6月の法語
今年は5月下旬から全国入梅し雨が繁く降っております。大地震と津波に襲われ地盤地下した三陸地方の大変さを思うと言葉が
ありません。
カレンダーを6月にめくりました。
他力というは如来の本願力なり
(註釈版『浄土真宗聖典』p190)
先月に続いて『教行信証』行巻からのお言葉です。「他力」と申されているのは云うまでもなく「他人の力をあて頼りにする」
と云うことではありません。「(阿弥陀)如来の本願力」を「他力」と申すのです。「如来の本願力」は私を離れてあるのではな
くて、私のいのちの上に、私の人生とともに添いたもうてお浄土へお浄土へといざなってくださる「はたらき」のことを「他力」
と申されているのです。
親鸞聖人はご和讃に
如来の作願(さがん)をたずぬれば
苦悩の有情(うじょう)を捨てずして
回向(えこう)を首としたまいて
大悲心ををば成就せり
阿弥陀如来さまが「必ず救う、必ず助ける」とのご本願をおこされた因(もと)をたずねさせていただいてみますと、それは私
(有情)のどうすることもできない悲しみ、つらさ、煩悩の身を放っておくことができないと云う深いお心から起こされた願なの
です。私の人生に寄り添いたまい(回向)、私に呼びかけ、呼び覚まし、私の口から「南無阿弥陀仏」と出て下さり、私の耳に聞
こえ、心に響いてくださりつつ「(如来さまの)大悲の心を成就」とはたらき続けてくださっているのです。
京鹿の子
紫陽花の季節