報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「皆で過ごす最後の夜」

2020-09-23 20:50:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日19:00.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区福室 仙台コロナワールド(D’STATION)→同施設内(ウェルキッチン)]

 愛原:「ちくしょう!俺だけ赤字じゃん!」
 高橋:「そういう日もありますよ、先生」

 テナントのパチンコ屋に入ったのだが、私はボロ負けで高橋だけウハウハだった。
 4円パチでウハウハできるって、どんだけだよ。

 高橋:「後でバックさせて頂きますんで、先生」
 愛原:「悪いな」

 景品交換所で現金と換える高橋。

 高橋:「先生も回転数の良い台を選べばいいのに……。そんなに“海物語”に固執する必要あります?」
 愛原:「だってマリンちゃん好きなんだもん!しょーがねーべよ!」
 高橋:「俺という者がありながら、あんな二次元キャラに……」
 愛原:「悪かったな、ヲタクで!てか何だよ!?『俺という者がありながら』って!気持ち悪いな!」
 高橋:「センセ、ヒドいっス!」
 愛原:「お前には霧崎さんがいるだろうが!」
 高橋:「あれはただのセフレです」
 愛原:「真顔で言うなや!セフレだったら中田氏すんなや!」
 高橋:「あれはハメられたんスよ。てか先生、マリンちゃんが好きってことは、ああいうタイプの女イチオシってことで?」
 愛原:「まあ、そうだな」
 高橋:「嫁にするなら、あのタイプってことですか?」
 愛原:「見た目で選ぶとするならな」
 高橋:「なるほどなるほど。俺の人脈探せば、あれと似たタイプの女をセフレとして紹介できるかもしれません」
 愛原:「一瞬期待しかけたけど、お前の知り合いって男女不問で目つき悪いからやめておくよ」

 目つきの悪いマリンちゃん。
 いやだ~。
 その時、私達は背筋に寒気を感じた。
 それは、背後からボスクラスの強大なBOWが現れた時のそれに似ていた。

 リサ:「『先生にお嫁さん』って……聞こえたけど……?」(# ゚Д゚)

 リサは第0形態でありながら、両目の瞳を赤く光らせ、両手の爪を長く鋭く伸ばしていた。

 高橋:「ま、まあ、所詮パチンコの話っスからねー!」
 愛原:「そ、そう!お、俺は生涯独身まっしぐら!」
 リサ:( 一一)

 リサ、近くにあったベンチを爪で真っ二つ!

 リサ:「生涯独身じゃないでしょ?先生のお嫁さんは、私ただ1人なんだから」
 愛原:「い、いや、だから何度も言ってるだろ。お前は俺の娘として……」
 リサ:「ここで第3形態まで変化して暴れてやる……!」
 愛原:「わーっ!分かった分かった!後で話し合おう!な!?な!?」

 私は何とかリサを宥めすかした。
 その後でトイレに行っていた斉藤絵恋さんと合流すると、私達は別のテナントである飲食店に行って夕食を取ることにした。
 券売機で食券を買うタイプらしい。

 愛原:「何がいい?」
 リサ:「ハンバーグ定食!」
 絵恋:「私もリサさんと同じので。……あ、私は自分で出します。父からそう言われてるので」

 リサのヤツ、昼はカレーバイキングで、夜はハンバーグ定食か。
 さっき変化しかかったから、少しエネルギーを消費したか?

 愛原:「危うくリサを暴走させるところだった……」

 私は未だに震える手で、醤油チャーシュー麺を注文した。

 高橋:「先生。もういっそ『リサを嫁』でいいんじゃないですか?もしくは、『性奴隷』とか」
 愛原:「最後の一言が余計だ。全く。他人事だと思って……」
 高橋:「サーセン……」

[同日20:00.天候:晴 同場所同施設 大江戸温泉物語・露天風呂(男湯)]

 夕食を終えた私達は一旦ホテルに戻り、タオルなどを持って温泉施設に向かった。
 フロントで宿泊者専用のカードキーを受け取る。
 ホテルと施設とを繋ぐ電子ロックのドアを開ける為の物だ。
 これで宿泊者以外の者が出入りするのを阻止するわけである。
 で、さすがにリサ達とは脱衣所の入口で分かれる。

 愛原:「ふぅ~。温泉はいいねぇ~」
 高橋:「……ですね」

 さっきのレストランもそうだが、露天風呂にも大画面のテレビが点いていて、そこで何かのバラエティ番組をやっている。

 高橋:「先生。さっきの『リサを嫁』の話ですけど、ぶっちゃけリサって、オバハンなんですよね?」
 愛原:「あの『お化け屋敷』にあった写真が、リサと同一人物だったらな。俺よりも10歳は年上だ。アラフォーどころか、アラフィフだよ」

 旧アンブレラに拉致された際、色々な人体実験を繰り返されたおかげで、体の成長や老化が極端に遅くなり、未だに14~15歳の姿をしている。
 人間に戻れた場合、今の人間形態の姿から加齢がカウントアップされるとのことで、いきなりアラフィフまで歳を取ることはないらしい。
 それはアメリカのシェリー・バーキン女史も同じとのこと。

 高橋:「てことは、今更気にすることないじゃないですか。見た目に騙される必要はないですよ」
 愛原:「リサの戸籍、作り直されたから、戸籍上の年齢も今の見た目年齢のままだぞ?」
 高橋:「ここだけの話ですが、リサのヤツ、俺達……特に先生の前ではいいコぶってますが、学校では結構エゲつないらしいですよ」
 愛原:「何だって?」
 高橋:「噂じゃ、イジメの加害者だとか……」
 愛原:「おい、それ本当かよ?」

 リサが人心掌握術に長けているのは何となく分かっていた。
 しかし、イジメの加害者はダメだな。

 高橋:「ただ、被害者はあのビアンガキで、リサにイジメられてヒーヒー喜んでるらしいです」
 愛原:「そっちかよ!」
 高橋:「JCで既にSMプレイ楽しんでるんですよ?どうします?」
 愛原:「……斉藤さん以外のガチ被害者が、もしも出るようなら考えよう!」

 リサには人間を襲ってその血肉を食らうのは一切禁止であると言い伝え、約束してある。
 もしも破るようならリサはその場で殺処分され、俺達とはもう一緒に暮らせなくなるのだと。
 いいコで約束を守っているように見えるが、こりゃひょっとすると万が一、それを破ってしまうことも考えないといけないのだろうか。

 高橋:「先生、洗い場に行きませんか?お背中、お流しします」
 愛原:「おー、そうか。じゃあ、またお願いしようかな」
 高橋:「はい!」

 私達は一旦、岩風呂から出て内湯に向かった。
 露天風呂には洗い場が無いからだ。

 高橋:「先生、きっとあいつら、部屋でレズプレイ楽しむつもりですよ?」
 愛原:「ヘタに介入してリサの機嫌を損ねて暴走させたり、斉藤さんの機嫌を損ねて報酬をもらい損ねるわけにはいかん。ここは、知らんぷりを決め込むこととする。お前はもう何も言うな。分かったな?」
 高橋:「は、はい」
コメント
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