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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

やっぱりやっぱり

2006-05-12 15:34:30 | 思い出の絵本
 あさっては「母の日」ですね。
 私も母となってこの夏で10年になりますが、気持ちはいつまでも新米で、なかなか
ちゃんとした「おかあさん」にはなりきれていない気がします。

 そんな私にでも、「ママ、大好き」と手放しで、100%の気持ちで、そう言ってくれる人の
存在は大きいです。私自身は、素直に気持ちをぶつけられる子どもではなかったので、
今そう言ってくれる、娘を前にして、戸惑うような身にあまるような、くすぐったい気持ちを
感じています。

 母の日を前にして、私も何か、お母さんが印象的な本を紹介したいなあと思っていました。
幾つか思い浮かんだのですが、結局この本を選びました。
いえでだブヒブヒ

『いえでだ ブヒブヒ』

 柳生まちこ 作






 こぶたの ブウと、トンと、ヤンは、
 タオルを とりっこして、
 おかあさんに おこられました。

 
お話が始まってすぐに、前置きも説明もなしでいきなり、こぶたの3兄弟はタオルを
とりっこして、おかあさんに怒られちゃうんです。にんじんを残し、おもちゃを片付けず、
また小突き合い・・・。
 しまいには、おかあさんの堪忍袋の緒が切れて、どこへでもいきなさい! と一括されます。

 3人揃えば、こわいものなし。しょんぼりしたのも束の間、3人はいそいそといえでを
します。こんな歌を歌いながら。

 ここの うちとは おわかれだ
 よその おうちの こになろう
 いえでだ、ブヒブヒ
 いえでだ、ブヒブヒ

 
うさぎさん親子の家、わにさん夫婦の家、子沢山のカラスさんの家、色々行ってみたけれど、
どうもしっくりいきません。今度は野宿を考えて、勇んで、シーツでテントのうちを作りますが、
楽しかったのは最初だけ。だんだん日が暮れてきて、つまらない気持ちが増してきます。
ヤンがとうとう泣き出してしまったとき、遠くからおかあさんの声が聞こえました。そうして、
こぶたくんたちの「短い家出旅行」も終わります。

 おかあさんの声が聞こえて、3人が家に帰る場面は、ほんとうにいじらしくてかわいらしいんです。

 こぶんたくんたちは ぱっと とびおきると、
 はしって はしって
 はしって はしって
 おかあさんの まっている うちへ かえりまーす。

 
ただ「走る」んじゃなくって、「はしって×4」のところに、こぶたくんたちのおかあさんへの
気持ちが表われています。うちへ「帰ります」ではなくって、「かえりまーす」の伸ばし棒の
ところに嬉しさがにじみでてますよね。

 
 なにがあっても、やっぱり、やっぱり、みんなおかあさんのそばがいいんです。
 小さい頃は、いっつも、何するのも「見てて」「ママ、見てて」です。取り合いも、好き嫌いも、
けんかも、お母さんが居るところで、見ているのがわかるところでするから、楽しいんですね。
 だから。ああ、うっとおしい、静かにして、たまにはどっかいっちゃって。そう思っている時が、
実は母としてのピーク時なのかも、と思うこの頃です。


 この本は、見開きに地図が描かれています。それを見ると、こぶたくんたちの「家での足跡」が
よくわかります。娘がまだ保育園へ通っていた頃、寝る前にこの本を読むと、読み終わった後、
必ず地図を見ていました。昨日も見たからもういいんじゃない、と言いたいのをこらえて、
毎晩それにつきあって一緒に地図を辿ったこと思い出しました。懐かしいです♪♪♪

 

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
新歌さんへ (ruca)
2006-05-16 16:41:27
こんにちは。



そうですね、こぶたくんたちにとってはこれも「遊び」の一つなんですね、きっと。家にお母さんが居るのを知っていて、近所をぐるぐるまわっているだけですもの(笑)。

でも、お隣やそのまたお隣に行くたびに、「おかあさんの言う事をきけない子はうちの子じゃありません、って言われたから」と話されてしまうのは、ちょっとおかあさんぶたもつらいかも。



柳生まち子さんの描く絵は、デティールにもこだわりがあって、私は好きなんです。こぶたくんたちのお母さん、こわい顔しておこっているけど、足元は結構おしゃれなサンダル履きです。
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くっちゃ寝さんへ (ruca)
2006-05-16 16:36:49
こんにちは。お返事遅くなりました。



うちは一人しか子どもがいないので、手がかかる時期は、過ぎてしまえばあっという間だった気がしています。

あの頃は、たいへんだと思っていた赤ちゃん・幼児期時代がすでに懐かしいから、勝手なものです(笑)。



大きくなっていくのは、嬉しい反面、すこしだけ寂しい・・。でも、これからは、別の面で楽しいことも待ってるかな?と思っています。これから好きになるであろう音楽の話や、くっちゃ寝さんのとこのように、同じ小説を読んだり。そしてそのうちお酒も一緒に飲めるだろうし。
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フラニーさんへ (ruca)
2006-05-16 11:01:31
こんにちは。返事が遅くなってすいませんでした。



私から見たら(というか、文章から感じることですが)、フラニーさんは、とってもいいお母さんに思えますが、そのフラニーさんでも、やはり「母になりきれてない」と感じているんですね。他人から見れば、誰かのお母さんでも、自分から自分を見たときは、いつでも「ただの自分」。でも、そのほうがいいのかな?と思うときもあります。いつでもどこでも「お母さん」でいたら、自分自身も、そしてきっと子どもも、疲れてしまうような気がするんです。でも、これも、母になりきれないものの言い訳かな?
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タイトルだけ (新歌)
2006-05-15 22:00:13
知っていましたが、こういうお話だったのですね^^

母の日にちなんだ「みんなのえほん」をアップしましたが

こちらの作品も、是非読んでみたいです!

表現のひとつひとつに、こぶたたちのお母さんの、日ごろの愛を感じます。

それがあるからこそ、安心して?家出も出来るというものですね♪
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未熟な母ですが (くっちゃ寝)
2006-05-15 13:40:26
子どもがまだ小さい頃は「母の日に何が欲しい?」と聞かれたら、「自分の時間!」と答えていました。今思えば、あの頃がお母さんとしてのピークだったのかな。

最近は、日曜日なのに家の中に私しかいない、という時もあって、少し淋しく感じることもあります。休日に子どもの声が家中に響き渡ってる、という賑やかな時期は意外に短いものですね。

いまだに未熟な母親ですが、子どもたちもそのへんはわかってくれていて(?)、「仕方ないなあ」という目で見てくれているようです。

こんな母でも大切に思ってくれる、子どもって、本当にありがたい存在ですね・・・。

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あらら・・・ (フラニー)
2006-05-13 23:57:16
あらら、、、ごめんなさい、なんだか文が変ですね。



わたしがいつまでも母になりきれないというか、

昔いだいていた母像とずいぶんかけ離れている

というか、そんなでも、子にとっては母で、

子どもに育ててもらっているなァ・・・

ということが言いたかったのでした。

失礼しました!

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手放しで好きと言ってくれる人 (フラニー)
2006-05-13 23:52:16
rucaさんの記事を読みながら、本当にそうだなーと

しみじみしています。

どんなに怒ったって、手放しで好きと言ってくれる

人の存在のありがたさですよね。

これから特に上の子には、いつでも戻れる場所だけ

あけて、見守っていたいなぁと思います。

まだまだ娘の立場のほうが大きくて、わたしも

いつまでたっても、母になりきれず・・・。

子どもに母として、育ててもらっている感覚です。
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