報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「両親の見送り」

2024-07-07 20:49:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月16日07時10分 天候:曇 千葉県成田市取香 成田空港第3ターミナル→成田空港交通ターミナル間無料循環バス車内]

 朝食を食べ終えると、両親達は国内線用の保安検査場に向かった。

 父親「離陸の1時間前だ。そろそろゲートに向かうとするよ」
 愛原「じゃあ、気を付けてね」
 父親「お土産は宅急便で送るよ。ちんすこうとか紫芋タルトとかでいいかな?」
 愛原「俺達はそれでいいんだけど、リサがなぁ……」
 父親「肉が好きなんだったな。分かった。ラフテーのレトルト食品とかあったら、それにしよう」
 リサ「ありがとうございますぅ!」🤤
 愛原「リサ、よだれ」

 マスクをしていて良かったナ……。
 こうして、両親は保安検査場を通過していった。
 一応、搭乗ゲートのあるサテライトに向かう所まで見送る。
 姿が見えなくなると……。

 愛原「じゃ、そろそろ帰ろうか」
 リサ「見送らないの?」
 愛原「ん?もう見送ならしただろう?」
 リサ「あの、飛行機が離陸するまで」
 愛原「ああ、そういうことか。第3ターミナルには展望デッキが無いんだ」
 リサ「そうなの?」
 愛原「隣の第2ターミナルにはあるんだが、そこからだと第3ターミナルは遠くて見えないらしいな」

 全く飛行機が見えないわけではないのだが、例えばこのターミナルをハブとしているジェットスターでさえ、ターミナル本館とサテライトを結ぶブリッジからなら飛行機がよく見えると案内しているほど。
 つまり、両親のように、これから搭乗する客しか見れないというわけだ。

 愛原「こういうのも含めて、LCCなんだろうな」
 リサ「ふーん……」
 愛原「なので、第3ターミナルの見送りはここまで。あとは帰るぞ」
 高橋「どうやって帰ります?」
 愛原「行きは京成だったろ?帰りはJRにしよう。JRの快速に乗って、錦糸町からのバス乗り換えだ」
 高橋「了解です」
 愛原「本数が少ないから、バスで第1まで行くぞ」
 高橋「えっ?」
 愛原「どうせなら始発駅から乗りたい。グリーン券なら奢るから」
 高橋「そういうことでしたら。バス代は……」
 愛原「いや、羽田空港も含めて、成田空港のターミナル間循環バスも無料だから」
 高橋「それはいいですね!……ちょっと、一服してきていいですか?」
 愛原「いいよ」

 保安検査場のすぐ近くにトイレがあり、その隣に喫煙所がある。

 愛原「沖縄に行く前に、沖縄の土産とか……w」
 リサ「確かに面白いね。ねぇ、先生」
 愛原「何だ?」
 リサ「都内にも、沖縄料理のお店とかあるよね?」
 愛原「あるなぁ」
 リサ「『予習』のつもりで、食べてみるというのは?」
 愛原「ははは、面白い発想だな。まあ、考えておこう」
 リサ「よろしくね」

 その後、高橋夫婦の一服タイムが終わり、私達はターミナルの外に出た。

 

 愛原「第1ターミナル行き、3番乗り場だそうだ」

 ターミナル間無料循環バスは、黄色く塗装されたノンステップバスが充当されている。
 但し、大きな荷物を乗せられるようにと、車椅子スペース席は予め収納されており、基本的にそこに座ることはできない。
 始発便は朝の5時23分発で、終バスは22時40分。
 その間5分~7分間隔とのことで、時刻表は掲示されていない。
 何故ならこの路線、貸切扱いである為、一般乗合のバスとは違うからである。
 バスに乗り込んで、後ろの席に座る。

 リサ「都営バスみたいだね」
 愛原「まあ、車種は同じだからな」

 発車の時間になったか、前扉と中扉が閉まる。

〔発車します。ご注意願います〕

 バスは第3ターミナルを出発した。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ まもなく、第2ターミナル1階到着ロビー8番バス停に到着致します。国際線ご利用の方は、こちらでお降りください〕

 発車して、すぐに第2ターミナルに差し掛かる。
 少し歩くが、それでも第3ターミナルから第2ターミナルは通路が繋がっているということもあり、徒歩連絡が可能な距離だ。
 それをバスで行くと、あっという間に到着する。
 あえて『国際線』と言っているわけだから、『国内線』のバス停は、また別にあるということだ。
 実際路線図を見ると、第2ターミナルには2ヶ所止まることになっている。
 尚、この全ターミナルに止まるバスであるが、基本的にはどのターミナルも乗車客がある為、降車ボタンを押さなくても停車してドア扱いをする。
 例外なのは、東成田駅。
 ターミナル間循環バスだから意外に思うかもしれないが、東成田駅のバス停にも停車する。
 しかしそれは、かつての駅前ロータリーではなく、空港敷地外の公道に設置されたバス停である。
 東成田駅は殆ど関係者しか利用しないということもあり、それはバス停も例外ではない。
 まさかとは思うが、降りたい場合はちゃんと降車ボタンを押さないと、乗車客がいない場合は通過してしまう。
 そこは注意が必要である。
 殆ど関係者しか利用しないとはいえ、一般人の利用が禁止されているわけではないので、別にそのバス停で乗降しようと思えばできるし、東成田駅で乗降もできる。
 ただ、徒歩で一旦空港の敷地内に入ることになる為、警備会社の警備員が警備している検問所を通らなくてはならない。

[同日07時45分 天候:曇 千葉県成田市三里塚 成田空港第1ターミナル]

 第2ターミナルで乗客の乗降があり、バスは第1ターミナルに向かった。
 座席は全部埋まり、吊り革や手すりに掴まる乗客もいる。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ まもなく、第1ターミナルに到着致します。国際線ご出発の方は、4階出発ロビー。国内線ご利用の方は、南ウィング1階へお進みください〕

 因みに日本語の他に、英語と中国語、朝鮮語が流れる。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく第1ターミナルです。お忘れ物、落とし物にご注意ください」〕

 バスは第1ターミナルに到着した。
 前扉と中扉、両方開く。
 後ろの席に座っていた私達は、中扉から降りた。

 愛原「じゃ、この足で駅に向かうぞ」
 高橋「はい!」

 ターミナルの中に入ると、成田空港駅に向かった。
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“私立探偵 愛原学” 「朝の成田空港」

2024-07-07 16:29:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月16日06時30分 天候:晴 千葉県山武郡芝山町香山新田 成田空港温泉“空の湯”→送迎バス]

 温泉施設をチェックアウトした私達は、成田空港行きの無料送迎バスに乗り込んだ。
 バスはコミュティバスなどでよく使われる小型のノンステップバスで、さすがにこの時間は空港へ向かう利用者で混んでいた。
 取りあえず両親には空いている席に座ってもらい、私達は吊り革や手すりに掴まった。

 運転手「それでは発車致しまーす。次は成田空港第3ターミナルに止まりまーす」

 発車の時間になり、バスとスライド式のドアを閉めて発車した。
 リサは手すりに掴まりながら、眠い目をしている。

 愛原「あんまり眠れなかったか?」
 リサ「うーん……よく分かんない」
 母親「カプセルホテルは、完全な部屋じゃないからねぇ……。まあ、私は眠れたけど」
 パール「私もです。メイドの控室は共同でしたし、その前のムショも雑居房でしたから」
 愛原「それはそれは……。俺も警備員時代は、カプセルホテルみたいな仮眠室で寝たことがあるから懐かしかったよ」
 母親「うう……そのまま警備会社で働いていてくれれば良かったのに……」
 愛原「色々やっているうちに、探偵の方が向いてると思ったの!」
 父親「それにしたって、どこかの探偵事務所に入って勉強してから独立するという方法でも良かっただろうに……」
 愛原「フリーで色々やっていたから、その必要は無いと思ったんだよ。……うっ!」

 その時、私に一瞬の激しい頭痛と眩暈が襲った。

 高橋「先生?」
 リサ「!?」

 そして、フラッシュバック!
 白黒映像の……。

 愛原「……いや、何でも無い」

 吊り革にグッと掴まったおかげで、倒れずに済んだ。
 白黒映像は、どこかの山奥。
 資料映像で観たことのある、アメリカ・ルイジアナ州のベイカー農場のような風景……。
 あるいは、同じく資料映像で観たスペインの山奥の村や、直近だとルーマニアの山奥の村などで起きたバイオハザード事件の村とか……。
 それに似ていた。
 日本では霧生市のバイオハザードを生き延びたこともあり、町全体を襲ったバイオハザード事件など、とっくに慣れているはずだった。
 しかし、大都市のラクーン市や中小とはいえ、それでも都市と言えるトールオークス市のバイオハザード事件、巨大都市香港でのバイオハザード事件の映像は普通に観られた私が、何故か山奥の寒村での映像では体調が悪くなったのを覚えている。
 確かに事務所を立ち上げる前、警備員をやめてフリーで探偵じみた仕事を引き受けていた頃、山奥の事故物件の調査とか行ったことはあるが……。

 父親「具合が悪いのか?座るか?」
 愛原「いや、大丈夫……」

[同日06時40分 天候:晴 千葉県成田市取香 成田空港第3ターミナル(バス停)→ターミナル内]

 

 だいたい所要時間10分ちょっとで、最初の停車停留所、第3ターミナルのバス停に到着する。
 送迎バスも昼以降は第2ターミナルにしか行ってくれないが、朝はこのように、第3ターミナルにも寄ってくれる。
 因みに、第1ターミナルには行かない。

 運転手「はい、ありがとうございましたー」
 愛原「お世話様でした」

 ここで私達を含め、半分くらいの乗客が降りて行く。
 因みに循環バスなので、ここから温泉施設に向かう為にバスに乗ってもいいようだが、さすがに朝早過ぎるのか、乗車客はいなかった。

 愛原「ターミナルはあっちだよ」
 父親「そうか。じゃあ、先に朝食を食べてからにしようか」

 尚、両親の大きな荷物は高橋とパールが持っている。

 高橋「先生、具合は大丈夫ですか?」
 愛原「ああ、大丈夫だ」

 何であそこでフラッシュバックが起きたのだろう?
 たまたま昔、フリーターだった頃を思い出したり、乗客の中に、これから登山にでも行くのか、それらしい装備をしている、うちの両親と大して歳の変わらぬ高齢夫婦を見かけただけなのだが……。

 

 リサ「わぁ……。何か、陸上競技場のトラックみたい」
 愛原「不慣れな外国人客の為に、分かりやすくしているんだろうな」

 ターナミナルの中は、従来からある第1や第2と比べて異質だった。
 まず、建物がプレハブである。
 しかし、だからといって仮設ではないのだろう。
 第3ターミナルは主にLCCのターミナルということで、インスタントに造っただけかもしれない。
 それでも最新ということもあって、殺風景ながらも、よく言えばシンプルで分かりやすいというメリットはあった。
 当然、トイレとかはちゃんとした設備できれいである。

 愛原「あそこにジェットスターのカウンターがある。あそこで大きな荷物を預けるんだ」
 高橋「行きましょう」
 愛原「LCCだと、こういうのも別料金だろう?」
 父親「大丈夫。LCCとはいえ、ある程度高いプランで予約してるから」
 愛原「交通費節約主義なのに?」
 父親「主義ではあるけども、徹底してるわけじゃないよ。必要な所では金を掛けるさ」
 愛原「そういうもんかねぇ……。チケットは?」

 すると父親は、自分のスマホを取り出した。

 父親「これで」

 チケットレスサービスか。
 この辺は高齢者ながら、慣れているようだな。
 大きな荷物を預けた後は、更に先に進む。

 愛原「この先にフードコートがある。24時間営業だから、普通にやってるよ」
 父親「しばらく日本食が食えなくなる。今のうちに堪能しておこう」
 愛原「だから、海外旅行じゃないでしょって!」

 この両親、本当に沖縄に行くつもりなのだろうか?

 リサ「! 肉!」

 リサが指さした先には、松屋があった。

 愛原「ここにも松屋があるのか」
 父親「ちょうどいい。和食とはしばらくお別れだ。ここで食べて行こう」
 愛原「松屋くらい、沖縄にもあるだろう?」

 私は呆れて、食券の券売機に向かった。
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