報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「青い目の人形」 仙台市内

2021-07-16 19:59:35 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月29日17:00.天候:晴 宮城県仙台市泉区泉中央 仙台市地下鉄泉中央駅→列番不明電車先頭車内]

 泉中央駅で稲生理恵と別れた稲生勇太とマリアは、駅構内に入った。
 そろそろ夕方ラッシュが始まる時間帯に差し掛かっており、駅構内も賑わいつつある。

〔お知らせ致します。この電車は、富沢行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕

 17時ちょうど発の電車に乗り込み、発車を待つ。
 マリアのバッグは人形が2体から3体に増えたので、かなり膨れ上がっていた。
 今のところ、まだマリアンナ人形には『魔法の糸』を通していない為、ミク人形やハク人形にように自由に動き回ることはない。

〔「お待たせ致しました。17時ちょうど発、富沢行き、まもなく発車致します」〕

 仙台市地下鉄はワンマン運転。
 肉声放送は運転士が行う。
 ワンマン運転ならば、運転席に座ったままドアスイッチが操作できるわけだが、この駅では運転士が立って、車掌のように直接ホーム監視をする。
 17時になり、駅構内に時報である“荒城の月”のオルゴールが鳴り始める頃、自動放送が響き渡った。

〔1番線から、富沢行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕

 短い発車サイン音が鳴り、それからドアが閉まる。
 先に車両のドアが閉まり切ってから、ホームドアが閉まり切るところはJR東日本と同じ。
 噂では、西日本では先にホームドアの方が閉まるのだとか……?
 尚、仙台市地下鉄のホームドアのチャイム音は札幌市地下鉄のそれと同じ。
 恐らく、メーカーが同じなのだろう。

〔この先、揺れますので、ご注意ください。次は八乙女、八乙女です。バスご利用の方は、バスプール方面出口をご利用ください〕
〔The next stop is Yaotome station.〕
〔日蓮正宗妙遍寺へは、次でお降りください。また、日蓮正宗日浄寺へは北仙台で。日蓮正宗佛眼寺へは、愛宕橋でお降りください。尚、冨士大石寺顕正会仙台会館は終点、富沢でお降りください〕

 何気に宮城野区の善修寺以外は、南北線沿線に存在する仙台市内の日蓮正宗寺院。
 え?終点の富沢には何があるって?【お察しください】。
 創価学会の会館は地下鉄でのアクセスが不便な場所に存在するのだが、あまりこんなこと書くと、んっ?さんに怒られるからなぁ……。

 マリア:「何か聞こえる」

 電車はホーム停車時には地下にいたのだが、駅を出発すると地上に出る。
 コロナ禍の影響で、窓が少し開いている状態で走行しているものだから、外からの音が聞こえて来る。

 マリア:「何か、メロディのような……」
 稲生:「17時だから、防災無線が流れてるんだよ。さいたま市でも夕方に流れてたでしょ?ああいうのが仙台市でも流れてるんだよ」

 尚、本来、防災無線で音楽を流すことは禁止されている。
 但し、『試験放送』としての時報は例外となっている。
 元々は禁止事項であるものを例外としているわけだから、自治体ごとに流す曲が違って面白い。
 さいたま市のように季節ごとに曲を変える所もあるし、一曲一辺倒という所もある。

 マリア:「Greensleeves...」
 稲生:「うん、“グリーンスリーブス”だね」
 マリア:「日本でも聴くとは思わなかったな」
 稲生:「日本でも有名で、電話の保留音にも使われてるくらいだよ」
 マリア:「そうなんだ」

 “グリーンスリーブス”はイングランド民謡である為、イングランドに住んでいたマリアもよく耳にはしていたらしい。
 但し、日本のアレンジ版ではなく、本当の原曲。

 稲生:「他にも“蛍の光”とか……」
 マリア:「それはスコットランド。『昼はアメリカ、夜はスコットランド。なーんだ?』」
 稲生:「『ヨドバシカメラ』。昼の営業中は『ヨドバシカメラの歌(アメリカ行軍曲リパブリック賛歌原曲)』が流れ、夜の閉店時には『蛍の光(スコットランド民謡原曲)』が流れるから。……って、これ、登用試験に出るかなぁ?」
 マリア:「大丈夫!絶対に出るよ!日本での修行時代の事が出題されるから!」

 実は今回のクエスト達成後、ついに勇太に対して登用試験が行われることになった。
 ただ単に魔法がどれくらい使えるかだけ見られるのではなく、日本でどのように修行してきたかが問われる。

 稲生:「それを言うなら、『春と秋が両方堪能できる駅はどこ?』という問題が出されて、『JR大井町駅。発車メロディがビバルディの“春”と“秋”だから』ってことになるけど……」
 マリア:「それも出るね。勇太、筆記試験は合格同然だよ」
 稲生:「まだラテン語がよく分からないんだよなぁ……」
 マリア:「大丈夫。何とかなるって」

[同日17:16.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 仙台地下鉄仙台駅]

〔仙台、仙台。出入り口付近の方は、ドアの開閉にご注意ください。出口は、右側です〕

 電車が市街地区間に入ると、車内が混み始めた。
 そして、仙台市地下鉄の中で、最も乗降客の多い仙台駅に到着した。

〔仙台、仙台。東西線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕

 仙台空港アクセス線だけ別に案内されるのは、JRではないからである。
 但し、JR東北本線と相互乗り入れしているので、仙台側での乗り場はJRのホームと同じ。
 車両もJRの物と同じなので、ちょっと実感が湧かないかもしれない。
 乗務員も境界駅で交替するのではなく、そのまま相手側の路線まで乗り通す。

 稲生:「降りよう」
 マリア:「先にどっちに行く?」
 稲生:「ホテルにチェックインして、それから買い物に行こう」
 マリア:「分かった」

 買い物というのは、洋服の生地など。
 マリアンナ人形に、新しい服を作ってあげる為の生地だ。
 マリアが使役している人形達の服は、全てマリアの手作りである。
 魔法技工士(魔法具を作る魔法使い。師匠クラスだと魔法技巧師となる)と並んで、手先が器用な魔法使いに分類されている。

 マリア:「ホテルは近いの?」
 勇太:「駅の近くだよ。その方が便利でしょ」
 マリア:「歩き回るよりはいいかな」
 勇太:「そうそう。で、荷物置いて、それからついでに夕食食べればいいよ」
 マリア:「そうだな」
 勇太:「あとは明日の新幹線のキップも買わないと……」
 マリア:「意外とやることあるね」
 勇太:「まあ、クエストは達成したし、あとはねぇ……」
 マリア:「師匠曰く、『屋敷に帰り着くまでがクエストだからね』だそうだ」
 勇太:「そうなんだ」
 マリア:「面倒な事に巻き込まれる前に、さっさと帰った方がいいかもね」
 勇太:「でも、マリアンナ人形の服は作りたいんでしょ?」
 マリア:「そう。だから、ミシンとか買わないと……」
 勇太:「実家にミシンならあるよ。僕から母さんに頼んでみるよ」
 マリア:「それは助かる!」
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“大魔道師の弟子” 「青い目の人形」 栗原・栗駒→仙台・泉

2021-07-14 19:55:30 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月29日15:00.天候:晴 宮城県栗原市某所 稲生家]

 救出した『青い目の人形』の名前は、奇しくもマリアンナと言った。
 人形そのものが今頃見つかること自体も珍しいのだが、附属していたパスポートまで現存しているのは非常に稀有なことだった。
 だがおかげで、この人形の出自が証明されたのである。
 マリアは何十年もの間、暗い蔵の中の金庫に閉じ込められていた人形を洗うと、ボロボロになった服も着替えさせてあげた。
 代わりの服は用意していなかったので、代用としてミク人形の着替え用のメイド服を着せておいた。
 幸いにもミク人形やハク人形とサイズが同じであったので、代わりの服も何とか着ることができた。

 稲生俊彦:「本当にいいのかい?もっとゆっぐりしでっでいいんだよ?」
 稲生勇太:「こちらこそ、蔵の整理を手伝わなくてもいいんですか?」
 稲生政代:「いいよいいよ。蔵の中がきれいになっただけでも凄いことだし」

 用が済んだ勇太とマリアは、この家に長居は無用となった。

 稲生祐介:「姉ちゃんも泊まって行ったらいいのに……」
 稲生理恵:「明日は私も仕事だから帰るわ。この人達、ついでに仙台まで乗せて帰る」
 勇太:「本当にすいません」
 理恵:「いいよいいよ。1人でボーッと帰るよりは」

 勇太とマリアは理恵のワゴンRのリアシートに乗った。

 勇太:「理恵さんは仙台市のどこに住んでるの?」
 理恵:「泉区。だから、泉中央駅でいい?」
 勇太:「全然OKです。ありがとうございます」

 勇太は窓を開けて、見送る稲生家の面々に手を振った。

 理恵:「それじゃ、行きますか。しゅっぱーつ!」

 車が走り出した。
 まずは県道4号線を東進する。

 理恵:「今日は仙台に泊まるの?」
 勇太:「そのつもりです。もうホテルは取ってあるんで……」
 理恵:「ふーん……。一緒の部屋?」
 勇太:「い、いや、シングル別々で……」
 理恵:「なーんだ。結構仲良さそうだから、もうそういう関係なんだと思った」
 マリア:「そういう関係ですよ」
 理恵:「おっとォ!?」
 マリア:「でも今回は『仕事』で来たので、部屋は別です」
 理恵:「フム。仕事とプライベートは完全に分けて考えるか。さすがはイギリス人。ていうか……、『青い目の人形』ってアメリカ製でしょ?イギリス人が何か関係あるの?」
 マリア:「私は人形遣いです。人形の言葉や気持ちが分かります。人形が自分が今置かれている立場から助けて欲しいというメッセージを受け取ったので、助けに来ただけです」
 理恵:「フーム……趣深い。でも今、長野県に住んでるんでしょ?よくこんな遠い宮城まで、人形のSOSが聞こえたね?」
 マリア:「東京で発見したこのコの仲間から聞いたんです」
 理恵:「ああ。東京中央学園の。あれはヤバいよねー」
 マリア:「ヤバい、とは?」
 理恵:「いや、私は信じてなかったんだけど、あの人形、色々と変な噂があったからねー」
 勇太:「理恵さんも東京中央学園のOGなんだ」
 マリア:「そうなの!」
 勇太:「それで僕が東京の高校に進学しようとした時、東京中央学園を勧めてくれたんだ。大学まで東京だったのに、卒業してから戻って来るなんて……」
 理恵:「東京は都会過ぎるし、実家は田舎過ぎる。ちょうどいいのが仙台だと思って」
 勇太:「だったら、さいたま市でも良かったじゃん」
 理恵:「先に就職先の内定くれたのが、仙台の会社だったの」
 勇太:「ホントかなぁ……。父さんが、『さいたま市の会社も受ければ良かったのに』って言ってたよ?」
 理恵:「っ……!叔父さん、余計なこと言って……!」

[同日15:30.天候:晴 宮城県栗原市志波姫堀口 志波姫PA]

 県道4号線を東進し、一旦は国道4号線に合流して北上する。
 県道4号線との重複区間である。
 県道もそうだが、この国道も田園地帯の中を走行する。
 車線も県道よりは1車線分の幅は広いものの2車線であり、とてもこれだけ見ると、この国道が東京まで繋がっているようには見えない。
 しばらくこの区間を北上すると、再び県道4号線が東方向に別れる。
 その道を再び東進すると、東北自動車道の若柳金成インターと交差する。
 そこから東北道に入った。

 理恵:「ハーイ、ここでトイレ&煙草休憩~」

 車は高速に入って最初のパーキングに入った。

 勇太:「ん?タバコ?」
 理恵:「あら?アンタ達は吸わないの?」
 勇太:「僕は吸わないよ」
 マリア:「Me too.」
 理恵:「おー、健康的。じゃ、私だけ一服するねー」

 理恵はアイコスを手にした。

 マリア:(何気にエレーナも電子タバコは吸うんだよな……)

 もっとも、あまり人前では吸わない。

 勇太:「静かだな……」

 志波姫PAは小規模なもので、設備もトイレや自動販売機くらいしか無い場所であった。
 その為、利用者は少ない。
 それでもトイレはリニューアルされており、小さいながらもきれいなものだった。

 勇太:「何か飲む?」
 マリア:「それじゃ……これ」

 トイレを済ませた後で、今度は自動販売機まで行く。
 マリアは紅茶を指さした。

 勇太:「はい」

 勇太は自分の分も一緒に買った。

 勇太:「理恵さんも何か飲みます?」
 理恵:「気が利くね。でも、私はいいや。もう自分で買ったから」

 理恵は缶コーヒーを見せた。

 理恵:「静かな所だからね。ただ単に休憩するだけなら、こういう所の方がいいんだ。だけど、飲み物は買えても、食べ物は手に入らないからね。お腹が空いたら、もっと先のサービスエリアに行かないとね」
 勇太:「別に、お腹は空いてないからいいや」

[同日16:35.天候:晴 宮城県仙台市泉区泉中央地区内 ガソリンスタンド]

 車は東北自動車道を泉ICで降りた。
 それから国道4号線を南下する。
 仙台市内に入ると、国道も片側2車線となっている。
 もっと南下すれば片側3車線になるのだが、そうなる前に車は県道22号線への立体交差部へと入る。
 これは国道4号線と県道22号線との交差点を右折せずに、そのまま立体交差で県道に合流できるというもの。
 県道22号線に合流すると、半地下構造の将監トンネルを走行する。
 トンネルと言っても、半地下ということもあって天井の一部が開いており、昼間はそこから明かりが入って来る為、照明の必要性はあまり無い。
 その将監トンネルを潜り抜けると、泉区の中心部に出る。

 理恵:「駅に行く前に、ガソリンスタンド寄っていい?」
 勇太:「もちろん、大丈夫です。乗せてくれたお礼に、ガソリン代出しますよ」
 マリア:「カードならあります」
 理恵:「プラチナカードって……何でそんなもの持ってるの?」
 マリア:「私の師匠から借りたものです」
 勇太:「僕達の先生、世界的に有名な占い師なんだよ」

 魔道師なのだが、表の顔は占い師である。

 理恵:「へえ、そうなんだ。今度は私も占ってもらいたいもんだね。あ、でも、見料高いかな?」
 勇太:「あー、それはそうかも……」
 マリア:「値段は相手を見て決める。理恵さんは……いくらになるんだろう」
 理恵:「さすがハードル高そうだね。勇太に見てもらおう」
 勇太:「いや、僕はまだ修行中なもんで……」
 理恵:「はは、冗談冗談」

 車は泉中央駅近くのガソリンスタンドに入った。

 理恵:「レギュラー満タンで」
 店員:「はい、ありがとうございます!」
 マリア:「ちょっとトイレ行ってくる」
 勇太:「行ってらっしゃい。理恵さん、でも、アレだよ?別に、プラチナカード使えるんだったら使って」
 理恵:「軽で来て、プラチナカードは思いっ切り怪しくない?レクサス乗り回してる人でも、プラチナカード持ってるかどうか……」
 勇太:「大丈夫。これまでだって、このカードで東横インとか泊まったから」
 理恵:「マジで?」
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“大魔道師の弟子” 「青い目の人形」 最後の人形 4

2021-07-12 20:08:09 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月29日10:00.天候:晴 宮城県栗原市某所 稲生家]

 翌朝になって、稲生家の面々は蔵の中の整理を始めた。
 それで分かったのだが、金庫は仙台箪笥の後ろに隠されるようにして置かれていた。
 具体的には仙台箪笥を退かすと、その後ろに壁があるのだが、それに埋め込まれるようにして大きな防盗金庫が置かれていた。

 稲生祐介:「姉貴はこの金庫の鍵を持っているらしいんだ」
 稲生俊彦:「なして?」
 祐介:「分かんね。姉貴が来たら、説明してくれるんじゃないの」

 マリアは金庫に触ってみた。

 マリア:「微かに魔法の気配がする。これは普通に鍵を掛けた後で、魔法が掛けられている」
 勇太:「何ですって!?」
 マリア:「しかも、その魔力は強い。私の力では、とても開錠できない」
 勇太:「じゃあ、お姉さんが持ってくる鍵でも開かないってこと?」
 マリア:「それは分からない。その鍵を見てみないことには……」

 その時、蔵の外から車の音がした。

 祐介:「姉ちゃんが来たよ!」

 蔵の外に出ると、仙台ナンバーの軽のトールワゴンが止まっていた。
 そこから降りて来たのは、1人の女性。
 背が高く、正常な男性なら目が行って当たり前の巨乳である。

 稲生理恵:「ホントだ。蔵が開いてる!」
 祐介:「姉ちゃん、この人達が開けてくれたんだ!埼玉の叔父さんの所の人達!」
 理恵:「初めまして。稲生理恵です。……ああ、あなたがあの外国人さんなんだ。悟朗君から聞いてるよ」

 稲生悟郎はまた別の親戚の従兄である。
 ダンテ一門の魔道士と結婚して、今はロシアのウラジオストク住まいである。

 マリア:「どうも。マリアンナ・スカーレットです」

 ミドルネームの悪魔名は基本的に名乗らない。
 自分が魔女だと名乗るようなものだからである。
 但し、そう名乗る必要がある場合は名乗る。

 理恵:「うん、やっぱり悟朗君の所と同じ日本語ペラペラだ」
 祐介:「姉ちゃん、それより鍵は?」
 理恵:「持ってる。これだよ」

 理恵は1本の大きな鍵を取り出した。

 俊彦:「古い金庫だからか、鍵も古めかしいデザインだなや」
 勇太:「どうして理恵さんが鍵を持ってるんですか?」
 理恵:「お祖父さんがくれたんだよ。『これは蔵の中にある大事な金庫の鍵だから、蔵が開くまで持っててくれ』って」
 マリア:「あの金庫に鍵を掛けたのは、誰だか分かりますか?」
 理恵:「さあ……。お祖父さんじゃないの?きっと凄いお宝が入ってるんだと思ってるんだけど……」
 俊彦:「凄いお宝が壺とか掛け軸なんだとしたら、もう外に運び出したど?」
 理恵:「じゃあ、壺や掛け軸よりもっと凄いお宝!?」
 勇太:「歴史的にはお宝なのかもしれませんが、金銭的な価値かどうかは【お察しください】」
 理恵:「何それー?」
 祐介:「とにかく開けてみようぜ」
 理恵:「分かったよ」
 マリア:「私が開けていいですか?」
 理恵:「いいよ」

 マリアは鍵を受け取ると、それを金庫まで持って行った。

 マリア:(この鍵も、僅かながら魔法を帯びている。一体、誰が……?)

 マリアは金庫に鍵を差す前に稲生家の面々に聞いてみた。

 マリア:「どなたか私以外に、過去に外国人がこの家を訪れたりはしませんでしたか?」

 すると、稲生家の面々は首を傾げた。
 だが、俊彦が……。

 俊彦:「俺が生まれる前……つまり、まだ親父と御袋が結婚する前だったと思うけど、進駐軍関係者が来たなんて話は聞いたことあるかな……」
 マリア:「シンチューグン?」
 勇太:「第2次大戦の後、日本を占領した連合国軍のことですよ」
 マリア:「ああ!」
 祐介:「何でこんな田舎に?」
 理恵:「戦後の農地改革の視察で来たんじゃない?」
 マリア:(第2次大戦の軍隊じゃ、男か……。じゃあ、違うな)

 マリアは頭で否定して、鍵を開けた。

 マリア:「!?」

 その時、鍵から火花が飛び散った。

 勇太:「マリア?!」
 俊彦:「んぉっ!?何だ?!」
 祐介:「静電気!?」
 理恵:「ンなわけないでしょ!」
 マリア:「いや、大丈夫……。(良かった。私が開けて。これ、トラップだわ……。魔力の無い者が開けたら、電撃魔法が発動して感電してた……。もっとも、ミドルマスター以上なら静電気すら発生させなかっただろうけど……。ということは、この魔法を掛けたのはミドルマスター以上か……)」

 金庫は二重扉になっていて、もう1つの扉にも鍵穴があった。

 マリア:「この鍵は?」
 理恵:「さあ……」
 祐介:「無ェのかよ!?」
 俊彦:「これも、しっかり鍵掛かってんど!?」

 マリアは鍵穴に触ってみた。

 マリア:(今度は魔法は掛かってないみたいだけど……。ちゃんとした鍵があれば、開くかもしれない)
 勇太:「マリア、どうなの?」
 マリア:「今度の扉には魔法は掛かっていないから、ちゃんとした鍵があれば開くと思う」
 祐介:「しょうがない、父さん。鍵屋さん呼ぶか」
 俊彦:「ンだね」
 理恵:「ちょっと待って」

 理恵は徐にポケットからキーピックを取り出した。
 それを鍵穴に差し込んで、何やらガチャガチャやる。
 そして……。

 理恵:「はい、開いたー!」
 勇太:「何で!?」
 マリア:( ゚Д゚)
 祐介:「姉ちゃん、仙台で何の仕事してんだ?」
 理恵:「内緒!」
 俊彦:「とにかく開けてみっぞ!」

 俊彦は2枚目の扉を開けた。
 さらにもう1つ薄い扉があったが、これには小さな南京錠が取り付けられていた。
 これについては……。

 理恵:「ふんっ!」

 理恵が車からチェーンカッターを持って来て、金具を破壊してこじ開けた。

 俊彦:「オマ、なしてチェーンカッター持ってるん?」
 理恵:「前彼がドアチェーン開けてくれなかったから、それ用」
 祐介:「おい、犯罪者!」
 勇太:「おまわりさんこっちです!」
 マリア:「とにかく、開けますよ」

 最後の扉を開くと、果たしてそこに……。

 勇太:「あった!人形だ!」

 金髪のボブヘアーに緑色を基調としたドレスを着用した、『青い目の人形』があった。
 入っていたのは人形だけではない。
 パスポートらしき物や、日記帳も入っていた。
 パスポートには、人形の名前が書いてあった。
 『マリアンナ』と。

 マリア:「助けに来たよ……」

 マリアはそっと人形を金庫から取り出すと、『マリアンナ』人形を抱きしめた。
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“大魔道師の弟子” 「青い目の人形」 最後の人形 3

2021-07-12 11:12:12 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月28日15:00.天候:曇 宮城県栗原市某所 稲生家]

 ミカエラ:「お掃除、粗方終わりました」
 クラリス:「お役に立てましたでしょうか?」
 マリア:「う、うん。ありがとう。後で体と服、洗っておくからね」

 マリアの人形、ミクとハクは人間形態に戻り、蔵の中の清掃を一手に引き受けた。
 しかし、何十年も人の出入りが無かった蔵は荒れ放題で、そんな所を率先して掃除したのだから、埃塗れだけでは済まなかった。

 稲生俊彦:「あの外人さん達、一体どこから来た?」
 稲生勇太:「気にしないでください。マリアさんの付き人でして……」
 俊彦:「まだ若いのに、付き人付きなんて偉いんだっちゃね~」
 勇太:「僕の先輩だし、一人前の人なんで」
 俊彦:「いくつなの?」
 勇太:「えーっと……。魔道士に歳を聞いてはいけないという鉄則があって……」

 “魔の者”に襲われた時、いくつだったっけ……?

 勇太:(そういえば、今は“魔の者”の話を一切聞かないなぁ……)
 俊彦:「ん?」
 勇太:「まあ、僕よりは年上だけど……」
 稲生政代:「あんだ、早くアタシらも掃除するよ!」

 と、俊彦の妻が言った。

 俊彦:「ンあー、分がっだって!」
 勇太:「あ、僕も手伝います」
 俊彦:「いいがら!勇太はマリアさんと一緒にいでけろ!」
 政代:「まだまだ蔵ん中、汚れてっがらね。きれいにするのは、私らの仕事さ。勇太君達はお客さんだから、いいよいいよ」
 勇太:「はあ……」
 マリア:「ちょっと洗面所貸してください。このコ達を洗いますから」
 政代:「ああ、いいよ。自由に使ってけれ」
 マリア:「ありがとうございます」

 いつの間にか人形形態に戻るミカエラとクラリス。
 マリアは家の中に入ると、人形達を洗った。

[同日18:00.天候:晴 宮城稲生家・蔵]

 蔵の中に入る頃、西日が差して来た。
 どうやら何とか雨は免れたようだ。
 勇太とマリアは何とか蔵の中に入ることを許された。

 マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。……」

 マリアは呪文を唱え、ここにいるはずの人形に対する『呼びかけ』を行なった。
 通常なら、それでこの場にいる人形達が何らかのリアクションをしてくる。
 だが、全くうんともすんとも言わなかった。

 マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。……」
 勇太:「どういうことだ?」

 勇太は周りを見渡した。
 すると、不思議なことが分かった。
 いや、不思議としていいものかどうかは断言できないが……。
 要は、静岡の佐野家との違いについてである。
 佐野家には、蔵の中に日本人形やマネキン人形まで置かれていた。
 それが、この蔵には日本人形すら無い。
 もちろん、必ずなければならないというものでもないが、こういう田舎の家にはありそうなものなのに、それが全く無いのだ。

 マリア:「ダメだ。出て来ない。ここにはいないのだろうか……」
 勇太:「えーっ、そんな!ここまで来て……」

 2人の魔道士が失意に落とされそうになった時だった。

 俊彦:「ぅおーい、2人とも。そろそろ夕飯にすっぺ」
 勇太:「あ、伯父さん」
 俊彦:「人形は出て来たかね?」
 勇太:「いや、まだだよ。というかこの蔵、他に人形はしまってないの?日本人形とか……」
 俊彦:「いや、それは知らねぇ。何せ、何十年も閉まってた蔵だからやぁ~」
 勇太:「ここにあるって聞いたのになぁ……」
 俊彦:「また明日探せばいいべ。明日は蔵ん中整理すっからや。そん時、見つかるかもしれねぇっちゃ?」
 勇太:「う、うん……」

 それは無いなと勇太は思った。
 もしそうなら、とっくにマリアの『呼びかけ』に応じて出て来るはずなのだ。

[同日19:00.天候:晴 宮城稲生家 母屋1F茶の間]

 勇太とマリアが夕食を御馳走になっている時、俊彦の息子が言った。

 稲生祐介:「父さん、姉貴に『蔵が開いたから見に来たら?』って連絡しといたよ」
 俊彦:「そうか。そしたら?」
 祐介:「『どうやって開けた!?』って、びっくりしてたよ」
 俊彦:「ンだべなぁ~」

 俊彦はカラカラと笑った。

 勇太:「『魔法で開けた』って返信した?」

 勇太は従兄に言った。

 祐介:「言った言った。したら、『はぁ!?』って」
 勇太:「予想通りの反応だ」
 俊彦:「で?理恵は来るって?」
 祐介:「明日来るらしいよ」
 俊彦:「早っ!」
 勇太:「お姉さんって今、どこにいるの?」
 祐介:「仙台。平日も休日も関係の無い仕事で、ちょうど明日、公休だからそれで帰って来るって」
 勇太:「そうなんだ。あの蔵、いつから出入りが無くなったんですか?」
 俊彦:「祖母ちゃん(俊彦の母。『青い目の人形』を隠した本人)が死んでからだね。何しろ遺言で、『蔵の中の物を勝手に動かすな』って言ってたから、祖父ちゃん(俊彦の父)が、『そしたら、もう蔵には誰も入るな』って言って、鍵をどこかにやっちまったんだよ」
 勇太:「『蔵の中の物を勝手に動かすな』?それはどういう意味なんでしょう?」
 俊彦:「分かんねぇなぁ……。親父に聞いたら、『ガキは余計なこと聞くな』って怒られたし……」
 祐介:「ガキって、祖母ちゃんが死んだの、俺が子供の頃だよ。その時、父さん、もう40歳くらいじゃなかったっけ?」
 俊彦:「40にもなってまだガキ扱いとは、恐れ入ったね~」

 勇太は『蔵の中の物を勝手に動かすな』という遺言が、どうも気になった。

 勇太:「でも明日、蔵の中の物を整理するんですよね?」
 俊彦:「ンだ。もう親父も亡くなったし、俺がこの家継いだからには、あとは俺の好きにさせてもらうっちゃね」
 祐介:「俺も祖母ちゃんの遺言が引っ掛かるんだ。勇太達に探し物があるなら、きっと『蔵の中の物』を『動かした』時に分かると思うよ?」
 勇太:「そうだね。マリアはそれでいいかい?」
 マリア:「家主の意向に従うよ。いくら魔道士でも、他人の物をどうこうできないからね」

 マリアは食後に出された紅茶を啜って答えた。
 マリアだけ来客用のティーカップで、しかもわざわざ買って来たのか、紅茶であった。
 蔵の鍵を開け、中の清掃を(人形達にやらせたとはいえ)したのだから、VIP待遇に近いものである。
 そして、また謎のメッセージが勇太達の元に齎されることとなった。

 祐介:「ん?また姉ちゃんからのLINE。……『金庫の鍵は私が持ってるから、それまで手出ししないで』?」
 俊彦:「金庫?」
 勇太:「金庫?」
 マリア:「Kinko?」
 俊彦:「何のこっちゃ?」
 勇太:「蔵の中に金庫なんてあったっけ?」
 マリア:「いや、無かったと思う……」
 俊彦:「間違って送って来たんでねぇの?」
 祐介:「いや、別にグループLINEじゃないし……。何だろう?」
 勇太:「あの蔵、何か仕掛けがしてあるのかもね」
 俊彦:「まあ、無きにしもあらず、だなや」
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“大魔道師の弟子” 「青い目の人形」 最後の人形 2

2021-07-11 20:01:10 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月28日10:30.天候:曇 宮城県栗原市某所 稲生家]

 稲生俊彦:「ま、マイネーム、イズ、トシヒコ、イノー。な、ナイス、トゥ、ミーチュー」
 稲生勇太:「伯父さん、マリアさんは日本語ペラペラですので、日本語で大丈夫ですよ」

 本当は自動通訳魔法具を使用しているだけだが。

 宮城稲生家の面々:「ズコーッ!!」
 勇太:「あれ?どうしました、皆さん?」

 ズッコケた面々のポケットなどからは、英会話の本が散乱した。
 どうやら初めてイギリス人が来るというので、必死になって英語を勉強したのだろう。
 しかし実態は冒頭の通り。
 尚、俊彦は宗一郎より10歳ほど年上ということだ。

 マリア:「何か知らんが、取りあえず謝っとけ。こういうの、日本人は得意だろ?」
 勇太:「う、うん。あ、あの……何か、皆さん、どうもすいません」
 マリア:「日本語は喋れるので大丈夫ですよ。(本当は英語しか喋ってないけど)」
 俊彦:「そ、そういうのは早ぐ言っでけろー!」
 勇太:「すいませんでした。あの、これはほんの手土産代わりで……」

 勇太は土産に持って来た埼玉県内の酒造メーカーの日本酒一升瓶と、埼玉銘菓の十万石饅頭を渡した。

 俊彦:「おお!こりゃスマンこって……!ささ、どうぞ中へ……」
 マリア:「私達、あっちのKuraに用事が……」
 勇太:「マリア、まずは事の経緯を説明してからの方がいい」

 2人は家の中に上がった。

 俊彦:「ほんで、蔵を開けてくれるんだべね?」
 勇太:「そうです。こちらのマリアさんが、魔法……もとい、特殊な技術で鍵を開けます」
 俊彦:「見た目、鍵屋さんに見えねーけどね」
 勇太:「本業は鍵屋さんじゃないですよ。ただ、彼女のスキルで開けることができるというだけの話です」
 俊彦:「ふーん……。で、開いたらば蔵の中さしまってるっつー人形が欲しいと」
 勇太:「そうなんです。何でも、こちらのお祖母さんが宮城中央学園から持ち出したということですが……」
 俊彦:「あれから俺も気になってね、色々と調べてみたんだ。そしたら当時、母ちゃんと女学校時代の親友だったって人が話は聞いてたらしいど」
 勇太:「その親友の方は?」
 俊彦:「あいにくともう亡くなったよ。知ってるかね?今、仙台市内には『青い目の人形』は一体も残ってないんだとよ」
 勇太:「知ってます。戦争中の仙台市内は旧日本軍の師団が置かれたり、陸軍幼年学校も設置された軍都でしたから、尚更、軍国主義の強い町でした。いくら戦争前に寄贈されたものだとはいえ、敵国アメリカから送られて来た人形をそのままにするとは思えません。ただ単に処分されただけならまだマシな方で、竹槍訓練の的にされたり、さんざん暴行された後で焼却処分にされたという話も聞いています」
 俊彦:「うちの母ちゃんは、たまたま他校でそういうことをされてる人形を見て、かわいそうに思ったんだっちゃね。そのうち、母ちゃんの女学校もあんな目に遭うって噂があったんで、思わず校長室から持ち出してしまったって言うんだね」

 俊彦はコピー用紙を何枚か応接間のテーブルの上に置いた。
 それは俊彦の母親の親友が書いた日記のコピーであった。
 旧字体や旧仮名遣いで書かれているものの、俊彦は何とか解読したようである。
 校長室から人形が消えたということで、学園は大騒ぎになったらしい。
 何しろ、いざ処分となった時に、わざわざ軍高官がやってきたというのに、『紛失してしまいました』ではシャレにならないからである。
 しかし、防犯カメラなど無く、防犯よりも空襲による防災に力が注がれていた時代、結局犯人は見つからなかったという。
 戦争が終わってから親友は、友人から人形の無断持ち出しを告白されて驚いたという。
 そこでほとぼりが冷めるまでは稲生家の蔵の中に隠しておき、人形のことなど忘れ去られた時に蔵から出せば良いということになった。
 しかし、その前に学園の方が廃校。
 どうすることもできずに、しばらく蔵の中に隠しておくことになった。
 というところで日記は終わっている。

 勇太:「ということは、未だに蔵の中に人形はあるということですよ」
 俊彦:「そうみたいだっちゃね」
 マリア:「早いとこ助けてあげよう」

 お茶もそこそこに、勇太達は蔵に向かった。

 勇太:「はい、皆さん。極秘の魔法……技術ですので、下がっててください」
 俊彦:「なんだべまづ、見してくんねーの?」
 勇太:「企業秘密です。ご理解をお願いします」

 マリアは扉の前に立った。
 目の前には大きくて頑丈な南京錠がある。

 マリア:「パッドロック(Padlock。南京錠)か。これなら開けられそうだ」

 マリアはローブの中から魔法の杖を取り出した。

 マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。『古の封印よ。蔵に眠る御霊よ。我が願いを聞き入れ給え。今こそ隠されし鍵を解かん。ア・ヴァ・カ・ムゥ!』」

 杖の先から白い光が放たれ、それが南京錠を包む。
 バキッという鈍い音がして、南京錠の掛け金の部分が折れて下に落ちた。

 俊彦:「おおっ、開いたど!?」
 勇太:「マリアさん、さすがです!」
 マリア:「う、うん。(でも、壊れたのを『開けた』とは言わないな……)」

 よく見ると、掛け金の内側は錆びてボロボロになっており、開く動作をした時に腐った金属が折れてしまったのだろう。
 ということはだ。
 もし鍵があったとしても、錆びてて開かなかっただろうし、むしろ無理やり叩いて壊した方が早かったのではなかろうかと思う。

 勇太:「早速、入りましょう」
 俊彦:「何十年も入ってねーから、きっと中は埃塗れだど。気ィつけて入んねーと」
 勇太:「それもそうか」

 南京錠を開けた後は、石製の扉を開けなくてはならなかった。
 これも重たく、稲生家の大の男達数人掛かりで開けなくてはならなかった。
 で、ようやく開けると……。

 勇太:「確かに埃だらけ!蜘蛛の巣だらけ!」
 俊彦:「うーむ……。こりゃ人形探す前に、掃除すねっけねーな」
 勇太:「この蔵掃除してたら、一日掛かりません!?」
 俊彦:「部屋なら空いてっから、泊まってけばいいべ」
 勇太:「ええ~?」
 俊彦:「遠慮するこだ無ぇよ?蔵の鍵開けてくれただけで十分恩人なんだから」
 マリア:「人手が欲しいのなら、取りあえず、ミカエラとクラリスを使うよ」
 勇太:「あー、それがいいね」

 蔵の中が汚すぎて、人形の捜索どころではない勇太達であった。
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