[4月21日17時00分 天候:雷 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校 現校舎→旧校舎(教育資料館)]
学校の七不思議を巡るツアーは、6話目を終えた。
次はいよいよ最後の7話目である。
1年生女子A「何か、暗くなってきたよ?」
1年生女子B「ほんと。まるで、夏のゲリラ豪雨みたい」
レイチェル「ブキミですね……」
1年生男子「…………」
上坂「愛原さん、何か雨降りそうですし、下校時刻も迫ってきてるので、急ぎで……」
リサ「分かった。次はいよいよクライマックス。旧校舎に巣くっていた“トイレの花子さん”の話を……」
1年生男子「あの……」
リサ「ん?」
1年生男子「僕、その前に、1つ怖い話を知ってるんです。良かったら聞きません?」
上坂「まだ新入生なのに、もうこの学園の怖い話を知ってるって?」
1年生男子「僕の姉がここの生徒だったんです。僕の姉の体験談なんですよ。今までの中に、その話が無かったもので」
上坂「そうなんだ。それは、どこの話?旧校舎?」
1年生男子「いえ、屋上です」
上坂「屋上……。まあ、屋上が舞台の話もあったけどね。屋上は立ち入りの許可が出なかったから、鍵を借りられなかったんだよ。逆を言えば、屋上を諦める代わりに、教育資料館……旧校舎の鍵は借りられたわけでね」
1年生男子「そうですか。それは残念です」
上坂「屋上が舞台の怖い話はあったけど、女子生徒が出て来る怖い話なんてあったかなぁ……」
リサ「もしかして、新しい話かもよ?ちょっと聞いてみたら?」
上坂「最近の話ということは、特異菌は関係無でしょ?だったら、その話はこの集まりの趣旨に反するからダメだ。そもそも、屋上の鍵は借りられなかったんだから」
1年生男子「どうしても、ダメですか?」
上坂「新しい話を知ってるのなら、今度の『七不思議を語る会』に語り部として参加してよ。夏休み前の恒例だからさ」
リサ「それは別に、特異菌関係無い?」
上坂「はい。なので、ヒトコワ系でもいいですよ。逆に、新しい話なら歓迎です。それより、今日のところは教育資料館に行きましょう」
1年生男子「……分かりました」
一行は『教育資料館』として活用されている、木造2階建ての旧校舎に向かった。
学校法人東京中央学園の元祖ということもあり、建物はリニューアルされつつも、外観は比較的往時のままを保っている。
上坂「どことなく懐かしい木の匂いですね」
リサ「確かに」
リサは2階の女子トイレに向かった。
リサ「ここには個室が4つあります。奥から2番目に、“トイレの花子さん”はいるとされていました」
ここでリサは表向きの噂話と、真相を話した。
さすがに、いじめられて自殺した斉藤早苗を生き返らせたどころか、その体を白井伝三郎が乗っ取っているという話はしないでおいた。
リサの正体並みに国家機密レベルだからである。
リサ「わたしも彼女の幽霊とは仲良くさせてもらい、『イジメ、ダメ、絶対!』を学びました」
上坂「怖い話ながらも、最後は悲しい話で終わりましたね。この学園には、こういう悲しい過去がいくつもありました。我々新聞部は、そういう歴史を風化させないことも使命の1つです。新入生の皆さんは、この事を肝に銘じて、学校新聞作りに励んでもらいたいと思います。それでは時間も時間なんで、これでお開きにしましょう。皆さん、今日はお疲れさまでした」
リサ「お疲れー」
上坂「愛原さんも、ありがとうございました」
リサ「いやいや、別にいいよ。……あ、そうだ。ちょっと待ってて」
リサは別の教室に向かった。
壁にはこの校舎が現役だった頃の写真や、現校舎に移った時の写真などが展示されている。
リサ「思い出した!これこれ!」
上坂「こ、これは……!?」
1年生女子A「これは昔の体操服……」
1年生女子B「ぶるまぁ……」
リサ「お前らもこの学園に入ったからには、ブルマ穿いて体育受けてもらうから!」
1年生女子A&B「ええーっ!?」
上坂「で、でも、この写真がどうしたと言うんですか?」
リサ「左に写っているのが、生前の“トイレの花子さん”」
上坂「へぇーっ!?」
リサ「体育祭に出てたから髪は束ねてるけど、普段は束ねてなかったみたいだね。でも、花子さん……斉藤サナエは、別にブルマは良かったらしいよ。わたしは、“花子さん”の意思を継いで、『ブルマ復活運動』をしたんだ。その辺は新聞部にも協力してもらったね」
上坂「いやあ……去年の話でしょ?僕はまだ1年生だったし……。部長も不思議がってたなぁ……」
リサ「購買で売ってるから、お前らも買って穿くように」
1年生女子A「い、いえ、私はもうショートパンツ買っちゃったんで……」
1年生女子B「わ、私も……」
リサ「あぁ?」
リサの目が赤く鈍く光る。
その目を見てしまった1年生女子達は……。
リサ「わたしの言う事が聞けないの?」
1年生女子A「い、いえ……明日買わせて頂きます……」
1年生女子B「私も……」
リサ「よし!(この力、何故か愛原先生達には効かないんだよねぇ……)」
2階の階段から下りる時だった。
1年生男子「うっ……うわあああああああっ!!」
ドンッ!!
リサ「んっ!?」
突然、背後から1年生男子生徒が叫び声を上げたかと思うと、リサを階段の上から突き飛ばした。
リサは虚空を舞い、階段から転げ落ちる。
1年生女子A「きゃああああっ!!」
リサ自身も何が起きたか分からない。
最初は1年生男子生徒が、何か怖い物を見てパニックを起こし、リサにぶつかったのかと思ったが……。
だが、踊り場に倒れたリサの上に男子生徒は飛び下りて、隠し持っていた折り畳みナイフを何度もリサに突き立てた。
1年生男子「人殺しめ!!死ねっ!死ねっ!!」
レイチェル「Stop it,now!!」
レイチェルはブレザーのポケットから、掌サイズのハンドガンを取り出した。
コルトM1903というものだ。
パンッ!(発砲音)
1年生男子「ぎゃっ……!」
レイチェルが発砲したミニサイズの拳銃は、1年生男子の左肩に命中した。
レイチェル「離れなさい!」
1年生男子「嫌だ!こいつが姉ちゃんを殺したんだ!」
レイチェル「Huh!?」
リサ「な、なに……?」
リサは自分の血だらけになっていたが、そこはラスボス級のBOW。
たかだか折り畳みナイフで刺されたくらいでは死なない。
刺された傷も、みるみるうちに塞がって行く。
リサ「お前、名前は……?」
リサは自分の血が付いた手で、1年生男子の生徒手帳を取り出した。
そこには、こう書かれていた。
リサ「『城ヶ崎』!?……誰だ?」
学校の七不思議を巡るツアーは、6話目を終えた。
次はいよいよ最後の7話目である。
1年生女子A「何か、暗くなってきたよ?」
1年生女子B「ほんと。まるで、夏のゲリラ豪雨みたい」
レイチェル「ブキミですね……」
1年生男子「…………」
上坂「愛原さん、何か雨降りそうですし、下校時刻も迫ってきてるので、急ぎで……」
リサ「分かった。次はいよいよクライマックス。旧校舎に巣くっていた“トイレの花子さん”の話を……」
1年生男子「あの……」
リサ「ん?」
1年生男子「僕、その前に、1つ怖い話を知ってるんです。良かったら聞きません?」
上坂「まだ新入生なのに、もうこの学園の怖い話を知ってるって?」
1年生男子「僕の姉がここの生徒だったんです。僕の姉の体験談なんですよ。今までの中に、その話が無かったもので」
上坂「そうなんだ。それは、どこの話?旧校舎?」
1年生男子「いえ、屋上です」
上坂「屋上……。まあ、屋上が舞台の話もあったけどね。屋上は立ち入りの許可が出なかったから、鍵を借りられなかったんだよ。逆を言えば、屋上を諦める代わりに、教育資料館……旧校舎の鍵は借りられたわけでね」
1年生男子「そうですか。それは残念です」
上坂「屋上が舞台の怖い話はあったけど、女子生徒が出て来る怖い話なんてあったかなぁ……」
リサ「もしかして、新しい話かもよ?ちょっと聞いてみたら?」
上坂「最近の話ということは、特異菌は関係無でしょ?だったら、その話はこの集まりの趣旨に反するからダメだ。そもそも、屋上の鍵は借りられなかったんだから」
1年生男子「どうしても、ダメですか?」
上坂「新しい話を知ってるのなら、今度の『七不思議を語る会』に語り部として参加してよ。夏休み前の恒例だからさ」
リサ「それは別に、特異菌関係無い?」
上坂「はい。なので、ヒトコワ系でもいいですよ。逆に、新しい話なら歓迎です。それより、今日のところは教育資料館に行きましょう」
1年生男子「……分かりました」
一行は『教育資料館』として活用されている、木造2階建ての旧校舎に向かった。
学校法人東京中央学園の元祖ということもあり、建物はリニューアルされつつも、外観は比較的往時のままを保っている。
上坂「どことなく懐かしい木の匂いですね」
リサ「確かに」
リサは2階の女子トイレに向かった。
リサ「ここには個室が4つあります。奥から2番目に、“トイレの花子さん”はいるとされていました」
ここでリサは表向きの噂話と、真相を話した。
さすがに、いじめられて自殺した斉藤早苗を生き返らせたどころか、その体を白井伝三郎が乗っ取っているという話はしないでおいた。
リサの正体並みに国家機密レベルだからである。
リサ「わたしも彼女の幽霊とは仲良くさせてもらい、『イジメ、ダメ、絶対!』を学びました」
上坂「怖い話ながらも、最後は悲しい話で終わりましたね。この学園には、こういう悲しい過去がいくつもありました。我々新聞部は、そういう歴史を風化させないことも使命の1つです。新入生の皆さんは、この事を肝に銘じて、学校新聞作りに励んでもらいたいと思います。それでは時間も時間なんで、これでお開きにしましょう。皆さん、今日はお疲れさまでした」
リサ「お疲れー」
上坂「愛原さんも、ありがとうございました」
リサ「いやいや、別にいいよ。……あ、そうだ。ちょっと待ってて」
リサは別の教室に向かった。
壁にはこの校舎が現役だった頃の写真や、現校舎に移った時の写真などが展示されている。
リサ「思い出した!これこれ!」
上坂「こ、これは……!?」
1年生女子A「これは昔の体操服……」
1年生女子B「ぶるまぁ……」
リサ「お前らもこの学園に入ったからには、ブルマ穿いて体育受けてもらうから!」
1年生女子A&B「ええーっ!?」
上坂「で、でも、この写真がどうしたと言うんですか?」
リサ「左に写っているのが、生前の“トイレの花子さん”」
上坂「へぇーっ!?」
リサ「体育祭に出てたから髪は束ねてるけど、普段は束ねてなかったみたいだね。でも、花子さん……斉藤サナエは、別にブルマは良かったらしいよ。わたしは、“花子さん”の意思を継いで、『ブルマ復活運動』をしたんだ。その辺は新聞部にも協力してもらったね」
上坂「いやあ……去年の話でしょ?僕はまだ1年生だったし……。部長も不思議がってたなぁ……」
リサ「購買で売ってるから、お前らも買って穿くように」
1年生女子A「い、いえ、私はもうショートパンツ買っちゃったんで……」
1年生女子B「わ、私も……」
リサ「あぁ?」
リサの目が赤く鈍く光る。
その目を見てしまった1年生女子達は……。
リサ「わたしの言う事が聞けないの?」
1年生女子A「い、いえ……明日買わせて頂きます……」
1年生女子B「私も……」
リサ「よし!(この力、何故か愛原先生達には効かないんだよねぇ……)」
2階の階段から下りる時だった。
1年生男子「うっ……うわあああああああっ!!」
ドンッ!!
リサ「んっ!?」
突然、背後から1年生男子生徒が叫び声を上げたかと思うと、リサを階段の上から突き飛ばした。
リサは虚空を舞い、階段から転げ落ちる。
1年生女子A「きゃああああっ!!」
リサ自身も何が起きたか分からない。
最初は1年生男子生徒が、何か怖い物を見てパニックを起こし、リサにぶつかったのかと思ったが……。
だが、踊り場に倒れたリサの上に男子生徒は飛び下りて、隠し持っていた折り畳みナイフを何度もリサに突き立てた。
1年生男子「人殺しめ!!死ねっ!死ねっ!!」
レイチェル「Stop it,now!!」
レイチェルはブレザーのポケットから、掌サイズのハンドガンを取り出した。
コルトM1903というものだ。
パンッ!(発砲音)
1年生男子「ぎゃっ……!」
レイチェルが発砲したミニサイズの拳銃は、1年生男子の左肩に命中した。
レイチェル「離れなさい!」
1年生男子「嫌だ!こいつが姉ちゃんを殺したんだ!」
レイチェル「Huh!?」
リサ「な、なに……?」
リサは自分の血だらけになっていたが、そこはラスボス級のBOW。
たかだか折り畳みナイフで刺されたくらいでは死なない。
刺された傷も、みるみるうちに塞がって行く。
リサ「お前、名前は……?」
リサは自分の血が付いた手で、1年生男子の生徒手帳を取り出した。
そこには、こう書かれていた。
リサ「『城ヶ崎』!?……誰だ?」