日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「ずっとあなたを愛してる」

2010-09-24 14:12:08 | 映画・DVD・音楽・TV・本など
久しぶりの更新になりました
この数日ネットをするよりも「悪人」の原作を一気に読んでいました。
かなり前に読んでいたのに再読でも改めて中身の濃い内容にビックリ。
登場人物の心の動きが鮮明に書かれていた小説でした。
来週あたり時間を作って、映画も観に行きたいです。


            



さて、話題は変わって。
フランス映画「ずっとあなたを愛してる」をDVDで観ました。



2008年製作、監督はフィリップ・クローデル。
作家であり刑務所で教員をしていた経験もあるらしく、映画はこれが初めてだそうです。
もちろん、主演の女優クリスティン・スコット・トーマスの静かな抑えた演技も素晴らしかったけれど、映画全体の丁寧な創りがかなり感じられた作品でした。


おもな内容は・・・

我が子を殺した罪で15年服役していたジュリエット(クリスティン・スコット・トーマス)。
出所してから歳の離れた妹レア(エルザ・ジルベルスタイン)の家に身を寄せます。
レアは姉の存在をずっとなかった事にされた家庭に育ち、自分の子を産む事をおそれベトナムからの養女を二人迎えていました。
社会に復帰してきたもののジュリエットは世間の厳しさを感じながら妹一家の中でも最初はぎこちない暮らしでした。
その後、だんだんと姉妹の絆を感じたり、ジュリエットが出会う人々へも心を開放していく兆しが出てきます。
ジュリエットの罪の真相は・・・?
彼女は罪を背負ってこの社会でまた暮らしていけるのか・・・? というお話。




社会復帰をテーマとしているのでしょうが最後まで親と子など家族の意味が問いかけられた内容でした。
いなかったはずの姉を引き受ける妹レア。
レアの夫は最初は「殺人をした人間に自分の子どもを見てもらうのは嫌だ!」と拒絶。
でもこれは誰だって思ってしまう本心でしょう。
そんな夫がジュリエットを理解するのは、皮肉にも養女プチ・リサの存在だったのかも。
プチ・リサが「今までどこに行ってたの?」とか「ママとはずっと一緒だったの?」とか思った事を全て言葉にして質問攻撃をしてきます。
それを拒絶していたジュリエットもだんだんとプチ・リサ達と一緒にお菓子を作ったりピアノを教えたりして良い関係になってきます。
子どもと信頼関係を築けるのはもしかして大人とよりも難しいかもしれない。
それほど嘘を見抜き、気持ちをまっすぐぶつける存在だから。


ジュリエットの表情はずっと険しかったかもしれません。
出所後、妹レアと会うシーン。
刑事と面会するシーン。
妹の仲間とのパーティーのシーンなどなど、最初はずっと冷たくて険しい表情でした。
だから余計にピアノをプチ・リサと、そして妹レアとも連弾する表情はやすらかに笑顔になってきて良かったです。
それから失語症である妹の義父の部屋にいる時は穏やかだったかな。


ジュリエットが息子を殺した理由は想像通りでした。
ただ、医師として息子の命を奪った時にジュリエットは孤独だったのだろうか?
夫は?
その頃のジュリエットの親は?
息子の安楽死を一人で決め、誰にも真実を言わなかった15年だったのか。
その辺は疑問もちょっとあります。


認知症で施設に入っている実母を姉妹で訪ねた時、妹の事はわからないのにジュリエットの姿を見て
「我が娘!」と抱きつくシーンは重かったです。
記憶が飛んでいるはずなのに15年ぶりにジュリエットを認識できる親の愛。
本能なのでしょうか?


最後までかなり重い内容の作品でした。
「ずっとあなたを愛してる」とジュリエットが言いたかったのは息子に対してかもしれない。
妹レアは姉に対してかもしれない。
ジュリエットの再生をテーマに描かれた落ち着いて重厚な作品でした。


今回の評価は・・・    星3つ半    ☆☆☆★


















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