平成16年の秋からだった記憶しておりますが、筑波大学の歴史・人類学などを専攻する大学、修士等の学生約40人が指導教
授とともに大三島南部(旧岡山村)の社会、歴史、習俗などの調査研究のために1週間滞在されてそれぞれのテーマのもとに調査
や古老への訪問聞き取り作業が熱心に行われたことがあります。
その後、何人もの人がそのテーマの研究を続けられ何年にもわたって何度も何度も足を運んで来られて調査を続けられ、大学か
ら修士、博士課程へと進学されています。
そのお一人に花木宏直さんと云われる学究の徒がおられます。筑波から大三島へ何度来られたでしょうか、拙寺へも熱心に通って
来られました。彼のテーマはこの大三島南部(旧岡山村)から大正期から昭和20年の終戦まで多くの人がフイリッピンのマニラ
へ移住し事業を興し活躍していたことに着目されて「近代瀬戸内地域における海外移民排出の歴史地理学研究」と云う修士論文を
纏められました。昨年その論文を冊子とされて贈ってこられたのです。
実に綿密に広範囲に当時の資料に当たられて戦争前の旧岡山村の状況を詳しく論考を加えておられことに目を見張りました。今
まで私が見たこともない、考えもしなかった当時の海外への渡航記録が外務省には保存されているのだと云うことなど驚くような
資料・史料に当たっておられるのです。随分と認識を新たにしたことです。
恐らくこのようなテーマでこの地域の調査研究は前にも後にももうないことでありましょう。そう云った意味でも花木さんの論
文は有難く、貴重です。拙寺の書庫に永久保存させて頂く所存です。
関心をおもちの方はご閲覧ください。 花木さんの論文は昨秋に頂いていたのですがご紹介が遅くなって申し訳ありません。
桃源白椿
高台寺椿