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まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ワールズ・エンド』 I'm a stranger here

2015-03-26 23:54:05 | アメリカの作家
WORLD'S END AND OTHER STORIES 
1980年 ポール・セロー

前に読んだ記憶はあるけれど内容が思い出せないという本がけっこうあります。
それで読み直してみると「確かに読んだことがあるわ」と思えたりします。
特に短篇集だと、他の話しは全然覚えてないけれど、鮮明に思い出せる話しが
1~2篇あったりして、自分が好きな物語の傾向とかを再認識できたりします。

『ワールズ・エンド』も読んだ覚えはあるんだけど内容が思い出せなくて再読したら
3篇が読み出しで甦ってきました。

9篇がおさめられていますが、主人公は全て外国人。
ロンドンで暮らすアメリカ人ビジネスマン、コルシカ島にやってきたアメリカ人教授
毎年ロンドンへ出かけるアメリカ人教授、商用(?)でパリにやって来たアメリカ人男性
ドイツの友人夫妻を訪ねたアメリカ人外交官などなど…

旅慣れていて、海外にいても自国にいるようにリラックスしているような印象を受けがちな
人たちばかりですが、ふとよぎる異国での違和感… みたいなものが描かれているようです。

鮮明に甦った3篇をあげてみます。

『サーカスと戦争(After The War)』
15歳のイギリス人の少女ディーリアは、一夏親元を離れてフランスのラモー氏一家の
ヴァンスのコテージで過ごしている。
コテージには電気が無く、ラモー氏はそれが自慢のようだった。
ある日、皆でサーカスを観に行くというラモー氏の提案をディーリアが拒否すると
ラモー氏は戦争の話しを始めた。

いわゆる短期ホームステイみたいなもんなのでしょうが、ホストファミリーが
「…」という人たちだったら、せっかくの海外暮らしがけっこうきつい日々になりますね。
友人が何人かロンドンでホームステイしてたんですけどいくつかトラブルもあったし…
もちろん素敵なホストファミリーの方々もたくさんいらっしゃると思いますけど。
隣同士の国なのに、こんなに意識に隔たりがあろうとは… ヨーロッパでもそうなのか…

『真っ白な嘘(White Lies)』
アフリカで寄生虫の研究をしていた撲は、ある学校の敷地内でジェリーと同居していた。
ジェリーは毎週末にアシーナというアフリカ人女性と過ごしていた。
ある日校長の娘が休暇を過ごすためにやって来た。
ジェリーはその娘と結婚すると宣言し、週末に校長一家を招待することにする。

けっこうゾッとする話しなのですが、女性をなんだと思ってるんだよぉというキャラクターの
ジェリーに対してはちょっと「いい気味!」という気もします。
でもこの話しを読んでからしばらくは外に洗濯物を干すのが怖くなったのよね~。
うちのまわり、けっこう緑が多くて虫もウジャウジャいるもんだから…

『緑したたる島(The Greenest Island)』
大学生のデュヴァル19歳とポーラ21歳は、ありったけの320ドルを持ち、片道のチケットで
プエルト・リコのサン・ファンへ向かった。
二人の気持ちはすでに離れていたが、ポーラは妊娠していた。
ギリギリの暮らしの末、デュヴァルはホテルのレストランで働くことにする。

南国へ愛の逃避行… なんてロマンティックなことでしょう! と思ったら…
現実って厳しいよね… でも若い頃は夢みるよね… でもやっぱり無茶しすぎよね…
「こんなはずじゃない!」がお互いの頭の中をかけめぐる毎日って地獄よ、きっと。
色あせていく風景の美しさと二人の心をリンクさせているところが絶妙です。

『あるレディーの肖像』というのがあって、ヘンリー・ジェイムズの『ある貴婦人の肖像』を思い出しました。
内容はぜんぜん違うんですけどね。

解説すっとばしましたのでよくわかりませんが
ポール・セローもヘンリー・ジェイムズ的にヨーロッパに心を寄せてるタイプなのかしら?
でも讃美しているってわけでもなさそうだし…
国内にいるより海外でこそ際立つ国民性を描くつもりだったのでしょうか?

それとも、コスモポリタンならではの気楽さと所詮は異国人だという悲哀を
対比させて物語を… ま、どうでもいいや。
面白かったです、とにかく。

それはさておき、けっこう暗めな話しばかり覚えてましたね。
皮肉が利いた笑い話みたいなものもあったのですけど…
さては私は暗い物語が好きだね! そんな気はしてました。

世界各国を見て来た訳者(村上春樹氏)だからこそ訳せた一冊なのでしょうか?
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことフィギュアスケートコーナー
あぁぁ…小塚崇彦ファンとか言いながら、24日のすぽると見忘れた!! Nさんが特集するよってお知らせくれたのに
27日は全力で応援します! もちろん他のお二人も… あ!女子もフリー頑張って!! 
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『疑わしい戦い』先導と扇動…洒落言ってる場合じゃなくて

2015-01-14 22:50:41 | アメリカの作家
IN DUBIOUS BATTLE 
1936年 ジョン・スタインベック

以前読んだ『天の牧場』と一緒におさめられていたのですが
本棚を見ていたら未読だったことをふと思い出し読んでみました。

『怒りの葡萄』『二十日鼠と人間』同様、季節労働者を描いている作品ですが
『疑わしい戦い』は視点を少し変えていて、新たな問題をを提起しているみたいです。

ものすごくざっくりあらすじを書きますと…

踏みつけられて生きてきたと感じている、ジム・ノーランという青年がいます。
彼は今の生活を全て捨てて、共産党の党員になる決心をします。

ジムは、彼の指導者的存在のマック、ハンサムな集金の達人ディック、
打ちのめされすぎておかしくなった老人ジョーイとの共同生活を送ります。
数日後、トーガス渓谷のりんご農園の賃金をめぐって労働者がいきりたっていると聞きつけ
マックはストに備えてジムを連れて現地に向かいます。

トーガス渓谷は、裕福な三人の大地主が牛耳っている土地で、りんごの価格、賃金のみならず
経済も法も彼らの思いのままになっていました。

現地の農園のひとつで、労働者のボス的存在のロンドンの息子の嫁の出産を手伝って
信頼を得た二人は、労働者の話しを聞き、語り、ストの気運の高まりを確信しました。

ここからさらに高速で書くね。

その後に続いた老労働者ダンの大けがで一気に怒りが噴出しストが勃発、
共産党シンパでランチワゴンオーナーのアルの父親が経営する
小さなアンダーソン農園を借り受けた労働者キャンプの開設、
目の前で射殺されたジョーイへの哀悼の思いから盛り上がる労働者のモチベーション、
ディックが集める大量のカンパといいペースで進むストなのですが…

初代争議団長デイキンへのトラック襲撃による彼の発狂、二人をアカと罵る労働者の出現
アンダーソン農園への放火、人々の同情の衰退とカンパの減少、と窮地にたたされ
労働者たちの士気は下がっていきます。

そしてとうとう、三人の地主たちが法に訴える時がやってきます。
マックは、今後のためにも最後まで戦うべきだという説得を続けますが…

80年ほど前のアメリカを舞台にしていますが、現代にも通じる教訓がいくつかありそうです。

物語の中でマックは、ストをおこしているのは、酷使され搾取されて怒りを抱えた労働者で
自分たちはストに勝てるよう方法を教え、バックアップするだけだ、と言います。
だけどそうだろうか?

不平不満を抱えている労働者はたくさんいますが、ほとんどはしぶしぶ仕事をしています。
りんご摘みを終えた後に向かう綿摘みの農場でも同じだろうとわかっていても
今労働をして、たとえ粗末でも寝床と食べ物と手に入れなくてはならないからです。

しかしマックは、農園でおこる不幸を怒りに変えさせ
気が変わりやすい労働者の士気を下げないようあの手この手を使います。
空腹にならないよう多めの食事を与えること、深く考えこまないよう何か仕事を与えること
怒りに変換できそうなものは怪我人であろうと死体であろうと利用すること、などなど…

勝つための方法かもしれませんが、つまり演出ですよね?
ストがおこるのをただ待っているだけでなく、おこそうとしているのでは? と
思えてしかたありません。

スタインベック自身も、動機が正義であっても、行動のどこまでが正当で
どこからが正当でないのかということを、さぐりさぐり書いているような気がします。
違うな… 共産党は、当時言われていたような悪の巣窟ではないということと
しかし、その主張のゴリ押しと行動の内容はどうなのかという
疑問を描きたかったんではないかという気がします。

バートンという若い医師が登場するんですけど、彼は党員ではないけれど
ストの地に駆けつけ、党の行動(作戦)を助けるのね。
だけど時々、マックとジムに疑問をぶつけます。
なぜそうしなければいけないか? 他の人を巻き込まなければいけないか? と。

邦題は『疑わしき戦い』ですが、直訳すると『勝ち負けない戦い』で
現代的に訳すと『勝ち目のない戦い』だと、まえがきで訳者橋本福夫さんが書いています。
私も途中から、これは勝てないな… と思いました。
やはり出身も境遇も熱意もバラバラの大人数を長時間まとめるのって難しいですね。
結局、権力者は最後には勝利するのよね、映画やドラマと違って…

だけどこういった行動が、資本主義者と言う名の独裁者・排他的な国家主義の
是正につながっていっていたとしたら、完全な負けというわけではないのかもしれません。

スタインベックが社会派らしい一面を存分に表現したストーリー
読んでみたいな!という方は下の題名ををクリックしてね

疑わしい戦い〈上〉 (1954年) (ダヴィッド選書)
疑わしい戦い〈下〉 (1954年) (ダヴィッド選書)

ひとことフィギュアスケートコーナー
羽生結弦キュンもよいですが、わたしのまわりでは町田樹、通称マッチーの素敵ぶりが小さな話題になっていて
今度本が出るらしいっていうので小さく盛り上がっています。 ちなみに私は小塚崇彦ファン  
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『傍迷惑な人々』自虐ネタ…自爆ネタ…

2014-12-12 21:43:11 | アメリカの作家
THE THURBER COLLECTION 
ジェイムズ・サーバー

期待のわりには…っていうのが正直な感想です。
1950年ぐらいにニューヨーカーでコラムニストとして活躍していた方らしいです。
挿入されているイラストからみても、心に残る話しや胸に響く物語を
思い描いていたわけではないですが、ちょっと笑いをねらいすぎかな? と…

この一冊は、大きく四つのパートに分けられています。
各パートからひとつづつエピソードをご紹介しますね。

●家族の絆
こんな親類家族に囲まれた少年時代は、とっても楽しかったでしょうね。
父親や祖父、おじにおば、様々な方が恥ずかしくも可笑しなエピソードを残しています。
ほのぼの度が高くて、他のパートより好きでしたが、大変そうな気もします。

『ウィルマ伯母さんの損得勘定』
計算に弱い伯母さんと一緒に、びた一文無駄にしないハンスさんの食料品店に行った時
会計で伯母さんはハンスさんと一悶着やらかし、結局5セントせしめてしまった。

年末になると、置き引き・レジ金泥棒・釣り銭詐欺が増えるので注意しましょうという
書面が各所からやってくるのですが、レジ金詐欺の手口の一例が、この伯母さんの
釣り銭のやり取りにそっくりなの! もちろん伯母さんは詐欺ではないんですけどね。

●傍迷惑な人々
いちばんニューヨーカーに掲載されてるっぽい小咄的物語…って、勝手に言ってます。
他のパートにくらべて、いじわるな皮肉がきいてるような感じがしますね。

『空の歩道』
ドロシーは愛らしい娘だったが、人の話しを遮る癖があって誰も長く付き合えなかった。
彼女はチャーリー・デシュラーと結婚したが、やはり彼に最後まで話させない。
チャーリーは、とうとう、寝ている間に見た夢の話ししかしなくなる。

これ、けっこう怖い話しなのよね。
人の話しは最後まで聞きましょう! 私もおしゃべりな方だから気をつけよう…

●暴走妄想族
妄想バンザイ!! な毎日を生き、いろんなものにウツツをぬかしている私にとって
一番期待が膨らむパートでしたね。
ま、それほどではなかったけど、共感できる部分は多かったです。

『虹をつかむ男 ウォルター・ミディの誰もしらない別の人生』
いやいや妻の買物や美容院につきあうミディ氏は、待ち時間に別の男になる。
恐れ知らずの海軍中佐・世界的名医・拳銃の名手の被告人・包囲されたクールな大尉etc…

恥ずかしげもなく、ドラマや映画の名シーンにどっぷりつかってます。
こんなに完璧に妄想できたら幸せだろうなぁ、毎日。
でも現実に戻った時のミディ氏のおどおどぶりがちょっと悲しいの。

●そういうぼくが実はいちばん…
このパートでは、作者が、自分のみじめさや情けなさを書いています。
でも、作家の自虐ネタは信じちゃいけないわ! っていうのが、私の持論です。

『第三九〇二〇九〇号の復讐』
コネチカット州は、自動車運転者三九〇二〇九〇号の私に、かねてから罠を仕掛けている。
毎年3月1日までに車輌登録をする際、免許証手続きを一緒にさせてくれないのだ。
免許証は3月20日という、非常に中途半端な日にち以降しか受け付けてもらえない。

自爆ネタのように見せかけて、お役所仕事へのイライラを表している一作(だと思う)
一流紙に名指しで書かれたコネチカット州は、その後は少しは対応を変えたのかしらね?

立派な新聞に連載持って、人気もあって、映画化までされて…ということを考えれば
あんまり「ダメな人間なんですよね~」って言われると、ちょっとしらけちゃうのよね。
最後のパートはくくらないで他のパートにバラしていれてくれた方が
気持よかったような気もします。

でも、コミカルでハッピーな一冊で、とても楽しく読めました。
以上。

楽しく読み終えて、後は何も考えなくていい(と思う)一冊
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
先週は事情があって実家に帰っていたのですが、日曜日、博多駅にBIGBANGな人々が溢れてて、どうしたのかと思ったら
ヤフオクドームだったのね。 海外の人もいっぱいいましたよ、さすが! 東京ドームが待ち遠しい!!
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『ゼロ・デシベル』ドライでタフなアメリカン・ストーリーズ

2014-11-04 21:35:18 | アメリカの作家
ZERO db AND OTHER STORIES 
1987年 マディソン・スマート・ベル

解説が長そうだったので読んでいないのだが、これ本名?
マディソン・スマート・ベル… なんだかすごく男前な名前ですよね。
こういう物語を書くべくしてつけられた名、という感じです。
あまりにもピッタリの名前なので、実名なのか調べるのはやめてみます。

男の人向けの内容のような気はするのですが、好きでしたね。
読んでいて心地よく、読後感もスッキリ、すごく気持のよい一冊でした。

11篇おさめられています。
そのうち2篇が、どっしり大地に根をおろしてるという印象の、南部が舞台の物語。
その他9篇は、根無し草みたいな男性が主人公の場当たり的人生物語です。

印象的なお話しをご紹介しますね。

『トリプティック I -ある南部の風景-(Tryptic I)』
冬のある日、幼いリサの母ミセス・デンマークの農場で行われた豚の風景。
ミセス・デンマークの雇い人タイラー夫妻の、とても暑い翌夏の日の出来事。
再びやってきたの日に逃げてしまった豚を追うベン・タイラーと
魅せられたように彼らを追うリサ。

『トリプティック II -ある南部の風景-(Tryptic II)』
屋根の上で死んで忘れられ朽ちていくピーコック。
妻と別れて巨大な家でひとりで暮らす老人ミスター・エリオットの長い長い退屈な一日。
雄牛が経験する初めての餌のもらえない朝、そして雄牛を連れ出す見知らぬ男。

以上2篇は、南部の農場風景が断片的に描かれている物語です。
トリプティックってどういう意味でしょう? と調べてみましたら
“ トリプシン性 ” といって化学用語? 科学用語? さっぱりわからないさ!
語源がギリシャ語の “ 摩擦・粉砕 ” に由来するということなので
そちらをイメージして読み返してみましたが、どうもピンときませんでした。

題名はおいといて…
2篇とも、想像するとけっこう残酷に思える描写があります。
豚のの風景も、字面だけなのにかなりショッキングだし
アメリア・タイラーが夏の日に死んでしまうところも、読んでて痛い!と思えたりして。

だけど、生と死、営み、時の流れみたいなものがストレートに描かれていて
すごくすんなりと受け容れられました。

『アイ・ラヴ・ニューヨーク(I ❤ NewYork)』
路上で乞食たちがもめているのを見て、コートを持ち去った方を追いかけた。
地下鉄の中で倒れ込んだ向いの男を抱えて電車を降り、地上へ連れ出した。
女がスリにあったと叫んでいたので、犯人らしき男を追いかけボコボコにした。

こう書いちゃうといい人の善行を書き連ねた話し(つまんないね!)と
思われるかもしれませんが、ちょっとニュアンスが違うんですよね。
「…ったく、もう!」という感じで巻き込まれちゃってるような気もするし
なんか自分からゴタゴタに飛び込んでいってる気もするし… でもやっぱり善人だと思うわ。

その他7篇は、アパートを移り住み、仕事をしないで日給で食いつないでる人の
都会(かなり混沌とした下町)的なエピソードが中心です。

最後の1篇『死すべき最期の日(Today is a Good Day to Die)』は1875年当時の
インディアンとの戦いの中で死んでいく青年少将の物語です。
これもけっこう胸に響きます。

文章は簡潔で、装飾や情緒はあまり無い気がしますが
だからといって乱暴な印象や突き放された感は受けませんでした。

仕上がった物語のひとつひとつは、テーマに反して
そこはかとない優しさを醸し出しているような気がします。

上手く説明できないけど、なんだか独特なのよ。
裏表紙にワイルドな作家の写真が載ってますけど、実は照れ屋さんなんじゃないかな?

心優しくて庭の小枝の小鳥に「よちよち」って言っちゃうタトゥーだらけの人…
何が言いたいかよくわからんが、そんな印象の一冊でした。

乾きと優しさが絶妙にミックスされた秀作
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
ナルバキスンいいよね~! CDジャケット 良すぎる  ものすごくよいんだけど
テソンを知らない人に「面白い韓国の人」と周知されてしまうと悲しいわ… 歌が上手なテソン普及運動に励もうっと
すでに友だちに「あのお笑いの人」って言われたし…



発売元が “ エーベックス演歌 ” というだけで興味津々…
聴いてみたいな!という方は上の画像をクリックしてね
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『メモリー・ウォール』お手上げ! 思い出のラビリンス

2014-10-20 21:45:22 | アメリカの作家
MEMORY WALL 
2010年 アンソニー・ドーア

この本は… 難しい…
文章やトーンも好きです、テーマも嫌いじゃない、だけど好きじゃない。

表題の『メモリー・ウォール』の他に5篇おさめられている短篇集ですが
舞台も主人公のキャラクターもテーマもバラバラで、その多様さに戸惑っているのかな?

好きも嫌いもなかったので、全篇、さくっと紹介します。

一番長い物語『メモリー・ウォール(Memory Wall)』は、南アメリカが舞台です。
近未来小説なのかな? 
痴呆症とかアルツハイマーで思い出を無くしていく人たちの記憶を記録しておき
完全に記憶を無くした時に脳にはめ込んでいる再生装置で見る、というシステムがあって
74歳のアルマという女性がそのシステムを使用しています。

物語は彼女が持っている1枚のメモリーカードをめぐって展開するのですが
登場人物すべてのキャラクターが丁寧に書かれているので、話しが右往左往します。
最後にすべてがまとまり、物語としてはきれいに完結するのですが
話しのいったりきたりに慣れないと「あれ? いつの話し?」ということになります。

『生殖せよ、発生せよ(Procreate,Generate)』は、ハーブとイモジーンという夫婦が
不妊を克服しようという物語です。
ところどころにハーブとイモジーンの過去のエピソードがちりばめられます。

『非武装地帯(The Demilitarized Zone)』は、韓国と北朝鮮の境界にいる息子から
父親に届いた手紙からはじまり、鳥のこと、アルツハイマーの祖父のこと
家族をおいて出て行った母親のことが書かれています。

『一一三号村(Village113)』は中国が舞台です。
ある村がダムの建設地になり立退きを言い渡されます。
立ち退かないひとりの女性のもとに、4年ぶりに息子の李慶(リーチン)が訪ねて来ます。
彼は役人で、村人を立ち退かせるために来たのでした。
二人に、強硬な反対派柯(クー)先生が絡むことで親子の関係性が微動します。

『ネムナス川(The River Nemunas)』は、リトアニアが舞台です。
両親を相次いで癌で亡くした15歳の少女アリソンが、祖父のジーおじいちゃんを頼って
アメリカからやってきます。
母の昔の写真、生きていた頃の父親の宗教観などが書かれていますが
隣のサボさんのお婆さんから聞かされた以前川に住んでいたというチョウザメの話しが
メインストリームだと思われます。

『来世(Afterworld)』は、二つの土地と時代をいったりきたりします。
81歳のエスター・グラムが暮らすオハイオの家と
11歳のエスターが暮らすハンブルクの孤児院。
ハンブルクは、死を前にしたエスターの回想ですが、回想シーンであるという明確な言及や
舞台変換のようなスイッチが無く、唐突に現在のエスターに場面が切り替わります。
リズムをつかむのが難しい話しでした。

全体的に暗く堅苦しくて、とてもじゃないがアメリカの作家が書いたとは思えなかったよ。
これは偏見ですね。

“ 思い出 ” がキーワードになっている一冊らしく、どの話しもいったりきたりがあって
話しの流れをつかむのにちょっと苦労しました。

もちろん多くの小説には回想シーンなどが含まれているわけで、思い出が描かれるのは
なんら不思議なことではないのですが、根が単純な私は「実は昔」とか
「あれはたしか…」みたいな前置きがないと、すんなり場面の入れ替えができないさ。

最近こういう、時代や場面が突然いったりきたり、なんでそこに行くの? 戻るの?的な
展開をする話しが多い気がする。
回想シーンにいったら、回想前のシーンに戻って来てくれないとぉ…
私のような単純な読者には生きづらい世の中になりましたのぉ… ゴホゴホ

ひとことどうでもいい話コーナー
通勤で使っている、三田線だか南北線だか有楽町線だか忘れちゃったけど、中吊りのチバ マリン・マラソン
チバ マリリン・マンソンに見えてビックリした~! っていう、どうでもいいお話しでした
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『偉大なるデスリフ』ホラーよりこわい、郊外の近所付合い

2014-09-20 20:30:38 | アメリカの作家
THE GREAT DETHRIFFE 
1970年 C・D・B・ブライアン

題名からうすうす察してはいましたが、フィッツジェラルドの『華麗なるギャツビー』
大きく影響を受けている作品かと思われます。

内容はもちろんまったく違うものですが、ギャツビーからの引用も多々ありましたし
こちらの登場人物をギャツビーの登場人物に重ね合わせることもできます。

物語は二部に分かれています。
一部が『アルフレッドの書』で、これはアルフレッドという青年が語り手となり
幼なじみのジョージ・デスリフとジョージの妻アリスについて書いています。
また、自分の恋愛についてや、クスリで身を持ち崩した兄ウォーカーに会いに
ハワイを訪ねた時のエピソードがつづられています。
何年かなぁ? 2~3年かな? かなり長い期間にわたる物語です。

二部は『ジョージ・デスリフの書』で、こちらはジョージ自身が
自分の結婚生活について記しています。

役どころとしてはアルフレッドがニック・キャラウェイ、ジョージがギャツビィ、
アリスがデイズィ、アルフレッドの恋人(実は人妻)のモデル、テディが
ジョーダン・ベイカー、という感じかしら?

上流階級の青年ジョージは、アリス・タウンゼントという女性に恋をし結婚します。
アルフレッドは若い頃のアリスを知っていて、結婚前に忠告をするんだけども
ジョージは結婚相手はアリス以外にないと言います。

二人はめでたく結婚しフィレンツェに新婚旅行へ行くんだけども
ちょうどローマを訪れていたアルフレッドはジョージから招待されて二人を訪ねます。

行ってみると二人はなにやら険悪なムードで、しかもアルフレッドはアリスにこっそり
二人の前からいなくなってほしいとお願いされちゃいます。

言われた通りにイタリアを去りスペインに向かったアルフレッドはそこで二年を過ごし
兄ウォーカーに会いに行き… というふうに話しが続いていきます。

ハワイでの話しは、もはやデスリフのデの字も出てこないわけなんだが
私はここのパートが一番好きだったかなぁ…

で、『デスリフの書』に突入して、ジョージとアルフレッドは何年かぶりに再会しますが
もう、ここからはジョージのグチのオンパレードだとお考え下さい。

もし書いてあることが事実だとすれば、アリスはひどい妻で母親で
アリスがいない暮らしはなんて平穏なんでしょう! ということになるんですけど
もともと顔だけで選んどいて今さらそんなこと言ったってぇ… と思うわ。

たしかに『アルフレッドの書』の時から、アリスは人をウンザリさせるような
タイプに思えたし、二人の結婚生活が上手くいくとは思えなかったけど
他の富豪の青年はアリスの本性を見抜いて結婚を拒んでいたというのに
まんまとひっかかちゃった自分はどうなのよぉ?

それよりも、ニューヨーク郊外の若い成功者が暮らす高級住宅地の荒れっぷりに驚くよ!
ホームパーティーにダンスパーティー、ゴシップ につぐゴシップ、
華やかに見える反面、陰口を恐れ体面を保つことに追われる日々… 疲れそうな毎日ね。

アリスとの関係を修復しようと努力するジョージですが、アリスは果たして?
(でもね、修復しようとしてるように見えて、実はそんなに真剣じゃないんじゃない?って
 私には思えたんですけどね… ジョージ)

最後はちょっとぞっとする終わり方でしたが、この夫婦の今後は興味ないや。

『華麗なるギャツビー』では、デイズィがフラ~フラ~したあげく
ギャツビィが不幸な最後を迎えるでしょ。
作者はもしかすると、ギャツビィの仕返しをしてあげたかったのではないかしら?
デイズィがギャツビィの不幸を忘れて、何もなかったかのように暮らすなんて許せないという
ニック・キャラウェイが感じた怒りのようなものを晴らそうとしたのでは?
というのは、あくまでも私の願望なので、あまり気にしないで下さい。

ギャツビィ好きは共感できるかもしれない…
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことゲームコーナー
ほしの島にゃんこ(あきたと言いつつまだやってる… ) とうとう500本のツルハシと250本のオノが役にたつ時が!
でも土地を全部開拓するにはあと一週間ほどかかりそうです… そのあいだにまたあきちゃうね
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『犬は吠える II 詩神の声聞こゆ』カポーティを見直す一冊

2014-09-07 02:14:56 | アメリカの作家
THE DOGS BARK 
1951年~ トルーマン・カポーティ

以前『犬は吠えるI ローカル・カラー』を読んで、とても面白かったので
すぐに購入した『犬はほえるII』なのですが、なんか雰囲気が違うようだったので
長いこと放置してました。
この間本棚で見つけて、…そういえば,的に読んだのですけど、すごく面白かった!

四つのパートに分かれています。

Part.1『砲声絶ゆる時』とPart.2『詩神の声聞こゆ』は
カポーティが、黒人キャストだけのミュージカル『ボギーとベス』のソ連公演に
同行してつづったルポルタージュ。

Part.3『お山の大将』は。映画撮影のために日本に滞在していたマーロン・ブランドの
ホテルを訪ねた時の会話を書いています。

Part.4『文体ーおよび日本人』は。日本語の美しさを褒め讃えてくれた短いエッセイです。

『砲声~』と『詩神~』は、ミュージカルのキャストと製作スタッフが
西ベルリンを発って、レニングラードに着くまでの道中と、到着してから上演までの数日
上演前日、初演の後、と時系列で追っていっているのですが、なにせ場所がソ連でしょ?

当時はアメリカと熾烈な冷戦を繰り広げていた国で、しかもアメリカでも異端的な
黒人だけのキャストによるミュージカルを上演するわけですよね?

まずは西側にしてみたら「なんで?」と思われるような、煩雑な手続きにはじまり
次々おこる(ありえない)不測の事態に驚きます。
そして、アメリカ人のあたふたぶりと、ソ連人の根拠なき落ち着き、
あけすけなアメリカ人とまわりくどいソ連人の言動のギャップにクスリと笑えます。

一歩間違えば急に敵に変わるかもしれない国、西側世界が怪訝な目で見ている
“ 鉄のカーテン ” の中へ乗り込んで行くのだから、実はキャストも製作スタッフも
ドキドキしているし駐ソ連アメリカ大使の言葉もいちいち不安を駆り立てるわけなんだが
ミュージカルはなんとか無事に公演初日を迎えられたわけです。

公演が成功だったのか、失敗だったのかは、神のみぞ知る… てことで…

いろいろな問題があったはずのソ連公演ですが、カポーティは概ね好意的に描いています。
草の根の国交の大事さを感じさせられたわ。

『お山の~』は、トップスター、マーロン・ブランドがどこまで素顔を見せていたかは
わかりませんが、ナチュラルな感じは受けました。
それより、日本の少女に対するカポーティのイメージが?
1956年なんだけど、大正時代かと思っちゃうよ。
この時に撮影していた映画は聞いたことも観たこともないんですが、成功したのかな?
あんまりおもしろくなさそうよ…

とにかく、すごいと思ったのは、名声を獲得して、時代の寵児とも言われた作者が
そんなものはかなぐりすてて、ルポライターに徹していることです。
たぶん「あなただから…」的な対応もあっただろうし、自慢したいこともあっただろうに
一切排除して、記者がメモを記事にする程度のふくらまし方しかしてないの。

自分を特別扱いする様子も、上から目線の評論も一切無し!
あったことを、読み応えある記事に仕上げている… プロの仕事だと思いました。
でも、やはり、普通の記事にはない面白さがあるのよねぇ…さすがです。

『文体ーおよび日本人』は、日本の文体の芸術性を高く評価してくれています。
日本人以上に日本語の美しさを感じていただいているとは… 感激です。
これを読んで日本人であることに誇りを持とう!!

本道におもしろいです! 1とあわせて、2冊まとめてぜひ!!
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね

  

ひとことK-POPコーナー
TGCには行けなかったんですが、YouTubeで観たらオニュが来てて嬉しかった… 挨拶もしてた~
おかえりなさい オニュ、本当に良かったよ~
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『ヒューマン・コメディ』静かに思い返したい名著

2014-09-03 01:07:39 | アメリカの作家
THE HUMAN COMEDY 
1943年、1971年 ウィリアム・サローヤン

『リトル・チルドレン』『ディア・ベイビー』に続き
なぜか家にあったサローヤン三冊の最後の一冊を読んでみました。

『リトル~』も『ディア~』も面白く読めましたが、ものすごく心に残ったかというと
そうでもなかったのにくらべて、この一冊はとても心に残りました。
どこがどうというのではなくて、全体的に… ひとつの世界観が思い浮かびます。

短篇のような構成になっていますが、登場人物は同じで
主人公は、カリフォルニア州イサカ市のあまり大きくないと思われる町に住んでいる
マコーリー一家です。

マコーリー家は2年前に父親を亡くしていますが
寡婦のマコーリー夫人は三人の息子と一人の娘を立派に育てているようです。

4歳のユリシーズは好奇心おう盛なわんぱく盛りです。
14歳のホーマーは学校に通いながら、夜は電報局で配達人の仕事を始めました。
ベスはマコーリー夫人を助けながら、仕事を見つけようとしています。
長男のマーカスは、招集されて戦争に行っています。

ユリシーズが町中でおこす可愛らしい事件や
ホーマーの電報の配達先の人々、マコーリー家を取り巻く人々のエピソードを
39章の短い物語の中にちりばめてあるのですが
楽しい話しにも哀しい話しにも共通して、物語の根底に流れているものがあります。

どう説明すればいいのかわからないけど、一本の川の上で物語が進行していて
物語の足下をずっとせせらぎのようなものが流れているっていう感じかな?
立ち止まっている場所は違っていても、流れている水は同じ…という印象。
上手く言えなくてごめんなさい

いずれにしても、全篇の足下に戦争という水が流れています。
とてものどかそうに平和そうに暮らしている小さな町の、一人の少年の成長記のようでいて
そこここに戦死した青年の母親や、トラックで運ばれていく少年兵たち姿が垣間見え
読み進むにつれて、少しづつ物語に落ちている影を濃くしていきます。

もちろん環境や個人の性格もあるのでしょうが、14歳の男の子が
急激に大人にならなければならなかった事情を想像すると、とても悲しいものがあります。

『ヒューマン・コメディ』は、楽しみながら読んだ後で
いくつかのシーンを思い出しては、しん…と考えさせられる物語でした。

どうやら私は、ひとつの町を舞台にして何人かの人たちが絡み合いながら進む短篇小説集が
ものすごく好きみたいです。

スタインベックの『キャナリー・ロウ』『天の牧場』は大好きだし
アンダスンの『ワインズバーグ・オハイオ』も忘れられない。
最近だと『奇跡も語る者がいなければ』『オリーヴ・キタリッジの生活』
とても面白かったです。

ぜひ他の作家の作品も探して読んでみたい!!

徐々に胸がジーンとしてくるサローヤンの名作
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
久しぶりに三人そろったJYJを見ましたけど… ドラマもよいけど歌ってる姿を見るのはペンでなくても嬉しいですね
ジュンス痩せた? なんかすごくカッコいいんだけど…
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『猫のパジャマ』前書きは後まわしで…

2014-08-28 23:13:50 | アメリカの作家
THE CAT'S PAJAMAS 
2004年 レイ・ブラッドベリ

可愛いタイトルじゃない? 即買いしました。
詩を含む21篇がおさめられていますが、SFのジャンルを超えた幅広い…というか
幅広すぎるテーマにお腹いっぱいです。

今回は印象に残ったお話しが数多いので、前置きはこのくらいにしておいて
さっそく紹介しますね。

『ふだんどりにすればいいのよ(We'll Just Act Natural)/1948年』
スーザンはポーチに立ち、長年仕えていた家の幼かった息子で、今は立派な作家になった
リチャード・ボーデンがやって来るのを待っている。
娘のリンダは、成功した彼が黒人のスーザンに会いに来るはずはないと言い張る。

ブラッドベリなりの人種差別問題の提起なのですかね?
スーザンのはかない望みが叶ってくれるだけで良い話しだったのに…哀しい結末でした。

『屋敷(The House)/1947年』
長い阪を上がり、吸血鬼でも棲んでいそうな古びた屋敷を見た時
マギーは愕然とするがウィリアムは興奮してはしゃいでいる。
翌日ウィリアムの友人ベスがやって来て、屋敷を手に入れたウィリアムをしきりと羨む。

幽霊屋敷の話しだと思う? いいえ、価値観の違う男女をを描いた話しです。
けっこうありがちな話しで、一応ハッピーエンドですが、私はこれからの二人が心配よ。

『猫のパジャマ(The Cat's Pajamas)/2003年』
カリフォルニアの9号線のど真ん中で、捨てられた仔猫が身づくろいをしていると
東へ向かっていた車と、西へ向かっていた車が急ブレーキをかけ同時にドアが開いた。
降りて来た男と女は、その仔猫が自分のものだと言って一歩も引かない。

とっても可愛いお話しです。 ドラマみたいな出会いってこういうことね。
ありえなーい!とは言いきれないけど、なかなかあるわけじゃありません。

『ルート66/Sixty-Six)/2003年』
むかしルート66と呼ばれていた道路を巡回していた白バイ隊員が語る。
ある日、道に沿った畑で、三人の男と一人の女と二人の子供の死体を見つけた。
彼らは現代人とは思えないような農民の服装で、皆餓死寸前のように痩せていた。

ファッショナブルだったら何やっても良いという奢りへの怒りをぶつけた作品です。
スタインベックの『怒りの葡萄』にはかなり衝撃を受けたので
オーキーに注目したこのストーリーは興味深かったです。

『雨が降ると湯鬱になる -ある追想-
   (I Get the Blue When It Rains -A Remembrance-)/1980年』
35年か40年前、いつものように自作の朗読会をしようと作家たちがドルフ・シャープの家に
集まっていた夜、グレンナードが “ 雨が降ると憂鬱になる ” をピアノで弾きだした。
皆で歌い始め、その後何曲も歌った。

わかるわ~! 同じ歌でも歌う状況で、抱く感情がまったく変わってくるものよね!
成功した大の男たちが、おおはしゃぎで歌ってる高揚感が楽しげに浮かび上がると同時に
ものすごく哀愁が漂う読後感がたまらない一話でした。

私が書き出した話しは、『ルート66』以外は、ブラッドベリ特有のSFや
ファンタジー色がほとんどなくて、どちらかというと普通の小説ですが
この一冊には、もちろんタイムスリップものや奇想天外な話しもおさめられています。
ただそう言うテーマには私がついていけなかったというだけのことでして…

好きな話しと好きでない話しのギャップが大きかったですが
ブラッドベリが描く日常的なストーリーはかなり好きですね~
そういうのばかりを集めた一冊を読んでみたい気がします。

本人が前書きを書いていて、おさめられている話しをどうして書こうと思ったかという
動機を各々述べているのですけど、どちらかというと、知らずに物語に入っていった方が
面白かったのではないかしら… と、前書きを読んだことをものすごく後悔しました。
だって前書きだって言うからさ~
お好みによりますけど、飛ばして読むことをおすすめします。

ひとことゲームコーナー
飽きもせず続けているほしの島にゃんこ… わたしは釣りをないがしろにしていたんですけど
今日寿司屋が登場したので、空き時間には必死に釣りをしております。めんどくさいよぉ
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『ナイフ投げ師』少年のノスタルジーに浸る…膝下ぐらいまで

2014-08-24 01:07:10 | アメリカの作家
THE KNIFE THROWER AND OTHER STORIES 
1998年 スティーヴン・ミルハウザー

スティーヴン・ミルハウザーは『夜の姉妹団』『and other stories』におさめられていた
『イン・ザ・ペニー・アーケード』しか読んだことがなかったのですが
ちょっと気になっていたので、この本を見つけた時に即買って読んでみました。

面白かったです。
12話から構成されていますが、現実離れしているというか夢みがちな少年の妄想というか…
ざっとあげてみても、ナイフ投げ師でしょ、大きなカエルを妻に持つ男でしょ、決闘、
空飛ぶ絨毯、夢のような百貨店、気球、見たことないような遊園地…などなど
想像するだけで楽しそうでしょ?
ただそれが単純なおとぎ話に終わっているわけでもないんだよね…不思議だ

印象に残った話しをいくつかあげてみます。

『夜の姉妹団』は再読ですが、前回とは違う印象を受けました。
前回は頭が完全にカルトとか噂話しの恐ろしさ&根も葉もなさなんかにシフトしてましたが
今回は少女たちの無意味に見える行動の、なぜなぜ?どうして?を探りながら読みました。

たしかに十代のころの付き合いって、どうだっていいよ!なルールとか
訳わかんない約束事がゴロゴロしてましたけど、それはそれで大事で真剣なものでしたね。

『新自動人形劇場(The New Auotmaton Theater)』
多くの自動人形劇場を誇るべくして誇っている私たちの市でも
特に名匠と言われたハインリッヒ・グラウムは、子供の頃から天才と言われ
若くして成功したが、長い休養の後驚くべき劇場を造り上げた。

趣味でドールハウスをやっていますので、小さい物の事を書かれると心が弾むわ!
微に入り細を穿つって感じで人形の精巧さを書いていて、思い浮かべるだけでワクワクです。
だけど、弾むだけで終わらないのが、良い作品を生み出す作家のすごいとこですね。

『月の光(Claire de Lune)』
眠れなくなった15歳の夜、外に足を踏み出し、同級生のソーニャの家まで歩いた。
ソーニャは庭でクラスメイト三人と、ウィフルボールをやっていた。
男の子のような恰好の四人は、学校で会う時とは違って見えた。

ついフラフラと向かう… 好きな女の子の家なんでしょうね?
ものすごくアメリカっぽい、ものすごく健全なストーリーって感じです。
そして、すごく綺麗なお話しだと思う。

『私たちの町に地下室の下(Beneath the Cellars of Our Town)』
私たちの町の地下深くには、迷宮のような通路が広がっている。
その地下通路にはいろいろなエピソードがあり、なかなか会えない点灯夫がいる。
町を離れ、地下のない町にしばらくいると、地下通路が懐かしく思えてくる。

地下の町をテーマにしたものは、小説に限らずけっこうありますが
わりとダークな感じに描かれていることが多いですよね。
でもこの町の地下街は、神秘的でありながら秩序が保たれているようで憧れます。

とにかく、細かく描写することが好きな人のようで、百貨店の売り場説明とか
遊園地のアトラクションなども、ひとつひとつ手を抜かず書いています。
デパート関係者が読んだら「そんな売り場が流行るかよ!」とか
コストがどーのこーのと言いそうですけど、それはそれってことで
こんな百貨店があったら見てみたいと思わせてくれます。

けっして子供向けなわけではなくて…そうねぇ、1%ぐらいオカルトチックな部分もあり
全体的な印象としては暗いのですが、なぜか、少年少女の心を思い出す自分がいるという…
それから、オールディーズっぽい映画を観ているような懐かしさも感じられました。

テーマの無邪気さと、暗めな読後感のギャップが面白くてクセになりそうです。
白水uブックスではスティーヴン・ミルハウザーの短篇集が何冊かあるみたいなので
見つけたらきっと買ってしまうでしょう。

ひとことK-POPコーナー
SHINeeの韓国でのカムバックがなさそうなので『I'm Your Boy』を心待ちにしている今日この頃…
テミンが大人になってどんどんヒョンたちから巣立って行く~ 嬉しいような寂しいような…
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『華麗なるギャツビー』映画化される?

2014-07-22 22:34:16 | アメリカの作家
THE GREAT GATSBY 
1925年 スコット・フィッツジェラルド

表紙がディカプリオ版じゃないのよ、レッドフォード版なの…年代物ね!

実は先日、C・D・B・ブライアンの『偉大なるデスリフ』という小説を読んで
たぶん『グレート・ギャツビー』へのオマージュ的な作品なんだろうけど
どのあたりがそうなんでしょう? と思い、すっかり内容を忘れてしまったギャツビーを
ゴソゴソ探し出して再読してみたわけです。

フィッツジェラルドの出世作で、多くの人を虜にしたと思われる不朽の名作…だよね?
だけど、小説の感想は… つまらなかったんだよぉ
この小説、あるいは映画のファンの皆様、ごめんなさい。

映画は観ていないのですが、きっとキレイな映像で、オシャレだったと思うわ。
読んでいてその場面が脳裏に浮かぶという表現力はさすが! だと思うけど…

例えばデイズィ・ビュキャナンとジョーダン・ベイカーが居間の寝椅子にいる
冒頭のシーンとか、ギャツビー邸の夜な夜な開かれるパーティーの様子なんか
すごく鮮明に思い描けて、映像にしやすかったのではないでしょうか?

だけど、これ、映画化する話しかな?
不気味なほど執着心が強い虚栄心の塊のような男と、金に目がない綺麗なだけの女の
ラブストーリーというには心がソワソワしない、ブルーな気分になる物語だし
リアリティが無いわりにファンタジックな胸の高まりもない…
うーん… やはりビジュアルに頼りすぎている気がする。

あらすじは、みなさんかなりご存知だと思うので、ささっと書きますね。

語り手はニック・キャラウェイという若い証券マンで、ジェイ・ギャツビー邸の隣人です。
ギャツビー邸では頻繁に盛大な夜通しのパーティーが催されていて
ニューヨークから有名人が大挙して訪れていました。

ニックのまたいとこデイズィは、ニックのイェール大の同窓生トム・ビュキャナンと結婚し
岬の反対側の高級住宅地の邸宅で暮らしています。
トムはとんでもない大富豪の息子で、大学時代から金の使いっぷりが話題でした。

トムを訪ねて行ったニックは、そこで女性ゴルファーのジョーダン・ベイカーに出会います。
ジョーダンはギャツビーのことを知っているようでした。
また、トムにはニューヨークに女がいてデイズィも知っていると教えてくれました。

ある夜、ニックはいきなりギャツビーのパーティーに招かれます。
そして何度か通った後、ジョーダンを通してギャツビーからある依頼を受けました。
それはデイズィをお茶に誘い、その席に自分も呼んでほしいということでした。

明らかになるデイズィの過去とギャツビーの過去、デイズィとギャツビーの未来
ギャツビーを取り巻く黒い噂、トムの嫉妬とトムの女の嫉妬と女の夫の嫉妬… などなど
面白げな要素は揃っているんですけどねぇ… 何かが気に食わないんですよね。

その原因がわかりました! 私は完全にデイズィが嫌いだ!!
そして、それ以外の登場人物にも好感が持てませんでした。

小説に出てくる、美貌を売りにした女性も、金に目がない女性も、冷酷な女性も
たいてい嫌いじゃないですよ、私は。
彼女たちのガッツやなりふり構わなさはある意味爽快だわ。

だけどデイズィはさ、なんのアクションもないわけなのよ。
誰かの財産に目が眩んでフラフラ~、こっちの財産に目が眩んでフラフラ~、
フラフラ~フラフラ~、しかも「愛」なんて言い出すよ。
悪女としてのポリシーとコンセプトが感じられない!!

あらら、ちょっと興奮しちゃいましたね。
熱烈なファンもいらっしゃると思うので、デイズィの悪口はこのへんまでにしておきます。

リメイクされたぐらいだから映画は面白いのかもしれませんね。
いつか観てみましょう… (口ばっかり

ひとことK-POPコーナー
こないだ武道館に行って来ましたよぉ すごくいい席でテソン目の前!! Fantastic Babyまで聞けて最高でした
風邪大丈夫かな… と思っていたらジヨンとヨンベとワイン飲んでたので治ったみたいね
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『ビラヴド』語りつぐことの難しさ

2014-07-01 01:44:24 | アメリカの作家
BELOVED 
1987年、2004年 トニ・モリスン

『パラダイス』『ジャズ』に続いて読んでみました。
早川書房のトニ・モリスン・セレクションの一冊。

私は、この作家の物語には、内容の好き嫌いはともかく静かに圧倒されます。
かなりのファンタジー性をはらんでいるのにまったく非現実を感じさせない…
不思議な魅力にどっぷりはまっていってしまいます。

いきなり “ 幽霊が棲んでいる家 ” という現実離れした設定から始まり
さらに実際には考えられない展開をする物語なのですが
なんと! 残酷で哀しい実話を下敷きにしているということです。

例によって舞台と時代が行ったり来たりで、語り手もどんどん変わるので
あらすじを追っていくのは相当難しい…
難しいから裏表紙の紹介文を肉付けするだけにします。

奴隷解放が始まっていた1850年前後のアメリカのオハイオが舞台になっています。
セサと娘のデンヴァーは、赤ん坊の怨念が渦巻く家で暮らしていました。
その赤ちゃんは、18年前にある事件で命を失ったセサの子で
その家に耐えきれなくなったセサの息子二人は、すでに家を逃げ出し行方も知れません。

ある日、その家にひとりの男がやって来ます。
セサと夫のハーレと一緒にスウィートホーム農場で働いていたポール・Dでした。
ハーレは農場を脱走する時にセサとはぐれてしまい、生死もわかっていません。

18年ぶりに会ったセサとポール・Dはその夜結ばれ
一緒に暮らすことになったポール・Dが子供の霊に打ち勝って追い出します。

けれども、18年ぶりに平穏を取り戻した家にいきなり若い女が現れ
そのまま居ついてしまいました。
彼女の名は “ ビラヴド(BELOVED)”
それは、セサが死んだ我が子の墓に刻んだ一文と同じでした。

彼女の登場が、これから平穏に暮らせそうだったセサとデンヴァー、そして
やっと巡り会えたセサとの将来を考えていたポール・Dの人生を狂わせていきます。

ビラヴドが何者かってことは書きませんけど、だいたいおわかりでしょうか?

物語の内容はこれぐらいにして、実話を紹介しますね。
1865年、追手に囲まれた逃亡奴隷の女性が4人の子供を道連れに死のうとして
まず3歳の娘を殺した時点で捕まるという事件があったそうです。
その女性がセサ、殺された娘がビラヴドのモデルとなっています。

物語の中でセサは、農場へ連れ戻されるぐらいなら死んだ方がましだし
子供たちもあんな目に遭うぐらいなら死んだ方が幸せだったと考えていて
自分がやったことは間違っていないと言い続けます。

どんな目に遭うかというと、自分や女の子は “ 交尾させられ ” て “ 繁殖に使われ ” て
男の子はバラバラに “ 売られて ” 行き、一生顔をみることができなくなる…
実際セサの母親もハーレの母ベビー・サッグスもそうやって生きてきました。
殴られ、脅され、跪かされ、反抗が過ぎれば首を吊るされるか黒こげに焼かれる…
連れ戻されるぐらいなら… と考えても不思議じゃないですよね。

たぶん、トニ・モリスンは史実をもとに足しも引きもせず書いているのだと思います。
奴隷解放に努め、脱走奴隷の世話をしてくれる白人や
どんなに白い目で見られても人として黒人を扱おうとする白人も登場させて
フェアであろうとしているんだと思います。

だけど、かなり引き込まれる物語になっているだけに、そして表現力が豊かなだけに
奴隷制に関係がない日本人の私でも「ああ、なんて酷い!」という思いが募っていきます。
たとえそれが当時アメリカで当たり前のことだったとしても…

戦争・侵略・虐殺… 人がおこした悲劇は語りついでいかなければならないと思う…
思うけど、どうやって伝えていくのか、ものすごく難しいですね。

淡々と語っているようでも、ある表現が人々を煽ってしまう場合があるだろうし
年数と計数だけを述べるだけでは悲劇の根本が伝わらないでしょう?

本人による経験談が一番効果的だとは思いますが
主観が勝ってしまうことがあってもけっしておかしくはないし
その後継者の話しとなると別人の主観が混ざることで違う色を帯びてしまう場合もある…
本当に本当に難しいですね。

と、いつになく真剣に考えてしまったわけですが
トニ・モリスンの、現実と虚構…というより幻想世界の絶妙なバランスを持つ物語を
またひとつ読むことができて、とても幸せでした。

ひとことゲームコーナー
ほしの島のにゃんこはモチベーションを下げつつ続けていますが、オノはまだしもツルハシって300本も使うのぉ?
しかもまだまだ出続けている… 使いみちがなく途方に暮れている今日この頃です
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『ティンブクトゥ』犬の人生(?)もいろいろ

2014-06-20 23:00:50 | アメリカの作家
TIMBUKTU 
1999年 ポール・オースター

『最後の物たちの国で』『ブルックリン・フォリーズ』の2冊で
すっかりオースター・ファンになってしまい、また読んでみました、が…

とにかく予測のつかない作家ですね、オースター。
以前読んだ2冊とは、またもやまったく違う印象を受けました。
前半は語って語って語り倒す…っていう感じで、少しうるさい~と思いましたが
後半は落ち着きを散り戻し、やっと感情移入することができました。

主人公はミスター・ボーンズ… 犬です。

ミスター・ボーンズが、破滅型で狂気を孕む放浪の詩人ウィリー・G・クリスマスと
ニューヨークからはるばるボルチモアまで、徒歩で! やって来たところから
物語が始まるのですが、その時点でウィリーは瀕死状態。

ウィリーは高校時代の恩師ビー・スワンソンに、ミスター・ボーンズの世話と
ロッカーに預けてある作品のことを頼もうと最後の力をふりしぼってやって来ました。

この願いが聞き入れられたかどうかはおいといて…
ミスター・ボーンズの飼い主はこの後2回変わります。
暮らしはウィリーといた時より安楽で平和になったみたい。

けれども結局ミスター・ボーンズの心を支配していたのは
長年片時も離れずにいて一緒に放浪を繰り返してきたウィリーだったのね。
最後には… あ、これは書いちゃダメだ、ネタバレになっちゃう。
書きたいけどぉぉぉ…

あ! 題名の『ティンブクトゥ』ですけど、これは、ウィリーがミスター・ボーンズに
死後に行く来世として語り聞かせていた場所の名です。
ミスター・ボーンズは、ウィリーがそこへ行くなら自分も行って
永遠に一緒に暮らしたいと、ずっと願っていました。
この題名からお察し下さい。

犬が主人公といえば、ジャック・ロンドンの『荒野の呼び声』『白い牙』が有名で
どちらも人間に対する犬の感情が見事に描かれています。

『ティンブクトゥ』でもそういった感情が描かれているのですが
ミスター・ボーンズがバックやホワイト・ファングと完全に違っているところは
人間の言葉を理解しているところです。

よく飼い主が「わかってるみたい」とか「きっとわかるんだよ」と言いますが
彼は本当に理解していて、ウィリーもそれを確信していて人間を相手にするように語ります。
後に飼い主になった二人にもなんとなくそれがわかり
ミスター・ボーンズがまるで友人でもあるかのように心配事や愚痴を話します。
しかし、ある意味それがミスター・ボーンズにとっての不幸だったような気もする…

普通の飼い犬なら汲んでやる必要の無い、複雑な飼い主たちの感情まで抱え込んで
応えてあげようとしなきゃならないんだからね。
これは人間の言うことを忠実に聞くというのとは訳がちがいます。
疲れるね~、ミスター・ボーンズ。

『白い牙』を読んだ時にも感じましたが、犬は恩を忘れない反面
新しい主人にもすぐに忠実になれる順応性を持って生まれてきているのでしょうか?
注いだ愛情を愛情で返してくれるなんて、こんなに嬉しいことはありませんね。

でも、何度も言いますが、私はネコ派!!

それにしても、オースター、次に何を読めばよいでしょう?
きっとまた驚かされることでしょう。
しかし、作品の世界観や表現方法がまったく違っていたとしても、どれも好きです。
何がオースターっぽいのかは掴めずにいますが、現実と虚構のほどよいバランスが
心地よいかなぁ… なんて思っています。
ま、たった3冊しか読んでいないので、今のところはってことになりますけど…

ひとことK-POPコーナー
きっと皆さん “ 声帯ポリープ ” を調べられたことでしょう! 生活に支障がないということなのでとりあえず一安心ですが
オニュ~ きちんときちんと治して、また美しくて癒される歌声を聴かせてね。 待っています。
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『この世界の女たち アン・ビーティ短篇傑作選』こじれてもLet It Go

2014-05-30 23:10:31 | アメリカの作家
THE BEST OF ANN BEATTIE 
アン・ビーティ

つい流行にのっちゃった…

アン・ビーティは、名前は知っていましたが読んだのは初めてです。
なので、この一冊に限ってということになりますが、好きな感じでした。

けっこう濃密な内容が展開されているわりに、唐突にスパッと終わるので
読者は(私は)道の上に放り出されて置いて行かれるような気がしてオロオロしますが
文章も落ち着いているし、登場人物が皆年配ということもあって
取り乱さず、沈着なペースで物語が進むのも読んでいて好ましかった。

この一冊に出てくるような家族が、The U.S.Aなのかどうかはわかりませんが
アメリカっぽいな~という印象を(ほぼ偏見ですけど)受けました。

離婚も再婚も軽々こなして、連れ子も義理の兄弟姉妹も当たり前の存在で
親子ではなく対等な関係で会話しようとする子供たちがいて
つらい出来事の後でもホームパーティは開かなきゃ…
ちょっとイヤなことがあったからマリファナ吸っちゃおうかな…キミもどう? って感じ。

ひとつの物語にテーマがふたつみっつあって同時進行的に進むので
短篇とはいえけっこう複雑でした。
好きだキライだとはっきり言えないのですが、特に印象深かったお話しを紹介しますね。

『かわりを見つける(Find and Replace)/2001年』
父の死から6ヶ月を記念すると母から言われて、空港からレンタカーで家へ向かった。
母はいきなり近所に住むドレイク・ドレオドゥスと一緒に暮らすことにすると言う。
一度は空港へ向かったが、母を説得するつもりで引き返す。

『コンフィデンス・デコイ(The Confidence Decoy)/2006年』
フランシスは、亡くなった伯母の別荘から引っ越し屋たちと自宅へ戻る途中で
彼らのひとりが作っているデコイを買おうとアトリエに行き、財布がないことに気づく。
別荘に引き返したフランシスは、ふと、息子の恋人が妊娠していることを確信した。

『ウサギの穴(The Rabbit Hole as Likely Explanation)/2004年』
母は、わたしの最初の結婚式に招待されていないと言い張る。
父には別の家族がいて、わたしはその家族の子だと言い続けている。
母が施設に入った日、オハイオから弟がガールフレンドとやって来る。

さらっと書いちゃいましたけど、どのお話しにも問題がいくつも転がっています。

ほとんどが家族の中でくすぶる不安とか、疑心などなど…
そして、登場人物たちはそれらの問題に向かって果敢に挑むわけでなくて
なんか放ったらかしなのよ… 焦燥感とか無力感を抱くだけ。

でも、自分を振り返ると、やっぱり問題って放ったらかしにするよね。
なんとかなるだろうと思っているうちに、なんだかかたづいているものもあれば
深みにはまっちゃってるものもあり…

一度こじれると一番やっかいそうなのが家族関係ですね。
憎い、嫌いだ、と思っていても、家族だからという理由で修復を強要され
関係を維持することを求められるんだもの。

そういうジレンマに溢れた一冊ではありますが、登場人物たちは深刻になりすぎず
脱力感を漂わしております。
どうせどうすることもできないなら、あきらめが大切ってことでしょうか?

ひとことK-POPコーナー
INFINITEの『Season 2』 ソンギュとウヒョンのソロも、HもFもあって楽しめますね
Last Romeo はMVもステージもINFINITEらしくピシッピシッピシッとキマって気持いい~
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『崩壊 フィッツジェラルド作品集3』フィッツジェラルドならではの一冊

2014-05-26 00:35:17 | アメリカの作家
SHORT STORIES BY F.SCOTT FITZGERALD 
スコット・フィッツジェラルド

この本には11篇の小説と6篇のエッセイらしきものがおさめられています。
やはり『バビロン再訪』はいいですね~、何度読んでも。
それ以外は未読でした。

私は、小説の方は本当に面白く読めたのですが、エッセイはダメでした。
だって、この人は作家になって本当に幸せだったのだろうか? とまで思えるほど
苦悩が紙面上を覆っているようなもんで、こっちまでどんよりしちゃってね…
でも、ものすごくよい編集だと思いました。

表題の『崩壊』はエッセイです。
面白かった小説の方からいくつかご紹介します。

『異国の旅(One Trip Around)/1930年』
二十代のネルソンとケリー夫妻は、中東の旅の途中で感じのいい若夫婦を見かけた。
2年後、ケリー夫妻はモンテカルロにいてパーティーに明け暮れる毎日を送っていた。
ネルソンの浮気がわかった日、二人は以前中東で見た若夫婦を再び見た。
ケリー夫妻はその後パリへ、そしてスイスへ移り住む。

若くして大金を手にした好奇心いっぱいの夫婦が、大金故にどのように変貌していくか…
宝くじに当たったら… 大きな遺産が入ったら…
きっと皆さん、有意義な使い方を思い描いていると思いますが、しょせんあぶく銭なのね~
人間は弱いものだなと思わされます… それでも当たってほしいけどさ。

『遠すぎた出口(The Long Way Out)/1937年』
若く幸福なキング夫人は、二人目の子供の出産後、長い昏睡状態に陥った。
目覚めてからも長い回復期を経て、やっと夫との小旅行に出かけられるまでに回復した。
出発の日、夫人が準備をすませて、入院している病院のホールに降りて行った頃
夫は交通事故に遭い、2~3時間しかもたないだろうと言われていた。

これはね、もちろん奥さまも可哀想なのですが、まわりの病院スタッフが気の毒でね。
実は主人公はキング夫人じゃなくて、病院スタッフなんじゃないかしら?
最後に、人間ってこんなもの…という真理をグサッと突く一文があります。

『金づるフィネガン(Financing Finnegan)/1938年』
エージェントのキャノン氏の事務所でも、出版者のジャガーズのところでも
フィネガンはちょっとツイていないが、もうすぐ良い作品が書き上がると聞かされた。
そして二人とも、相当の金をフィネガンに貸しているらしい。
数ヶ月後、フィネガンは北極旅行に出かけ消息を絶った。

どっちかっていうと、金ずるはキャノン氏やジャガーズのことを言うんじゃないの?
貸す方も後には引けなくなっちゃってるという、おかしくも哀しい話しですけど
フィッツジェラルドも原稿料の前借りをけっこうしていたというから
貸してくれた相手をちょっと茶化してるような気がしないでもない…

主人公が作家だったり脚本家だったり、売れっ子だったり落ちぶれてたり
舞台がハリウッドの映画会社だったりパリだったり、というのは
勝手知ったる… という感じですよね。

それから、大金を手にして放埒になる夫婦の話、精神を崩していく妻、
アルコールが手放せない絶望的な男、というのも体験談に近いものがあります。

小説とはいえ、けっこうフィッツジェラルドの人生とリンクする一冊ですね。
売れっ子からすべり落ちかけている時期だったのでしょうか?
ユーモアを交えてはいますが、悲愴なつぶやきみたいです。

巻末の年譜と解説にけっこうな量が割かれています。
私はもちろんちゃんと読んでないのですが、パラパラーとめくってたら
1940年に亡くなっているのですね?
エッセイは1936年~37年に書かれています。
精神的にも経済的にも苦しい時期に書かれていたわけですね。
あの暗さと重さ… なんとなく納得…

自分が得意なテリトリーを題材にしている作品も、過去を懐かしむというより
金策のために短編を多産しようとテーマを選んでいたのかしら?と考えると
かなりせつないものがあります。

でも単純に作品として読めば、(小説部分は)本当に楽しめる一冊でした。

ひとことゲームコーナー
ほしの島にゃんこがやっとバージョンアップできて、他の人の島に行けるようになったのね
そしたら皆さんすごくて、自分の島がやけに殺風景に思える… いろいろアイテムを購入しなければならないかも
コメント
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