”The Sound of Wonder!”
世界のあちこちで発生していたサイケデリックな音楽を発掘・復刻を行なっているというか、ある意味全人類の恥を片っ端から暴き立てる事を生業としているようにも見える因果ものレーベルfinders Keepers。今回も凄いのを引きずり出してきましたわ。
インド映画はよくBOLLYWOODとか呼ばれてますが、これはパキスタン映画、通称LOLLYWOODの世界のサントラ音源から'73年~'80年までに発生していたサイケな音を集めたもの。
あのインドのフィルムソングの暑苦しい狂騒的世界に60年代風のエレキギター・サウンドやら70年代風のシンセ・サウンドやらをチープにしてけたたましいセンスでぶち込んで、なんとも恥ずかし嬉しい民俗サイケの極彩色が展開されています。
ファズの効いたエレキギターやオルガンが”エレキでゴーゴー!”な60年代っぽい絡みを見せるかと思えば、そのバックでタブラが鳴り渡り、メイン・ボーカルが伝統色濃いメロディを歌い上げ、どういう来歴があるのか分からないアコーディオンがあちこちに顔を出し、そこに無理やり突っ込まれたシンセがピコピコと走り回る。
クラシックのお勉強をした人がスコアを書いたのであろうストリングスが荘重に聳え立ち、隙を狙ってジャズっぽいフレーズが支配的となる一時もあり。時間も空間もめちゃくちゃですな、これは。どんな映画で使われたのやら。
というかここに収められた音楽群、全体に昭和30年代頃の我が国を覆っていた騒々しいノリとかなりの部分、共通するというか同根というか、やってることはほとんど変わらん気がする。このアルバムのどこかで我らが植木等御大が顔を出してスーダラ節を唄い踊っても私は全然驚かない。そりゃそうだろうな、と思うだけで。
そう、彼らの恥はわれらの恥、と言いましょうかね、もう、こういう音楽をやってしまったんだからしょうがないだろ。そもそも人類の原型はここにあるのだから、みたいな気分にもなってくるアジアの秋の夜なのでありました。
試聴は・・・どう探せば良いのかわかりませんでした。すまん。というか、曲名で探していたら、ここに収められているのとは別の演奏家による同じ曲のまともな演奏、というものにいくつも出会って、ちょっと驚いたのでありました。