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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

オーガスト

2012-06-04 17:37:41 | 好きな本

返却期限だったので、週末に図書館へ返してしまいましたが、
頭の中は、いまだ、サウスカロライナの蜂蜜小屋です。

読んだ方は、私が付けた「オーガスト」というタイトルと
これだけで、そうそうとわかるかなーと思います。
この本です。





読書の醍醐味は、知らず知らずのうちに、目の前の文章が
自分の頭の中で映像化され、その中で、登場人物と同じ体験を
あたかも、自分もしたかのように思えることだと思うのですが。

アメリカ サウスカロライナの、焼けるように暑い夏の日や、
日がとっぷりくれた中、川への道を急ぐ姿、月明かりの中での
水浴び、そして、蜂蜜小屋、黒いマリア像、砕け降り注ぐ窓ガラス‥などなど
自分がそこに居なかったことが信じられないくらい、くっきりとしたイメージが
今も、私の中に残っています。(そして蜂蜜の甘い匂いも‥)

主人公はリリィ。14歳。
おとーさんは居るけれど、おかーさんはいません。
物語の舞台は1964年のアメリカ南部。公民権法が制定されたとはいえ、
当時の南部では黒人に向けられる目はとても冷ややかです。

14歳の少女が抱えるにはあまりにも重すぎる荷をしょったままのリリィと
リリィが出会う養蜂家の黒人姉妹。
一番上のおねーさんの名が、オーガストなのですが、読み終わって少したつと
このオーガストの存在が、とても重要だったなあと思えてきて、彼女に敬意を
評して、この文のタイトルを「オーガスト」にしました。
(ちなみに妹たちにも、それぞれジューンやメイといった、「月」の名前が
ついています)

包容力があって、決断力があって、優しくて厳しくてー
やっぱり、家族の中の、一番のおねーさんはこうでなくちゃと、思いました。
蜂蜜の生態についての文章もとても興味深かったです。


*DVDも観てみたい気がしますが、もう少し自分の中のイメージに浸ってからに
 しようかなと思っています。



 

コメント (4)
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