もう1ヵ月前のことになってしまいましたが、仙台に行った時、
宮城県美術館で、彫刻家佐藤忠良さんの作品を観てきました。
の、前に。
そもそも『ロックの細道』に行ってみたい、行ってみようと思った根底には、
開催場所が仙台であり、仙台に行ったら、佐藤忠良さんの作品が観られる!と
気が付いたことも大きな要因でした。
佐藤忠良さんは、著名な彫刻家であり、絵本『おおきなかぶ』や、
『ゆきむすめ』の挿絵でも有名な方で、尚且つ、同じく彫刻家の船越保武さんとの
長い親交のお話を、代官山のセミナーで末盛さんから聴いていたこともあって、
数年前よりずっと宮城県美術館へ行くことができる機会を探していました。
忠良さんが、戦後シベリアに抑留されていたことを、末盛さんのお話の中で伺ったのか、
あるいは別の何かで読んだのかは忘れましたが、上の2冊の絵本の中の人たちや、その服装は
その時の経験があればこそ、とのこと‥。なんかそれを知った時、忠良さんはどんなにか
強い方なのだろうと深い尊敬の念を抱きました。そして、そんな方が作った彫刻を観てみたいと
思っていたのでした。
今回、ライブの翌日、新幹線に乗るまでの時間を充てられるという好機と
娘と共に訪れることができた嬉しさもプラスされて、忘れ難い美術館になりました。
宮城県「立」ではなくて、
宮城「県」美術館、なんですねー。
訪れた9月1日日曜日は、企画展もあったのですが、7月3日~9月8日までの、
佐藤忠良さんのコレクション展示と、常設展に絞りました。
(常設展も大好きなクレーとカンディスキーで、見応え十分)
そうそう、この美術館は絵本の原画にも力を入れているとのことで、
『おおきなかぶ』の他にも、秋野不矩さんの『うりひめとあまのじゃく』
『うらしまたろう』の原画も観ることができました。
忠良さんの作品は、1933年の自画像や忠良さんが収集したシャガールの絵なども
ありましたが、もちろんメインは多くのブロンズ像です。
私は予習もせずに、ただ多くの作品を観てみたい、という気持ちだったのですが、
製作された年代は気を付けてみていて‥1949年《オリエ》と1950年《たつろう》は
ぐっときました。1948年まで抑留と書いてあったので、帰国後すぐに作った
娘さんと息子さんの顔のブロンズ像ですよね‥。
ヨーロッパ彫刻(最初はイタリアの、後にロダンを中心としたフランスのもの)を
学ぶことから出発した日本の近代彫刻史の上で、その影響を払拭し、質朴な市井の
日本人の姿の本質を簡潔に表現している と美術館のサイトでも紹介されている
《群馬の人》 1952年
《ふざけっこ》《冬の子供》など、60年代~70年代初めまでの作品を
「小児科の時代」いうようです。そして、1972年《帽子・夏》に代表される
女性の立像や半身像は‥たとえば帽子とデニムを履いているけど、上半身は裸とか、
帽子だけとか、短いシャツを羽織っただけとか‥。躍動感あふれる女性像が
とてもよかったです。
《記録をつくった男の顔》というタイトルの王貞治さんのブロンズ像もありました。
ゆっくりと作品を観てから中庭に出てみました。お庭もとても素敵でした。
常設展では、クレー、カンディンスキーだけではなく、国内画家の作品も
たくさんあって‥岸田劉生、松本竣介、萬 鉄五郎、三岸 好太郎などなど‥。
(余談ですが、その中に1点だけあった猪熊弦一郎の作品がとてもマチスの絵に
似ていて驚き、そしてショップでそのカードを買いました笑)
美術館を出た後は、徒歩圏内に東北大学があることを知り、行ってみました。
夏休みなのでとても静か。
どこまでがキャンパスなのか、果たして「ここまで」という区切りはあるのか!?
と思いながら、春にはそれは見事な桜が見られるであろう並木道を歩いてきました。
また行きたいな、仙台。