報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「リサだけ先に帰宅」

2024-07-21 20:10:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月22日12時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家1階ガレージ]

 リサを乗せたデイライトの黒いセレナは、無事、愛原家に到着した。
 例によってまたガレージが空いていたので、車はそこにバッグで入る。
 そして、車止めにタイヤが当たる衝撃がしたところで、運転役の善場の部下は車を止めた。

 部下「到着しました」
 善場「ありがとう。リサ、着きましたよ」
 リサ「はーい」

 リサが内側から開けようとしたが、助手席に座っていた善場が降りて、外からスライドドアを開けた。

 善場「できれば今日、明日は家で大人しくしていた方がいいですね」
 リサ「えーっ、明日も~?」
 善場「明日には新しい制服を……。外出したければ、制服に取りに行ってもらいましょうか」
 リサ「ほお?」
 善場「新橋駅のコインロッカーに、あなたの新しい制服を入れておきます。明日、取りに行ってください」
 リサ「鍵は?」
 善場「一応、ICカード式のコインロッカーにするつもりです。それだと、後で暗証番号を教えますので、暗証番号を入力すれば開きます。もし普通の鍵式だったら、午前中指定で鍵を送りますよ」
 リサ「ふむふむ」
 善場「但し、愛原所長と一緒に出掛けてもらいます」
 リサ「それは面白そう!」
 高橋「あんまり先生のお手間を取らすんじゃねーぞ?」
 リサ「お兄ちゃん」
 高橋「ねーちゃん、先生はどうした?」
 善場「緊急保護者会が緊急中止となった為、その善後策を練っているところです」
 高橋「な、なに!?」
 リサ「モールデッドが現れたんだから、そりゃ無理でしょ」
 高橋「な、何があったんだよ?」

[同日15時00分 天候:曇 同地区内 愛原家1階ガレージ]

 リサは昼食に、パールが作ったサンドイッチを食べた。
 そして、3時のおやつという時間、愛原を迎えに行ったパールの車が戻ってきた。
 リサがガレージまで迎えに行くと、車から愛原が降りて来た。

 リサ「先生、お帰り~!」
 愛原「ああ、ただいま」
 リサ「緊急保護者会、どうだった?」
 愛原「どうもこうも……だな」
 リサ「うん?」

 すると、エレベーター横のインターホンが鳴った。

 リサ「はいはい」

 リサが受話器を取ると、高橋からだった。

 高橋「先生はお疲れなんだ。くっちゃべってねーで、早いとこリビングに御案内しろ」
 リサ「分かってるよー」

 リサは電話を切った。

 リサ「お兄ちゃんが、コーヒーでも入れて待ってくれてるみたいだよ?」
 愛原「あー、そうかい。取りあえず、上に上がるか」

 リサ達はエレベーターに乗り込んだ。
 それで3階に向かう。

 高橋「先生、お帰りなさい!」
 愛原「ああ、ただいま」
 リサ「それで、学校の方はどうだったの?」

 因みにリサ、今は体操服にブルマではなく、白いTシャツに黒い短パンというシンプルな恰好だった。

 愛原「上野高校での緊急保護者会は無理だと判断された。まず、体育館が使えない。今、BSAAがやってきて、体育館に立てこもっているモールデッドの掃討作戦を行っている。リサに襲い掛かったモールデッドが潜んでいた宿泊施設は汚染されていて、とても使える状態じゃない。そういったことから、モールデッドが逃げ込んだダクトも汚染されていると思われる。除染が完了しない限り、体育館は使えないと見ていいだろう」
 リサ「それじゃあ……」
 愛原「緊急に池袋高校の体育館を借りようかと思って照会したが、明日はバスケットの試合で使うとかで断られた」
 リサ「中等部の体育館を借りる」
 愛原「それも照会したが、墨田中学校もまたバレーボールの試合で使うからダメだと断られた」
 リサ「タイミング悪いねぇ……。もうオンラインでやるしかないじゃん」
 愛原「そうだな。そうなると、もう俺の出番は無い」
 リサ「あー……」
 愛原「結局、校長先生が状況を説明して、あとは質疑応答するだけだから」
 リサ「そうだよねぇ……」
 愛原「月曜日にプリントが配られて、それからだろうさ」
 リサ「ふむふむ。尚更わたしは月曜日に登校しないといけないわけだ」
 愛原「まあな。それで、オマエは?リサはリサで、何か善場係長と話をしたのか?」
 リサ「明日、制服を取りに来てもらうって」
 愛原「そうなのか」
 リサ「先生と一緒に!」
 愛原「んん?」
 リサ「善場さんが新橋駅のコインロッカーに、私の新しい制服を入れておくから、取りに行けだって」
 愛原「随分面倒臭いことするなぁ……。あれ?でも、鍵とかはどうするんだ?」
 リサ「後で暗証番号を教えてくれるらしいよ?」
 愛原「ああ、そうか。今はSuicaとか暗証番号で開ける方式だもんな。まあ、いいか。それで、汚れた方の制服はどうした?」

 血だらけになった方は、さすがに廃棄処分である。
 しかし、ただの廃棄処分ではなく、リサの血を多分に含んでいるので、ちゃんと焼却処分にしなければならないので、デイライトを通してBSAAに引き取ってもらっている。
 特異菌のカビが染み付いた方の制服は、クリーニングに出しておいた。
 最近の調べでは、モールデッドから攻撃を受けるなどの直接的な接触が無い限りは、感染するわけではないことが分かっている。
 ただ、クリーニング店でも行われている特殊な染み抜きをする必要がある為、料金はかなり掛かったらしいが。

 リサ「……ということなの」
 愛原「それでも、クリーニング店で対応してくれるんだねぇ……」

 愛原は特異菌の黒カビで汚れた制服も廃棄処分になるかと思いきや、それは免れたことで逆に驚いた。

 リサ「見た目は普通のカビだからね」
 愛原「そりゃそうだ」

 だから、旧校舎の黴臭さも、普通のそれだとずっと思われていたのだ。

 愛原「カビキラーが普通に効くくらいだもんな」
 リサ「そうそう」

 後から上がって来たパールが言った。

 パール「ただ、急ぎでは依頼しませんでした。高校は5月からもう夏服になるという話じゃないですか」
 愛原「あ、そうか。もう、あと10日くらいだもんな、どうせ」
 パール「はい。なので、カビの染み抜きだけお願いしました。これが伝票です」
 愛原「ああ、分かった。パールが立て替えてくれたんだな。後で精算するよ」
 パール「ありがとうございます」

 厳密に言えば、登下校の際のブレザー着用が自由化されるということだ。
 ネクタイやリボンの着用も、自由化される。
 また、スラックスやスカートも、夏用の物を穿いても良いことになる。
 尚、ポロシャツに関しては盛夏用なので、もっと暑い時季になってからの解禁だ。
 夏服用のブラウスやスカートに関しては、何の汚損も無いので、あと10日ほど持たせればOKということになる。

 愛原「じゃ、明日、制服取りに行くか」
 リサ「わぁい」
 高橋「俺が車出しましょうか?」
 愛原「せっかくの日曜日なんだから、お前もパールとゆっくりしてていいぞ」
 高橋「あざーす」
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“愛原リサの日常” 「戦闘」

2024-07-21 12:24:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月22日11時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園・体育館]

 宿泊施設入口のドアをブチ破って飛び出してきたもの。
 それはモールデッドだった。
 E型特異菌に感染した人間の成れの果て。
 感染したものの、適合できずに転化した者がなる。
 相手は4足歩行タイプの『クイック・モールデッド』というもので、名前の通り、通常の2足歩行タイプよりも動きは俊敏である。
 Tウィルスのリッカーと動きが似ており、壁や天井を這うこともできる。
 通常タイプよりも攻撃力は高いが、耐久力は弱い。

 リサ「いい加減にしろ!」

 リサは右手だけ爪を長く鋭くすると、それでモールデッドを引っ掻いて攻撃した。

 善場「こいつ……!」

 善場はあることに気づいた。
 普通、モールデッドは特定の者を攻撃するようなことはしない。
 自分の視界に入った生物を、手あたり次第に攻撃する習性がある。
 にも関わらず、このモールデッドは、執拗にリサを狙った。

 リサ「カビ臭ェ!」

 リサはモールデッドを階段の下に押し倒した。

 警察官A「何かありましたか!?」
 警察官B「どうしました!?」

 騒ぎを聞きつけて、警察官達も駆け付けて来る。

 善場「あなた達は来なくていいです!」

 だが、時既に遅し。

 リサ「うわっ!」

 モールデッドはリサを押し返すと、駆け付けて来た警察官達に飛び掛かった。

 警察官A「うわっ!」
 警察官B「ぎゃっ!」
 善場「しまった!」

 善場は手持ちのハンドガンを発砲した。

 警察官A「ぐぐ……ぐ……!」
 警察官B「ぐわ……ああ……!!」

 モールデッドからの攻撃を受けた警察官達の体が、見る見るうちに黒カビに覆われて黒ずんで行く。

 リサ「早っ!?感染早っ!Tウィルスより早っ!」
 善場「それが特異菌の特徴です!リサは火を吹いて!」
 リサ「辛い物は!?」
 善場「あ……」

 警察官達もモールデッドと化した。
 但し、こちらは2足歩行の通常タイプである。
 リサ達には向かって来ず、外に出ようと、階段を下りて行った。

 善場「あいつらが外に出たら大変なことになります!」
 リサ「待てっ!」

 リサが追い掛けようとすると、後ろからクイック・モールデッドに組み付かれる。

 リサ「邪魔すんな!」

 リサは引き剥がそうとして、モールデッドの顔を掴んだ。
 そして、顔を覆う黒カビの塊をベリベリ剥がす。
 その下にあったのは、人間の顔。

 リサ「ああっ!お前は!?」
 モールデッド「ア……イ……ハ……ラ……コロス……」

 虚ろな目でリサを睨みつける。

 リサ「わたしを刺したヤツ!!」
 善場「何ですって!?」
 リサ「うらぁーっ!!」

 リサは床に叩き叩き付けると、鬼の姿に戻り、その腕力でモールデッドの首を捩じり切った。

 リサ「よし!」

 捩じり切った頭部は床に叩き付ける。
 いかにモールデッドと言えど、さすがに首と胴体を引きちぎられたら生きられない。

 リサ「早く下へ!」
 善場「分かってます!」

 すると、下から銃声が聞こえた。
 それはショットガンの音。
 現状、ショットガンを持っているのは……。

 愛原「一体、何が起きてるんだ!?」

 愛原だった。
 愛原がショットガンを持って、下から上ってきた。

 善場「愛原所長!モールデッドがそっちに行ったと思いますが!?」
 愛原「一体は私が倒しました!しかし、もう一体はダクトに逃げ込みやがりまして!」
 リサ「さすがは先生!」
 愛原「だから、一体は逃げられたんだって!」
 善場「BSAAに出動要請します!幸いここは体育館ですから、ここさえ閉鎖すれば、モールデッドは外に出られません!早いとこ外に!」
 愛原「分かりました!こりゃ、緊急保護者会は中止ですな!」
 善場「当たり前です!早くリサも……どうしました?」
 リサ「こいつ、まだ生きてるよ!」

 リサは首だけになった1年生男子、城ヶ崎の成れの果てのモールデッドを指さした。
 どうせ、リサに対する怨みの声を上げているのだろうかと思いきや……。

 モールデッド(城ヶ崎)「サイト……サナエ……」
 リサ「斉藤早苗!?」
 善場「斉藤早苗が犯人なのですね!?」
 リサ「わたしを刺したりするから、こんなことになったんだぞ!」
 モールデッド(城ヶ崎)「カ……ギ……カサ……ノ……カギ……」
 リサ「カギ?」

 モールデッドはそこで力が尽きて、体を石灰化させた。
 これは特異菌感染者の死を意味する。
 どんな種類のモールデッドになろうが、適合して人間の姿を保ったままのBOWになろうが、死ねば体は石灰化する。
 そこはリサみたいに、体が燃え上がって死ぬタイプと違う。
 そして、その石灰の中から1本の鍵が現れた。
 それは、傘のマークの鍵だった。
 開いた傘を横から見た図である。
 開いた傘を上から見た図のアンブレラのマークとは異なるが、それでも紅白の傘が、あのアンブレラを彷彿とさせるものだった。

 リサ「どこで使う鍵だろう?」
 善場「こちらで調べておきますので、私が預かっておきます。もしかすると、あなたが持っている『ゴールドカード』が役に立つかもしれませんので、用意しておいてください」
 リサ「分かった」

 リサ達は最後に体育館を後にした。

 愛原「リサ!無事だったか!?」
 リサ「モールデッドの首くらい、捩じ切れるよ!今度から、タバスコ持って来なくちゃ!」
 愛原「えっ?」
 善場「愛原所長は、この鍵に見覚えはないですか?」

 善場は愛原に『アンブレラの鍵』を見せた。

 愛原「いやあ……ちょっと無いですね。何か、ラクーン市郊外のアークレイ山地に建っていたというアンブレラの秘密施設の鍵に似てますね」
 リサ「映画にも出て来たヤツ!オリジナル大先輩が持ってた鍵!」
 愛原「あれはトランプの絵柄の鍵だったな」
 善場「もし仮にこの鍵が、アンブレラに関係する鍵だったとしたら、何故これを彼が持っていたのか謎ですね」
 愛原「どうされますか?我々でお役に立てるようでしたら……」
 善場「捜査令状を取って、彼の自宅の家宅捜索をしたいと思います。それからですね」
 愛原「分かりました」

 リサはブレザーを脱いで、バサッバサッと黒カビを払った。

 リサ「せっかくきれいな服だったのに、汚れちゃったよ!」

 緑色のブレザーは、所々に黒カビの黒い染みができていた。
 クリーニング店に出して、きれいになるかどうか……。

 善場「もう1着の方は、明日までに用意しますから」
 リサ「そうしてもらわないと、制服が無いから登校できない」
 愛原「ジャージがあるだろ」
 善場「取りあえず、一旦引き上げましょう。リサは車に乗ってください」
 リサ「分かった。先生は?」
 愛原「善後策を校長先生達と話してから帰るよ。昼過ぎ帰ると思うから、昼食は適当に食べててくれ」
 リサ「分かった」

 リサは善場に連れられて、駐車場の方へ向かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする