もう4月になりました。各地の桜の名所は満開、大三島の桜も9分咲きくらいでしょうか。
4月の法語はお正信偈さまのインドに出られた龍樹菩薩(ナーガルジュナ)さまのお念仏のみ教えをお述べ下さってある『十住毘婆沙論』(じゅうじゅうびばしゃろん)の「易行品」(いぎょうぼん)に「仏法に無量の門あり。世間の道に難あり易あり。陸道の歩行はすなはち苦しく、水道の乗船はすなはちたのしきがごとし。菩薩の道もまたかくのごとし」とあります。このご文を親鸞聖人はお正信偈に「顕示難行陸路苦 信楽易行水道楽」(難行の陸路、苦しきことを顕示して、易行の水道、楽しきことを信楽せしむ)と、おまとめになられました。
この正信偈さまの龍樹菩薩さまのおことばを意訳「しんじんのうた」では
陸路(くがじ)のあゆみ難(かた)けれど 船路(ふなじ)の旅の易(やす)きかな
と、訳されています。お念仏を申させていただく日暮らしは、家を守りながら、孫子を育てながらお浄土への道を歩まさせていただく道であります。出家をして厳しい戒律を遵守し、難行は行うことが不可能な日々の生活に如来さまのやるせないお慈悲が一枚となって下さってある生き方を、陸路を行く道と船路を行く生き方に喩えてお説き下さってあります。今までの人生を振り返って味わっていただきたいと思います。