まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『雨の朝 パリに死す』饗宴は終わったのに・・・

2010-03-01 02:12:10 | アメリカの作家
BABYLON REVISITED 
1930年 スコット・フィッツジェラルド

本当は『バビロン再訪』『バビロンへ帰る』などが正しい邦題ですよね?

本当に好きですね、この物語。
何度読んでも飽きるってことがありません。

『雨の朝 パリに死す(Babylon Revisited)/1930年』
死んだ妻ヘレンの姉夫妻にあずけている娘オノリアを取り戻そうと
プラハからやってきたチャーリーでしたが、姉のマリオンはいい顔をしません。
なぜなら、ヘレンが死んだのはチャーリーのせいだと思っているし
以前の放埒な生活が許せなかったから…
チューリーは立ち直ったところを見せようと必死です。

取り返しのつかないことをした人を、本当に信じることはできますか?
「信じて下さい」と言われてもなかなかねぇ…
心が狭いと思われるかもしれないけど、やっぱり100%は信じられない、私は。
マリオンはちょっと頑ね、と読んでいる時は思いましたが、気持ちは分ります。

『冬の夢(Winter Dreams)/1922年』
故郷で成功をおさめた若きデクスターは、少年時代に出会ったジュディに再会します。
相変わらず高飛車で気まぐれでした、でも、とても美しくなっていました。
彼は、ないがしろにされたり傷つけられても彼女からは離れることができません。
やっと我を悟ったデクスターはジュディではない女性と婚約しました。
しかしその婚約も破棄することになってしまいます。

『初恋』みたいな感じでしょうか?
どうにもならない恋心を抱いてしまった男性のノスタルジア。
しかしそんな熱く美しい想い出に哀しい現実が…

『金持ちの青年(The Rich Boy)/1925年』
優雅で紳士的な顔と、自堕落で冷徹な顔を持つアンソンは裕福な青年でした。
彼は少し真面目で堅苦しいポーラと恋に落ちましたが別れました。
傷心のアンソンは、ポーラと反対のタイプのドリーと付き合い
彼女を冷たく突き放しました。
友人たちは結婚していく中、彼はひとりで年をとっていきます。

年をとるにつれ、はらはらとはがれ落ちるように離れていく友人や遊び仲間たち…
子供部屋のために郊外へ引っ越したり、仕事が忙しすぎて消耗したり
肝臓をこわしたり…たしかに中々会えなくなった人が多くなってきましたね。

この短篇集に収められている作品には、登場しない友人の名が頻繁に出てきます。
「◯◯と最近会ったかい?」「◯◯は今どこにいるの?」などなど…
遊び仲間は、若い頃は多ければ多いほど楽しいものです。
愉快な時を一緒に過ごした人々の近況がだんだん耳に入らなくなってくると
めっきり老けこんだ気になりますよね。

バビロン再訪 集英社


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こちらも持ってまして・・・

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