[5月7日16:00.天候:晴 アルカディアシティ1番街 1番街駅東口商店街・防具屋]
武器屋でクリスの剣を新調した後、稲生達は同じ商店街にある防具屋に向かった。
英語表記は『First Avenue Guild Bazaar』であるが、RPGの世界だと露店が立ち並んだものというのがベタな法則である。
日本で言えば終戦直後の闇市のようなものか。
しかし、ここの商店街は本当に商店が立ち並んだものであった。
もちろん、中には露店もある。
稲生:「ここが防具屋ですね」
防具屋店主:「いらっしゃいませ。お似合いのローブがございますよ」
クリス:「私ゃ戦士だ!そんなの着れるか!ローブなら、そっちの魔法使いさん達に売りな!ところで、魔界共和党の本部事務所で、こういうチケットをもらったんだけど?」
クリスはクーポン券を店主に渡した。
防具屋店主:「こ、これは……!?なるほど。あの横田理事の知人の方でしたか」
稲生:「知人というか、腐れ縁というか……」
稲生は『顕正会員は死ぬまで顕正会員』という言葉を思い出した。
顕正会活動に一瞬でも身を投じた者は、例え脱会しようが、他の宗教に移籍しようが、その臭いは絶対に落ちないのだと。
その現実を受け入れられず、ただ抗うことしかできないガチ勢が更にその傷口に塩を塗り込んでいるのだと。
防具屋店主:「これは失礼致しました。もっとお勧めの防具がございます。どうぞ、こちらへ」
店主は店の奥へ稲生達を誘(いざな)った。
防具屋:「新作のビキニアーマーです。露出は少ないですが、強い魔力が付与されており、その防御力は近衛騎士団の団員達が纏う鎧よりも強いものです」
稲生:「で、でも殆ど裸じゃん、これ!」
RPGの世界ではしばしば女騎士であっても露出の多い防具を着させられていたりするが、それは本来間違い。
騎士と兵士ではまるで身分が違う。
そして、鎧は洋の東西問わず高い物だ。
武器や防具に多くの予算を投じられる騎士が、そんな露出の高い防具を着用するわけが無く、やはり全身を固める鎧を着用するのが普通である。
一方、正規兵など、国から武器や防具が支給される兵士はともかく、それらも自費で用意しなければならない傭兵のそれは貧弱なものだ。
その為、少ない予算で強い武器と防具を揃えなくてはならない。
その結果、女戦士は少ない予算で強い防御力を得られるビキニアーマーが流行ったのだろうと推測される。
クリス:「いや、鎧ならまだ十分これで行ける。もっと別の防具は無いか?」
防具屋店主:「その下に着るスポブラとショーツのセットならお安く……」
クリス:「もっと他の!」
防具屋店主:「DQシリーズでも大人気!『エッチな下着』もございますよ!」
クリス、僅かに鞘から剣を抜く。
クリス:「てめ、フザけてんのか?」
防具屋店主:「よ、横田理事からのお勧めで……」
マリア:「!」
その時、マリアは見た。
このコーナーの頭上に、『魔界共和党総務理事Y氏のオススメ!』と書かれたポップがぶら下がっているのを。
イリーナ:「ねぇ、店長さん」
防具屋店主:「な、何ですか?」
イリーナ:「このままじゃ収まりが付きそうにも無いから、もっと別なの売ってもらおうかしら?」
防具屋店主:「な、何がよろしいでしょうか?」
イリーナ:「さっきねぇ、武器屋さんでミスリルソードを購入したの。で、ここにもあるでしょう?ビキニタイプながら、ミスリルタイプの鎧が」
防具屋店主:「そ、それはもちろん!ですが、このクーポン券はお使いになれませんが……」
クリス:「あぁ?券面には『3000ゴッズ以内なら何でも交換可』って書いてあんだろーが?フザけんじゃねーぞ!」
クリスは苛立っている為か、口調が荒っぽくなっている。
防具屋店主:「よ、よーくご覧ください。『※但し、横田理事のオススメ品に限る』と書いてありますよ?」
稲生:「ものすっごく小っちゃく書いてある……」
稲生は飽きれた。
稲生:「日本でもたまにこうした詐欺事件が発生してるけどね。詐欺してる側は、『字は小さいかもしれないが、ここにちゃんと書いてある』って主張するヤツ」
ジャキッ!(クリス、剣を半分以上、鞘から抜く)
イリーナ:「しょうがない。ここは私の名前を使わせて頂くわ。ちょっと赤ペン貸してくださる?」
防具屋店主:「ど、どうぞ」
イリーナは赤ペンを受け取ると、券の裏面に何か書いた。
こう書かれていた。
『横田理事へ。但し書きは私の名前で削除させてもらいます。文句があるなら、安倍総理に【とある強制わいせつ事件】と【とある盗撮事件】の真相をお話しさせて頂くことになります』
イリーナ:「これでよし。これでこの券は本当に3000ゴッズ以内なら、何でも引き換えられるようになったわ」
マリア:「さすが師匠!」
稲生:(横田理事、未だに強制わいせつ事件と盗撮事件やらかしてるのか……)
それでもそれ以上の性犯罪、即ち強姦罪や準強姦罪までは1件も起こしていないことが確認されている。
だからこそ、そんな犯罪は絶対に許さないマリアも、さすがに横田に『流血の惨』を見せることまではしていないのだろう。
性犯罪は性犯罪なので、多少痛い目に遭わせてはいるが。
防具屋店主:「か、かしこまりました」
イリーナ:「せっかくミスリルソードが買えたんだから、鎧もミスリル製で揃えたいじゃない?」
クリス:「イリーナ先生、ありがとうございます!」
この中に『勇者』はおらず、『魔法使い』と『戦士』しかいないが、やはり最年長がリーダーを務めることになるのだろう。
そしてイリーナは、それを遺憾無く発揮したというわけだ。
防具屋店主:「ありがとうございましたー!」
早速、鎧を換えるクリス。
それまでは焦げ茶色が目立つ鎧だったが、今は白銀が目立つようになっている。
それでもビキニアーマーの一種ではあるから、肌の露出は大きい。
しかしながら魔力が付与されているので、防御力は前の鎧より格段に大きくなっている。
クリス:「ありがとう。おかげで、前より強い武器と防具を揃えることができた。感謝する」
稲生:「これからどうするの?」
クリス:「私は6番街に戻るさ。ジムに戻って、早速会長達に報告したい」
稲生:「そうか」
クリス:「皆さんはどうする?」
稲生:「先生?」
イリーナ:「そうねぇ……。私の占いでは、このバザールに来れば、次のクエスト先が見つかるってあったから、もう少し歩いてみようかと思うよ」
クリス:「了解。また何かあったら、うちのジムを訪ねてくれ。力押しの仕事なら、何でも協力できるはずだから」
稲生:「うん、こっちこそありがとう」
稲生達はクリスと握手を交わし、ここで別れた。
クリスは駅の方に向かい、稲生達は更にバザールの奥へと進む。
武器屋でクリスの剣を新調した後、稲生達は同じ商店街にある防具屋に向かった。
英語表記は『First Avenue Guild Bazaar』であるが、RPGの世界だと露店が立ち並んだものというのがベタな法則である。
日本で言えば終戦直後の闇市のようなものか。
しかし、ここの商店街は本当に商店が立ち並んだものであった。
もちろん、中には露店もある。
稲生:「ここが防具屋ですね」
防具屋店主:「いらっしゃいませ。お似合いのローブがございますよ」
クリス:「私ゃ戦士だ!そんなの着れるか!ローブなら、そっちの魔法使いさん達に売りな!ところで、魔界共和党の本部事務所で、こういうチケットをもらったんだけど?」
クリスはクーポン券を店主に渡した。
防具屋店主:「こ、これは……!?なるほど。あの横田理事の知人の方でしたか」
稲生:「知人というか、腐れ縁というか……」
稲生は『顕正会員は死ぬまで顕正会員』という言葉を思い出した。
顕正会活動に一瞬でも身を投じた者は、例え脱会しようが、他の宗教に移籍しようが、その臭いは絶対に落ちないのだと。
その現実を受け入れられず、ただ抗うことしかできないガチ勢が更にその傷口に塩を塗り込んでいるのだと。
防具屋店主:「これは失礼致しました。もっとお勧めの防具がございます。どうぞ、こちらへ」
店主は店の奥へ稲生達を誘(いざな)った。
防具屋:「新作のビキニアーマーです。露出は少ないですが、強い魔力が付与されており、その防御力は近衛騎士団の団員達が纏う鎧よりも強いものです」
稲生:「で、でも殆ど裸じゃん、これ!」
RPGの世界ではしばしば女騎士であっても露出の多い防具を着させられていたりするが、それは本来間違い。
騎士と兵士ではまるで身分が違う。
そして、鎧は洋の東西問わず高い物だ。
武器や防具に多くの予算を投じられる騎士が、そんな露出の高い防具を着用するわけが無く、やはり全身を固める鎧を着用するのが普通である。
一方、正規兵など、国から武器や防具が支給される兵士はともかく、それらも自費で用意しなければならない傭兵のそれは貧弱なものだ。
その為、少ない予算で強い武器と防具を揃えなくてはならない。
その結果、女戦士は少ない予算で強い防御力を得られるビキニアーマーが流行ったのだろうと推測される。
クリス:「いや、鎧ならまだ十分これで行ける。もっと別の防具は無いか?」
防具屋店主:「その下に着るスポブラとショーツのセットならお安く……」
クリス:「もっと他の!」
防具屋店主:「DQシリーズでも大人気!『エッチな下着』もございますよ!」
クリス、僅かに鞘から剣を抜く。
クリス:「てめ、フザけてんのか?」
防具屋店主:「よ、横田理事からのお勧めで……」
マリア:「!」
その時、マリアは見た。
このコーナーの頭上に、『魔界共和党総務理事Y氏のオススメ!』と書かれたポップがぶら下がっているのを。
イリーナ:「ねぇ、店長さん」
防具屋店主:「な、何ですか?」
イリーナ:「このままじゃ収まりが付きそうにも無いから、もっと別なの売ってもらおうかしら?」
防具屋店主:「な、何がよろしいでしょうか?」
イリーナ:「さっきねぇ、武器屋さんでミスリルソードを購入したの。で、ここにもあるでしょう?ビキニタイプながら、ミスリルタイプの鎧が」
防具屋店主:「そ、それはもちろん!ですが、このクーポン券はお使いになれませんが……」
クリス:「あぁ?券面には『3000ゴッズ以内なら何でも交換可』って書いてあんだろーが?フザけんじゃねーぞ!」
クリスは苛立っている為か、口調が荒っぽくなっている。
防具屋店主:「よ、よーくご覧ください。『※但し、横田理事のオススメ品に限る』と書いてありますよ?」
稲生:「ものすっごく小っちゃく書いてある……」
稲生は飽きれた。
稲生:「日本でもたまにこうした詐欺事件が発生してるけどね。詐欺してる側は、『字は小さいかもしれないが、ここにちゃんと書いてある』って主張するヤツ」
ジャキッ!(クリス、剣を半分以上、鞘から抜く)
イリーナ:「しょうがない。ここは私の名前を使わせて頂くわ。ちょっと赤ペン貸してくださる?」
防具屋店主:「ど、どうぞ」
イリーナは赤ペンを受け取ると、券の裏面に何か書いた。
こう書かれていた。
『横田理事へ。但し書きは私の名前で削除させてもらいます。文句があるなら、安倍総理に【とある強制わいせつ事件】と【とある盗撮事件】の真相をお話しさせて頂くことになります』
イリーナ:「これでよし。これでこの券は本当に3000ゴッズ以内なら、何でも引き換えられるようになったわ」
マリア:「さすが師匠!」
稲生:(横田理事、未だに強制わいせつ事件と盗撮事件やらかしてるのか……)
それでもそれ以上の性犯罪、即ち強姦罪や準強姦罪までは1件も起こしていないことが確認されている。
だからこそ、そんな犯罪は絶対に許さないマリアも、さすがに横田に『流血の惨』を見せることまではしていないのだろう。
性犯罪は性犯罪なので、多少痛い目に遭わせてはいるが。
防具屋店主:「か、かしこまりました」
イリーナ:「せっかくミスリルソードが買えたんだから、鎧もミスリル製で揃えたいじゃない?」
クリス:「イリーナ先生、ありがとうございます!」
この中に『勇者』はおらず、『魔法使い』と『戦士』しかいないが、やはり最年長がリーダーを務めることになるのだろう。
そしてイリーナは、それを遺憾無く発揮したというわけだ。
防具屋店主:「ありがとうございましたー!」
早速、鎧を換えるクリス。
それまでは焦げ茶色が目立つ鎧だったが、今は白銀が目立つようになっている。
それでもビキニアーマーの一種ではあるから、肌の露出は大きい。
しかしながら魔力が付与されているので、防御力は前の鎧より格段に大きくなっている。
クリス:「ありがとう。おかげで、前より強い武器と防具を揃えることができた。感謝する」
稲生:「これからどうするの?」
クリス:「私は6番街に戻るさ。ジムに戻って、早速会長達に報告したい」
稲生:「そうか」
クリス:「皆さんはどうする?」
稲生:「先生?」
イリーナ:「そうねぇ……。私の占いでは、このバザールに来れば、次のクエスト先が見つかるってあったから、もう少し歩いてみようかと思うよ」
クリス:「了解。また何かあったら、うちのジムを訪ねてくれ。力押しの仕事なら、何でも協力できるはずだから」
稲生:「うん、こっちこそありがとう」
稲生達はクリスと握手を交わし、ここで別れた。
クリスは駅の方に向かい、稲生達は更にバザールの奥へと進む。