万福寺 大三島のつれづれ

瀬戸内・大三島 万福寺の日記です。
大三島の自然の移ろいと日々の島での生活を綴ります。

藤田欣也さんのこと

2013年11月29日 | Weblog

 去る11月21日、口総の藤田欣也さんが心臓疾患の為に急逝されました。23日に葬儀が執行されたことです。行年83才で

あられました。

ご尊父が呉の海軍工廠に勤務されていましたから、呉で生まれられ呉で生活されていたのですが空襲が激しくなり郷里の大三島

にご家族で帰郷されたのでした。その頃はどの集落も空襲で焼け出された人々や外地から帰還された人々ですごい人口となってい

ました。それは昭和20年代のことです。昭和20年代のこの地域の青年団活動は貧しいながら隆盛していた様に思い出します。

 年に何回か行われる「演芸会」は非常に賑やかなものでした。村民がこぞって見に行く楽しい演芸会でした。欣也さんはその演

芸会の花形スターでした。村役場に勤務しながら青年団活動をし、また少年会活動をも指導して行かれたのでした。その会場は寺

の本堂でした。

 最後は大三島町の助役職を勤められ、退職後には大三島町立美術館長を任ぜられたのです。その頃、終戦直後の頃のことを語っ

て下さったことがあります。青年期にあって将来が不安極まりない中でご院家先生(前住職)に遇えたことは幸せでした。と、

 その後、寺の総代を務めて下さり、多大なお力をご寄与下さいました。深く感謝申し上げます。


                 

     欣也さんのご寄付でできた鉄舟揮毫の山号額の板刻
                   欣也さんご寄付の4枚の金襖へ中島千波画伯が桜を描かれご奉納くだされたのでした。 

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南禅寺金地院を訪ねる(なんぜんじこんちいん)

2013年11月27日 | Weblog
 11/21、坊守の従兄弟会が京都で行われ私も同行することになりました。少し早く京都に着きましたので南禅寺に寄ってみ

ました。ウイークデイでありますが紅葉が見頃ですからどこも人出で賑わっています。

 私が京都に居た50数年前の南禅寺の管長さんは柴山全慶老師でした。柴山老師はエスペランチストであられ、語学の堪能な老

師であられました。前住職の三智とも厚い交誼がある方でした。そのようなこともあって、紅葉の南禅寺を散策したことでした。

塔頭の金地院に立ち寄りお庭を拝観致しました。白砂を敷き詰めた園庭に鶴亀の築山を配した豪壮なお庭です。その本堂の向拝

に懸けられている扁額は山岡鉄舟居士の揮毫になるもので「布金道場」と雄輝闊達に書かれていて、万福寺の山号額も同じ鉄舟筆

ですから一入親密になったような思いがいたしました。


                   

山岡鉄舟筆「布金道場」


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エスペラント運動人名事典

2013年11月23日 | Weblog
                                                 

10/3に東京のひつじ書房より画像の「日本エスペラント運動人名事典」が出版されたことを新聞で知り購入いたしました。監

修は峰芳(みねよしたか)氏、編集を柴田巌(しばたいわお)後藤斉(ごとうひとし)両氏によって完成したことが記されてい

ます。640頁にもなる大変な労作であります。

エスペラント語は云うまでもなくポーランドの眼科医師ザメンホフの手によって作られた人工語のことなのですが、この発想は

言語の違いによって民族、国家間の考えの疎通、争いの絶え間のない事を憂えてのことでありました。これは125年前のことな

のですが、このエスペラント語に対する賛同者は急速に世界に広がり多くの人が学習、実用化して行ったのです。日本にも大正の

中頃に伝わり学習会が盛んに行われたのでした。

 当山の前住職三智(旧姓藤原三千丸)も大正12年に学習し、生涯をエスペラントの精神で過ごしました。前住職の口癖が「最

も平和な教え仏教を最も平和な言葉であるエスペラント語で伝える」と云うことでした。第2次世界大戦中は悲しいことにエスペ

ラント運動は休止せざるを得なかったのですが、戦後、長男が広島で原子爆弾で被爆死したこともあって仏教エスペラントの活動

に身を挺して行ったように覗えるのです。

 この運動人名事典には125年にわたる日本での活動された人、賛同された人など物故者2867人の方々の活動歴が記述され

ています。吉野作造、柳田國男、宮沢賢治、梅沢忠夫氏などの著名な方々のエスペラント語との関係なども記述されていて読み物

としても興味深いものがあります。

 前住三智の記述は「あいうえお」順の12頁に遺稿集『微妙音』などを参照して纏められています。

 編集執筆者のお一人、後藤斉氏の東北大学言語学研究室で原稿が編集されたようで陸奥に懐かしみを覚えます。 




                     
                      大三島にもこんな荒涼とした景色があるのです。
 
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ハゼノキの紅葉

2013年11月20日 | Weblog
                         

      


 口総のお宮(磐座八幡神社)の境内に上がる石段の側にハゼノキの古木が池に枝垂れて枝を水面に伸ばしている。紅葉している

のが遠くから覗えたので側まで行って撮影しておきました。

 ハゼノキは「うるし科」に属していて紅葉がきれいですが、やはりかぶれることがあります。

 お宮のハゼは枝に苔やノキシノブを沢山つけて古木然としています。
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皇帝ダリア

2013年11月19日 | Weblog
                     
                                           

 昨朝、坊守が今治組坊守会研修旅行に出発するので待ち合わせ場所まで送って行く途中、窓外に見える花を指さして「あれは皇

帝ダリアですよ」と教えてくれました。私は「皇帝ダリア」と呼ばれる花があることすら知りませんでしたので、その名に新鮮味

を感じました。どこかのいつかの時代の皇帝が愛でたダリアなのかなァ、などと思いつゝ後から撮影に行きました。

 側に寄ってみると随分と茎が高く、花は2㍍50㌢位のところに咲いていて風に盛んに揺れています。撮影は俯仰して撮影しま

した。

 ネットで調べてみると、ダリアの種類のなかで一際背丈が高く位が高そうにみえるところから「皇帝ダリア」と名付けられたと

解説されていました。私の思いとは随分と違っていました。それにしても秋が深まって咲くダリアがあるのは驚きです。
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生樹の門(いききのもん)

2013年11月16日 | Weblog
                        


神戸須磨にお住まいの在間洋子(ざいまようこ)さんより『生樹の門』と題された詩集が贈られて来ました。数年前にも詩集

『花瓶の水』をいただきました。その前には生家のお姉さんから詩集『手結び』をいただきました。

 洋子さんは大三島の浦戸に生まれられ、旧姓は藤原と云われ私(住職)より1学年上の方でした。ご主人の勤務の関係で神戸に

住まいされるようになりその頃より詩作をされるようになられたようです。それにしても洋子さんの豊かな詩才には感動いたしま

す。眼耳鼻舌身意のたおやかな感性がきらきらする語彙となってあふれ出ているような感がいたします。

 巻頭の詩「のこり湯」とこの詩集のタイトルとされた「生樹の門」の2篇の詩をご紹介しておきます。


        のこり湯

   わたしたちの住む北半球では
   水の渦は左巻きと聞く
    
   わたしの家の水はどうだろう
   たとえば 風呂ののこり湯
   浴槽の掃除をしながら排水するので
   右に左に巻き返し
   最後は東子で一気に追われ
   チャバチャバキュウ
   騒いで出て行く

   そうだったのか 
   のこり湯だって 旅立つ時には
   左に巻いていたいのだ
   静かに
   宇宙の磁気に誘われながら

   わたしに残る命の水も
   去る時は穏やかであれよ
   今日は排水栓を抜いておく
   それだけにする


        生樹の門(いききのもん)

   わたしの故郷 大三島に在る
   樹齢三千年の楠の大樹は
   今日も好い香りを放っている
   
   生樹の門 と呼ばれるこの樹は
   根元にぽかりと大きな洞がある
   空を覆う梢を見上げ
   樹の腹をくぐり抜けると
   石畳の参道が奥の院へつづき
   古い御堂の薄闇に
   釈迦三尊像が祀られている

   初夏には白い花をつけ
   樹は三千年 ここに在った
   小鳥が訪れ 蟻が這い
   ひとが祈りを捧げていった
   生き替わり死に替わりまた生まれて

   これから何千年 樹はここに在るだろう
   幾億個の鳥や蟻 人の生を見るだろう
   朝なあさな葉末に結ぶ
   露の無数を見るように
   それでも 樹は知っているのだ
   夜ごと星を仰ぐとき
   星の雫のひと粒ほどの
   はかない自分の生のことを

   好い香りを放つ樹の門をくぐり
   わたしは祈るためにやって来た
   結ばれたわたしをほどく朝の陽に
   小さくとも よく空を映す
   澄んだひと粒でありたいと


 洋子さんの長年にわたる何冊もの詩集は種々の文学賞を受賞されています。作品に目を通しておりますと、心の襞に溜まったゴ

ミが取れるような感じがします。ありがとうございました。

   
  
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紅葉が進む

2013年11月15日 | Weblog
              
                  沙羅の紅葉
                                        
                                       清滝もみじの紅葉        


 夏から直ぐに冬型の季候に飛んで秋季が取り残された感じで落葉樹の紅葉が慌てている感じです。雨に濡れて沙羅の紅葉が一瞬

の美しさを呈しています。



           
            沙羅の紅葉のアップ

                 
                  夏始め頃、寒蘭などの鉢かえをしました。初めての試みで心配しましたが、何鉢かは花を咲かせています。これは神曲です。雨に濡れていたのを玄関に取り込みました。

 
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上浦町デェイサービスメンバー来山

2013年11月07日 | Weblog
            


11/7、午後2時かねてご依頼があったように上浦町福祉協議会よりデェイサービスのメンバー40名が介護士の方10名に付き

添われて来山されました。ライトバスや介護車に分乗しての来山です。万福寺は初めてお参りの方がほとんどで、大変喜んでおら

れる様でした。

 初めに「重誓偈」のお参りをし、住職挨拶に続いて若院が法話を語りました。手話を交えた話には皆さん随分と乗っていたよう

です。

 このようにご遠路をお参り来て下さることは本当に有難いことです。
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鈴木大拙先生英訳『教行信証』(すずきだいせつせんせいえいやく、きょうぎょうしんしょう)

2013年11月06日 | Weblog



11月の法語カレンダーの才市さんを世に紹介された鈴木大拙先生の『妙好人』を読みながら思い出しました。先月広島から来

訪された倉石満さんとの会談中にお尋ねされた「鈴木大拙博士英訳の教行信証は今でも見れますか?」、私は大拙先生が英訳され

たことは知っていましたが、それが単行本になったかどうかも不案内だったので、「さァ、どうでしょうか」と曖昧な返答をして

いたことを思い出して、インターネットで調べて見ました。すると「shinran’s kyougyoshinsho」で検

索するとヒットしました。発行所は東本願寺、印刷製本等は英国のオックスフォード大の出版社からでした。アマゾンで扱ってい

るので早速注文して入手しました。大拙先生の労作英訳『教行信証』を感動しながら眺めております。昭和33年に英訳された山

本晃紹先生訳の『教行信証』、西本願寺の仏典翻訳室訳の『教行信証』と書庫に3種の訳が見られるようになりました。それぞれ

少しずつ訳文表現が違っているようです。

 同時に求めた単行本に東本願寺から再発行された『親鸞の世界』。これは大拙先生の英訳『教行信証』をめぐっての親鸞聖人が

使われている「仏教用語」を中心としての鼎談集なのです。鈴木大拙、金子大栄、曽我量深の大徳と申すべき3先生を宗教哲学の

雄、西谷啓治先生が司会をされて座談が進められている、実に深重な対談集なのです。この鼎談は昭和36年、親鸞聖人七百回大

遠忌の年に行われたものでもう50数年も前のものなのですが、大徳方の口から実に貴重なご解釈の言葉が行き交っていて読み応

えがあります。50年前のものなのですから、当然ながら4人の先生方は故人なのですが・・・・、一言々々がズッシリズッシリ

重いものです。仏仏相念の世界に近いものが漂っており何とも好ましい限りです。
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秋の色

2013年11月01日 | Weblog
 朝は冷え込むようになりました。今は暁鐘を5時30分頃に撞いていますが、真っ暗闇です。半袖着ではクシャミが出ます。

秋の草花は秋の気温でなければ秋の色にはならないような気がします。野紺菊もツワブキの黄色もしっとりと鮮やかです。


          
       野紺菊       パイナップルセイジ      つわぶき       パイナップルセイジと野紺菊
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