報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「一夜明けて……」

2018-03-24 19:56:51 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日07:00.天候:晴 静岡県富士宮市ひばりが丘 スーパーホテル富士宮]

 シンディ:「はいはーい、朝ですよ!起きてくださーい!」

 7時ピッタリに再起動したシンディ。
 今度はオーナーのアリス、ユーザーの敷島を起こす。

 

 シンディはザッと縦引きカーテンを開けて、室内を明るくした。

 敷島:「ん……んん……。なに?もう朝か……」
 シンディ:「はい、おはようございます!」

 ロフトベッドに寝ていた敷島は素直に起き上がった。
 で、その下のダブルベッドに寝ていたアリスは……。

 アリス:「うーん……あと5分……」

 ダブルベッドいっぱいに、物凄い寝相で寝ていた。
 どんな寝相なのかは、【お察しください】。
 アメリカ人らしく、「夫婦なのだからダブルベッドに一緒に寝て当然」という考えのアリスだが、敷島は、「シングルベッドに別々でいい」という考えであった。
 その理由は、この寝相である。

 敷島:「その言葉をあと1時間以上繰り返す気だ、コイツ。某ロシア人魔女みたいなこと言うな」
 シンディ:「博士、起きてください」
 アリス:「うーん……」

 しかしアリスは布団を頭から被ってしまった。

 シンディ:「社長」
 敷島:「取りあえず俺は顔洗ってくるから、それまでに起こしとけ」
 シンディ:「はあ……」
 敷島:「何だったら、電気流していいぞ」
 シンディ:「できません!仮にもオーナーであり、マスターの博士に電流を流すことなど……!」
 敷島:「オマエ、アリスの命令で俺には平気で電気流してんだろがw」

 オーナー>>>>>>(超えられない壁)>>>>>>ユーザーという図式を改めて理解した敷島だった。

 敷島:「全く……」

 敷島が室内のユニットバスの洗面台で顔を洗い、歯を磨いているとアリスが入って来た。

 敷島:「おう、やっと起きたか。ねぼすけアメリカ人」
 アリス:「むー……!おはよう、タカオ……」

 アリスの浴衣は完全に着崩れしており、ほぼ何も着ていないも同然であった。
 93cmもある巨乳が完全に露出している。

 アリス:「……よいしょ」

 アリスは寝ぼけているのと二日酔いで頭がボーッとしているらしく、唯一ちゃんと身に着けているショーツを下ろすと便座に腰掛けた。

 敷島:「おい!今、俺が使ってんだから、後にしろ!」
 アリス:「我慢できない……」
 敷島:「今、カメラに映ってんだぞ!こら!」
 アリス:「分かったわよ……」

 今度はバスタブに移動する。
 完全に全裸になって。

 アリス:「シャワー浴びながらオシッコする……」
 敷島:「こらぁっ!!」

 1度出てやれよ、敷島www

[同日08:00.天候:晴 同ホテル1F朝食会場]

 スタッフ:「おはようございます」
 敷島:「おはようっス」
 アリス:「Good morning.」

 再び部屋をシンディに留守番させ、敷島達は朝食会場に行った。
 御多聞に漏れず、このホテルでも朝食はバイキングだ。
 朝の身支度をしたら気分が良くなったのか、アリスは……。

 アリス:「♪〜」

 皿にヒョイヒョイと料理を乗っけて行く。

 アリス:「タカオ、このNoodleは何?」
 敷島:「富士宮やきそば。この町の名物だよ。B級グルメ」
 アリス:「パルメザンチーズは無いの?」
 敷島:「パスタじゃないのよ」

 敷島は呆れた顔をした。
 敷島は吸い物として味噌汁を希望したのだが、それもセルフサービスで、しかも……。

 敷島:「…………」(←具を小さなトングで掴んで、お椀の中に入れている)

 味噌汁サーバーの所にお椀を置いてボタンを押すと、味噌湯がダバダバと出て来た。

 敷島:「……吉野家や松屋の味噌汁みたいだな」

 恐らく誰しもが、そう思うであろう。

 アリス:「タカオ」
 敷島:「ん?」
 アリス:「野菜も食べなきゃダメよ?」
 敷島:「その野菜より肉の量が多いオマエに言われたくねーよ」

 敷島とアリスはカウンター席に横並びになった。
 敷島は持って来たスマホでワンセグを点けた。

〔「……次のニュースです。昨夜、宮城県仙台市の山間で、黒いロボットがスキー場を荒らしているという通報があり、警察が出動する騒ぎがありました」〕

 アリス:「Huh!?」
 敷島:「何だって!?」

 画面は上空を飛ぶテレビ局のヘリコプターからの映像に切り替わる。

〔「……御覧頂けますでしょうか!?マルチタイプ1号機のエミリーが、見事に黒いロボット達を制圧して行きます!」〕

 敷島:「……やるなぁ、エミリー。修理完了早々」
 アリス:「アンタの持ち物でしょ?ちゃんと管理しなさいよ」
 敷島:「お前のシンディも同型の姉妹機だろうが」
 アリス:「ニュースを見て、他人事でいるタカオの方が変なの!」
 敷島:「別に他人事じゃねーよ。ただ……人間でも制圧の難しいテロロボットを意図も簡単に制圧している様を見てさ……」
 アリス:「今更ビビり始めたわけ?『不死身の敷島』が!?『テロリストも泣かせる男』が!?」
 敷島:「いやいや。そんなエミリーが、俺に『御主人様になってくれ!』って言うんだよ。ある意味で恐ろしいことだ」
 アリス:「そんなエミリーを平伏させてるんだから、そこは素直に凄いと思うよ」

 リポーター:「……エミリーさん、大活躍でしたね?」
 エミリー:「お役に立てて何よりです」
 リポーター:「勝利の喜びをどなたに伝えたいですか?」
 エミリー:「敷島エージェンシーの敷島孝夫社長です」

 敷島:「俺かよ!?」
 アリス:「いや、アンタでしょ。ちゃんと死ぬまでエミリーの面倒を見るのよ?アタシはシンディの面倒見るから」

 それから1時間くらいして、敷島達は部屋に戻ろうした。

 アリス:「Oh!No!」
 敷島:「何だ、どうした?」
 アリス:「ここの温泉入るの忘れてた!」
 敷島:「何だ、そんなことか。だから昨夜言っただろ。飲み過ぎんなって」
 アリス:「Goddamn...」orz
 敷島:「ここの風呂はもう諦めろ。チェックアウトまで時間が無い」

 敷島は哀れむような顔になった。

 アリス:「だって……」
 敷島:「どうせあれだろ?平賀博士、午前中は大学に行かなきゃいけないから、結局は東京には夕方に着くわけだ」
 アリス:「それで?」
 敷島:「俺達もそれに合わせればいい。つまり、このホテルの温泉は無理でも、近くの温泉だったら入れる時間的余地はあるわけだ」
 アリス:「ということは!?」
 敷島:「この近くに大きな温泉施設がある。そこで少し浸かってから帰ろうか」

 敷島のこの言葉に機嫌を直したアリスだった。
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“魔女エレーナの日常” あとがき

2018-03-23 19:28:51 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 当作品のコミックリリーフ兼トリックスター役のエレーナを主人公とした話、つまりスピンオフ作品を書いてみたのだが、どうも視点が途中から鈴木になってしまったような気がする。
 私の技量が如何に冴えないかが分かる内容になってしまった。
 本編の主人公である稲生勇太やヒロイン(?)のマリアンナ・ベルフェゴール・スカーレットが長野県北部の屋敷にいる間、エレーナは何をしているのかということを書いてみたかったのが本作品である。
 日常とはいうが、鈴木が出てきた時点で既に非日常となってしまったな。

 本当はもう少し突っ込んだ話を書いてみようかと思ったのだが、本編を差し置いて長くなりそうだったので今回は差し控えた。
 例えば……。

 ・エレーナがワンスターホテルで働くようになった経緯。
 ・そもそもワンスターホテルのオーナーが、ダンテ一門の“協力者”となった理由。
 ・ウクライナのキエフ州出身だとされるエレーナが来日した経緯。
 ・そもそも年齢はいくつ?(稲生は「僕達より年上」と思っているが、エレーナは「稲生とマリアンナより年下」と言っている)
 ・魔女として堂々とホウキで空飛んでいるにも関わらず、周囲が大騒ぎしないのは何故か?
 ・“魔の者”とアメリカで戦った経緯について(背中にマシンガン食らって、瀕死の重傷を負ったことがあるらしい)。
 ・魔道師の世界において処女は『魔女』とは呼ばれないのに、何故そう呼ばれるのか?(エレーナが嘘をついている。或いは……)
 ・師匠のポーリンや後輩のリリアンヌが魔界にいるのに、未だに人間界に居続ける理由。
 ・イリーナ組と敵対していた頃より、顔付きや顔立ちが変わった理由(整形したというわけではない)。

 などなど……。
 いずれは鈴木が暴いてくれることだろう。
 尚、この鈴木のことなのだが、ポテンヒットさん原作“ガンバレ!特盛くん”からのゲストキャラである。
 原作では……。

 ・下の名前は不明。
 ・顕正会男子部組長(隊番号不明)。
 ・実家は資産家で、ベンツを持っている。
  ・ケンショーレンジャー5名を一気に輸送したことから、ミニバンタイプのVクラスと思われる。
  ・松本への手切れ金として50万円を現金で特盛に渡している。
 ・当初は顕正会の信仰を真面目に行っていた。
 ・組員の特盛君や女子部員の沢尻エリちゃんの仲を取り持つ役を行った。
 ・支隊長の松本の所業を見て行くうちに、顕正会に対する疑問が出て来た。
  ・ついに逮捕された支隊長を除名処分に追い込んだ。
   ・当作品では出所後に絶望して自殺したことになっている。

 こんな感じだったと思う。
 当作品では更にアレンジして……。

 ・下の名前を弘明とする(名前のモデルは作者の卒業した短大のOBから)。
 ・ゲームオタクで、自分でゲームを作るほど。
 ・職業についてはまだ決めていないが、ニート設定にする可能性大。
 ・顕正会時代の害毒のせいか、はたまた正証寺では功徳が薄いのか、卑屈な性格でトラブルを引き起こすことが多々ある。
 ・ちまちま信心活動しても無意味であることを知ってしまった為、それを一気に解決できる魔法にその可能性を見出してしまう。
 ・自分を追い込んだ顕正会に強い恨みを抱いており、五座三座の勤行も顕正会員への殺意を込めて行っている。
  ・当然ながら、自殺した松本支隊長に対する追善供養など絶対無いと思っている。
 ・教化親たる藤谷春人から稀に鉄拳制裁を受けるほど、大きなトラブルを引き起こすこともある(尚、現実では私は教化子に鉄拳指導している所は見たことが無い)。
 ・同じく顕正会で害毒を積んだはずの稲生が、今やマリアンナという美少女(本当は稲生よりも年上なのだが、10代後半で年齢がほぼ止まっているのでそう見える)が彼女となっていることに妬みを抱いている(そういう関係になれるまでに、稲生も結構苦労したのだが)。
 ・霊感も無ければ魔道師になれる素質も無い。

 こんな設定となった。
 原作からの『実家は資産家』で『ベンツVクラス』を乗り回しているという設定は引き継がせて頂く。

 今後への伏線を残しつつ、試験的なスピンオフはここで一旦終了とさせて頂くが、本編ではどんどん明らかにして行きたいと思うので、何卒お付き合い願えればと思います。
 尚、展開によっては当時の“あっつぁの顕正会体験記”の『名無しのリスナー』達が怒鳴り込んでくるようなものになるかと。
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“魔女エレーナの日常” 「鈴木と魔女たち」

2018-03-23 10:20:44 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月17日06:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル501号室]

 鈴木のベッドの枕元に置かれたスマホから、目覚ましアラームが流れる。
 “東方Project”作品の1つ、“東方永夜抄”より八意永琳のテーマ“千年幻想郷”である。

 鈴木:「う……」

 鈴木はピッとアラームを止めた。

 鈴木:「うーむ……」

 枕が変わると抵抗無く起きられるものと聞いてはいたが、それにしても正証寺の支部登山で泊まり掛けで行った時よりも清々しい目覚めだった。

 鈴木:(昨日の食事のおかげか……?まあいい。早いとこ着替えて、朝の勤行を……)

[同日07:00.天候:晴 同ホテル1階ロビー→レストラン“マジックスター”]

 魔女:「……つまりヨーロッパじゃ足が付くから、日本でやってみようと思うわけよ」
 エレーナ:「既にマリアンナ達が似たようなことやってるけどな」
 魔女:「だってあいつら、自分達の家にしちゃってるでしょ?せっかくエレーナがこうやってホテルで働いてることだし、そのノウハウを生かさない手は無いと思うな」
 エレーナ:「面白い試みだと思うが……」

 その時、エレベーターが1階に下りて来る。

 エレーナ:「おっと!お客が来たから、また後で」
 魔女:「それじゃあ……」

 スーッとドアが開く。

 エレーナ:「おはようさん。よく眠れたでしょ?」
 鈴木:「ああ……。って!」

 鈴木はエントランスの外に魔女の姿を見た。

 鈴木:「あれはっ!」
 エレーナ:「!?」

 鈴木はホテルの外に飛び出した。
 が、既に魔女の姿は無くなっていた。

 エレーナ:「どうかしたの?」
 鈴木:「今、アンタの仲間がいたぞ!?」
 エレーナ:「気のせいでしょ?私はずっと1人だったよ?」
 鈴木:「ウソを付くな!現に俺はこの目で……!」
 エレーナ:「寝ぼけたんでしょ?あのハーブ料理、よく眠れたのはいいけど、目覚めは良くなかったみたいだね。後でキャシーに言っとく」
 鈴木:「客で実験すんな!」
 エレーナ:「それより、朝食でしょ?レストランでバイキングだから、ゆっくり食べてって。もっとも、朝食は普通の食材だけどね」
 鈴木:「ちっ……」

 鈴木が渋々とレストランに向かって行く。

 エレーナ:「ちょっとフィオナ!消えるタイミング遅い!あやうくバレる所だったじゃない!」

 エレーナは水晶球に向かって怒鳴り付けた。

 鈴木:「やっぱり仲間がいたのか」

 柱の陰からぬっと鈴木が現れた。

 エレーナ:「って、うおっ!?」
 鈴木:「この程度の駆け引きで簡単に尻尾を出すとな。マーズ・ランキング……じゃなかった。ウィッチ・ランキング低いんじゃないのか」

 鈴木はそう吐き捨ててレストランに向かった。

 エレーナ:(ムカつく客だな……!ってか、勝手にランキング作るなーっ!)

 レストランに行くと、確かにディナータイムとは打って変わって、比較的普通な感じだった。
 カラスはおらず、普通に人間のパート従業員がいるだけだった。

 従業員:「宿泊客の方ですね。朝食券をお預かりします」
 鈴木:「あ、はい。……あの、キャサリン……さんはいますか?」
 従業員:「店長はモーニングタイムの時はおりません」
 鈴木:「そうですか……」

 食べ物に関しては普通であったが、やはりここは魔女が経営するレストランなだけある所があった。

 鈴木:「ハーブティーがパねぇ……」

 聞いたこともないような名前のハーブティーが並んでいた。

 鈴木:「『ブルーハーブを2つ調合することで、体中の毒素を全て排出させるブルーティー』って、本当に青いし!」

 他には、『グリーンハーブにキノコを調合して……』といったお茶もあった。

 鈴木:「何のキノコだか聞かない方が良さそうだな……」

 もちろん飲み物には他にコーヒーとかジュースなどもあるわけだが、あえて鈴木はハーブティーに手を付けることにした。

 その様子をホテルの防犯カメラで見ていたエレーナ。

 エレーナ:「ねぇ、キャシー。あいつの記憶を抹消する魔法とか無い?」
 キャサリン:「あるけど、ハイマスター(High Master 弟子を取ってもOKなベテラン)くらいにならないと修得できないよ」
 エレーナ:「キャシーもハイマスター……」
 キャサリン:「眠いから寝ておくねー」

 キャサリンは奥の従業員休憩室に向かって行った。

 エレーナ:「くそ……!」
 宿泊客:「あのー、チェックアウト……」
 エレーナ:「あ、はい!ご利用ありがとうございます!」

[同日10:00.天候:晴 同ホテル1階ロビー]

 エレーナ:「どうだった?うちのホテルは」
 鈴木:「宿泊に関しては、割かし普通のビジネスホテルだ。取り立てて、褒める所も貶す所も無い。だが、それ以外の……特に料飲部門が……」

 鈴木は“マジックスター”の方へ視線を送った。

 エレーナ:「とある見習い魔女はパン屋で住み込みの修行をやっていたけど、本当はこういうホテルの方がいいのよ。バックパッカーなんかも多いから、世界中の情報が集まるしね。ネットだけでは分からない、コアな情報だよ」
 鈴木:「そりゃだって、キキは世界の情報を必要としてなかっただろ」

 鈴木はルームキーをエレーナに返した。

 エレーナ:「はい、それじゃ領収書」
 鈴木:「チェックアウトの時に領収書を出す所なんかは普通のホテルだな」

 だが、その領収書を見た時、鈴木がニヤッと笑う所があった。
 A4サイズの領収書の右下には、五芒星の中を右下から左上へと上昇するホウキに跨った魔女のシルエットが描かれていたからだ。

 鈴木:「細かい所が普通じゃねぇ……」
 エレーナ:「どうも」

 こうして鈴木はホテルをチェックアウトしていった。

 オーナー:「ご苦労さん。朝だけでも手伝ってくれて助かるよ」
 エレーナ:「いいえ、どうも」
 オーナー:「今度はチェックインの業務から入ってもらうから、一旦上がっていいよ」
 エレーナ:「分かりました。それじゃ、失礼します」

 エレーナはエレベーターを地下1階まで行けるようにスイッチを操作すると、それで自分の部屋がある地下1階へと下りた。

 エレーナ:「ん?水晶球が……」

 水晶球が鈍く点滅した。

 クロ:「誰かからの通信ニャ?」
 エレーナ:「そうだね」

 自分の部屋に入ると、エレーナは水晶球を机の上に置いた。

 リリアンヌ:「え、エレーナ先輩……。お、おは、おはようございます……」
 エレーナ:「リリィか。どうしたの?」

 エレーナの後輩で、普段は魔界で修行をしているリリアンヌからだった。
 人間時代は幼児虐待を受けたこともあって、やや言語障害が出てしまっている。

 リリアンヌ:「フヒヒ……。こ、ここ、こっちで得た情報なんですけど……」
 エレーナ:「なに?」

 その情報とは鈴木に関することだった。

 エレーナ:「ははは、運命って残酷なものだねぇ……!」

 エレーナは哀れむような笑いを浮かべると、後輩との通信を切った。
 そして、さっさと仮眠の準備を始めたのだった。
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小説の途中ですが、ここで本日の雑感をお送りします。20180321

2018-03-21 20:31:07 | 日記
 いきなり冬に逆戻りした本日、皆さん、いかがお過ごしだろうか?
 私は罰で吹き曝しの警備現場で、朝から夕方まで立っていた。
 勤務先の職員さんに哀れまれる有り様であった。

 さて、前の記事のコメント欄で功徳と害毒について論じたが、あれは私の主観に基づいている。
 もう1度言うが、ソースや文証を出せと言われても無理なので念の為。
 “あっつぁの顕正会体験記”じゃ、自分の主観でコメントを書くとすぐに叩いて来たからね。
 小鉄さんも覚えていらっしゃるだろう。
 逆に、知りたかったらそれこそ大石寺に足しげく通うことだ。
 そうすることで、段々と……見てはいけないものまで見えて来てしまうのだから不思議だ。

 元・学会員の害毒が突発的に現れるという現証、私は見たよ。
 “慧妙”でネタになるかと思ったんだが、妙観講員のいないお寺だったのかな?
 あ、違う!
 元なんだから、ネタにするのは“フェイク”の方だ!
 心臓発作で病院に担ぎ込まれたそうなんだが、手遅れで御臨終されたそうだ。
 もちろん、元顕でも心臓発作で亡くなる人はいるだろう。
 ただ、元顕の場合は元から具合が悪いだとか、何かしら兆候があって亡くなるパターンが多いのに対し、元学会員はそれまで元気だったのに急に倒れてしまうパターンが多いような気がしてしょうがないのだ。
 ま、無宗派があまり信仰者の生き死にについてあまり論ずるのはどうかと思うので、この辺りにしておきたい。

 コメント欄で愚痴った、「使えないオッサン達」の話。
 私の部下の平隊員は2人いるのだが、1人は50代前半と40代後半。
 仮に前者をA氏、後者をB氏としよう。
 A氏もB氏も私より社歴が長く、年齢も上だ。
 特にA氏にあっては、階級も私より上だったりする。
 だとしたら、A氏の方が先に出世して私がその下に就いているはずだ。
 でも、現実は逆なのである。
 何故か?

 これもコメント欄で愚痴った。
「若いのに落ち着いている」と評されたことがあるのは私。
「年甲斐も無くあわてんぼう」というのはA氏のことである。
 まあ、私の場合はどうでもいい。
 単に仏法と関わっていたおかげで、周囲にそう思われただけのことだろう。
 私の職場の中で最年長であるにも関わらず、慌てるあまりに仕事ぶりが抜けていて、ユーザー様からも呆れられるほどなのだ。
 とはいうものの、出世コースからは外れても、階級は上がっていたことから、けしてリストラコースというわけではなかったようだ。
 問題なのはB氏。
 私は顕正会時代、その罰のせいか、リストラコースを歩んでしまった者達だけが配属される窓際部隊に送られたことがある。
 私の場合、そこに1年以上いた。
 B氏はその数倍以上の期間である。
 今はもう人手不足の時代だから、その窓際部隊は解体され、ただ単にアルバイトや嘱託社員だけの部署になったが、私がそこにいた10年くらい前まではまだまだ景気も悪かった頃で、人手が余っていた時代だった。
 意地悪な副部長が、決まったばかりの警備強化スローガンが言えるかどうか抜き打ちでテストさせ、答えられないと、
「バカ野郎!だからお前は窓際部隊なんだ!窓際部隊というのはなぁ、いつでも辞めていいってことなんだぞ!分かってんのか!!」
 と、怒鳴り声を上げていたのを今でも覚えている。
 今ならパワハラで訴えれば勝てる事案ですな。
 もっとも、私はパワハラで訴えるつもりは無い。
 詳細は後述する。
 で、B氏も答えられずに怒鳴り付けられたクチだったんだな。
 最初は私も、「あのクソ副部長。いつか復讐してやる」と思っていたのだが、いざ実際そのB氏が部下になってみると……。

 弊社では臨時警備(略称、臨警)という仕事がある。
 これはイベント警備などの単発の仕事のことで、他社ならアルバイトにやらせる仕事である。
 窓際部隊はこの単発の仕事だけをやらされるという、本当に追い出し部屋ならぬ、追い出し部隊だったわけだ。
 実際は正社員が残業手当稼ぎに参加するというのが実態である。
 もちろん、私もそうだ。
 で、そういった仕事の中には特定の人しか指名されないものもある。
 私はその中に入っておらず、A氏やB氏がよく行く臨警があった。
 私はこの両人に個別に、こういう質問をした。

「その臨警って、どうなの?」

 皆さんはこの私の質問を、どう捉えるだろうか。
 私は隊長代行として、平隊員の彼らに聞いたのだ。
 A氏はこう答えた。

「あの臨警ですか?いや〜、正直キツいですね。この本隊と同じく吹き曝しの所にずっと立ってて、それでいて手当は少ないんですから」

 なるほど、そうか。キツいのか。うん、分かった。じゃあ、来月のシフト表作る時、その仕事が入った日の前後はなるべく公休にしておこう。

 B氏の場合。

「どうっちゅーか……。要は交差点の角に立って、駐車場の場所が分かりにくいもんで、それを案内する業務なんですよ。第一駐車場と第二駐車場があるもんで、第一駐車場が満車になると、第二の方に案内するんですけど、そうしている間に第一が空いたりするもんで……」

 そんなこと聞いてねーよ!俺が何でそんなこと聞いたのか全然考えてねーだろ!
 こんなんばっかなんだよ。
 この時ばかりは、あのクソ副部長の言葉を言いたくなったよ。

 かくいう私も、こういうクセだらけのオッサン達の世話を任されたわけだから、真っ当な出世ではない。
 何せ、リストラ予備軍の部署に1年以上も配属されていたというレッテルは未だに剥がれていないわけだから、正直言って押し付けられたのかなという感じはする。
 因みに私の場合は、リストラできない状況に持って行かせる方法を取った。
 具体的には警備業ならではの資格(警備業務検定)を3つ取り、更には防災センター要員講習だの自衛消防技術試験に合格してやるだの、色々と資格を取りまくってやった。
 そういうこともあってか、今では隊長代行まで上がることができたのだが……。

 ここからが私の復讐開始だ。
 まずはあのクソ副部長の所に行き、ニコニコ笑顔で隊長代行に抜擢されたことへの挨拶という名目で面談した。
 そして最後に一言、私はスッと笑顔を消して、

「副部長。そう言えば昔、あなたに『お前なんかいつでも辞めていい』って言われたんですけど、辞めていいですか?」

 と言ってやった。
 机にはそれまで取った国家資格の数々の資格証をブン投げて。

「他の警備会社からスカウト来てるんですけど?3社ほど。後で部長とも面談させて頂きますから」

 すると副部長は慌てふためき、

「い、いや、雲羽!そ、それはその……む、昔の話だ!まさか、お前がここまで頑張るとは思ってもみなかったから……!そ、そうだ!お前、まだ隊長代行だろ?来年度から正式に隊長の辞令が出るようにしてやろう!な?だからもっと頑張ってくれ!うちの会社で!」

 と言い、急に用事があるからと慌てて面談室を出て行った。
 
 復讐完了だ、この野郎!
 パワハラで訴える必要は無い。
 会社にとって必要な人材に成長してやり、さっさと転職できる準備を整えて脅しに行くというのが私の手だ。
 もちろんそこで、
「ああ、いいよ。とっとと辞めてくれ」
 と言われても、ちゃんと本当にすぐ転職できるようにしておいてね。
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“魔女エレーナの日常” 「レストラン マジックスター」

2018-03-20 19:24:15 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月16日18:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル1Fレストラン“マジックスター”]

 ホテルのロビーと繋がっている木製のドアを開ける。
 片開きの1枚ドアの表面には、蛇を模した黒い不気味な飾りが付いており、いかにも魔女がこの奥にいることを伺わせる。
 だが……。

 キャサリン:「いらっしゃいませー」

 入ってみると、そこはジャズバーのような雰囲気のレストランがあった。
 実際、店内BGMもジャズが掛かっている。

 キャサリン:「お1人様ですか?」
 鈴木:「ええ」
 キャサリン:「こちらへどうぞ」

 と、キャサリンは鈴木をカウンター席へ案内した。

 キャサリン:「ホテル宿泊の方ですね。宿泊客の方は料金10%引きになります」
 鈴木:「なるほど。そういうサービスがあるのか。はい、ルームキー」
 キャサリン:「ありがとうございます。ご注文は?」
 鈴木:「ここって、『魔法薬を薬膳とした創作料理』が食べられるんだよね?」
 キャサリン:「そうですよ」
 鈴木:「何かお勧めの料理はありますか?」
 キャサリン:「本日のお勧めは『3種のハーブをふんだんに使用したポテまたはブイヤベース』です」
 鈴木:「……何か普通そうな……」
 キャサリン:「その3種のハーブに、秘密が隠されているのですよ」
 鈴木:「どんな?」
 キャサリン:「ふふ、秘密ですよ。お客様の健康状態に合わせて、ハーブの調合を変えているのです」
 鈴木:「すると、この料理を注文しようとする俺の体調にも合わせてくれるわけだ。でも、俺は別に、どこも体の具合は悪くないしなぁ……。作者みたいに、潰瘍性大腸炎ってわけでもないしな」
 キャサリン:「お客様、お体の方は大丈夫でも、心の方が疲れておりません?」
 鈴木:「なに?」
 キャサリン:「ハーブには体だけでなく、心も癒してくれる効果があるんですよ」
 鈴木:「心か。確かに顕正会のせいで、俺の心はズタボロだ。それが嫌になって、法華講員の口車に乗せられて宗門に行ってみたものの、何にもいいことありゃしねぇ……」
 キャサリン:「お悩み事で心がお疲れですね。お任せください」

 キャサリンは笑みを浮かべて厨房に向かった。

 鈴木:「見た感じ、ちょっとムーディー☆アポ山……じゃなかった。ちょっとムーディーな雰囲気のジャズレストランって感じだなー。とても、魔女が経営しているとは……」

 鈴木は辺りを見回した。
 と、そこへ今度は外から新規客が入って来る。
 店長のキャサリンは厨房に入っているが、接客はどうするのか?

 カラス:「カァー、カァー!」

 天井には止まり木代わりの梁が通しており、そこにカラスが止まっていたのだ。
 それがバサバサと飛んで来て、

 カラス:「いらっしゃいませ。2名様ですカァー?そちらのテーブル席へどうぞ。御新規2名様、ご案内ですカァー!」
 鈴木:「……!!」( ゚ ρ ゚ )

 鈴木の眼鏡がずり落ちる。
 カラスが飛んで来て接客することもそうだが、まずそのカラスが喋れる上、新規客もリピーターなのか、何も驚かないことだった。

 カラス:「お冷やのお代わり、どうですカァー?」
 鈴木:「うわっ!?……お願いしていいのか?」
 カラス:「少々お待ちください」

 カラスは鈴木のグラスを嘴に咥えると、バサバサとカウンターの向こうに飛んで行った。
 そして……。

 女性スタッフ:「お冷や、お待たせしましたー」
 鈴木:「!!!」

 奥から出て来たのは人間の姿をした女性スタッフだった。
 だが肌は浅黒い。

 客:「すいませーん!」
 女性スタッフ:「はい、ただいまー」

 鈴木が呆然としていると、女性スタッフは先ほどの新規客の所へ注文を取りに行った。

 鈴木:「あの……え?え?ええ?」

 混乱していると女性スタッフはまた奥へ向かって行き……。

 カラス:「カァー!カァー!ちょっと佐々木さん!何度も遅刻するなって言ってるカァー!」
 別のカラス:「サーセン。ハトのヤツらがあまりにもウザかったんで、息の根を止め……あ、いや、静かにさせようと……」

 またカラスの姿に戻って、ちょうど『出勤』してきた別のカラスの遅刻を注意していた。
 人間の言葉を喋っていなければ、普通にカラスが店内に侵入して何かコミュニケーションしているくらいにしか見えない。

 キャサリン:「お待たせしました。『3種のハーブをふんだんに使ったブイヤベース』でーす」

 しばらくすると、キャサリンが厨房から出て来た。

 鈴木:「あ、あの、すいません。何でここにカラスがいるんですか?」
 キャサリン:「私の使い魔達です。今はお店を手伝ってもらってるんですよ。魔女の使い魔でカラスはデフォでしょ?」

 キャサリンはさも当然のように言った。

 鈴木:「えっと……」
 キャサリン:「もちろん、初めてのお客様は驚かれます。でも、普通のカラスと違っていい子達ですよ」
 鈴木:(そういう問題かな……)

 因みにカラスの中には、客の話し相手になってる者もいる。

 男性客:「この前、クルミを割ろうとしていたカラスがいたんだ。そしたらそこへ強風が吹いて来て、クルミが飛んで行ってしまったんだ。俺が先に見つけて、ハンマーでクルミを割ってやったんだ。そしたらそのカラス、嬉しそうに食べてさぁ……」
 カラス:「いいことをしましたですカァー」
 男性客:「次の日、さも当然のように新しいクルミをくわえて俺の家でカラスが待っていたんだ。……さすがに、『真夜中、美少女に化けて御礼に来る』というのは期待し過ぎたみたいだ」
 カラス:「普通のカラスはそんなもんですカァ〜。わっちなら、正にお客さんの通りにしたんですカァー」

 鈴木が出された料理を食べると……。

 鈴木:「美味い!それに、何だか心が落ち着くようだ……」
 キャサリン:「お口に合いましたようで何よりです。どうぞ、ごゆっくり」

 鈴木は久しぶりに美味い料理にありついた感じがして、それを全部平らげてしまった。

 キャサリン:「ありがとうございます」

 レジで会計をする。
 宿泊客はチェックアウトの際でも支払いができるのだが、鈴木はあえてレジで先に払うことにした。
 もちろん、宿泊客特権で割引を受ける。

 鈴木:「ごちそうさま。……あの、ここのホテルの従業員で、ホウキに乗る人はいますか?」
 キャサリン:「エレーナですか?今日は休みですから、どこかへ出掛けてるかもしれませんね。1度出掛けると、いつ帰ってくるか分かりませんから」
 鈴木:「そうですか……」

 鈴木はレストランを出てホテルに戻った。

 鈴木:「ん?」

 ロビーには今日の夕刊があった。
 それだけでなく、宿泊客は希望すれば朝刊と夕刊を無料で手に入れることができる。

 鈴木:「すいません、夕刊もらいます」
 オーナー:「どうぞどうぞ」

 普段は新聞を読まない鈴木だったが、この時は何故か夕刊に目を通したくなった。
 ロビーからそれを一部取る。

 鈴木:「あの、エレーナ……さんはいますか?」
 オーナー:「エレーナですか?いえ、夕方に外出してまだ戻って来てませんね。何かご用ですか?」
 鈴木:「いえ……」

 鈴木はエレベーターに乗り込むと、自分の部屋に戻った。
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