日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「悪人」

2010-09-29 23:07:58 | 映画・DVD・音楽・TV・本など


映画「悪人」を観てきました。
久しぶりの大きなスクリーン、「プレシャス」以来かも。
邦画に限って言えば、まず映画館まで行って観たいものがないのですが、これは原作を読んでぜひ観たかった私。
レディース・デイでもあったのでほぼ満員でした。



吉田修一さんの優れた原作を李相日監督が手掛けた作品です。
深津絵里さんがモントリオール映画祭の賞を受賞した事もあり話題作になっていますね。


おもな内容は・・・

若い保険外交員の女性が殺された事件。
犯人と思われた大学生ではなく真犯人として土木作業員の祐一が指名手配される。
出会い系サイトで知り合って祐一と一緒に逃避行をする光代はいつの間にか祐一と離れられなくなっていた。
そして最後に追いつめられた祐一がとった行動は・・・?
彼は本当の悪人だったのか・・・?    というようなお話。



まず一番の感想はあの420ページにも及ぶ原作を139分にまとめるのは難しかっただろうな~と思います。
もちろん映画ならではの伝え方もあるのでしょうが。
それでも私にとっては原作がもったいないと感じた中身でした。
それを言ったら仕方ないかもしれませんが・・・2時間ドラマでも充分だったかも。(辛口失礼)
それほど原作に思い入れがあるのかもしれません。



祐一の育ちや日頃の生き方をもっと伝えて欲しかった。
ぶっきらぼうで粗野な男のようだけど、その生い立ちや背景など。
特に映画にはなかったファッションヘルスで出会った美保とのエピソードはすごく重要に思えたのです。
祐一が若い男性特有の強い欲望を持ちながらも、変に真面目で一途になってしまう性格。
殺された佳乃とのやり取りも発作的にカッとなったりする一面ももちろんあります。
それから祐一が自分を捨てた実母(余貴美子)から何故お金をせびったか?
そして最後に祐一がどうして光代を殺める(あやめる)ふりをしたか?
この辺りが映画だけを観ている人に本当に理解されるのだろうか!


妻夫木君は新境地を開きましたね。
彼は今まで良い人役が多すぎたから。
(「涙そうそう」のにいにい役のようなのはもう見たくないかも)
今回の祐一役は良かったと思います。


それから祐一の祖母役の樹木希林さん。
相変わらずの存在感でした。
ただ、スカーフのエピソードが原作と変わっていたのは私には残念でした。
幼い祐一を引き取って、真面目に必死に母親代わりとなって育てた祖母。
祐一の学校などへ行く時に他の若いお母さんに対して物おじしないためにスカーフを良く巻いた、というお話。
これは原作で私がすごく心を奪われたエピソードなんです。
ガードレールに巻かれたオレンジのスカーフは少しの所持金で思い切って買った新しいスカーフだったはず。
映画では祐一に以前買ってもらった設定でした。
たかがスカーフなんだけど祖母房枝の生き様がすごく表れるシーンだったのです。


さて、それから増尾役の岡田将生君!
この人は「ハルフウェイ」では可愛かった。
そして「ホノカアボーイ」ではお尻を出して、のほほんとした役がピッタリでした。
ただアイドルっぽくなくどこかシニカルな口元なので悪い役も似合ってます。
チャラチャラしたお坊ちゃん役が巧かったな。
カプセルホテルから引き摺り出されるシーンなどもね。


この映画は「本当の悪人とは?」がテーマでした。
相手によって態度を露骨に変える佳乃も悪人だったし、佳乃と佳乃の父親(柄本明)を蹴り倒す増尾も悪人。
祐一を捨てた実母も悪人。
祖母に健康食品を売りつける人も悪人です。
もちろん殺人を犯した祐一も理由はどうあれ悪人です。
誰もが悪人になるかもしれないそんな不安定な人間社会。
そんな世の中で生きている切なさを感じました。


原作は本当に良いです。
映画で描ききれなかった人間の心の隅々を多くの人に読んで欲しいな~と思いました。


今回の評価は・・・   星3つ   ☆☆☆  


祐一のダサい格好とスカイラインGTRのギャップが印象に残りました。
深津絵里さんは普通だったかな。




























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