報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「戦闘」

2024-07-21 12:24:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月22日11時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園・体育館]

 宿泊施設入口のドアをブチ破って飛び出してきたもの。
 それはモールデッドだった。
 E型特異菌に感染した人間の成れの果て。
 感染したものの、適合できずに転化した者がなる。
 相手は4足歩行タイプの『クイック・モールデッド』というもので、名前の通り、通常の2足歩行タイプよりも動きは俊敏である。
 Tウィルスのリッカーと動きが似ており、壁や天井を這うこともできる。
 通常タイプよりも攻撃力は高いが、耐久力は弱い。

 リサ「いい加減にしろ!」

 リサは右手だけ爪を長く鋭くすると、それでモールデッドを引っ掻いて攻撃した。

 善場「こいつ……!」

 善場はあることに気づいた。
 普通、モールデッドは特定の者を攻撃するようなことはしない。
 自分の視界に入った生物を、手あたり次第に攻撃する習性がある。
 にも関わらず、このモールデッドは、執拗にリサを狙った。

 リサ「カビ臭ェ!」

 リサはモールデッドを階段の下に押し倒した。

 警察官A「何かありましたか!?」
 警察官B「どうしました!?」

 騒ぎを聞きつけて、警察官達も駆け付けて来る。

 善場「あなた達は来なくていいです!」

 だが、時既に遅し。

 リサ「うわっ!」

 モールデッドはリサを押し返すと、駆け付けて来た警察官達に飛び掛かった。

 警察官A「うわっ!」
 警察官B「ぎゃっ!」
 善場「しまった!」

 善場は手持ちのハンドガンを発砲した。

 警察官A「ぐぐ……ぐ……!」
 警察官B「ぐわ……ああ……!!」

 モールデッドからの攻撃を受けた警察官達の体が、見る見るうちに黒カビに覆われて黒ずんで行く。

 リサ「早っ!?感染早っ!Tウィルスより早っ!」
 善場「それが特異菌の特徴です!リサは火を吹いて!」
 リサ「辛い物は!?」
 善場「あ……」

 警察官達もモールデッドと化した。
 但し、こちらは2足歩行の通常タイプである。
 リサ達には向かって来ず、外に出ようと、階段を下りて行った。

 善場「あいつらが外に出たら大変なことになります!」
 リサ「待てっ!」

 リサが追い掛けようとすると、後ろからクイック・モールデッドに組み付かれる。

 リサ「邪魔すんな!」

 リサは引き剥がそうとして、モールデッドの顔を掴んだ。
 そして、顔を覆う黒カビの塊をベリベリ剥がす。
 その下にあったのは、人間の顔。

 リサ「ああっ!お前は!?」
 モールデッド「ア……イ……ハ……ラ……コロス……」

 虚ろな目でリサを睨みつける。

 リサ「わたしを刺したヤツ!!」
 善場「何ですって!?」
 リサ「うらぁーっ!!」

 リサは床に叩き叩き付けると、鬼の姿に戻り、その腕力でモールデッドの首を捩じり切った。

 リサ「よし!」

 捩じり切った頭部は床に叩き付ける。
 いかにモールデッドと言えど、さすがに首と胴体を引きちぎられたら生きられない。

 リサ「早く下へ!」
 善場「分かってます!」

 すると、下から銃声が聞こえた。
 それはショットガンの音。
 現状、ショットガンを持っているのは……。

 愛原「一体、何が起きてるんだ!?」

 愛原だった。
 愛原がショットガンを持って、下から上ってきた。

 善場「愛原所長!モールデッドがそっちに行ったと思いますが!?」
 愛原「一体は私が倒しました!しかし、もう一体はダクトに逃げ込みやがりまして!」
 リサ「さすがは先生!」
 愛原「だから、一体は逃げられたんだって!」
 善場「BSAAに出動要請します!幸いここは体育館ですから、ここさえ閉鎖すれば、モールデッドは外に出られません!早いとこ外に!」
 愛原「分かりました!こりゃ、緊急保護者会は中止ですな!」
 善場「当たり前です!早くリサも……どうしました?」
 リサ「こいつ、まだ生きてるよ!」

 リサは首だけになった1年生男子、城ヶ崎の成れの果てのモールデッドを指さした。
 どうせ、リサに対する怨みの声を上げているのだろうかと思いきや……。

 モールデッド(城ヶ崎)「サイト……サナエ……」
 リサ「斉藤早苗!?」
 善場「斉藤早苗が犯人なのですね!?」
 リサ「わたしを刺したりするから、こんなことになったんだぞ!」
 モールデッド(城ヶ崎)「カ……ギ……カサ……ノ……カギ……」
 リサ「カギ?」

 モールデッドはそこで力が尽きて、体を石灰化させた。
 これは特異菌感染者の死を意味する。
 どんな種類のモールデッドになろうが、適合して人間の姿を保ったままのBOWになろうが、死ねば体は石灰化する。
 そこはリサみたいに、体が燃え上がって死ぬタイプと違う。
 そして、その石灰の中から1本の鍵が現れた。
 それは、傘のマークの鍵だった。
 開いた傘を横から見た図である。
 開いた傘を上から見た図のアンブレラのマークとは異なるが、それでも紅白の傘が、あのアンブレラを彷彿とさせるものだった。

 リサ「どこで使う鍵だろう?」
 善場「こちらで調べておきますので、私が預かっておきます。もしかすると、あなたが持っている『ゴールドカード』が役に立つかもしれませんので、用意しておいてください」
 リサ「分かった」

 リサ達は最後に体育館を後にした。

 愛原「リサ!無事だったか!?」
 リサ「モールデッドの首くらい、捩じ切れるよ!今度から、タバスコ持って来なくちゃ!」
 愛原「えっ?」
 善場「愛原所長は、この鍵に見覚えはないですか?」

 善場は愛原に『アンブレラの鍵』を見せた。

 愛原「いやあ……ちょっと無いですね。何か、ラクーン市郊外のアークレイ山地に建っていたというアンブレラの秘密施設の鍵に似てますね」
 リサ「映画にも出て来たヤツ!オリジナル大先輩が持ってた鍵!」
 愛原「あれはトランプの絵柄の鍵だったな」
 善場「もし仮にこの鍵が、アンブレラに関係する鍵だったとしたら、何故これを彼が持っていたのか謎ですね」
 愛原「どうされますか?我々でお役に立てるようでしたら……」
 善場「捜査令状を取って、彼の自宅の家宅捜索をしたいと思います。それからですね」
 愛原「分かりました」

 リサはブレザーを脱いで、バサッバサッと黒カビを払った。

 リサ「せっかくきれいな服だったのに、汚れちゃったよ!」

 緑色のブレザーは、所々に黒カビの黒い染みができていた。
 クリーニング店に出して、きれいになるかどうか……。

 善場「もう1着の方は、明日までに用意しますから」
 リサ「そうしてもらわないと、制服が無いから登校できない」
 愛原「ジャージがあるだろ」
 善場「取りあえず、一旦引き上げましょう。リサは車に乗ってください」
 リサ「分かった。先生は?」
 愛原「善後策を校長先生達と話してから帰るよ。昼過ぎ帰ると思うから、昼食は適当に食べててくれ」
 リサ「分かった」

 リサは善場に連れられて、駐車場の方へ向かった。

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