報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「温泉で過ごす」

2024-07-04 20:35:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月15日19時30分 天候:晴 千葉県山武郡芝山町香山新田 成田空港温泉“空の湯”1階・会議室→2階・カフェ&バー]

 食事の後、会議室に移動する。
 会議室としての利用が無い場合は開放され、卓球台とボルタリングが設置されている。

 カンコンカンカコカンカココンカンカンコカンカコカンカコカンコカンカカンココ……。

 愛原「いや、だから……」
 父親「み、見えん……」
 高橋「だーっ!」
 リサ「はーっ!」

 高橋とリサに卓球やらせると、互いに目にも留まらぬ速さで打ち合いをするものだから……。

 母親「な、何だか目が回ってきたわ……」
 父親「何か、心なしか、リサちゃんが般若の顔になってきているような……?」

 リサは鬼形態になっていた。

 愛原「あぁあ!父さん達は、向こうで休んでなよ!何なら、2階のカフェ&バーで夫婦二次会でも!」
 母親「そうさせてもらうわ」
 父親「もう1度、温泉に入ってこようかな……」

 両親は会議室から出て行った。

 高橋「スマーッシュ!」

 高橋のスマッシュに、リサが飛び込む。
 しかし、ピンポン玉はリサの2本角の右側に刺さった。

 リサ「ボール!ピンポン玉どこ!?」
 愛原「お前の角に刺さってるよ!」
 パール「マサの勝ち」
 高橋「ドヤァッ!!」
 リサ「くっ……!」
 愛原「リサ、それより頭隠せ!」

 私は風呂用のタオルで、リサの角を隠した。
 私達は館内着に着替えており、角を隠せる物は無い。

 リサ「ご、ゴメン!つい、興奮して……」
 愛原「マンガやアニメじゃ、鬼娘が普通に存在していたりするけど、現実だったら大騒ぎなんだから」
 高橋「今は多様性の時代だから、ワンチャンそれで行けるんじゃないスか?」
 愛原「コミケ会場ならワンチャンあるけどね」
 リサ「てか、実際にあった」
 愛原「確かに!何年か前行ったな!」

 コロナ前の話か。
 あとはボルタリングをやってみたのだが……。

 愛原「リサ!触手を使うのは禁止!」
 リサ「ほえ?」

 リサの触手が撤去されたのは背中側であって、掌から出せる触手はそのまま。
 Tウィルスが体内で同居していた頃はネメシスと同様、そこから体の一部を相手に植え付けて操ることができたが、偽特異菌となってからは、ただ単に鞭のようにしならせて攻撃したり、高い所に伸ばして掴むフックショット代わりの用途でしか無くなっている。

 高橋「あー、疲れた」
 リサ「わたしも」
 愛原「2人だけいい運動だなw」
 高橋「汗かいちゃいました」
 愛原「取りあえず2階で水分補給したら、また風呂に入るか」
 高橋「そうしましょう」
 愛原「2階に自販機コーナーあるから」
 高橋「うっス」

 そこに行くには、セキュリティーゲートを通らなくてはならない。
 まるで駅の自動改札口のようだが、知っていれば大きなオフィスビルのセキュリティーゲートだと分かるだろう。
 通過するには、利用者1人1人に渡されているリストバンドを読取機に当てればいい。

 リサ「駅の改札口みたい」
 愛原「俺には昔、警備員として働いていたビルのセキュリティーゲートに見えるよ」

 エレベーターもあるが、階段で2階に上がる。
 2階に上がると、両親がカフェ&バーで飲み物を飲んでいた。

 母親「あら?あなた達、もういいの?」
 愛原「こいつら短期集中型だからね」
 リサ「いい汗かきました!」
 高橋「俺もっス」
 父親「若い人達が元気に運動しているのを見ていると、こっちまで元気になるよ。こっちに来なさい。飲み物くらいなら、御馳走するよ」
 リサ「おお~!」
 高橋「あざーっス!……いえ、ありがとうございます!」
 愛原「いいの?自販機コーナーのジュースで十分だと思うけど?」
 父親「お前はそうしなさい」

 毒親が……!

 愛原「俺ももう1回、風呂に入ってこよう」
 父親「朝風呂には入れるのかな?」
 愛原「宿泊客は入れるみたいだよ?」
 父親「それはいい。今日は早めに寝て、朝風呂に入るとしよう」
 母親「そうね。夜行バスの旅だったし。今度は横になって寝たいわ」
 愛原「そういえば2人とも、夜行バスで上京したんだったな」
 父親「さすがに今夜はベッドで寝たいよ」
 愛原「そりゃそうだ」
 父親「私ももう1度入るから、その後はもう寝るとしよう。因みに、朝風呂は何時から入れるのかな?」
 愛原「朝5時からだって」
 父親「そうか。それじゃ、その時間を狙って入ることにしよう」
 愛原「元気だねぇ……」
 父親「沖縄には温泉が無いんだろ?だったら、今のうちに入っておきたいものだ」
 愛原「帰りはどうするの?」
 母親「沖縄でパーッと遊んで帰るから、かなり疲れてると思ってね。帰りは仙台までの直行便にしたのよ」
 父親「直行便は高いからやめておきたかったんだが……」
 母親「私達、もういい歳なんだから無理しないのって強く言っといたの」
 愛原「う、うん。この場合は、母さんの方が正論だと思う」
 母親「でしょ?」
 父親「おおーい!」

[同日20時15分 天候:晴 同施設3階・大浴場]

 愛原「背中流しはもういいからな?」
 高橋「へへ、どうも……」
 父親「夜になっても、空港は賑やかだねぇ……」
 愛原「国際線だと深夜便とか、早朝便とかあるからね。ターミナル内の店なんかも、店舗によっては24時間営業の所とかあるから」
 父親「朝食はさっきのレストランか?」
 愛原「いや、レストランは朝食営業は無いから、早めに空港に行って、そこで食べることになるね。調べたら、幸い第3ターミナルのフードコートとかは24時間営業らしいから」
 父親「そうなのか」

 風呂から上がる。
 高橋は洗面所に行って、ドライヤーで髪を乾かしていた。

 愛原「明日は6時30分のバスに乗るよ」
 父親「なに?随分早いな?」
 愛原「しょうがないでしょ。これを逃すと、次は7時30分しか無いんだから。父さん達が乗るのは、8時10分発だったよね?」
 父親「うむ。まあ、そうなると、その便に乗るしか無いわけか」
 愛原「そういうこと。だから、寝坊しないように気を付けないと」
 父親「そういうことなら、早めに寝ておかなくちゃな」

 こうして、2度目の入浴を楽しんだのだった。
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“私立探偵 愛原学” 「温泉に到着」 2

2024-07-04 14:52:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月15日16時40分 天候:晴 千葉県山武郡芝山町香山新田 成田空港温泉“空の湯”1階エントランス]

 

 愛煙家2人の喫煙が終わり、館内に入る。

 愛原「今日はここで一泊だよ」
 父親「カプセルホテルか……」
 愛原「カプセルホテルは、実は日本にしか無いんだよ。日本オリジナルのホテルだ」
 父親「いや、別に海外旅行に行くんじゃないんだからな?」
 愛原「宿泊代安く済ませたいんなら、これくらいにしとかないと」
 父親「うーむ……。さすがは俺の息子だ」
 愛原「カプセルホテルのチェックインは17時からだから、その前に温泉に入るといいよ」
 父親「分かったよ」
 リサ「ここ、前にも1度来たことあるね」
 愛原「だからこそ予備知識があり、両親を案内できるんだよ。まあ、カプセルは泊まったことないけどね」
 高橋「カプセルホテルは、男女別だぜ?」
 リサ「ええっ!?じゃあ、先生と同じ部屋には……」
 愛原「お前は母さんやパールと、同じ女性エリアだ!」
 リサ「じゃあ、今からお湯に入って男に変身する!」
 愛原「“らんま2/1”か!それじゃ、俺と高橋と父さんは男湯に行くから」
 父親「また後でなー」

[同日16時50分 天候:晴 同施設3階・男湯]

 高橋「はッ!不肖の弟子!高橋正義がぁ~あ!?あ、無二の師匠!愛原先生のォ~あ!?お背中ぅをををををを……」
 父親「あのコ、いつもあんな感じなの?」
 愛原「温泉に一緒に入ると、いつもあんな感じ」
 父親「キミは偉いねぇ。うちの息子なんか、1度も私の背中を流してくれたことはなかったよ」
 愛原「いつの昭和だよ……。高橋、俺はいいから父さんの背中を流してやれ」
 高橋「ぴえん
 愛原「何でやねん!」
 父親「ははは!面白くて羨ましい」

 体を洗った後は内湯に入ったり、露天風呂に入ったり……。

 愛原「夕日をバックに、飛行機が離陸している様は美しい」
 父親「お前、鉄オタじゃなかったのか?」
 愛原「今は乗り物全般です」
 父親「ほう……」
 高橋「それなら先生。先生も大型自動二輪免許取って、一緒にツーリングに……」
 愛原「それはカンベンしてくれ。大型自動車免許でお腹一杯だ」
 高橋「ぴえん
 父親「仕事が長続きしなかったお前が、まさか経営者としては長続きするとはな」
 高橋「そうなんスか?」
 愛原「景気が悪くて、ロクな仕事に就けなかっただけだよ。何しろ、就職氷河期世代だからね」
 父親「そう言って、逃げ口上を作るからロクな仕事に就けなかったんだろうが。選ばなければ仕事なんていくらでもある」
 愛原「ほら、それだ!仕事選びはちゃんとしないと、俺みたいにブラック企業に入っちゃって、薄給がでコキ使われるのがオチだ!挙げ句の果てにそれで体を壊しても、『自己責任だ』だろ!?これだから無責任団塊世代は……」
 父親「何おう!?」
 高橋「まあまあまあ!落ち着いてください!」
 愛原&父親「黙れ、ゆとり世代!」
 高橋「……一応、さとり世代っス」
 愛原「今はこうして、探偵事務所として成功してるんだからいいじゃないか」
 父親「この高橋君と違って、婚期を逃してしまったじゃないか」
 愛原「そんなこと今さら言われても……」
 リサ「はーい!先生の結婚相手、ここにいまーす!はーい!はーい!」
 父親「ん?何か、遠くからリサちゃんの声が聞こえるような……?」
 高橋「あー……飛行機のエンジン音か何かじゃないっスかねぇ……?」
 愛原「う、うん。そだね……」

[同日17時30分 天候:晴 同施設2階・カプセルホテル]

 先に温泉に浸かった後は、カプセルホテルに移動する。

 愛原「それじゃ、ここで男女別だから」
 リサ「うう……」
 愛原「18時に1階のレストランに、待ち合わせでシクヨロ」
 パール「分かりました」
 母親「ほら、リサちゃん、行くわよ……」
 リサ「ダクトを通ってそっちに行けないかな……」
 愛原「ウーズか!」
 高橋「モールデッドか!」

 私達は男性用エリアに入る。

 父親「カプセルホテルだと、梯子で出入りだろ?上段はキツいな……」
 愛原「分かってるよ。父さんは下段で。高橋は上段でいいな?」
 高橋「了解っス」

 カプセルの中は案外広く、小物が置ける棚と貴重品ボックスが付いている。
 他にもUSBコンセントや普通のコンセントもあるので、スマホの充電なんかもこれでできる。
 因みにカーテンは横引きタイプではなく、縦引きのロールカーテン。
 こちらの方が密閉性があって良い。

 父親「ま、これも非日常といったところかな?」
 愛原「そう思ってくれればいいと思うよ。これだって、旅行の一環なんでしょ?」
 父親「ふむ……」
 愛原「旅行というのは、非日常を味わうものだからね」
 父親「そんなことは分かってる」

[同日18時00分 天候:晴 同施設1階・食事処“天の川”]

 1階のレストランに移動して、そこで夕食会を行う。

 愛原&父親「かーっ、これだな!」

 温泉地で飲むビールがまた格別なんだ!

 母親「やめなさい、おバカ親子!」
 リサ「わたしだけジュース……
 パール「未成年だから、しょうがないですよ」
 愛原「リサ、その代わり、肉系はジャンジャン頼んでくれていいから!」
 リサ「『豚肩ロースのやわらか低温ロースト』!それと、『店内仕込みのローストビーフ』!それから……」
 父親「よく食べるコだねぇ……」
 母親「それでいて太らないの、羨ましいわ」
 リサ「栄養の殆どはGウィルスが持って行きますから!」
 父親「は?」
 愛原「わー!わー!わー!」

 さらっと国家機密を漏らすリサに、私の体温は低下しまくりだ。
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