『ゲイルズバーグ~』の主人公が若い新聞記者だったことと
昔ながらの町の雰囲気に、完全にゲイルズバーグを舞台にした連作だろうと思ってました。

しかし、この短編集に収められているのは
アメリカの各地を舞台にしたファンタジックでノスタルジックな物語の数々でした。

『ゲイルズバーグの春を愛す(I Love Galesburg in the Spring Time)』
新聞記者オスカーは、町で起こる不思議な出来事に気がついていました。
ゲイルズバーグの古き良き町並みを守ろうと、過去から廃止された市電や旧式の消防車
亡くなった人々が姿を現すのです。

『クルーエット夫妻の家(Where the Cluetts Are)』
若いクルーエット夫妻は、設計士ハリーの家で見つけた古い設計図どおりに
19世紀さながらの家を建てます。
しばらくしてハリーが訪ねてみると、二人はまるで19世紀にかえったような
ドレスやスタイルで生活をしていました。

『時に境界なし(Time Has No Boundaries)』
大学教授ウェイガンはイリーン警部に呼ばれ、不可解な失踪事件を聞かされます。
失踪しているのは微罪を犯した人々で、みな過去に逃げていると言うのです。
そして、彼らを過去に逃したのはウェイガンだろうときめつけます。

以上、特に郷愁の感がある3作をあげてみました。
いわゆるタイムマシーンもののような、冒険がらみの物語ではありません。
過去を懐かしみ愛するあまりに説明のつかない出来事を肯定してしまう人たちの
不思議で素敵なエピソードです。

私も小花柄のスモックドレスなんかを着て、大草原の小さな家的に過ごしてみたいわ
などと憧れたものですが、これだけ何もかも揃っている現代に暮らしていると
難しいものかもしれませんね・・・不便で。

たとえばブルーレイ内蔵テレビとか、お掃除ロボットとか、ミストサウナなんかの
便利すぎるものは無くなっても耐えられるとして、冷蔵庫や洗濯機がないなんて
考えただけでウンザリ  主婦の重労働が増えてしまふ・・・
だいたい、電気やガスがないっていうのが信じられないですよね。
どうやって生活しろというのかね?
それから乗り物! 馬飼わなきゃ!!

結局、過去は懐かしむためにあるものなんですね。
戻れないから素敵に思えるものなんでしょうねぇ・・・
コメント (3)
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『水いらず』靄、靄、靄・・・モヤだらけ

2009-01-15 00:54:36 | フランスの作家
INTIMITE
1937 - 1938年 ジャン・ポール・サルトル

年末の大掃除で見つけましたよ、サルトル。
私はなんだかこの本を18歳の時に買ったみたいですけど
何を考えて買ったんでしょ? 賢い子ぶりたかったのかしら?
案の定なにひとつ覚えてないんですけど・・・(買ったことさえ

読んでいると頭のまわりを靄が漂っていくような気分になってしまいました。
ただ、物語になんらかの意味や明確な答えを求めようとしなければ
それなりに面白い本ではありました。

表題の『水いらず(Intimite)/1938年』ですが
不能でつれないアンリーの妻で、男好きするタイプのリュリュと
そのリュリュと伊達男ピエールをくっつけようとする未婚女性リネットの
ふたりの女性が交互に描かれています。
リネットが怒るのは無理もないと思うが、ほっとけばいいじゃん・・・とも思えます。

『部屋(La Chambre)/1938年』
エヴは両親や医者の忠告も聞かず、白痴になりつつある夫ピエールとふたりきりで
閉じこもった生活を続けるうちに、次第に自分の居場所がなくなっていくことを
感じていました。
難しいですよね、愛する人を切り捨てる決断って。

こんな私でも共感できる2篇をあげてみました。
全5篇収載されていまして、あと2編も理解はできました。

しかし『一指導者の幼年時代』というのがちょっと好きになれなかったかしら。
訳者(中村真一郎氏)の解説によると “ ジョイスの『若い芸術家の肖像』
見本にあったかもしれない ” と書かれていますが、確かに!
出口が見いだせない、あるいは見いだそうとしない若者の苦悩や疑問が
難し~い言葉で書かれています。
主人公を含め、彼のまわりの青年たちは、自ら悩みにはまっていっているような
感じをうけてしまい、少々いらいらさせられます。

若い頃、野坂昭如氏が「ニーチェかサルトルか、みんな悩んで大きくなった 」と
唄うCMがあったのですが、まさに悩める作家だったのでしょうね。
何もかもを語り尽くしていないところに、奥深さがあるような気はしています。
でも今のところ、長編を読む勇気はないです。

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表紙がおっしゃれ~に変わっている…
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