[8月26日11:00.天候:雨 宮城県遠田郡美里町 愛原公一の家]
善場主任の話はまだ続く。
善場:「海外に逃亡していた旧・日本アンブレラの関係者達が、逃亡先の中国で新型コロナウィルスに罹患するという事態が相次ぎました」
愛原学:「罰が当たったんだな。ましてや中国なんて、『武漢ウィルス』と呼ばれる新型コロナウィルス発祥の地なんだから、尚更だ」
愛原公一:「しかし、ウィルス研究の第一人者達が防護しても罹患するとは、中国のコロナは凄まじい物があるな」
善場:「もちろん、全員が罹患したわけではありません。しかし、罹患していない者達もそれで追い詰められることとなりました」
学:「どうなりました?」
善場:「中国当局に駆け込んで、日本への帰国を望んでいるとのことです」
学:「どこまで自分勝手なんだ!アンブレラの奴らはァ!」
善場:「中国は2013年、香港で起きましたCウィルスのバイオハザード事件で痛い目に遭っています。アンブレラの関係者を許すはずがなく、現在拘束中とのことです」
学:「日本に引き渡される可能性は?」
善場:「今現在、政府が水面下で交渉中ですが、意外と望みは低いかもしれません。習近平国家主席が、かつて香港で起きたバイオハザード事件のテロ組織、ネオ・アンブレラの元となった関係者達を拘束したことで、それを国内で処罰すれば国家主席の人気が上がるからです」
公一:「まるで昔のナチス残党狩りみたいだな」
学:「まあ、旧・アンブレラの残党狩りをしているようなものだから。逆に中国のことだから、そいつを利用して、新しいウィルス造らせたりしてな」
善場:「それは無いでしょう。既に中国政府は、新型ウィルスの開発ができるレベルには達しています。強かな事に、あのCウィルスを密かに採取していたらしいですから」
学:「転んでもタダじゃ起きないってか。でも、そしたらどうするんです?せっかくリサを人間からBOWにした張本人達と対面できると思ったのに……」
善場:「そこはもう政府……私達の更に上層部にお任せ頂くしかないですね。で、更に本題に入りますよ。確かに日本アンブレラ在りし頃、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーの研究を引き継いだ当時の研究者達は、中国当局に拘束されています。しかし、国内に潜伏している者もいるのですよ。私達はそいつらを捜索したいと思います。高橋助手とリサさんが遭遇したリサ・トレヴァーの偽者、吉田美亜という人間の女性をあのように改造した者が国内にいます。それを捜すことです」
学:「目星は付いていないんですか?」
善場:「恐らく医療関係者のフリをしていると思われます」
公一:「思い出した。確かあの家には、体の弱い娘さんがいたはずだ。もしかして、キミ達が会ったのはそのコではないかね?」
高橋:「今さらそんな情報出されても分かんないっスよ」
学:「だったら、そのコが通ってた病院を探せばヒットするじゃないですか」
高橋:「しっかし、アンブレラのヤツが医者なんて、絶対そいつに診てもらいたくないですね」
善場:「でも贖罪の意識を持った人達もいて、そういった人達の中には無医村医療に携わったり、医療ボランティアとして活動していたりするんですよ」
学:「今さらな……。贖罪の意識があるってんなら、取りあえずリサに謝ろうか」
善場:「高橋助手達が遭遇した者については、こちらで調査します。愛原所長達には、別件をお願いします」
学:「別件とは?」
善場:「愛原所長、以前、鳴子温泉に行かれたことがありましたよね?」
学:「ええ、ありました。そこで餓鬼みたいなのの襲撃を受けましたね」
(愛原達が遭遇した餓鬼のようなBOW。餓鬼にしては、顔がプクッとしている)
善場:「それの調査をお願いします」
学:「え?」
善場:「愛原所長達が以前遭遇した餓鬼は、恐らく日本アンブレラで開発されたBOWだと思われます。それが何らかの原因で脱走したのが、そもそもの発端です」
高橋:「確かあれ、“青いアンブレラ”が調査してて、何かしくったんじゃなかったっけか?あいつら、どこを調査してたんだ?」
私は善場主任からタブレットを借り、それで鳴子温泉郷の地図を出した。
学:「俺達が泊まっていたのはこの辺りだろ?で、“青いアンブレラ”が調査していたのはこの辺りだな」
高橋:「オニクビ温泉?」
学:「鬼首(おにこうべ)温泉だ」
高橋:「餓鬼に、鬼の首って名前の温泉。そして、鬼の姿に変化できるリサ……」
学:「おおーい!」
私は公一伯父さんを見ながら高橋の口を塞いだ。
高橋:「むぐっ!?……さ、サーセン!」
公一:「何をしとるんじゃ?」
学:「な、何でもない!何でもないんだ!」
善場:「秘密の保持は厳格にお願いします。“青いアンブレラ”は確かに、調査中遭遇したBOWの生き残りの脱走を許してしまうという失態を犯しました。その為、彼らはBOWの掃討と施設の爆破に留めることしかできなかったのです。その後の調査については放棄されています。しかし彼らは、全てを調査したわけではありません。もしかしたら、まだ何か痕跡が残っているのかもしれません。それの調査をお願いします」
纏めると、ここにいるリサを人間からBOWにした連中自体は生き残っていて、中国に逃亡していた。
しかし新型コロナウィルスの大流行により潜伏を続けることが難しくなり、観念して中国当局に投降、拘束されていると。
で、そいつらの生殺与奪は中国政府が握っており、日本政府が引き渡しを求めて交渉しているが、難しいと。
しかし、まだ日本国内に潜伏している旧・日本アンブレラの関係者もいて、高橋達が遭遇したBOWはそいつのせいだと。
で、そいつの捜索に関しては善場主任達がやってくれると。
恐らく、警察を動員するレベルなので、私達民間の探偵業者の出番ではないのだろう。
そんな民間業者に委託されるのは、同じ民間の軍事会社がしくった場所の調査。
その場所は鬼首温泉。
かつて、旧・日本アンブレラの保養所があった所だという。
アメリカでもそうだが、だいたい旧アンブレラの保養施設というのは、それを隠れ蓑にした秘密の研究施設であることが多い。
既に“青いアンブレラ”が生き残っていたBOWを掃討し、施設も爆破してしまったのだから、恐らく何も残っていないと思われるが……。
善場主任の話はまだ続く。
善場:「海外に逃亡していた旧・日本アンブレラの関係者達が、逃亡先の中国で新型コロナウィルスに罹患するという事態が相次ぎました」
愛原学:「罰が当たったんだな。ましてや中国なんて、『武漢ウィルス』と呼ばれる新型コロナウィルス発祥の地なんだから、尚更だ」
愛原公一:「しかし、ウィルス研究の第一人者達が防護しても罹患するとは、中国のコロナは凄まじい物があるな」
善場:「もちろん、全員が罹患したわけではありません。しかし、罹患していない者達もそれで追い詰められることとなりました」
学:「どうなりました?」
善場:「中国当局に駆け込んで、日本への帰国を望んでいるとのことです」
学:「どこまで自分勝手なんだ!アンブレラの奴らはァ!」
善場:「中国は2013年、香港で起きましたCウィルスのバイオハザード事件で痛い目に遭っています。アンブレラの関係者を許すはずがなく、現在拘束中とのことです」
学:「日本に引き渡される可能性は?」
善場:「今現在、政府が水面下で交渉中ですが、意外と望みは低いかもしれません。習近平国家主席が、かつて香港で起きたバイオハザード事件のテロ組織、ネオ・アンブレラの元となった関係者達を拘束したことで、それを国内で処罰すれば国家主席の人気が上がるからです」
公一:「まるで昔のナチス残党狩りみたいだな」
学:「まあ、旧・アンブレラの残党狩りをしているようなものだから。逆に中国のことだから、そいつを利用して、新しいウィルス造らせたりしてな」
善場:「それは無いでしょう。既に中国政府は、新型ウィルスの開発ができるレベルには達しています。強かな事に、あのCウィルスを密かに採取していたらしいですから」
学:「転んでもタダじゃ起きないってか。でも、そしたらどうするんです?せっかくリサを人間からBOWにした張本人達と対面できると思ったのに……」
善場:「そこはもう政府……私達の更に上層部にお任せ頂くしかないですね。で、更に本題に入りますよ。確かに日本アンブレラ在りし頃、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーの研究を引き継いだ当時の研究者達は、中国当局に拘束されています。しかし、国内に潜伏している者もいるのですよ。私達はそいつらを捜索したいと思います。高橋助手とリサさんが遭遇したリサ・トレヴァーの偽者、吉田美亜という人間の女性をあのように改造した者が国内にいます。それを捜すことです」
学:「目星は付いていないんですか?」
善場:「恐らく医療関係者のフリをしていると思われます」
公一:「思い出した。確かあの家には、体の弱い娘さんがいたはずだ。もしかして、キミ達が会ったのはそのコではないかね?」
高橋:「今さらそんな情報出されても分かんないっスよ」
学:「だったら、そのコが通ってた病院を探せばヒットするじゃないですか」
高橋:「しっかし、アンブレラのヤツが医者なんて、絶対そいつに診てもらいたくないですね」
善場:「でも贖罪の意識を持った人達もいて、そういった人達の中には無医村医療に携わったり、医療ボランティアとして活動していたりするんですよ」
学:「今さらな……。贖罪の意識があるってんなら、取りあえずリサに謝ろうか」
善場:「高橋助手達が遭遇した者については、こちらで調査します。愛原所長達には、別件をお願いします」
学:「別件とは?」
善場:「愛原所長、以前、鳴子温泉に行かれたことがありましたよね?」
学:「ええ、ありました。そこで餓鬼みたいなのの襲撃を受けましたね」
(愛原達が遭遇した餓鬼のようなBOW。餓鬼にしては、顔がプクッとしている)
善場:「それの調査をお願いします」
学:「え?」
善場:「愛原所長達が以前遭遇した餓鬼は、恐らく日本アンブレラで開発されたBOWだと思われます。それが何らかの原因で脱走したのが、そもそもの発端です」
高橋:「確かあれ、“青いアンブレラ”が調査してて、何かしくったんじゃなかったっけか?あいつら、どこを調査してたんだ?」
私は善場主任からタブレットを借り、それで鳴子温泉郷の地図を出した。
学:「俺達が泊まっていたのはこの辺りだろ?で、“青いアンブレラ”が調査していたのはこの辺りだな」
高橋:「オニクビ温泉?」
学:「鬼首(おにこうべ)温泉だ」
高橋:「餓鬼に、鬼の首って名前の温泉。そして、鬼の姿に変化できるリサ……」
学:「おおーい!」
私は公一伯父さんを見ながら高橋の口を塞いだ。
高橋:「むぐっ!?……さ、サーセン!」
公一:「何をしとるんじゃ?」
学:「な、何でもない!何でもないんだ!」
善場:「秘密の保持は厳格にお願いします。“青いアンブレラ”は確かに、調査中遭遇したBOWの生き残りの脱走を許してしまうという失態を犯しました。その為、彼らはBOWの掃討と施設の爆破に留めることしかできなかったのです。その後の調査については放棄されています。しかし彼らは、全てを調査したわけではありません。もしかしたら、まだ何か痕跡が残っているのかもしれません。それの調査をお願いします」
纏めると、ここにいるリサを人間からBOWにした連中自体は生き残っていて、中国に逃亡していた。
しかし新型コロナウィルスの大流行により潜伏を続けることが難しくなり、観念して中国当局に投降、拘束されていると。
で、そいつらの生殺与奪は中国政府が握っており、日本政府が引き渡しを求めて交渉しているが、難しいと。
しかし、まだ日本国内に潜伏している旧・日本アンブレラの関係者もいて、高橋達が遭遇したBOWはそいつのせいだと。
で、そいつの捜索に関しては善場主任達がやってくれると。
恐らく、警察を動員するレベルなので、私達民間の探偵業者の出番ではないのだろう。
そんな民間業者に委託されるのは、同じ民間の軍事会社がしくった場所の調査。
その場所は鬼首温泉。
かつて、旧・日本アンブレラの保養所があった所だという。
アメリカでもそうだが、だいたい旧アンブレラの保養施設というのは、それを隠れ蓑にした秘密の研究施設であることが多い。
既に“青いアンブレラ”が生き残っていたBOWを掃討し、施設も爆破してしまったのだから、恐らく何も残っていないと思われるが……。