報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「愛原達の失踪」

2020-09-05 22:41:13 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月25日15:00.天候:天候:曇 宮城県遠田郡美里町 愛原公一の家]

 愛原:「それじゃ、俺達は吉田律子さんの実家に行ってくる。お前達はここで留守番頼むぞ?」

 と言って愛原学と愛原公一が出て行ったのが今から2時間前。
 それから何の音沙汰も無い。

 リサ:「お座り!」
 ジョン:「ハッ!」

 ジョンはリサの命令にすかさず座る。

 リサ:「お手!」

 ジョンは左前足をサッとリサに出した。

 ジョン:(命令間違えると食い殺されるワン……)
 高橋:「先生達、遅ェな……」

 高橋は縁側に座り、リサとジョンの掛け合いを見ながら団扇をパタパタ仰いだ。

 高橋:「しゃあねぇ。ちょっと電話してみっか」

 高橋はスッと自分のスマホを取り出した。

 リサ:「3回回ってワン!」
 ジョン:「ハッハッハッ!ワン!」(←本当に3回回ってワンと鳴く)
 リサ:「凄いスゴーイ!ジョン、頭いいっ!」

 リサはジョンにハグして頭をワシャシワシャ撫でた。

 ジョン:(これで助かったワン……)
 リサ:「じゃあ、次は腕立て伏せ500回!」
 ジョン:「ハゥッ!?」Σ(゚□゚;)

 リサがジョンで遊んでいる時、高橋は異常に気付いた。

 高橋:「せ、先生のケータイが繋がらねぇ……」
 リサ:「ええっ!?」
 高橋:「こりゃヤベェ……!」
 リサ:「ちょっと待って!先生の伯父さんに掛けてみる!」

 リサも自分のスマホを出した。

 高橋:「何でオメー、元教授の電話番号知ってんだよ?」
 リサ:「お小遣いもらった時に教えてあげた!」
 高橋:「諭吉先生1人分で化け物の電話番号聞いたのかよ……。さすがは先生の御親戚、パネェぜ」
 リサ:「……伯父さんの電話も繋がらないよ!?」
 高橋:「マジかよ……」
 リサ:「どうしよう?」
 高橋:「! そうだ。家の中に……!」

 高橋は急いで家の中に入った。
 そして、客間の机の上にあったメモ用紙を持ってくる。

 高橋:「これだ!先生達が向かった家の住所!これさえあれば……」

 高橋は庭に視線をやった。

 高橋:「車が無ェ!!」
 リサ:「お兄ちゃん、あれは?」

 リサは庭の隅を指さした。
 そこにはトラクターの隣に1台の軽トラが止まっていた。
 トラクターと同じく、農作業に向かう際に乗るのだろう。

 高橋:「しかし、キーが無ェぞ!探さねぇと……」
 リサ:「ジョン!あのトラックの鍵を探して!」
 ジョン:「ワン!」

 ジョンはリサの命令に一声吠えると、犬小屋に取って返した。
 そして、その中から一本の鍵を持って来た。

 ジョン:「ハッハッハッ!」

 ジョンが鍵を咥え、尻尾を振ってリサの所へ戻って来た。

 高橋:「犬小屋にあるんかーい!」

 確かに防犯にはなる……のか?

 リサ:「ありがとう!」

 リサはジョンの頭と顎の下を撫でた。

 高橋:「よし!これで向かうぜ!」
 リサ:「ジョンは家の中で留守番してて!」

 リサはジョンを冷房の効いた家の中に入れた。

 リサ:「行こう!」
 高橋:「いや、オマエも留守番してろよ」
 リサ:「いやだ!」
 高橋:「俺にはこれがあるから、心配すんな」

 高橋は両手持ちの大型拳銃を取り出した。
 当然、弾薬はマグナム弾でなければならない。

 リサ:「私も戦えるよ!それに、ナビは私がやるから!」
 高橋:「カーナビぐらい、この軽トラに……無ェな」

 リサは住所の書かれたメモをスマホのグーグルマップに入力した。

 リサ:「ケータイ見ながらの運転は違法なんだよ、お兄ちゃん?」
 高橋:「ちっ、しょうがねぇな。だったら一緒に来い。足手まといになるんじゃねぇぞ?」
 リサ:「分かった!」

 リサは助手席に乗り込んだ。
 運転席に座った高橋はすぐにエンジンを掛けた。
 軽トラはマニュアル車だったが、当然高橋はマニュアルで免許を取っている。

 高橋:「まずはどっちだ?」
 リサ:「一旦国道に向かって!」
 高橋:「OK!」
 リサ:「国道に出たら小牛田駅に向かって、それから……」
 高橋:「曲がる場所に差し掛かったら、教えてくれりゃいい!それまでは真っ直ぐ進むぜ!」
 リサ:「うん、分かった!」

 リサの的確なナビにより、2人の軽トラは順調に吉田家に着くかと思ったが……。

 高橋:「元教授!ガソリンくらい入れといてくれ!」

 インパネに給油ランプが点灯した。

 高橋:「くそっ、ピットインだ!」

 高橋、国道沿いにあるセルフスタンドに入る。 

 高橋:「後で元教授にガソリン代請求してやる」
 リサ:「このトラック、ガソリン?」
 高橋:「ガソリンだろ」

 高橋、給油機の前に軽トラを止めると、給油口の蓋を開けた(もちろんその前に静電気除去済み)。

 高橋:「ああ、レギュラーだ。キャップに書いてある。……思わず、ハイオク押す所だったぜ」

 高橋はニヤッと笑った。

 高橋:「昔乗ってた車がクラウンだったからよぉ……」

 もちろん、しっかり車検の通らない仕様に改造していたのだろう。

 リサ:「窓拭き入りまーす!」
 高橋:「せんでいい!……てか、タイヤの空気圧もアレじゃん。整備悪ィな、あの元教授……」

[同日15:30.天候:曇 同町内某所 吉田家]

 高橋:「……何てやってるうちに、時間掛かったじゃんかよぉ?」
 リサ:「そこの突き当りを左だよ。その奥の家が吉田さんち」
 高橋:「分かった。その前に先生にもう1回掛けてみてくれ。圏外じゃねーよな?」
 リサ:「ううん。アンテナ、バリバリ入ってる」
 高橋:「てことは、圏外で繋がらなかったってわけじゃねーってか」

 リサはもう1度愛原達に電話してみた。
 だが、電波は入っているのに全く繋がらなかった。

 リサ:「ううん、やっぱりダメ」
 高橋:「そうかそうか。じゃあ、俺達の出番かな」

 高橋は道が少し広くなっている場所に軽トラを止めた。

 リサ:「あの家だよ」
 高橋:「よし、行くぞ」

 2人は速足で一軒の農家に向かった。
 そこは豪農の家だったのか、公一の家と違って2階建ての立派な家であった。
 しかし、何故か人の気配は感じられない。
 しかも、家の敷地内には公一のプリウスが見当たらなかった。

 高橋:「どこから敵が飛び出してくるか分かんねぇ。気をつけろよ」
 リサ:「分かった」

 ここは住宅地から離れた、田園地帯に囲まれた家である。
 その時、リサが鼻をヒクつかせた。

 リサ:「血の匂いがする!それも、人間の血の匂い!」
 高橋:「な、何だと!?」

 リサは顔に黒い布マスクを着けた。
 これは人間の血の匂いで、BOWたる自分もその血を欲しがらないようにする為だ。

 高橋:「一応、俺達は何も知らねぇただの来客だ。先生達が遅いんで、迎えに来たっつー設定だぜ?分かったな?」
 リサ:「了解……」

 高橋は玄関のインターホンを鳴らした。

 高橋:「サーセン!サーセン!」

 何回かインターホンを鳴らす。

 高橋:「NHKの集金じゃないっスよー!新聞や宗教の勧誘でも無いっスよー!浄水器の販売でも無いっスよー!」

 すると中から現れたのは……。

 1:愛原学
 2:愛原公一
 3:20歳前後の若い女性
 4:40代中年女性
 5:80代の老婆
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