SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ある子供」 ~ 親の方もまだ子供

2006年05月23日 | 映画(ア行)
 「子供を持つことの責任」を描いた作品。まだ若い男女の、それこそ「出来てしまった」のであろう子供をめぐり、人間が真実の愛へ一歩近づいていく過程をじっくりと見せてくれる。

 男の方はストリート・キッズの兄貴分のようで、まだ子供を持つ責任感からは程遠い、こちらの方もまだ「子供」だ。一方、女の方は出産を通して「母」になることで確実に何かが変わるようだ。その男女の違いを超えて、ともに一人の子供の親として絆を深めていくまでがリアルに綴られる。

 実際の生活音以外は音楽がなく、長まわしで生の息遣いが聞こえてくるような作品。川のシーンは本当に溺れているのではないかと思えるような迫真の画面に驚いた。

 子供を取り返すまでの悪戦苦闘を主にストーリーが展開するのかと思っていたら、そんなご都合主義ではない、深く尊厳に満ちた作品であった。

 原題は "The Child"で、ある特定の「その子供」のニュアンスだが、邦題は a child (ある一人の子供)の意味になっている。


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