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まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『シェル・コレクター』飲み込まれ、溺れてしまいそう…

2016-12-20 21:30:09 | アメリカの作家
THE SHELL COLLECTOR 
2001年 アンソニー・ドーア

何気なく買った一冊なのですが、後からハタと! アンソニー・ドーアって
『メモリー・ウォール』を読んで、すごーく苦手だったひとじゃんか!! と思いあたり
グッタリして放置してたのね… そして、読んでみた。

うぅぅぅ… 目からウロコ的に、コペルニクス的に、すごくおもしろかった!
(当時)若手とは思えないよぉ、これ。
人生経験を積みまくったじいさんを想像してしまうような書きっぷりです。

釣りが好きみたいで、けっこう詳しく延々と釣り・河・海の描写が続きます。
興味のない私は、ちょっぴり中だるみしましたが、そんなの問題ない!
そういうシーンも大事だってことに、どんどん気づかされていきました。

8篇中7篇紹介したいんですけど、そうもいかないので…

『貝を集める人(The Shell Collector)』
盲目の老貝類学者がわびしく暮らすケニアの小さな島を、二人のアメリカ人記者が訪れる。
はじまりはナンシーという女性のマラリアが毒貝で完治し、続いて近隣の島にある
モスクの指導者の娘シーマのマラリアも毒貝で完治したことだった。

『長いあいだ、これはグリセルダの物語だった
         (For Long Time This Was Griselda's Story)』
高校のバレー部員で、背が高く、早熟で、悪いウワサが絶えないグリセルダは
妹ローズマリーと祭りを見に行き、見世物小屋の金物食いの男に魅せられ駆け落ちした。
女手一つで娘たちを育ててきた母親は精神を崩していき、ローズマリーは高校をやめて
母親が働いていた工場で働き始めた。

『世話係(The Caretaker)』
35年間、リベリアのモンロビアで母親と暮らしてきたジョゼフ・サリービー。
内戦が始まって数年後、市場へ野菜を売りに行った母親が行方不明になった。
母親を捜すため家を出たジョゼフは、そのまま難民になってアメリカへ渡った。
そして、オレゴン州で、冬の間独りで農園と菜園を管理する仕事を見つけた。

おもしろさがまったく伝わらなくてすみません…
あらすじではなく、物語の “ さわり ” だとご理解下さい。

三つとも、ある日いきなり環境が変わってしまった人の、戸惑いとその後を描いた話です。
展開が目まぐるしいわりに、文章は落ち着いていて、どちらかというと静を感じさせます。
でもどの話も、短篇でありながら圧倒的な力で迫ってきて、引き込まれていきました。

静かな海を見ていたら、波がだんだん大きくなって飲み込まれてしまうような気分でした。
特に最後の『ムコンド(Mkond)』という物語はすごかった!

タンザニアに派遣されたワード・ビーチという博物館の学芸員と、彼に見初められ
結婚してアメリカに渡ったナイーマという女性、二人のストーリーなのですが
うまく書けない… ただ、もう、すごい吸引力! の物語でした。

私はすぐ、この作家は好き、この作家は苦手、と決めてかかるクセがあるんだけど
本当に一冊読んだだけで決めつけちゃいけないなぁ… と猛省させられた一冊です。
もう一回『メモリー・ウォール』を読んでみよっかな…

『メモリー・ウォール』が苦手な方もぜひ!
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね




ひとことK-POPコーナー


BEAST 新事務所設立おめでとうございます! BEAUTY の皆さん、本当によかったですね!
アルバムの発売を楽しみにしていま〜す


   
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『病短編小説集』“ 家庭の医学 ” もけっこう恐いけど…

2016-10-25 19:09:53 | アメリカの作家

W・アーヴィング/W・S・モーム/J・ロンドン/F・G・スティーヴンソン
A・C・ドイル/A・ヘミングウェイ/S・P・ギルマン/O・ヘンリー/K・ショパン
F・S・フィッツジェラルド/D・レッシング/S・ウォレン/J・アップダイク
(13人中9人がアメリカ作家のため、アメリカの作家のカテゴリーにいれました)

うううぅぅぅぅ… 読んどいてなんだけど、気が滅入るわ…

古い小説には、病気の貴婦人とか紳士がよく登場します。
こっちに言わせりゃ、贅沢病みたいなものが多くて、どこまで病気なんだか… って
感じなんですけど、この一冊の中の作品は、がっつり病気を描いています。

消耗病・結核、ハンセン病、梅毒、神経衰弱、不眠、鬱、癌、心臓病、皮膚病の
九章にわかれていています。 こう書いてあるだけで、けっこう深刻そうでしょ?
各1〜2篇のお話しがあげられています。

既読のものは、モームの『サナトリウム』、フィッツジェラルドの『眠っては覚め』
ヘミングウェイの『清潔な、明かりのちょうどいい場所』の3篇でした。

で、それ以外の中から印象的だったものを…

『脈を拝見(Let Me Feel Your Pulse)/1910年 O・ヘンリー』
医者に勧められた療養所も治療法も気に入らず、南部の大農場で暮らす
義理の兄弟ジョンのところに身を寄せた。
そして病気を治すため、引退した老医者と毎日、魔法の植物を探し求めて歩いた。

メンタルな病&アル中の患者が主人公です。
最初は言葉遊びみたいなセリフが続いて、ちょっとウンザリしてたんですが
最後は(展開まるわかりでしたが)ホッとする話しで終わりました。

『黄色い壁紙(The Yellow Wall-paper)/1892年 S・P・ギルマン』
医者である夫ジョンの勧めで、完全な休養とよい空気のために、夏の間借りた大邸宅。
そしてジョンの選択で、以前子供部屋だった上の階の部屋が、夫婦の寝室になった。
しかし、その部屋のところどころ引きはがされた黄色い壁紙は、どうも気味が悪い。

神経衰弱がテーマなんですが、私は最初から、夫が怪しい!と思ったのよね。
だけど、それが当たっているのか外れているのか、だんだんわからなくなっていく
楽しくはなかったが、目が離せないお話しでした。

『一時間の物語(The Dream of an Hour)/1894年 ケイト・ショパン』
マラード夫人が心臓病を患っていることは皆知っていたので、彼女の夫の事故死を告げる時
妹のジョセフィンと夫の友人リチャーズはとても気をつかった。
夫人は泣き出すと、ひとり自室に閉じこもってしまった。

他のストーリーに比べて、あまり病気の描写は無いストーリーなんですが
結局、夫人の心臓は止まってしまうのね。 すっっごく皮肉がきいたお話しでした。

それ以外に気になったことが…
『癌 ある内科医の日記から』というサミュエル・ウォレンの作品なんですが
1830年に書かれているんですけど、麻酔っていつからあるの?
麻酔無しで手術をする貴婦人の話しで、読んでるだけで恐くて、本、投げ出しそうだったさ。

作家の方々に医療経験者がいたのか、あるいは体験談だったのかは調べてませんが
病気や治療に関することは、間違っていたり誤解を与えやすかったりすると
大変なことになりそうなので、専門書を調べたりして、それぞれ労作だったんでしょうね。

でも、あんまりリアルなものは、やはり避けて通りたいな… と思ってしまいました。

今テレビでお医者さんが出て病気の説明する番組が多いですよね?
全部あてはまってそうで恐ろしいのですが… というわけで、ほとんど見てません。

(今のところ)自分が、どの病気でもないことに、感謝しつつ… 今日はここまで。

表紙が恐いので書店で買いづらい…
読んでみたいのに…という方は下の画像をクリックしてね




ひとことK-POPコーナー
ヨングク、大丈夫かなぁ… パニック障害って治療にどれぐらいかかるのでしょう?
活動休止の後あんなに頑張ってて、カムバックも間近なのに可哀想… でもちゃんと休んで治してほしいですね
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『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』少年おじさんは読むべし!

2016-10-14 20:12:00 | アメリカの作家
ALIBI IKE:SELECTED SHORT STORIES 
リング・ラードナー

『呪われた腕』が、どうやら手持ちの『ハーディ短篇集』と同じようだったので買わず
あとは野球とか宇宙とかがテーマだったので、やり過ごしていた村上柴田翻訳堂。
ちょっと目についたので購入てみました。

うーーーーん…
面白くないわけではないんだが,とことん男の人向けですかね?
それも、少年の心を忘れてない感じの、昔のアメリカ映画や大リーグが好きそうな…
すっっっっごく単純な思考ですみません。

野球、ボクシング、映画業界、一目おかれてる男、みたいなテーマが目立ちました。
13篇おさめられていて、どの話しもアメリカーンなジョークっぽい言葉が
ちりばめられていますが、けっこう暗い話しに思えます。
特に好きな話しはないですが、いくつか印象に残ったお話しを…

『この話もう聞かせたかね(Stop Me,If You've Heard This One)』
新進劇作家ブレイズとガーナーは、レストランで紹介された有名な旅行家のオズボーンから
有名人がらみの、数々の面白い話しを聞いた。
お返しにガーナーが、以前体験した不思議なエピソードを聞かせた。

これは、読んでいて展開が見え見えスケスケです。
有名人の中には「◯◯と仲がいい」「◯◯と自分しか知らない」っていう話題で
生き延びてる人がたくさんいるんだろうなぁ…と思えまして…

『金婚旅行(The Golden Honeymoon)』
寒い冬を暖かいところで…という娘夫婦のはからいで、フロリダへ金婚旅行へ。
そこである日、母さんが50年前結婚するはずだったハーツェルとその夫人に出会い
それ以来毎日一緒に行動するようになった。

結婚50周年をむかえた夫婦が、えっちらおっちら旅行する姿を思い浮かべて読みました。
でもこの二人、すごく元気なんだけどね…
じーさんばーさんになっても、こんなに元気に旅行ができるといいですね。

『ここではお静かに(Zone of Quiet)』
夜7時までの勤務の看護婦ミス・ライオンズは、おしゃべりをやめない。
安静にしていなければならない病人に向かってしゃべり続ける。
友人、恋人、夜勤看護婦のことから、死んでしまった以前の患者のことを。

そりゃ死ぬだろうよ!ってぐらいおしゃべりです、この看護婦さん。
しかも内容が、どーでもいいよ なわけ! それをダラダラ…
この患者はすごいお人好しだなぁ、私なら変えてもらう。

全体的に、語り手がずっとしゃべってる、という話しが多く
それ以外でもやけに会話が多いです。 ちょっとウルサく感じました。

野球の話しが四つと、ボクシングの話しがひとつあるのですが、内容はだいたい同じ。
すごい天才なんだけど、それ以外の部分が、なにか欠落してるというか
生きていくのに不適合というか、暴力的だったり…変わってんのね…

ただ、実在の球団や選手の名が出てくるので、好きな人はさらに楽しめると思います。
残念ながら私は苦手でしたが… おじさんでなく、おばさんだからか? 

おじさんじゃないやい!という方もどうぞ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことノーベル文学賞コーナー
ボブ・ディランて…   選考委員会にとって、ものすごいチャレンジだったでしょうね?
世界中の、作詞に携わっている人々に勇気を与えたかもしれないですね。 でもやっぱり英語が有利なのかな?
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『結婚式のメンバー』思春期の妄想を笑っちゃダメよ

2016-06-15 21:26:20 | アメリカの作家
THE MEMBER OF THE WEDDING 
1946年 カーソン・マッカラーズ

村上柴田翻訳堂から2冊目を購入。
『撲の名はアラム』は、少年が主人公でしたが、こちらは12歳の少女が主人公。

好きな内容かというと、うぅぅん… あんまり好きじゃなかった…

12歳ののっぽの女の子フランキー・アダムスの夏休みの数日を描いた物語です。
彼女には、その年いくつかの出来事がおこりました。

パパから「大きくなりすぎた」と言われて一緒のベッドで眠らなくなったこと
父親のピストルを身につけて街を歩き回ったり、ストアからナイフを盗んだりしたこと
男の子とガレージでいかがわしい罪を犯したこと…
親友がフロリダに越してしまい、遊び相手が一人もいなくなったこと、などなど。

そんなわけで、その夏、フランキーはどこのグループにも属することなく
ほとんど家を出ませんでした。
ずっとアダムス家で働いている料理女のペレニスと、6歳のいとこジョン・ヘンリーと
キッチンに座って、料理やおやつを作ったり食べたり、カードをしたり…
そんなことばかりして過ごしていました。

そこへビッグニュースが入ります。
兵士としてアラスカにいる兄ジャーヴィスが結婚することになったのです。
そして式の一週間前に婚約者のジャニスを連れて食事にやって来ます。

二人を見たフランキーは、結婚式の後家には戻らず、二人とともに暮らそうと決心します。

で、とにかく、会話が多い話しだった〜!  会話というより告白? ひとりごと?
特にフランキーとペレニスの会話が多いのですけど
ペレニスがものすごく説教してる時もありゃ
大人と子供が話しているとは思えない場面もあり
フランキーにとってペレニスが母親がわりなのだなぁ、と思える一方
こんな大人と一緒にいさせちゃダメじゃんと思えたりもしました。
でもやっぱりいてくれて良かったんだと思うけど…

物語は三章にわかれていて、一章ではフランキー、二章ではF・ジャスミン
三章ではフランセスと、名前が使い分けされています。
これは、少女の心境と大人の心境を表すってことなんですかね?
よくわからないけど、深く追求するのはやめときます。

しかし、新春期の妄想って、いろんなことを経験してきちゃった大人から見ると
荒唐無稽でくだらないことに思えますが、本人は真剣なのですよね。
家出の真似事ぐらいは、多くの大人に経験があるんじゃないかしら?

自分のことをふりかえっても… 言えないけど… 笑える!
でもかなり真剣だったよね!!
ひとつふたつ書いてみる?

高校を中退してアメリカでシャチの調教師になろうと思い立ち、退学届を勝手に出して
母呼び出しを受ける…
イギリス人のロッカーと結婚しようと、パイステのシンバルとスティックを手に
武者修行に渡英しようと画策して父にしかられる… バカだ…

ま、私のおバカな過去はおいといて、少女の心のユラユラを瑞々しく描いたと言えるこの物語
ペレニスのおせっかいすぎる干渉に比べ、パパの無関心ぶりがすごいわ!
男手ひとつ…っていうのも大変ですね。

笑ってられるうちはいいんだけど、想像・妄想が膨らみ続けると
深刻な事態をまねいちゃう場合もあるので、スルーしないで耳を傾けた方がいいのかも…
そう考えると、ペレニスの対応は正しかったのかもしれないです。

初々しい心を忘れ去った私には、ちょいと共感できず、難しい物語でした。
少女時代に読んどきゃ良かった…

少女時代の不安定さをみずみずしく描いた物語を村上春樹さんの名訳で
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね




ひとこと都知事コーナー
辞めましたね〜! ぜったい解散してリオへ行く気だと思ってましたが、さすがにね…  次はどなたになるんでしょう?
私は神奈川県民なので、なんら行使することはできませんが、お隣から見守っております
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『撲の名はアラム』少年時代の思い出と幻想と…

2016-06-01 21:51:17 | アメリカの作家
MY NAME IS ARAM 
1940年 ウィリアム・サローヤン

買っちゃったですよ、やっぱり、村上柴田翻訳堂、そりゃ買いますよねぇぇぇ…

作者が生まれ故郷を舞台に書いたという『撲の名はアラム』ですけど、長篇ではなくて
『ヒューマン・コメディ』同様、一家族をクローズアップしている
短篇集と考えていただけばいいと思います。
同じく自伝的短篇集と言われている『リトル・チルドレン』よりは
話しにつながりがあると思います。

この中の一篇『ザクロの木(ざくろ園)』は以前紹介しているのですが
一話づつでも、十分短編として楽しめるお話しばかり、14篇がおさめられています。

カリフォルニア州フレズノという町で暮らしている
アルメニア系のアラムという少年が語る、ガログラニアン一族のお話しです。
おじいさん、おばあさん、お母さん、たくさんのおじさんやいとこが登場します。

とにかく、14篇全部面白いんですよ!!
でも全部紹介するわけにもいかないし… 選ぶのも難しいんだけど…
一族の様子が垣間見える、おじさんが登場するお話しを書いてみますね。
そういえば『ザクロの木』もメリックというおじさんが主人公でしたね。

『ハンフォード行き(The Journey to Hanford)』
来る日も来る日も、木陰でチターを弾いている情けないジョルギおじさんが
一夏ハンフォードでスイカ獲りをして働くことになり、付き添いを決めることになった。
おじいさんが、子供たち、孫たちの中から撲を選んだ。
しかしハンフォードにつくと、おじさんは「スイカは獲り終わった」と言われてしまう。

『五十ヤード走(The Fifty-Yard Dash)』
12歳の時、クーポンを送ったニューヨークのストロングフォートから再三優しい手紙が届き
強くなるプログラムを値引きしてくれると言うので、ジコおじさんに相談しに行った。
当時おじさんは、ヨガにはまっていて、瞑想し、絶食し、酒も街をふらつくのもやめていた。
そしてストロングフォートをペテン師だと言ったが、お金は貸してくれた。

『アメリカを旅する者への旧世界流アドバイス
    (Old Country Advice to the American Traveler)』
ある年、おじさんのエリクがニューヨークへ旅行に出かけるというので
おじさんのおじさんガルロがやって来て、旅の危険について語った。
ガルロおじさんが教える、危険を避ける方法すべてに、エリクおじさんは
イエス、サー、と返事する。

どのエピソードも、おじさんのパーソナリティーが表れていて面白いです。
これ以外にも、クセのあるおじさんやいとこがたくさん登場します。
一族を率いるおじいさんとおばあさんのやりとりも笑えます。

一話目から、とにかく自分たちが貧しかったと書かれています。
一族全員が貧困にあえいでいて、どうして食べていけるのか不思議だったと…
でも、一冊を通して、そんな印象はあまりうけませんでした。

それよりも、こんな一族に囲まれて、騒々しい、退屈するヒマもない
少年にとってはおもしろ可笑しい毎日だっただろうと想像できます。

でも事実は少し違っていたようです。
カリフォルニア州フレズノで生まれて育ったのは間違いではないようですが
生い立ちからして、まわりにこんなに親戚がいたのかどうかは疑問です。

作者の序文を読んでから作品を読むと、完全に自伝的小説だと思ってしまうのですが
もしかしたら、偉大なる想像の産物なのかもしれない…
そうだとしたら、少し寂しい気がします。

でも、思い出が反映されていようと、完全なるフィクションだろうと
小説としての面白さには変わりはないわけで、読んで良かった! と思っています。

ちなみに、アラムというのはサローヤンの息子さんの名前らしい。
自分の幸福な想像が、現実となって息子さんに与えられればいいな… なんて
考えながら書いていたのでしょうか?

祝!村上柴田翻訳堂発刊!! サローヤンを柴田元幸さんの名訳で
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことバレーボールコーナー
学生時代バレー部でして、ずっと見てきていましたが、男子バレーボールがこんなにすごいことになっていたとは…
グッズがアイドルなみ… 負けちゃいましたが気持ちを切り替えて頑張ってほしいですね
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『レズビアン短編小説集』表紙のインパクトったら!!

2016-04-11 18:36:06 | アメリカの作家

セアラ・オーン・ジュエット/ケイト・ショパン/ウィラ・キャザー
キャサリン・マンスフィールド/ガートルード・スタイン/ラドクリフ・ホール
ヴァージニア・ウルフ/デューナ・バーンズ/ヘンリー・H・リチャードソン
カースン・マッカラーズ/ジェイン・ボウルズ/イサク・ディネーセン

作家陣の全員がアメリカ人というわけではないのですが
割合が高かったのでアメリカの作家のカテゴリーに入れました。

買う時にちょっとドキドキしましたが、大好きなマンスフィールドの未読作品があったので
「えいっ」と本屋さんのカウンターに差し出しました。

でも、そんな心配はまったく無用ですよぉ~。
上記の執筆者は登場順に書いていて、後半になると私には難解なものもあったのですが
テーマは極めて穏やかで読み易い作品がほとんどで、良い小作品集でした。

印象に残ったお話しをいくつかご紹介します。

『マーサの愛しい女主人(Martha's Lady)/セアラ・オーン・ジュエット』
ある夏、ミス・パインの屋敷に、若い従姉妹へレナがやって来る。
働き始めて間もない、叱られてばかりの使用人マーサは、ヘレナの優しさに打たれ
着々と仕事を覚えていくが、数週間後、ヘレナは屋敷を発ってしまった。

これはまぎれもない愛の物語ではないでしょうか。
思い続ける愛、敬い崇める愛、捧げるだけの愛などなど、愛の美しさ満載のお話し。
アメリカの作家ですが、英国っぽい香りがします。 1800年代だからかな?

『しなやかな愛(Leves Amores)/キャサリン・マンスフィールド』
忘れられないシスルホテル.
ある夜、向いのあの人の部屋で着替えを手伝い、外で食事をしてオペラ座へ行く。
オペラ座を出ると、二人で無言のままホテルへ歩いて帰った。

3ページと、ものすごーく短い作品なのですが、いちばんストレートに
女性への愛を表しているお話しかもしれません。
短いのに、各シーンの情景が目に浮かび、ドキドキさせられるお話しです。
マンスフィールドはもう一編『至福(幸福)』という作品が収載されています。

『ネリー・ディーンの歓び(The Joy of Nelly Dean)/ウィラ・キャザー』
ネルは美しく町の皆のお気に入りで、特にミセス・スピニー、ミセス・フリーズ
ミセス・ダウは、彼女を愛して可愛がっていた。
ミセス・スピニーの息子スコットはネルが好きだったが、ネルは評判の悪いセールスマンの
ガイ・フランクリンと婚約すると、わたしに打ち明けた。

美しくてもてはやされた少女が、必ず幸せになれるかというと…という
ありがちな話しですが、三人のミセスの存在が、物語の面白さを数倍増ししてくれます。
母親のように姉のように愛情を降り注いだ三人のその後が、哀しくも美しいお話しでした。
ウィラ・キャザーはもう一編『トミーに感傷は似合わない』という作品が収載されています。
そちらも主人公を見守るじい様たちがいて、しんみり面白かったです。

たしかに深読みすると、女性が女性を愛おしく思っている様子が垣間見えますが
だからってそれがすぐにレズビアンに繋がるというわけではないですよね?
私も綺麗な女の子を見るのは好きだし、男性より女性と暮らす方が楽だろうな~なんて
考えたりしますもん。

ですので「女性同士があんなことして、こんなことして… が描かれている短篇集だ」と
決めつけないで(期待しないで)読んで下さい。 普通に面白い短篇集です。

最後に作家陣の紹介ページがあります。
今回は(解説は飛ばしたけど)しっかり読んでみました。
皆さんいろいろな女性とのエピソードがありまして、もちろん恋愛感情で結ばれた関係も
あったでしょうが、どうやら、信頼し合えるパートナーというところへ落ち着くのが
多かったみたいに思えます。

カーソン・マッカラーズみたいに、ドラマティックな一生を送った方もいますが…

作家陣は、1800年代から1900年代前半に生まれています。
性的マイノリティー感が今より強かったと考えられる時代に、自分の性的嗜好を堂々と
あるいは自然体で表していたという勇気に尊敬を覚えます。
それとも、芸術家は今より性に関して自由を得られていたのだろうか?
当時の風潮なども調べてみなければなりませんね… たぶん調べないけど。

ドキドキの妄想が広がる世界
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとこと気になるコーナー
買われました? 村上柴田翻訳堂! 私はまだ買ってないんですよね。 子供が主人公でしょー? うぅぅぅぅん…悩むわ
マッカラーズとサローヤンですよねぇ… やっぱり買うべきか?
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『孤独な娘』読書、迷走中…

2016-02-26 21:44:02 | アメリカの作家
MISS LONELY HEARTS 
1933年 ナサニエル・ウェスト

ナサニエル・ウェストは、4作品だけを残して、37歳でこの世を去った
不遇の作家だそうです。
それで、この一冊を読んだ感想ですが、さしあたって残りの3冊を読む予定はないです。

題名と表紙のレビューに惹かれフラフラと買ってしまった一冊。
レビューから、私が惹かれた部分を抜粋してみます。

“ 新聞の身の上相談欄を担当する孤独な娘は、投書者の手紙に対応しているうちに
彼らの悲惨さにのめりこんでいく ”

私としては、孤独な娘と名乗る、男性の被相談者が、どのように相談者たち同様の苦悩を
抱えていくのか… という、過程におおいに期待していたんですよね。

ところが、1ページ目を開いたら、もうすでに苦悩にまみれちゃってる “ 孤独な娘 ” がいて
あとはどんどん苦悩の深みにはまっていくばかり…
そして、深みにはまるにつれ怠け者になっていく印象が濃くなっていきます。

一度は立ち直れそうな展開を見せたのに、なぜか逆戻り…

そしてこのラスト… いろいろ盛り上がりそうだったのにブチっと終わっちゃいました。

相談者の手紙もいくつか紹介されているのですが、フィクションだとしてもひどい話しで
こんなものを読み続けていたら、そりゃあ平常心ではいられないかもね。
“ 孤独な娘 ” は真面目すぎたのかもしれません。

新聞の売上を伸ばしたいだけで身の上相談のコーナーを作り
しかも送られてきた手紙を笑いものにするシュライクという上司がいて
“ 孤独な娘 ” の苦悩と対比させて、イヤ~な感じを存分に醸し出しています。

この物語が書かれたのは、大恐慌後の1933年です。
もしかしたら、相談者の手紙の内容はかなり現実に近かったかもしれません。

新聞の身の上相談コーナーの記者が持ち回りであったことを祈ります。

作中何度も神と内なる精神に向き合うという、私が最も理解できないジャンルの小説でして
何も書けることがありませんです。
先日ミラン・クンデラで大失敗したばかりだというに…
そんなわけで、今日はここまで… すみません。

ひとこと愕然としたコーナー
家系図は今ノルウェーなのですが、ノルウェー王家も長いからしばらくこれで… と思っていたら!
共治時代&カルマル同盟で、もうほとんどスウェーデン王妃とデンマーク王妃で書いてた~ 次どうしよう~!!
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『書店主フィクリーのものがたり』あ~! 本屋さんになりたい!!

2015-12-11 22:35:25 | アメリカの作家
THE STORIED LIFE OF A.J.FIKRY 
2014年 ガブリエル・ゼヴィン

この物語が、良い小説なのかそうでないのかは、私にはわかりません。
ただ、ものすごくよいお話しだったと思っています。

本屋と言うシチュエーション、多彩なキャラクターの愛すべき登場人物たち、
とんとん拍子といってもいい物語のハッピーな展開…
もう、空き時間がくるのが待ちきれなかったですよ。

島にたった一軒しかないアイランド・ブックスに、ナイトリー・プレスの営業
アメリア・ローマンが訪ねていくところから物語が始まります。

店主、A・J・フィクリーは、2年前に妻ニックを自動車事故で亡くしてから
変わり者&頑固者に拍車がかかり、孤独な毎日を送っていました。

大切にしまっていた、高価な希少本、ポーの『タマレーン』が盗まれた数週間後
A・Jが夜のジョギングから帰ると、店の中に小さな女の子が置かれていました。
女の子はマヤと名乗り2歳だと言います。
残されていた手紙から、マヤは捨て子だとわかりました。
翌日、若い女性の死体が海で見つかり、自殺したマヤの母だと判明しました。

で、A・Jはマヤを引き取る決心をして、それからどんどん人生は好転するわけなのね。
もう、こんなにわかりきった展開でよいのでしょうか? というぐらいうまくいきます。

タイトルどおり、A・Jの後半生を描いた物語で、最後には彼に死が訪れるのですが
それさえも、悲しさよりも、爽やかで心地よい読後感をもたらしてくれました。

とにかく、たくさんの作家名と作品名が登場する物語で、知らない物多数でしたが
知っている作家や作品が出てくるとそれだけで心弾んじゃった!
特に、A・Jがマヤに残した手紙なのかメモなのかが、各章のトップにあるのですが
「これを読むといい」とおすすめしてる本の中に自分のお気に入りがあったら
すごくすごく嬉しくなったりして… ちょっとあげてみるね!

ロアルド・ダールの『おとなしい凶器』『古本屋』
アーウィン・ショーの『夏服を着た女たち』
フラナリー・オコナーの『善人はなかなかいない』
マンスフィールドの『人形の家』、それ以外にもたーくさんたくさん…

もちろん、おススメコメントは、私みたいにいいかげんなものでなく
文学的、哲学的にちゃんとしたもんですので安心してね。

最後に、A・Jからアイランド・ブックスを引き継いだ元警察署長ランビアーズが
語った一文を載せときます。
本好きの皆さんは、たぶんこの部分にものすごく共感できると思います。
たとえ好きなジャンルは違ってもね。

「ー前略ー おれは、本のことを話すのが好きな人と本について話すのが好きだ。
おれは紙が好きだ。紙の感触が好きだ。ズボンの尻のポケットに入ってる本の感触も好きだ。
新しい本の匂いも好きなんだ」

本と本屋さんが好きな方に心からおすすめです!
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
A・Jといえば… U-KISSのA・Jはいつアメリカから帰ってくるんでしょう?
U-KISSといえば… イライ~! おどろいたさ!! おめでとうというべきでしょうが、ペンのみなさんの心中を考えると…
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『パールストリートのクレイジー女たち』感謝状がわりの作品…だと思う

2015-11-02 20:11:28 | アメリカの作家
THE CRAZYLADIES OF PEARL STREET 
2005年 トレヴェニアン

私はトレヴェニアンの本を読んだことも、原作の映画を観たこともないのですが
ストリートっていうか、横町を舞台にした話しが好きなので
本屋さんで出だしを読んで、即購入してしまいました。
晩年の作品らしいです。

面白かったです。

前書きと後書きが無く、プロフィールもほとんど載っていないので
この物語が実話なのかどうかわかりませんが
著者の生い立ちなどを調べるのは、今回もやめときます。

ただ、最初のページに著者から
“ -前略- 訴訟好きの衝動を阻みたい、という私の抑えがたい願望により、
 すべての登場人物と名前は私の想像の産物であり、私の頭のなか以外には
 存在しないことをここに名言する ” という一文があって
勝手に自伝的作品なんじゃないかと思い込んでいます。

ジャン=リュック・ラポアントは、6歳の時、なんの音沙汰も無かった父親の手紙で
27歳の母と、3歳の妹アン=マリーとニューヨークのノースパールストリートに
引っ越して来ますが、とうの父親はパーティーの準備だけして姿を消していました。
ノースパールストリートは、失業者や保護をもらって暮らしている人々が多く住む通りです。

長い上に、いろいろなエピソードが入り交じっているので、あらすじは書きませんが
ざっくりいうと、そんな中に残された一家が9年後に通りを出て行くまでの日々を
第二次世界大戦をからめながら、主人公の少年目線で綴った物語です。

だけど、貧しい中で頑張った少年や若い母親の奮闘記みたいに考えるのは間違い。

たしかに、少年は6歳の頃から一家を少しでも助けるために、働く働く!
学校に行く前に働き、休みの日に働き、たまには夜も働く、という働きぶり。

若い母親は、貧しい中でも子供たちにはなるべくちゃんとしたものを食べさせ
からだが弱いのにウェイトレスの仕事をしながら、家事も手を抜かず家を磨きあげます。
休みの日にはお金をかけずに子供たちを楽しませようと努力を払ってくれます。 だけど…

ノースパールストリートには、少なくとも三人は、正常とは思えない女性がいます。
そして他にも二人ほど、ちょっと軌道を逸している女性が登場します。
そんな中にいて、母親は “ クレイジー女 ” のレッテルを貼られてしまうのね。

それは母親が、本来はこんな通りに住むべき人間ではないというプライドと
なるべく人を頼らずに、人に蔑まれないように生きようとするスタンスを
正直に見せすぎていたためだと思われます。
無垢で自分本位な、子供っぽさを捨てずに大人になってしまった人みたい。

4歳の時から心身ともに、そんな母親の片腕になってしまった少年は
いつか母親から逃げ出したい、役目を投げだしたいという気持ちが捨てられずにいます。

出会いがあったり、世界大戦が終わったりという段階を経て
念願だった「ノースパールストリートから抜け出す!!」という夢は叶うのですけれども
それがハッピーエンドにはならなそうな予感は、後半から色濃く紙面を覆っています。
ラストはもちろん書きませんけどね。

主人公一家以外の登場人物のキャラクターも背景もわかりやすくて
すごく感情移入しやすい作品でした。
エピソードのひとつひとつも読み応えがあって、楽しく読み通せました。
日本人としては、第二次世界大戦のとこはちょっとつらかったけど、それは仕方ないっすね。

様々なエピソードの中には、母親を褒め讃えているように思えるものもあり
母親さえこうでなかったら… と祈るようなものもありで、良いところも悪いところも
曝け出されちゃってますが、やっぱり、愛と感謝を込めて書かれているものだと思います。

もし、自伝的小説でないのなら、すっかりだまされちゃってる私… ってことになりますね。

母への愛といらだちと哀しみ…複雑な思いがつまった名作
読んでみたいな!と思った方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー

ハロウィンの日のお昼、ケンタッキーとマックで悩んだんだけど
すごくお腹がすいていたのでマックのエグチのセットを食べました
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『叶えられた祈り』久々に解説をじっくり読んだですよ

2015-08-03 23:08:17 | アメリカの作家
ANSWERED PRAYERS 
1987年 トルーマン・カポーティ

私は、基本的に、フィクションであればどんな世界観があってもいいと思ってます。
売れる売れない、読む読まないは読者が決めればいいことなんでね。

だからこの『叶えられた祈り』出版も否定はしませんが
「なんで出しちゃったかなぁ?」という疑問はおおいに感じました。

だって、どう考えてもその後のカポーティは生き辛くなるだろうと想像がつくわ。
社交界から外され、(いろいろな圧力で)文学界から干され、友人は離れていき
ヘタしたら命だって狙われるかも… という内容じゃないのか? これ。

今回あらすじは、新潮文庫の裏表紙から抜粋しますね。

「ハイソサエティの退廃的な生活をニヒルに眺めながらもあこがれている
 作家志望の男娼。この青年こそ著者の分身である。
 実在人物の内輪話も数多く描かれていたので社交界の人々を激怒させた』

“ 内輪話 ” と書かれていますが、ほとんどが性的嗜好や酒癖、薬物中毒の話しで
出版当時なら、一般的にノーマルという枠からは外れて見える性向の暴露に思えます。

この中の登場人物のどれぐらいが、実在の人物なのかどうか知りませんが
実在していたとわかる人をひとにぎりだけあげてみます。

ギリシャ王パウルス、コレット、ペギー・グッゲンハイム、バーバラ・ハットン
英王女マーガレット、キャロル・サローヤン、グロリア・ヴァンダービルト
ジャクリーン・ケネディ、モンゴメリー・クリフト… すごくない?

何人かは悪口程度の内容ですんでますが、何人かは「それを書かれちゃ…」という
エピソードが披露されちゃってます。
名前は変えられていても、あきらかにモデルがわかるというエピソードも
多数もりこまれているらしく、彼らの財力や政治力をもってすれば
カポーティの今後がどうなるんだろう?と心配する人がいたのもうなずけるってものです。

そんなわけで、巻末の “ 編集者から ” と “ 訳者あとがき ” をじっくり読んでみました。

この小説は、1966年に契約を結び、1968年に出版される予定だったそうですが
何度かの延期の末、1981年に出版するということになりました。

ところが、カポーティは、1975年にできあがっていた4つの章を
編集者の反対を押し切って、エスクァイヤ誌に先行発表したそうです。
そしてその時点で大問題となり、誰もがカポーティと口をきかなくなったそうです。
カポーティは、自信は失っていないように見えましたが
結局、執筆は滞り『叶えられた祈り』は未完で終わっています。

編集者と訳者はエスクァイヤへの発表を、それぞれ、自信からなのか
焦りからなのかに言及していますが、私はそんなことはどうでもよくて
「友だち無くすよ」ということが恐ろしくなかったんだろうか? と
考えてしまいます。

この作品が、名前を出された人にも賞讃で迎えられると思っていたのでしょうか?
ゴシップ好きは大好きかもしれないし、ちまたの話題にはなったと思う… でも
友人や知人を敵にまわしてもかまわないとまで思える内容なのかな?
浮気と離婚と下ネタのうわさ話しばっかり…

発表されたのは “ さわり ” の部分だったのかもしれないですね。
ジョーンズ青年とケイト・マクロードのエピソードは
もっともっとドラマティックになりそうな気配があるもの。

もしも完成していたら、本人が言っていたように(名前を出された人たちも納得の)
人の心をゆさぶる大作になっていたのかもしれませんね。
今となってはわかりませんが…

当時の華々しいゴシップに興味のある方におすすめ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
毎週のようにタワーレコードからお届け物がある今日この頃、だんなさんはあきれ顔ですけど… それはさておき
B.A.P 復帰おめでとう~! 彼らの未来はどうなるんでしょうと心配だったさ
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『人生のちょっとした煩い』一冊で判断しちゃいけない、って思ったわ

2015-07-09 21:36:08 | アメリカの作家
THE LITTLE DISTURBANCES OF MAN 
1958年 グレイス・ペイリー

以前『最後の瞬間のすごく大きな変化』を読んで、まったく理解できなかった私…
そんなわけで、持っていたもう一冊のグレイス・ペイリーは置き去り状態だったのですが
先日、出かける前に急いで本を探していたら目についたもんで読んでみました。

あとがきによると、『最後の…』はこの『人生の…』の次に出版されたらしいです。
その間19年…
そして、その次の短篇集はアメリカで11年後に発売されたらしいです。
趣味ですか? っていうぐらい寡作ですが、趣味では書けない作品を残すのが
プロのすごいとこ!

で、感想は、『最後の…』にくらべてものすごく読みやすかったです。
ストーリーも理解できたし、少しですが感情移入もできました。
いくつかご紹介します。

『さよなら、グッドラック(Goodbye and Good Luck)』
ローズ伯母さんに、若い頃、劇場のスター俳優ヴラシュキンと愛し合った話しを
延々と聞かされている。
彼に妻子がいたことがわかって別れたが、その後も何度か会う機会があった。
そして、俳優を引退した彼から先週電話がきたという。

若い人に自分の恋愛談を延々と聞かせるのってあんまり喜ばれないと思うけど
こういう風に終わるなら、聞いる方もハッピーになれるかもね。

『人生への関心(An Interest in Life)』
夫は、ある年のクリスマスに箒をプレゼントしてくれて、軍隊に入ると言い出て行った。
四人の子供を抱えて困窮し役所に行くと、夫はどこの軍にも所属していないとわかった。
毎週木曜日に隣のミセス・ラフタリーに会いに帰って来る息子のジョンが
なにかと世話をしてくれるようになった。

ポジティブに生きるってすばらしい!! なんの考え無しにも思えますが…
小さなことでクヨクヨ悩むのはやめようっと! 勇気をもらえました… ちょっと嘘です。

『変更することのできない直径(An Irrevocable Diameter)』
仕事でエアコンを取り付けに行った郊外の住宅で、もうすぐハイスクールを卒業する
シンディーに出会ったのでデートに誘い、次の土曜日の朝4時に家まで送り届けた。
彼女の両親から脅されたので手紙を書いて別れることにしたが、その後訴えられた。
けれど裁判中シンディーがとった行動によって、告訴は取り下げられた。

ラストにビックリ! これからのシンディーの人生が幸福でありますように!
急展開に継ぐ急展開なわりに不思議と落ち着けるストーリーでした。

上にあげた3篇は特にそうだったのですが、
全篇、どちらかというと深刻な内容なのに、なぜかユーモラスに思えました。
作者のパーソナリティーがそうさせているのか、深く考え込む前に
ちょっとしたひと言や展開に救われて気が楽になるっていう気分でした。

今回は、ストーリーが『最後の…』より理解できたせいか
人物紹介とか物語の背景の大胆な省きっぷりに気がつき驚きました。
いきなりストーリーに入り、その人が誰だか、どんな容姿かなんてことはほぼ無し!
だけど読んでいるうちにどんどん人物像が思い描けるのが不思議です。
描写が少ない分自分好みに思い浮かべられるのが心地よかったのかな?

『最後の…』同様、文章は簡潔でベタベタしていない感じです。
好きなタイプの文章です、読んでよかった。

後半にいくにつれてだんだん不条理さが増していくような気がしましたが
年代順になっているんですかね?
『最後の…』にも登場したフェイスのストーリーもありましたが
こちらで登場したフェイスの方が現実っぽく感じられました。

アメリカで出された3冊目も村上春樹さんが訳をする予定だそうで、待ち遠しいですね。
でも2冊目より難解度が増してたらどうしよう… ちょっと心配です。

こちらは文庫本なのでお気軽にどうぞ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー

今年も2日間行って来ちゃいました。
SHINeeはもちろん! チャンミン(東方神起)もSUPER JUNIORもEXOも少女時代もBoAもステキでしたけど
今回一番印象に残ったのはf(x)…3人で頑張っててキュンとしちゃったさ、Red Light~ 良かったよぉ!
ソルリ戻って来るといいなぁ…
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『幽霊たち』ホラーじゃないのでね

2015-06-25 22:37:09 | アメリカの作家
GHOSTS 
1986年 ポール・オースター

『最後の物たちの国で』『ブルックリン・フォリーズ』『ティンブクトゥ』
意表をつかれ続けてきて、今回もワクワクしながら手にした一冊でした。

とにかく出だしでやられちゃいまして… ちょっと書いてみるね。

「まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、
 そもそものはじまりの前にはブラウンがいる。」

もう~、なんなんでしょう? この物語は!! と期待が膨らみましたよ。

ちょっと解説すると、主役はブルーという若い私立探偵。
ブルーにある仕事を依頼したのは、ホワイトというあきらかに変装している謎の男。
依頼の内容は、ブラックという男を向いの部屋から見張り
週に一度、ブラックが何をしたか細大漏らさず書いた報告書を作成すること。
ブラウンはブルーを仕込んだ私立探偵で、今は引退しています。

さて物語がどう展開するかというと、なにしろ動きがない物語なのよ。

ホワイトが用意した、ブラックのアパートの向かいのアパートに移り住み
窓から見張り続けるブルーでしたが、ブラックは朝起きたら机に向かって本を読むか
書き物をするか食事をするだけ。
たまに食料品の買い出しに出かけるか近所を散歩するだけ… 来る日も来る日も…

とっととかたづくと思っていた仕事は、一週間が一ヶ月になり、二ヶ月になり
三ヶ月になり… ブルーはだんだん不安や焦りを感じていきます。

結局仕事は一年以上に及びます。

これ以上内容については書きませんが、前半動きがなかった物語は
中盤、後半にいくにしたがって、どんどんアクティブになっていきます。

それは主にブルーがアクションをおこしたからなんだけど
ブラックがおこさせたものかもしれない…

謎でしょう~?
読んでても謎が深まる内容でしたが、なんだか哲学的だった気がします。
暇を持て余すブルーがツラツラ考えたことなんかがね…
哲学のなんたるか? を知らずに書いています、わたくし…

人はどこまで “ 何もしないこと ” に耐えられるのでしょうね?

私は、一週間ぐらい何もしないでボーっとしたい!! なんて考えますが
それはあくまでも、好きな時にDVD見たり、音楽聞いたり、手芸やったりという
自由な時間が含まれていることが大前提です。

だけど、例えば主人公のブルーは、ずーっと見張ってなきゃいけないから
窓から目が離せないわけ。
しかも相手はな~んにもしない… ブルーもな~んにもできない… 退屈…

だからブルーも、気が滅入ったり、気が変になりそうだったりして
依頼にはないアクションをおこしていくわけだけれども
それは依頼を受けてからかなりたってからのことです。

私だったら三日ぐらいで飽きて逃げ出しそう。

ラストは、ザックリ言うと、なんとなく予想できたものでしたが
いったいホワイトが何がしたかったのかがいまひとつ掴めないお話しでした。

今までのオースター作品みたいに大絶賛するかというとそうでもないんですけど
少しづつドキドキ感が高まっていく展開が面白かったですよ。

理不尽なことに我慢強く耐えたブルーの今後に幸あれ! と言ってあげたくなる
そんな一冊でした。

無彩色めいた不思議な世界につかってみませんか?
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
SHINee、BIGBANG、EXOのカムバックにかくれて地味目でしたけども、MBLAQのMIRRORもすごく良かった~
三人になっちゃったけど、これからも頑張ってね



大人っぽくなったMBLAQの魅力がつまった Mirror 聴いてみたいな!という方は上の画像をクリックしてね
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『真夏の航海』幻のままでは…どうでしょう?

2015-06-08 22:33:37 | アメリカの作家
SUMMER CROSSING 
2006年 トルーマン・カポーティ

幻の処女作らしい…

この小説は、2006年、カポーティの死後20年以上もたってから発表されています。
その経緯は巻末の、発行人のあとがきに詳しく書かれているので省きますが
カポーティ自身はこの物語を世に出す気はなかったようです。
その気持ちはちょっとわかる気がする… 私なんかが言うのもなんですが…

あらすじをさらっと書いとくね。

舞台は1960年代のニューヨークです。
主人公は、投資家の娘グレディ・マクニール、17歳。

グレディの父親と母親は、夏の間、長いバカンスをパリで過ごすのですが
どうしても行きたがらないグレディをひとり残して行くことにします。

おいおーい! 17歳という一番ひとりにしちゃいけないお年頃の娘をおいて行く?
しかも夏!! 一番開放的になっちゃう時に。

出発の日、両親を見送るグレディの隣には幼なじみのピーター・ベルという青年がいて
グレディはこれから彼とデートするとまで言っているのに、親、行っちゃいます。

けれどもグレディの本当のデートの相手はピーターではなくて
2ヶ月前に知り合った、パーキングで働いているクライド・マンザーという青年です。
そしてほら、クライドはその日のうちにグレディの高級アパートに行っちゃったよ。

物語はグレディの恋心が燃え上がり、徐々にクライドも盛り上がり、
ピーターもグレディへの気持ちに気づき… と、青春っていいよね! な展開になりますが
もちろん、いくつかの問題もおこって、二人の恋を危ういものにしたりします。

ひと言でまとめてみましょう。
両親がいない夏を謳歌した少女の、夏の終わりに困っちゃったね… な物語。

そしてラストは…
これ、どうゆうこと? と、唐突に終わっちゃったんですが、実は未完らしい。
書いててイヤになっちゃいましたかね?

これまで処女作とされていた『ミリアム』より前に書かれていたらしく
手直ししようと思えばできたと思うのですが、とにかくしまい込んでいたようです。

そうですねぇ…

私はカポーティの小説の女性主人公は、奔放なタイプも気味が悪いタイプも
イッちゃってる人も、子供も若い女性も老いた女性も
心を捉えるような何かが、多かれ少なかれあるような気がしていますが
この物語のグレディは、特にないんですよね。
大金持ちで綺麗でわがままでセンシティブ… ありがちな気が…

そういう少女と、多くを語りたがらずつかみどころがない
どちらかといえば貧しい青年との恋愛もようは、何もカポーティが書かなくてもね…
読んでいてそんな感じを受けました。

主人公のまわりを固めている、ピーター・ベルや、クライドの姉アイーダや母親
クライドの友人ミンクとその恋人のウィナフレッドあたりに
将来のカポーティが描く、みずみずしくも微妙な人物像が垣間見えたような気がします。

もしも最後まで書き上がっていたら、面白い展開になっていったのかもしれませんね。
グレディもクライドももっと突拍子も無い行動に走っちゃったりして…
どうもそうゆうふうにもっていこうと試みたラストに思えました。

映画化されたらしい… 映像だったら60年代のラグジュアリーなサマードレスとか
グレディとピーター、若いセレブの豪遊ぶりが見られて楽しいかもね。 見ないけど…

ひとことドラマコーナー
毎週『天皇の料理番』が楽しみすぎる! キャストがいいよね~ 哲太&美保純夫婦がよい!
そしておにいやん… 出てくるだけで泣けるわ  さらに昨日のひろみ・ごー! 彼でなくてはできない役だったかも…
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『O・ヘンリー ニューヨーク小説集』求む!白馬の王子

2015-06-04 20:16:19 | アメリカの作家

O・ヘンリー

O・ヘンリーは新潮社の『O・ヘンリ短編集 1~3』『O・ヘンリー ミステリー傑作選』
読んで、もう腹一杯!と思っていましたのに、結局『魔女の差し入れ(善女のパン)』と
『二十年後』といった有名どころ以外は覚えてなくて愕然としちゃったわ!!
21篇中、未読が4篇、覚えてたの4篇で、13篇は… いかーん!記憶の彼方にあるよ。
新刊が読めたとポジティブ思考でいくことにします。

編者がもっともニューヨークらしいと考えたストーリーひとつひとつに
時代背景と舞台となった場所の解説がついています。
それから当時の画家が描いたニューヨークの絵がいくつか掲載されていて
小休止的に楽しめました。

O・ヘンリーらしい、いい話しありユーモアありの一冊でしたが、その中から今回は
女性が主人公の物語をいくつか紹介したいと思います。
勝手な想像ですけど、世界一自立心が強そうなニューヨーク女性の百年前のロマンスは?

『天窓の部屋(The Skylight Room)/1906年』
パーカー夫人の下宿で一番安い部屋を借りたミス・リースンは、天窓から見える星に
ビリー・ジャクスンという名前をつけます。
フリーのタイピストをしているミス・リースンの仕事がだんだん減っていきます。

『伯爵と結婚式の客(The Count and The Wedding Guest)/1907年』
アンディ・ドノヴァンは、下宿に越して来たミス・コンウェイを意識していませんでしたが
ある日、喪服姿で現れた彼女にハッとします。
ミス・コンウェイは婚約者だったイタリアの伯爵が死んでしまったとうちあけました。

『あさましい恋人(A Lickpenny Lover)/1908年』
ビッゲスト百貨店に大金持ちの青年カーターがやって来て、手袋売り場の美しいメイシーに
ひと目惚れ、すぐに猛アタックをしてデートの約束をとりつけます。
2週間後、メイシーが結婚を受け入れてくれそうだと思ったカーターが
とびきり贅沢な新婚旅行のプランを話します。

『ひとときの理想郷(Transients in Arcadia)/1908年』
ブロードウェイの喧噪から逃れられる一軒の素晴らしいホテルを、優雅な貴婦人が訪れます。
その三日後にやって来た青年と婦人は次第に親しくなっていきます。
いよいよお互いがアメリカを発つという前夜、二人はバルコニーにいました。

『車を待たせて(While the Auto Waits)/1908年』
いつも夕暮れ前に公園のベンチで本を読む娘を待っていた青年は、意を決して声をかけます。
しかし彼の馴れ馴れしさに娘は怒り、自分はレディだとうちあけました。
公園には運転手の目を盗んでおしのびで来ていると言います。

他にもあったのですが、好きだったものとヒネリがきいているものを5話選んでみました。
この中のいくつかは恋が実り、いくつかはうまくいきませんでした。

主人公は当時最先端といわれた “ デパートガール ” とかタイピストなどなど。
さぞかし独立心が強く仕事に誇りを持っているんだろうと思いきや
その仕事を活かしていい相手を見つけなければ!! というガッツが読み取れます。

O・ヘンリーの偏見もかなり含まれているようですが、最先端とはいえ薄給の女性たちの
最終目的は、やはり幸せな結婚ということになるんでしょうね?
みんながみんなそうじゃないわよっ!… とお怒りの方もいるかもしれませんが
ジョークが大好きな作家が描いた、愛すべき女性たちとお考えいただければよいかと…

とりあえず、いくつかのストーリーには「こうやってゲットしなさい!」的な
教訓も盛り込まれていますので、興味があったら読んでみて下さいな。
ただ、現代に通用するかどうかはわかりませんけどね…

女性たちのガッツがユニークに感じられる一冊。読んでで楽しいですよ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとこと韓流コーナー
あいかわらずスカパーで迷っているわたくし、先週からやっとBSで『メディカル・トップチーム』が始まりくぎづけですの
オペ服着てりゃどの俳優さんも素敵に見えてしまう私に、ミノのオペ服はヤバすぎる!!
しかもクォン・サンウとチュ・ジフンにアレックスまで…あんな病院があったらどうするよ!? 心拍数あがりっぱなしよ
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『バージェス家の出来事』ハッピーエンドと思いたくて…

2015-04-08 00:15:46 | アメリカの作家
THE BURGESS BOYS 
2013年 エリザベス・ストラウト

このあいだ『オリーヴ・キタリッジの生活』で初めて知ったエリザベス・ストラウトの本を
見つけたので、何日間か迷ったあげく買ってみました。 長篇なのでね…

いきなり本題に入っていい?

ジム・バージェスとボブ・バージェス、スーザン・オルソンという三兄弟妹がいます。

ジムは何年か前に絶対に有罪になりそうな有名人を無罪にして有名になり
ニューヨークで大手の事務所を共同経営する弁護士。
従順で洗練された妻ヘレンがいて、3人の子供は大学に通うため家を離れています。
良いものを身につけて自信満々で怖いものなし… 成功者ですね。

ボブはニューヨークで訴訟支援の団体に勤務しているジムの弟です。
口数が少なく心優しい男性ですが、一度離婚しています。
前妻のパムとは今でも仲良く、新しい夫の子供たちとも親交があります。
4歳の時に車をいじっていて父親をひき殺してしまったという過去があります。

スーザンはボブと双子のひとり娘で、今でも3人の故郷メイン州で息子と暮らしています。
元夫のスティーヴは家を出て、今ではスウェーデンで暮らしています。
スーザンは眼鏡屋で、息子ザカリーはウォルマートで働いています。
父親の事故があってからボブとはしっくりいっていません。

淡々と人物紹介的に進んでいた話しが大きく展開するのは
ボブが兄夫婦宅を訪ねている時に、ジムにかかってきた一本の電話からです。
電話はスーザンからで、ザカリーがある事件をおこしたので来てほしいというものでした。

その事件というのは、故郷シャーリー・フォールズに最近増えてきたソマリ人移民が
モスクで祈っているところへ、ザカリーが凍った豚の頭を投げ入れたというものでした。
しかもラマダン中… ということで、ただのイタズラだったつもりが
人権侵害で司法局や連邦政府から訴えられるかもしれないということでした。

ここまで読んで「やっちまった…」と思っちゃいました、私。
政治的なこととか人権とかが語られる小難しい物語だったらどうしましょう?
しかも宗教… 私に理解できるんでしょうか?と、ちょっとめんどくさくなったりして…

でもそんな心配はいりませんでした。
もちろんちょっとは絡むんだけど、この事件の展開とともに
バージェス兄弟妹と彼らをとりまく人たちの心や状況の変化が描かれています。

いろいろなエピソードが絡み合っていく面白さがあるので
これ以上あらすじは書きませんけどね… 長~~くなるし収拾つかないからね。

本当はかなり目まぐるしい変化なんだけど、そんな忙しさは感じられません。
以前も思いましたが、文章が飾りたてられずストレートに書かれています。
プロローグから始まり4章に別れているのですが、短く区切られていて読み易く
怒鳴りあうシーンでさえもうるささを感じさせない筆運びが読んでいて心地よかったです。

バージェス兄弟妹の他に、かなりの数の登場人物がいるのですが
皆が感じているのは、去って行った人への喪失感… でしょうか?
出て行った人や死んだ人、戻ってきてほしいとかもうどうでもいいとか
程度や長さに差はあっても、抱えながら生きていっている感じです。

ほとんど思い出さない人、ふと思い出す人、心に居着いてしまう人…
人は誰でも失ってしまった人を持っているはずですよね。

この物語は、それらを乗り越えろとか打ち勝てと言っているのではないと思います。
そうですねぇ… 登場人物たちの、失った人への向き合い方を読んで感じたことは
「人それぞれ」でしょうか?
人それぞれって、言うのは簡単なんだけどなかなかその境地には達せないんだよね。

めくるめく… とまではいきませんが、章が変わるごとに登場人物たちに変化がおこり
興味が削がれないまま読むことができました。
とても面白い一冊でした。

新たに見つけた好きなタイプの作家でした
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
すでにシャヲルで話題騒然(になっていると思う)のオニュのインスタデビュー
まさかの壁3連発に4枚目への期待が高まっていたところ
これだ!
 ここにいたのかと思うと泣けちゃうね




感動のエンディングをむかえたSHINee WORLD 2014~I’m Your Boy~ Special Edition in TOKYO DOME [DVD]
観てみたいな!という方は上の画像をクリックしてね
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