報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「京成電鉄の旅」

2024-07-01 21:16:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月15日14時13分 天候:曇 東京都台東区上野 東京メトロ上野駅→京成上野駅]

〔足元に、ご注意ください。電車とホームの間が、広く空いている所があります。出口は、左側です〕

 私達を乗せた日比谷線電車が上野駅に到着する。

 

〔足元に、ご注意ください。上野、上野です。2番線の電車は、北千住行きです〕

 ターミナル駅ということもあり、上野駅での乗降数は多い。
 銀座駅では座った私とリサも、席を立った。

 愛原「京成に移動するよ。ついてきて」
 父親「ああ。だが、日比谷線も随分変わったもんだ」
 愛原「知ってるの?」
 父親「若い頃、上京したての時にギンギラギンの電車に乗った記憶がある」
 愛原「3000系!?」

 私が日比谷線に乗り始めた時には、既に03系電車だったが。
 それも、今は引退済みである。
 ホーム後ろの方にあるエスカレーターで改札階に向かう。
 改札口を出たら、左に曲がって長い通路を進む。
 すると現れるのは、銀座線の改札口。
 その前を通って、6番出口の方へ向かえば京成上野駅である。

 父親「案外歩くな……」
 愛原「まあ、鉄道会社が違うしね」

 それでも地下道を通って京成上野駅には行けるので、雨でも心配は無い。
 何とか成田空港に到着する。

 高橋「それじゃ、早速中に入りましょう」
 愛原「あ、ちょっと待った。キップを買わないと……」
 高橋「キップ?スカイライナーで行くんスか!?」
 愛原「残念ながら、父さんは交通費はケチるタイプだ」
 父親「何がだ。現地では、パーッとやるつもりだぞ」
 愛原「ここも現地だから、高い寿司奢ってくれたわけだ」
 高橋「じゃあ、何でキップ買うんです?」
 愛原「これから向かう芝山千代田駅は、ICカードが使えないのだ」
 高橋「は?え?どこの田舎っスか!?」
 愛原「……うん。まあ、本数だけで言うなら、まるで仙台の仙石線……いや、それよりも少ないか……」
 父親「本当に大丈夫なんだろうな?」
 愛原「大丈夫、大丈夫。私鉄は運賃安いから」
 父親「いや、そういうことじゃなくて……」
 愛原「基本的には京成電車と接続しているから大丈夫」
 父親「そういうことなら……」
 愛原「14時54分発、快速特急、京成成田行きに乗るから。あれは特急という名前でも、特急券は要らない通勤電車だから」
 父親「あれで、芝山千代田とやらに行けるのか」
 愛原「終点で乗り換えだよ。まだ少し時間あるから、ゆっくりしてよう」
 母親「それなら、あそこのカフェでゆっくりしない?」
 愛原「そうするか」
 リサ「おやつにしよう!」
 高橋「急に元気になったな」

 あまり好きではない魚を食わされてテンションが下がっていたリサだが、甘い物は別腹ということか。

 リサ「パンのいい匂い」
 愛原「ベーカリー・カフェだからな」

 先に席を確保してから、商品を選ぶ。
 私も食後のコーヒーが飲みたかったので、ちょうど良かった。
 スカイライナーなら車内で飲めるが、通勤電車の快速特急じゃ、そういうわけにもいかないからな……。
 WiFiも飛んでいるらしく、リサは喜んで『魔王軍』のグループLINEで会話を始めた。

 リサ「リンは学校で部活中らしい」
 愛原「陸上部か。後輩入ったのかな?」
 リサ「リコは入学してきた。リコは文化部入ってる」
 愛原「半鬼だから必ずしも体を動かすのが好き、とは限らないのかな?」
 リサ「多分……」

[同日14時49分 天候:曇 京成上野駅→京成本線14A05電車・先頭車内]

 

〔♪♪♪♪。まもなく、3番線に、京成本線経由、快速特急、成田行きが、8両編成で到着します。黄色い線の内側に、お下がりください〕

 地下のホームで電車を待っていると、接近放送が鳴り響いた。
 そして、やってきた通勤電車。

 

〔「ご乗車ありがとうございました。上野、上野、終点です。お忘れ物、落とし物なさいませんよう、お降りください。3番線の電車は折り返し、54分発、快速特急、成田行きとなります」〕

 京成電鉄の中では、大多数を誇る3000系という電車だろう。
 先頭車に乗り込んで、座席に座る。

〔「ご案内致します。この電車は14時54分発、京成本線経由、快速特急、成田行きです。停車駅は日暮里、青砥、高砂、八幡、船橋、津田沼、八千代台、勝田台、佐倉、終点成田の順に止まります。この電車は、京成本線経由の快速特急です。北総鉄道線、成田スカイアクセス線には参りませんので、ご注意ください。また、停車駅にもご注意ください」〕

 スカイライナーと違い、通勤電車内にはWiFiが無い。
 今接続できるのは、駅のWiFiだけだ。
 リサはそれに接続していた。

 愛原「向こうに着いたら、WiFi繋ぎ放題だよ」
 リサ「うん」

[同日14時54分 天候:曇 京成電鉄京成本線14A07電車・先頭車内]

〔「お待たせ致しました。14時54分発、京成本線経由、快速特急、成田行き、まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕
〔♪♪♪♪。まもなく、3番線から、京成本線経由、快速特急、成田行きが発車致します〕

 発車の時刻になると、発車メロディが鳴り響いた。
 琴の音色が特徴の和風なメロディである。
 曲名は、“歴史”というらしい。

〔「3番線から、快速特急、成田行き、発車致します」〕

 ドアチャイムと共に、電車のドアが閉まる。
 京成上野駅にはホームドアが無い為、車両のドアが閉まり切ると、すぐ車掌からの発車合図ブザーが聞こえて来る。
 そして、ガチャッとハンドルを操作する音が聞こえて来たと思うと、エアーが抜け、電車が走り出した。
 JRと違い、線路の幅が広い標準軌のせいか、結構高速でポイントを通過する感覚がある。

〔京成電鉄をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、快速特急、成田行きです。次は日暮里、日暮里です〕

 電車は地下トンネル内を進んで行く。
 この辺りは右に左にカーブしている感じがして、あまり電車はスピードを出さない。

 愛原「途中に博物館動物園駅という、廃止された駅がある。廃止はされたけど、地下駅ということもあってか、特に取り壊されたわけじゃないから、何となく分かるよ」
 リサ「へえ……」

 京成上野駅から900メートルほど走った所に、その駅はある。
 しかし、4両編成しか止まれないホームの短さということもあり、例えこの辺りは高速で走れないとはいえ、通過はあっという間である。

 リサ「霧生電鉄の秘密の駅みたいだね」
 愛原「ああ。アンブレラの研究施設に繋がる駅な」

 霧生市内を走る霧生電鉄線。
 大山寺駅と霞台団地駅の間には、スイッチバック式の引き込み線があり、その先にアンブレラ秘密研究施設専用駅があった。
 日本アンブレラの関係者や、物資を運ぶのに使われていたそうである。
 その為、霧生電鉄には日本アンブレラが保有し、保守点検と運行を霧生電鉄に委託された専用電車があったとか。
 霧生市が全域立入禁止区域に指定されている為、霧生電鉄も休止状態となっている。

 リサ「あの駅は違うんでしょ?」
 愛原「いや、全然違うよ」

 霧生電鉄の秘密駅と違い、京成電鉄の博物館動物園駅は、東京都選定歴史的建造物に指定されている。
 それからしばらく走り続けると、電車は上り坂を進み、地上に出る。
 京成日暮里駅は3層構造になっており、下層の地上部は全ての上り電車専用ホーム、中層部はコンコース、そして上層部の高架ホームは下りホームとなっている。
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“私立探偵 愛原学” 「両親の東京見物」

2024-07-01 15:46:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月15日11時59分 天候:曇 東京都墨田区向島 とうきょうスカイツリー駅前バス停→都営バス業11系統車内]

 割かし曇ってきたなぁ……。
 何でも夕方以降は雨になるらしい。
 それまでには、成田空港に行きたいものだ。
 そう。
 今日の泊まりは成田空港……の近くだ。

 リサ「お腹空いた」
 愛原「さっき色々パクパク食べてなかったか?」
 リサ「あれはほんのおやつ。まだ、お昼ご飯じゃない」
 愛原「これからお昼にするから。ただ、年老いた両親に合わせて和食になるがな」
 リサ「えー……」
 父親「心配いらん。どうせ昼は寿司だろ?俺が奢ってやる」
 愛原「築地の寿司だから、そんなに安くないよ?」
 母親「お父さんは交通費と宿泊費はケチるけど、食事代はバカスカ掛けるからね」
 父親「『長生きの秘訣は、遠慮せずに美味いもの食べることぢゃ』と、兄さんも言ってたなー」
 愛原「それで警察とはまた違う国家機関と国際機関に追われてるようじゃねぇ……」
 父親「ん?」
 愛原「何でもない。ほら、バス来たよ」

 ここから都営バスに乗り込む。

 父親「これで、築地まで行けるのか?」
 愛原「乗り換え無しでね。多少時間は掛かるけど、着く頃にはお昼のピークも過ぎてるから、店も空いてるでしょ」
 父親「なるほどな」
 母親「あえて豊洲には行かないのね」
 父親「俺の思い出の地は、築地だからなぁ……」

 始発の停留所なので、並んでいれば着席可能。
 バスに乗り込んで、後ろの席に座る。
 私とリサは2人席に並んで座った。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 発車の時間になり、バスは前扉を閉めて発車した。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは本所吾妻橋、東京都現代美術館前、豊洲駅前経由、新橋行きでございます。次は言問橋、言問橋でございます。日蓮正宗本行寺と、日蓮正宗常泉寺へは、こちらが御便利です。次は、言問橋でございます〕

 愛原「リサ、初めてスカイツリーに昇った感想はどう?」
 リサ「BOW的に言えば、『エブリンざまぁw』って感じだね」
 愛原「……と言うと?」
 リサ「あんな高い所から特異菌バラ撒いたら大変なことになると思うけど、あいつはできない。でも、わたしはやろうと思えばできる。優越感」
 愛原「やるなよ?やるなよ?絶対やるなよ?」

 するとリサ、両手で自分のこめかみを押した。

 リサ「先生の命令、インプット。絶対やらない」
 愛原「よ、よし!」
 リサ「というわけで、夕食は肉食べさせて?」
 愛原「わ、分ってるよ」
 リサ「わぁい」

 リサはピンク色のパーカーを羽織っているが、袖は捲っている。
 パーカーの下は黒いTシャツで、下はデニムのショートパンツである。
 マスクの色が白から黒へ変わっていることから、制服から私服に着替える際、下着も換えたということだろうか。
 ここでいう下着とは、ブラジャーのことではなく、ショーツのことである。

 リサ「取りあえず着くまで、おやつ……」

 リサはバッグの中からプリッツを取り出すと、それをポリポリ齧り始めた。
 まあ、いいか。
 変に空腹のままにさせて不機嫌になられるよりは……。

[同日12時52分 天候:曇 東京都中央区築地 築地六丁目バス停→すしざんまい本店]

〔「ご乗車ありがとうございました。築地六丁目です」〕

 バスは片道1時間弱掛けて、築地の下車停留所に到着した。

 愛原「はい、着きましたー」
 父親「いや、確かに乗り換えは無いがな、まさか、ここまで時間掛かるとは……」
 母親「作並温泉から市営バスに乗った気分ね」
 愛原「それをたった210円で乗れるんだから乗り得でしょ?」
 父親「ム!それはそうだ!」
 母親「お父さん!w」
 愛原「それじゃ、昼食と行きましょうか」

 バス停から徒歩数分の所に、寿司店はある。

 店員「いらっしゃいませ!」
 愛原「予約していた愛原です」
 高橋「予約してたんスか!?」
 愛原「席だけね。そこは抜かりないよ」
 父親「むむ、さすがだ」
 愛原「でしょう!」

 席だけ予約なので、メニューは適当に頼む。
 案の定、リサは注文しにくかったようだ。

 愛原「俺と同じ“こころ枠”にするか?」
 リサ「うん」

 寿司を注文した後、私は両親に聞く。

 愛原「次はどこか行きたい所、ある?」
 父親「いや、そろそろ温泉に行きたいんだが?本当に温泉に入れるのか?ただの銭湯じゃないだろうな?」
 愛原「大丈夫だよ。それも、成田空港の近くだ。向こうに行ったら、もう明日まで大きな移動は無くなるよ」
 父親「なるほど、そうか」
 愛原「逆を言えば、『これから温泉に向かう』を選択すると、もう東京には戻れなくなる。心残りがあるんだから、今のうちだよ」
 父親「そう言われると気になるじゃないか」
 愛原「そ、そう?」
 母親「お土産はスカイツリーで買っちゃったしね」

 沖縄には持って行けないので、実家には宅急便で送っている。

[同日14時00分 天候:曇 東京都中央区築地三丁目 東京メトロ築地駅→日比谷線1342S電車・最後尾車内]

 

 昼食を終えた後は、少し周辺を散策して、それから地下鉄の築地駅に向かった。
 市場が豊洲に移転した後も、寿司店などの飲食店や一部の鮮魚店などは残っている。

〔まもなく2番線に、北千住行きが参ります〕

 愛原「これで上野まで行って、そこから京成で成田に向かうよ」
 父親「なるほど」

 電車がやってくる。
 東武鉄道と相互乗り入れしている日比谷線だが、やってきたのは東京メトロの車両だった。

〔築地、築地です。足元に、ご注意ください。2番線の電車は、北千住行きです〕

 私達は最後尾の車両に乗り込んだ。
 上野駅では、京成上野駅に向かう時、後ろの車両の方が良いからだ。
 さすがに全員座れなかったので、両親には先に座ってもらう。
 私とリサは反対側のドアの前に立った。
 すぐに、軽快な発車メロディが流れる。
 曲名は“潮騒”というらしい。

〔ドアが閉まります。手荷物を、お引きください。無理なご乗車は、おやめください〕

 電車のドアと、新たに設置されたホームドアが閉まる。
 日比谷線ではワンマン運転は行われていない為、車掌が乗務している。
 その為、発車合図のブザーの音が聞こえて来る。
 それから、電車が動き出した。

〔次は八丁堀、八丁堀です。乗り換えのご案内です。JR京葉線は、お乗り換えください〕

 愛原「ここから上野までは、15分も掛からない。案外早いもんだ」
 リサ「そうだね」

 リサはスマホを取り出すと、それを弄り始めた。
 多分、WiFiは無いと思うので、パケットを消費しているのだろう。
 駅にはWiFiは飛んでいるが、電車内には無いからである。

 愛原「魔王軍とか?」
 リサ「そう」

 リサがやや素っ気ない態度なのは、肉を口にできなかったからか。
 朝食では一応、ハムエッグが出たのだが、夕食は少し考えないといけないようだ。
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“私立探偵 愛原学” 「両親の事務所チェック」

2024-07-01 11:08:19 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月15日06時36分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原家]

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 私達を乗せた電車は、菊川駅に到着した。
 ここで電車を降りる。
 今は降りる客より、乗る客の方が多いようだ。
 すぐに短い発車メロディが鳴る。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 改札階に上がるエスカレーターに向かっている間に、もう電車が発車していく。

 母親「リサちゃん、今いくつ?」
 リサ「17歳です」
 母親「高校何年生?」
 リサ「3年生です」
 母親「大学に行くの?」
 リサ「それは……」
 愛原「行く大学がまだ決まらないんだよ」

 私は横槍を入れた。
 元々は進学する気満々だったんだから、その気持ちは維持してもらいたいと思っている。

 母親「早く決めた方がいいよ。優柔不断だと、あんたみたいに機会を逃すからね」
 愛原「ブッ!……何だい。俺だって、氷河期が無けりゃ……」

 私はリサに言った。

 愛原「帰ったら、私服に着替えた方がいい。出迎えの正装はそれでいいとしても、あとは動きやすい服の方がいい」
 リサ「分かった」

 駅の外に出て、家に向かう。

 愛原「公一伯父さんは、たまに家に来るんだけどね」
 父親「そうなのか!まあ、兄さんは昔から神出鬼没で有名だったからねぇ……」

 家に到着する。

 愛原「到着でーす」
 父親「なるほど。1階が車庫で、2階が事務所……3階と4階が家ってところか」
 愛原「そう」
 父親「典型的な都会の家って感じだが、階段を上るのが大変だな」
 愛原「一応、エレベーターあるんで」
 父親「あるの!?」

 私は強化ガラスの玄関ドアから中に入ると、すぐに横にあるガレージへの入口を開けた。

 愛原「あそこにエレベーターがある」
 父親「凄いな。よくこんな物件買えたな」
 愛原「中古だけどね」

 エレベーターのボタンを押して、ドアを開ける。

 愛原「まあ、小さいエレベーターだけど」
 母親「ホント小さいわねぇ……」

 2~3人乗りのホームエレベーターよりは一回りだけ大きい4人乗り。
 家庭用以外のエレベーターでは、最小サイズのようである。
 それで3階に向かう。

 愛原「エレベーターを降りたら、もう家の中だよ」
 父親「したって、そしたら靴はどうするんだ?まさか、土足でいい家じゃないだろ?」
 愛原「降りれば分かる」

 そして、エレベーターが3階に到着する。
 ドアが開くと、外側にはマットを敷いてある。
 その横には靴箱がある。

 愛原「ここで靴を脱いで、スリッパに履き替えられるようになってるんだ」
 父親「そうなのか」
 愛原「まあ、階段側に玄関があって、そっちにも靴箱はあるけどね」
 母親「どっちからでも出入りできるようになってるのね」
 愛原「そういうこと!」
 高橋「先生の御両親様!おはようございます!仙台からの長旅、お疲れ様です!」
 パール「どうぞ、お寛ぎになってくださいませ」
 父親「おぉ……!」
 母親「えぇ……?」
 愛原「おい、お前ら!」

 元々は斉藤家のメイドで、今でもアキバでメイドカフェの非常勤バイトをしているパールはメイド服を。
 高橋は歌舞伎町のホストかとツッコめる派手なスーツを着用していた。
 これなら、まだ学校の制服を着ているリサの方が遥かにマシだ。

 リサ「あーっ!お兄ちゃん達だけ目立ってずるい!わたしも体操服とブルマに着替える!」
 父親「体操服とブルマ!?」
 母親「学、普段このコ達とどういう過ごし方を?」
 愛原「違う!普段からこんな格好してるわけじゃないって!お前ら着替えてこい!」
 高橋「えーっ、マジっスか!?」
 パール「メイド服も着るのに結構手間が掛かるんですよ?」

 ジャキッと私はショットガンを構えた。

 愛原「命令だ!普段の私服に着替えてこい!」
 高橋「はいはーい!」
 パール「かしこまりましたーっ!」
 愛原「リサも体操服じゃなくて、普通の私服な?」
 リサ「はーい」
 母親「お父さん?」
 父親「これはちょっと、軽く東京見物というわけにはいかなさそうだな。後で事務所見学だ」
 愛原「あ、はい……」

[同日07時30分 天候:晴 同地区内 愛原学探偵事務所2階]

 朝食を食べた後は、2階の事務所に移動した。

 愛原「ここが俺の机。そこが高橋と、その隣がパールの机。で、そこが一応、リサの机」
 母親「リサちゃんも働いてるの!?」
 リサ「先生の忠実な下僕(しもべ)です!」
 愛原「くぉら!」
 高橋「ただのバイトだろうが!先生の忠実な奴隷は俺の方だ!」
 父親「んん?」
 愛原「お前ら、誤解されるようなこと言うな!!……あくまで、ただの仕事の手伝いだから!」
 母親「『女子高生探偵』みたいなのはマンガの中だけにしておくのね」
 愛原「小説じゃダメっスか?」
 父親「しかし、建物は少し古いが、案外事務所はきれいだな、母さん?」
 母親「そうね。学が初めて探偵事務所を始めた時……あそこはどこだったかしら?」
 愛原「北区の王子だね」
 母親「そうそう。あそこなんか、建物はもっと古かったし、事務所も散らかってて汚かったしで、ホントあなたの実家の部屋みたいだったわ」
 愛原「う、うるさいな。それこそ、このコ達のおかげだよ」
 パール「メイドのスキルを発揮して、お掃除させて頂いております!」
 高橋「ネンショーや少刑時代のスキルを活かして、掃除は任せてください!」
 リサ「学校の掃除当番で……」
 愛原&高橋「お前は汚す側だろうが」
 リサ「ええーっ!?」
 母親「学と結婚したければ、掃除はできるようにしておくのね」
 リサ「はい……」
 母親「で、あとはあなた達の家を見せて欲しいんだけど……」
 愛原「……え、ちょっと散らかってますよ?」
 母親「んもう!ちゃんと片付けなさいって何十年も言ってるでしょ!?」
 愛原「この歳になってまで、まだ親に説教されるとは……」
 高橋「親と断絶状態の俺には、羨ましい限りっス」
 パール「同じく」
 リサ「そもそもいないので、同じく」
 愛原「ほっこり顔するなぁーっ!!」
 母親「東京見物の前に、学達の部屋の掃除からね」
 父親「母さんは、言い出したら聞かないからなぁ……」
コメント (2)
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