報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「急展開」

2020-09-25 20:05:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月28日09:00.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区福室 仙台コロナワールド(キャッスルイン仙台)]

 昨夜、仙台の地下鉄がBOWに襲われた。
 時間帯的に、あれ?と思うところがあった。

 高橋:「先生、リサとビアンガキは散髪に行きました」
 愛原:「そうか。今から大体2時間くらいってとこか」
 高橋:「そうっスね。で、俺達はどうします?」
 愛原:「情報収集だよ、そりゃ」

 私はホテルの客室にいる。
 ここならネットもテレビもあるので、チェックアウトギリギリまでいようと思う。

 善場:「おはようございます、愛原所長」
 愛原:「善場さん、おはようございます」

 私のスマホに善場主任から電話が掛かってきた。

 愛原:「今朝のニュースですが、やっぱりBOWのしわざで間違い無いですか?」
 善場:「はい。BSAAの報告では間違い無いようです」
 愛原:「BOWはハンターですか?」
 善場:「いえ、G生物の原型……つまり、リサ・トレヴァーの原型と言って良いものだと思います」
 愛原:「私達が調査した地下道と関係があるんですね?」
 善場:「はい。所長達が調査された際、屋敷に向かう方が崩れていたわけですね?」
 愛原:「そうです」

 その為、私達は屋敷跡へ向かうのを豪快に挫折したのだ。

 善場:「BOWはその崩壊の向こう側、つまり屋敷跡から来たようです。瓦礫を壊して来たということですね。そして例の地下道を進み、行き止まりの壁を壊して突き進んだ。その先が地下鉄のトンネルだったわけです。そこへたまたまやってきた電車を襲ったということでしょう」
 愛原:「それなんですが、あれ?と思うことがありまして……」
 善場:「何でしょう?」
 愛原:「襲われた電車というのが、もしかしたら私達が乗っていたヤツかもしれないんですよ」
 善場:「と言いますと?」
 愛原:「もし私達が一泊せず、昨日中に帰ろうとしたならば、最終の新幹線にしようと思ったんです。仙台21時47分発“やまびこ”70号ですね。もしも私達がコロナワールドで一泊せず、最終の新幹線で帰ろうとしたなら、多分乗っていたと思います。……偶然ですかね?」
 善場:「その確率は高いですが、一応お聞かせください。宿泊することになったのは何故ですか?」
 愛原:「斉藤社長から娘さんのお守りを頼まれたからです。八丈島だけでなく、仙台でもということでね」
 善場:「なるほど。斉藤社長ですか……」
 高橋:「先生、先生」

 高橋が私の肩を叩く。

 愛原:「何だよ?」
 高橋:「あれを!」

 高橋がテレビを指さした。
 そこでは今話題の地下鉄の事件のことをやっている。
 今、被害者の名前がで出ているところだった。
 それを見ると……。

 愛原:「五十嵐親子!?」
 善場:「は?」
 愛原:「今、テレビで五十嵐親子がその電車に乗っていて、襲われて意識不明の重体って出てます!」
 善場:「その情報は初めてです。すぐに向かいます。というか、もう向かっている最中ですけど」
 愛原:「ああ、それで新幹線の走行音が聞こえるんですね」

 ちゃんとデッキに出て話をしているようだ。

 善場:「しかし参りました。確かにあの親子が都内にいないというのは分かっていました。しかし、まだ仙台にいたとは……」
 愛原:「そうですね。しかも車で来たはずなのに、どうして地下鉄に乗っていたのやら……」
 善場:「五十嵐親子は、あのタイミングでBOWが襲ってくることを知っていたのかもしれませんね。それで自分達で対処しようとして、逆にやられてしまったか。旧アンブレラ関係者にはよくある末路です。……まだ、亡くなってはいないようですが」
 愛原:「どこの病院に運ばれたんでしょうね」
 善場:「それはこちらで調査します。愛原所長方は、今の任務を優先してください」
 愛原:「分かりました」

 さすがに、もう民間の探偵業者の出る幕ではないか。

 愛原:「あっと、すいません。ちょっと着信が入りました。また後で情報が入りましたら……はい、よろしくお願いします」

 私は一旦電話を切った。

 愛原:「もしもし。お待たせしましたー」
 斉藤秀樹:「ああ、愛原さん。お忙しいところ、失礼します」
 愛原:「斉藤社長、おはようございます」
 秀樹:「仙台の方ですが、大変なことが起きたようですな」
 愛原:「はい。ですが、私達は無事です。ただ、地下鉄が不通になってしまったので、どうやって仙台駅まで行こうか悩んでいるところですが……」
 秀樹:「何でしたら、娘のタクシーチケットを使ってください」
 愛原:「ありがとうございます。ですが、なるべく公共交通機関を使いたいと思います」
 秀樹:「そうですか。ですが、あまり無理はなさらないでください。それより、五十嵐氏の埼玉県の住所がわかりましたよ」
 愛原:「おおっ、さすが斉藤社長です」
 秀樹:「今から言いますので、メモしてください」
 愛原:「はい!」

 私はメモ用紙を用意した。
 部屋の電話機の横にそれはある。

 愛原:「埼玉県川口市……ですか。本当に川口ナンバーですね」

 個人商店として薬局を営んでいるらしい。

 愛原;「その五十嵐親子ですが、昨夜の地下鉄事故に巻き込まれて意識不明の重体だそうです」
 秀樹:「何ですって!?」
 愛原:「私も信じられないんですが、今テレビでやってますよ」
 秀樹:「意識不明の重体……何てことだ……」
 愛原:「せっかく色々な情報が聞き出せると思ったのに残念です」
 秀樹:「口封じ……」
 愛原:「え?」
 秀樹:「いや、もしかしたら、誰かが愛原さん達に情報が流れるのを恐れて口封じをしたのかもしれないと思いまして」
 愛原:「社長、そのような者に何か心当たりが?」
 秀樹:「未だに謎の組織というのは存在しますからね。そういった所から見れば、五十嵐氏の存在を快く思わない者もいると思うんですよ」
 愛原:「! 未だに国内にいるという、旧アンブレラ関係者……!?」
 秀樹:「五十嵐氏を見限った……ね。五十嵐氏は英断だったと思いますが、反発者達は『会社倒産を阻止できなかった無能者』で、尚且つ『しかも元社長の立場で、危険な情報を握っている爆弾』と思っても不思議ではありません」
 愛原:「何か複雑ですね」
 秀樹:「愛原リサさんの価値は、BOWとして最高の物です。けして悪用を考えている奴らに取られないよう、注意してください」
 愛原:「わ、分かりました」

 私は電話を切った。
 リサは将来、善場さんの所属する政府機関で働くことが決まっている。
 それでいいはずだ。
 問題は、他の奴らも狙っているということか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「仙台最後の日」

2020-09-25 16:02:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月28日08:00.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区福室 ホテルキャッスルイン仙台]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は宮城での仕事を終え、やっと帰京できる日だ。
 私と高橋、そしてリサと斉藤絵恋さんは2Fのレストランで朝食を取っていた。
 ここ最近のホテルは、朝食サービスを付ける所が多い。

 高橋:「昨夜はお楽しみだったのか?」
 斉藤:「危うくリサさんに食べられるところでしたぁ……」(´∀`*)ポッ
 リサ:「おい」

 真相はどうだったのかというと……。

 リサ:「サイトーが『抱いて』『食べて』ってうるさかったので、触手で縛り付けておいた」

 リサは自分の背中を指さした。
 リサの背中には痣があるのだが、これはただの痣ではなく、触手を収納している所。
 アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーも、背中から触手を生やして特殊部隊に攻撃したという。

 高橋:「緊縛プレイ!?最近のJCはやるなぁ!」
 愛原:「高橋、公共の場で18禁の話を堂々としない」
 高橋:「さ、サーセン」
 愛原:「リサも、だからって正体を曝け出して触手を出すのは如何なものかと思うぞ?」
 リサ:「それは……」
 斉藤:「ち、違うんです、先生!私が悪いんです!リサさんは悪くありません!」

 オリジナル版もどうだったのかは知らないが、リサは触手からも人間を捕食できる。
 細い触手を耳の穴に突っ込み、獲物の脳髄をちゅるりと吸うのだとか……。
 そのリサ、今朝は髪形を変えて来た。
 昨日まではロングを二つ結びにしていたのが、今はポニーテールになっている。

 愛原:「分かった分かった。それよりリサ、髪形変えたんだな?」
 リサ:「先生の大好きな『マリンちゃん』の髪形。これでいいでしょ?それとも金髪に染める?胸は……どうせ私は小さいもんね」

 リサはジト目で私を見た。

 斉藤:「リサさんはどんな髪形も素敵よ!金髪!?斬新でいいわね!」
 愛原:「リサ、俺が悪かった。確かによく似合う。だけど、やっぱりお前は好きな髪形をしてくれ」
 リサ:「コロナワールドに美容室があった。私はやっぱり短くしたい。……そう。先生と最初に会った頃の髪形」

 ショートボブか。
 あの時のリサはまだJSだったな。
 いや、学校自体行ってなかったのか。
 あの頃と比べて、リサも大きくなったなぁ……。
 体内に宿しているTウィルスとGウィルスの混合ウィルスのせいで、体の成長が遅いと言われているが、見た目はそんなこと無いがな。
 体型や身長は、現代の女子中学生の平均である。
 空手黒帯の斉藤さんの方が背が高く、肉体的にも筋肉質な所が見受けられるが。
 因みにリサの戦い方が斉藤さんのそれと似ているのは、やはり斉藤さんから申し訳程度の手ほどきを受けているかららしい。
 よく学校などでそうしているそうだ。

 愛原:「分かったよ。リサがそれでいいというなら、そうするといいよ」
 リサ:「やった!サイトーのメイドさんくらい切る?」
 高橋:「それはダメだな。真珠とキャラ被りは良くねーよ」

 高橋が猛反対した。

 斉藤:「ベリーショートのリサさんも素敵……
 愛原:「要はあれだろ?おかっぱにするってことだろ?それでいいよ。……それで、白い仮面を着けてくれるのかな?」
 リサ:「! い、嫌だ……」

 リサが途端に怯えだした。
 白い仮面とは私がリサと初めて会った時、リサが着けていた仮面のこと。
 目の部分が横長に開いただけの能面である。
 それで顔を隠した状態で、彼女は私と高橋の前に現れた。
 服装は夏用のセーラー服を着ていたが、要はこれが彼女達のような少女実験体が研究所内で着用を許された服装だという。
 仮面は制御装置である。
 この2つは今でも家にある。
 さすがにセーラー服はサイズが合わなくなり、もう着れなくなってしまったが。
 もしも東京中央学園の制服がブレザーではなく、セーラー服だったらリサは通うのを諦めたかもしれない。
 それくらいのトラウマだ。

 愛原:「冗談だよ」
 斉藤:「リサさんのセーラー服も似合いそう……」
 愛原:「似合うよ。だけど本人がもう着るのを嫌がってるからね」

 それでもだいぶ前、無理を承知で着てもらったことがあるが。
 その時でも既にサイズはキツキツだったな。
 だから、ちゃんとリサの体は成長しているということだ。
 中高一貫の東京中央学園でも、高等部になるとブレザーがダブルに変わるのはそういった理由もあるのかもしれない(つまり、高等部用のブレザーを買い直さないといけないが、子供の体の成長の関係で、既に中等部用の制服が合わなくなっていることが多いので、理には適っている。尚、下のスラックスやスカートのデザインは共通)。

 斉藤:「そうだ。リサさんが髪を切るなら、私も切ろうかな」
 リサ:「サイトーは……その髪形でいいんじゃない?セミロングで」
 斉藤:「でも少し伸びたのよ。ね?一緒に切ろうよ」
 リサ:「まあ、いいけど……」
 斉藤:「あ、自分のお金は自分で出しますから。何だったら、リサさんの分も出します」
 愛原:「いや、それはいいよ」

 その時、高橋がテレビを観て驚いた。

 高橋:「せ、先生!あれを!」
 愛原:「ん?」

〔「……昨夜9時15分頃、仙台市若林区の地下鉄東西線のトンネルで、突然化け物が走行中の電車を襲いました」〕

 愛原:「ファッ!?」

〔「……現場となったのは地下鉄東西線、薬師堂駅~連坊駅間のトンネルで、突然トンネルの側壁を破って出て来た化け物が、走行してきた八木山動物公園行きの電車を襲いました。この事件で乗員乗客合わせて5人が死亡、25人が重軽傷で病院に運ばれています。現在地下鉄東西線は始発から運転を見合わせています。尚、化け物は一時トンネル内を徘徊していましたが、出動したBSAA極東支部日本地区本部の部隊によって、午後11時30分頃に殺処分されました。現場はガス爆発が発生した場所と程近いことから、警察とBSAAでは何らかの関連があるものと見て、捜査を進めています」〕

 高橋:「え?ハンターがどこかにいたんですか?」
 愛原:「ハンター……なのかな」
 高橋:「ど、どうします?電車、動いてないっスよ?」
 愛原:「そ、そうだな……」
 斉藤:「タクシーチケットで……」
 愛原:「い、いや、それには及ばない。恐らく、代行バスくらいは出ているだろうから、それで仙台駅に向かおう」

 後で私は善場主任に電話してみることにした。

 愛原:「とにかく、キミ達は散髪していいから」

 地下鉄が不通だと、そう簡単には帰れないだろうからな。
 あと、情報収集の時間も欲しいから、ちょうど彼女らの散髪に掛ける時間は渡りに舟だ。
 とはいえ、ハンターねぇ……。
 確かにあの地下道にはハンターがいたけど、全部倒したと思ったのになぁ……。
 ハンターじゃないのか?
 テレビだと化け物としか言っておらず、実際の映像は出ていないからな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする