[5月6日12:30.天候:晴 アルカディアシティ6番街 地下鉄工事現場→6番街駅]
ついにボス戦に勝利した稲生達。
親蜘蛛A:「グエッ……!」
親蜘蛛B:「ゴポッ……!」
稲生:「?」
親蜘蛛が口から何かを吐き出した。
糸ではない。
それは緑色で野球ボールくらいの大きさだった。
マリア:「魔法石?」
魔法石のようなものを吐き出した親蜘蛛2匹は、たちまちに普通の蜘蛛の大きさになってしまい、消えた。
稲生:「まさか、この蜘蛛達はこの魔法石を飲み込んだせいでこうなったのでは?」
マリア:「そんな魔法石、聞いたことがない」
マリアが魔法石を拾おうとしたが、ボロッと形が崩れ、見る見るうちに砂状になってしまった。
マリア:「とにかく、師匠に報告しよう」
ノラン:「もしも今のが本当に魔法石だとしたら、魔道士さん達を連れて来て正解だったというわけですね」
稲生:「まあ、確かに……」
ノランの言っていることは半分外れている。
魔法石は何も魔法使いだけの専売特許ではなく、実は戦士にも使える。
例えばノランの大剣にもデザイン上の都合なのか分からないが、刃の下の方に丸い穴が空いている。
ここに魔法石をはめ込むことによって、その魔法石の力を使うことができるのである。
ダンテ一門の中にも、魔法石を開発・研究する組が存在する。
イリーナを通して、その組に問い合わせれば分かるだろう。
6番街駅に戻る間も親蜘蛛の死を知らない子グモや、ゴキブリやネズミの化け物と交戦したが、稲生達の敵ではなかった。
子グモとはいえ、子熊並みに大きい個体を一匹倒した時、試しに体を真っ二つに裂いてみたが、子グモから魔法石が現れることはなかった。
エリック:「よお、ご苦労さん」
ノラン:「あら、会長?どうかなさったんですの?」
エリック:「心配になって見に来たんだよ。大蜘蛛のいる場所の近くで、落盤事故があったって言うんでねぇ。巻き込まれていやしねーかと思って、来てみたわけよ」
ノラン:「あれは親蜘蛛が暴れたせいですよ。もちろん、きっちり退治しておきましたからね」
稲生:「僕は楽して殺虫剤で殺しただけです。本当に活躍したのは、ノランさんとマリアさんですよ」
エリック:「いや、化け物蜘蛛を殺虫剤で倒した稲生さんも相当なものですよ」
マリア:「早いとこ師匠と合流したい」
稲生:「色々と報告することがあるんですよ」
エリック:「了解です。早いとこ戻りましょう。大蜘蛛を退治したことは、俺が自警団に報告しておきますから」
稲生:「ありがとう」
[同日13:00.天候:晴 6番街カブキンシタウン 三星亭(Three Stars Inn)]
ジーナ:「あ、お帰りなさい」
稲生:「ただいま。イリーナ先生はいるかな?」
ジーナ:「お店からは出ていませんよ」
マリア:「部屋にいるのか」
稲生:「先に昼食を食べてからにしませんか?」
マリア:「そうだな。だけど、先にシャワー浴びてからにしたい。汗臭いし、黴臭いし……」
ジーナ:「聞きましたよ!地下鉄の大クモを退治したんですって!?やっぱり戦士だけじゃダメだったんですねぇ」
マリア:「ジーナ。シャワーを浴びたらランチにしたいんだけど、できる?」
ジーナ:「大丈夫ですよ。何にしましょう?」
稲生:「おすすめは?」
ジーナ:「『チョコボ白ローラム鳥のパエリア』です」
稲生:「いや、だからチョコボ食べちゃダメだってw」
マリアが部屋に戻ると、イリーナは……。
イリーナ:「 さすがにそれは食べれないよ……」
ベッドに横になって惰眠の限りを貪っていた。
これで本当に先ほどのクエストを採点してくれていたのか、不安になってしまう。
マリアは一糸纏わぬ姿になると、シャワールームに入った。
こんな時、シャワー付きの部屋を選択してくれたイリーナには感謝する。
もっとも、普通の宿屋ではバスタブまでは無いことが殆どだ。
安宿でもバスタブくらい付いている日本の宿は、本当に恵まれているのだとマリアは固定式のシャワーヘッドを見上げながらそう思った。
ジーナ:「お待たせしました。『白ローラム鳥のパエリア』です!」
マリア:「Thanks.戦いの後はお腹が空くからね。早速食べよう」
稲生:「はい。あの、白ローラム鳥って何ですか?」
マリア:「そうだなぁ……。鳩と鶏を足して2で割った、魔界ならではの鳥かな。アホウドリみたいに、人間が近づいても逃げないんだって」
ジーナ:「魔界特有の鳥にしては、全く害の無いものとして有名なんですよ。大抵の魔界の鳥はモンスターでなくても、なかなか凶暴な種類が多いんですけどね」
黒ローラム鳥というのもいるが、これはどう見てもカラスのことである。
但し、カラスが猛禽類に進化したものといった感じにしか稲生は見えない。
だからたまにモンスター代わりとして、街中でエンカウントすることもあるという。
稲生:「そういうことなら、安心して食べれるかな。いただきまーす」
マリア:「おっ、さすが美味しい」
ジーナ:「あの、先輩方。本日も宿泊されるんですよね?」
マリア:「そのつもりだけど?」
ジーナ:「先輩、服を着替えたみたいですね。宜しかったら、明日までに洗濯しておきましょうか?」
マリア:「えっ、いいの?」
ジーナ:「はい。私も先輩のその服、興味がありますので」
稲生:「人間界で売ってるよ。ベイカー組のルーシーも、マリアさんと一緒に買ったんだ。ね?」
マリア:「まあね」
因みに一緒にいたエレーナは興味が無かったらしく、原宿では服よりもクレープに執心していた。
ジーナ:「いいですねぇ。でも、私は人間界に行けないんです。向こうでは死んだことになってますから……」
稲生:「そうなのか。それは残念だな……」
人間界では幽霊扱いされるジーナだが、ここでは実体を持つ。
マリア:「もし気に入ったんなら、ちょっと着てみるか?替えの服、持って来てるし」
ジーナ:「えっ、いいんですか?」
マリア:「洗濯してくれるんだから、その御礼としてね。ジーナ、私と体型似てるから着れると思う」
ジーナ:「わあ!ありがとうございますぅ!」
稲生:(どうやらジーナ、ルーシーに次いでマリアの友達になれそうだな)
稲生はうんうんと頷きながらパエリアを口に運んだ。
ついにボス戦に勝利した稲生達。
親蜘蛛A:「グエッ……!」
親蜘蛛B:「ゴポッ……!」
稲生:「?」
親蜘蛛が口から何かを吐き出した。
糸ではない。
それは緑色で野球ボールくらいの大きさだった。
マリア:「魔法石?」
魔法石のようなものを吐き出した親蜘蛛2匹は、たちまちに普通の蜘蛛の大きさになってしまい、消えた。
稲生:「まさか、この蜘蛛達はこの魔法石を飲み込んだせいでこうなったのでは?」
マリア:「そんな魔法石、聞いたことがない」
マリアが魔法石を拾おうとしたが、ボロッと形が崩れ、見る見るうちに砂状になってしまった。
マリア:「とにかく、師匠に報告しよう」
ノラン:「もしも今のが本当に魔法石だとしたら、魔道士さん達を連れて来て正解だったというわけですね」
稲生:「まあ、確かに……」
ノランの言っていることは半分外れている。
魔法石は何も魔法使いだけの専売特許ではなく、実は戦士にも使える。
例えばノランの大剣にもデザイン上の都合なのか分からないが、刃の下の方に丸い穴が空いている。
ここに魔法石をはめ込むことによって、その魔法石の力を使うことができるのである。
ダンテ一門の中にも、魔法石を開発・研究する組が存在する。
イリーナを通して、その組に問い合わせれば分かるだろう。
6番街駅に戻る間も親蜘蛛の死を知らない子グモや、ゴキブリやネズミの化け物と交戦したが、稲生達の敵ではなかった。
子グモとはいえ、子熊並みに大きい個体を一匹倒した時、試しに体を真っ二つに裂いてみたが、子グモから魔法石が現れることはなかった。
エリック:「よお、ご苦労さん」
ノラン:「あら、会長?どうかなさったんですの?」
エリック:「心配になって見に来たんだよ。大蜘蛛のいる場所の近くで、落盤事故があったって言うんでねぇ。巻き込まれていやしねーかと思って、来てみたわけよ」
ノラン:「あれは親蜘蛛が暴れたせいですよ。もちろん、きっちり退治しておきましたからね」
稲生:「僕は楽して殺虫剤で殺しただけです。本当に活躍したのは、ノランさんとマリアさんですよ」
エリック:「いや、化け物蜘蛛を殺虫剤で倒した稲生さんも相当なものですよ」
マリア:「早いとこ師匠と合流したい」
稲生:「色々と報告することがあるんですよ」
エリック:「了解です。早いとこ戻りましょう。大蜘蛛を退治したことは、俺が自警団に報告しておきますから」
稲生:「ありがとう」
[同日13:00.天候:晴 6番街カブキンシタウン 三星亭(Three Stars Inn)]
ジーナ:「あ、お帰りなさい」
稲生:「ただいま。イリーナ先生はいるかな?」
ジーナ:「お店からは出ていませんよ」
マリア:「部屋にいるのか」
稲生:「先に昼食を食べてからにしませんか?」
マリア:「そうだな。だけど、先にシャワー浴びてからにしたい。汗臭いし、黴臭いし……」
ジーナ:「聞きましたよ!地下鉄の大クモを退治したんですって!?やっぱり戦士だけじゃダメだったんですねぇ」
マリア:「ジーナ。シャワーを浴びたらランチにしたいんだけど、できる?」
ジーナ:「大丈夫ですよ。何にしましょう?」
稲生:「おすすめは?」
ジーナ:「『
稲生:「いや、だからチョコボ食べちゃダメだってw」
マリアが部屋に戻ると、イリーナは……。
イリーナ:「 さすがにそれは食べれないよ……」
ベッドに横になって惰眠の限りを貪っていた。
これで本当に先ほどのクエストを採点してくれていたのか、不安になってしまう。
マリアは一糸纏わぬ姿になると、シャワールームに入った。
こんな時、シャワー付きの部屋を選択してくれたイリーナには感謝する。
もっとも、普通の宿屋ではバスタブまでは無いことが殆どだ。
安宿でもバスタブくらい付いている日本の宿は、本当に恵まれているのだとマリアは固定式のシャワーヘッドを見上げながらそう思った。
ジーナ:「お待たせしました。『白ローラム鳥のパエリア』です!」
マリア:「Thanks.戦いの後はお腹が空くからね。早速食べよう」
稲生:「はい。あの、白ローラム鳥って何ですか?」
マリア:「そうだなぁ……。鳩と鶏を足して2で割った、魔界ならではの鳥かな。アホウドリみたいに、人間が近づいても逃げないんだって」
ジーナ:「魔界特有の鳥にしては、全く害の無いものとして有名なんですよ。大抵の魔界の鳥はモンスターでなくても、なかなか凶暴な種類が多いんですけどね」
黒ローラム鳥というのもいるが、これはどう見てもカラスのことである。
但し、カラスが猛禽類に進化したものといった感じにしか稲生は見えない。
だからたまにモンスター代わりとして、街中でエンカウントすることもあるという。
稲生:「そういうことなら、安心して食べれるかな。いただきまーす」
マリア:「おっ、さすが美味しい」
ジーナ:「あの、先輩方。本日も宿泊されるんですよね?」
マリア:「そのつもりだけど?」
ジーナ:「先輩、服を着替えたみたいですね。宜しかったら、明日までに洗濯しておきましょうか?」
マリア:「えっ、いいの?」
ジーナ:「はい。私も先輩のその服、興味がありますので」
稲生:「人間界で売ってるよ。ベイカー組のルーシーも、マリアさんと一緒に買ったんだ。ね?」
マリア:「まあね」
因みに一緒にいたエレーナは興味が無かったらしく、原宿では服よりもクレープに執心していた。
ジーナ:「いいですねぇ。でも、私は人間界に行けないんです。向こうでは死んだことになってますから……」
稲生:「そうなのか。それは残念だな……」
人間界では幽霊扱いされるジーナだが、ここでは実体を持つ。
マリア:「もし気に入ったんなら、ちょっと着てみるか?替えの服、持って来てるし」
ジーナ:「えっ、いいんですか?」
マリア:「洗濯してくれるんだから、その御礼としてね。ジーナ、私と体型似てるから着れると思う」
ジーナ:「わあ!ありがとうございますぅ!」
稲生:(どうやらジーナ、ルーシーに次いでマリアの友達になれそうだな)
稲生はうんうんと頷きながらパエリアを口に運んだ。