幸運

幸せの絶頂から奈落の底に突き落とされるってのは悲しいものだ。
通常ならそれほど落胆しない事でも、さっき喜んだのが、ぬか喜びだった事に気付くとその落差は大きい。

今日、ボクの身に突然そんな出来事が起こった。

１００円を拾った！

落ちているお金を拾うってのは、かなり嬉しいものだ。
しかも、５円や１０円ではなく、１００円ってのがいい。
決して高額ではないが、でも１００円あればしっかりした物が買える。
５円とかだと何か買った時の端数としてしか使用出来ないけど、１００円だとそれだけで何か買えるもんね。
そのお金をタダで手に入れたというのが嬉しさを倍増させるよ。

さ～て。
この、あぶく銭で何してやろうかな。

ダイソーに行って好きな物を買うか
回ってる寿司を１皿食べに行くか。
もしくは堅実に貯蓄に回すか。
夢が広がるな。

なんて一瞬思ったんだけど…

でもね。
そこで気付いた。
拾った場所が問題なの。

そこは、我が家。

リビングの床に落ちてたんだよね。
となると、落としたのはほぼ間違いなくボクか愚妻だろう。

全く得してねぇぞ！

愚妻が落としたのなら個人的に多少は得だけど、でも家計的には得をしていない。
昨夜来ていたＲ氏が落としていったって可能性も無くはないが、帰った後ずっと気付かなかったとは考えにくい。

ガッカリだ。
心底ガッカリだ。
さっき一瞬でも喜んでしまった自分が憎い。
あれほど喜ばなければ、こんなにガッカリする事は無かっただろうに。
今夜は家に１人だったのでコンビニで買ってきた『サンポー焼豚ラーメン』を食べたんだけど、いつもより味が落ちて感じましたわ。
あ～あ。

いや！
まてよ！

ねずみ小僧って可能性もあんのか！
どっかの悪どい人間から盗ってきた金を、ボクのような善人にわけてくれたのかもしれないぞ。
常日頃からつつましく真面目に生きているボクを思って、義賊が現れるのは当然といえよう。

もしくは、カネバチか。

それとも、傘地蔵の恩返しか。

お地蔵さんに傘を貸した覚えはないけど、気付かないうちに何かしていたのかもしれないな。
親切の塊であるボクの事だから、善意も無意識のうちにしてしまっているのだろう。
恩返しにしてはちょっと金額が物足りないなけど…
でもまあそんな事を言ってるご時世じゃないので、ここはこれで納得しておきましょう。

結局、真相は分からずじまいだけど、とりあえず次はもっと高額を拾わせて欲しいものです。