報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「復讐」

2024-07-15 20:33:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月21日17時00分 天候:雷 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校 現校舎→旧校舎(教育資料館)]

 学校の七不思議を巡るツアーは、6話目を終えた。
 次はいよいよ最後の7話目である。

 1年生女子A「何か、暗くなってきたよ?」
 1年生女子B「ほんと。まるで、夏のゲリラ豪雨みたい」
 レイチェル「ブキミですね……」
 1年生男子「…………」
 上坂「愛原さん、何か雨降りそうですし、下校時刻も迫ってきてるので、急ぎで……」
 リサ「分かった。次はいよいよクライマックス。旧校舎に巣くっていた“トイレの花子さん”の話を……」
 1年生男子「あの……」
 リサ「ん?」
 1年生男子「僕、その前に、1つ怖い話を知ってるんです。良かったら聞きません?」
 上坂「まだ新入生なのに、もうこの学園の怖い話を知ってるって?」
 1年生男子「僕の姉がここの生徒だったんです。僕の姉の体験談なんですよ。今までの中に、その話が無かったもので」
 上坂「そうなんだ。それは、どこの話?旧校舎?」
 1年生男子「いえ、屋上です」
 上坂「屋上……。まあ、屋上が舞台の話もあったけどね。屋上は立ち入りの許可が出なかったから、鍵を借りられなかったんだよ。逆を言えば、屋上を諦める代わりに、教育資料館……旧校舎の鍵は借りられたわけでね」
 1年生男子「そうですか。それは残念です」
 上坂「屋上が舞台の怖い話はあったけど、女子生徒が出て来る怖い話なんてあったかなぁ……」
 リサ「もしかして、新しい話かもよ?ちょっと聞いてみたら?」
 上坂「最近の話ということは、特異菌は関係無でしょ?だったら、その話はこの集まりの趣旨に反するからダメだ。そもそも、屋上の鍵は借りられなかったんだから」
 1年生男子「どうしても、ダメですか?」
 上坂「新しい話を知ってるのなら、今度の『七不思議を語る会』に語り部として参加してよ。夏休み前の恒例だからさ」
 リサ「それは別に、特異菌関係無い?」
 上坂「はい。なので、ヒトコワ系でもいいですよ。逆に、新しい話なら歓迎です。それより、今日のところは教育資料館に行きましょう」
 1年生男子「……分かりました」

 一行は『教育資料館』として活用されている、木造2階建ての旧校舎に向かった。
 学校法人東京中央学園の元祖ということもあり、建物はリニューアルされつつも、外観は比較的往時のままを保っている。

 上坂「どことなく懐かしい木の匂いですね」
 リサ「確かに」

 リサは2階の女子トイレに向かった。

 リサ「ここには個室が4つあります。奥から2番目に、“トイレの花子さん”はいるとされていました」

 ここでリサは表向きの噂話と、真相を話した。
 さすがに、いじめられて自殺した斉藤早苗を生き返らせたどころか、その体を白井伝三郎が乗っ取っているという話はしないでおいた。
 リサの正体並みに国家機密レベルだからである。

 リサ「わたしも彼女の幽霊とは仲良くさせてもらい、『イジメ、ダメ、絶対!』を学びました」
 上坂「怖い話ながらも、最後は悲しい話で終わりましたね。この学園には、こういう悲しい過去がいくつもありました。我々新聞部は、そういう歴史を風化させないことも使命の1つです。新入生の皆さんは、この事を肝に銘じて、学校新聞作りに励んでもらいたいと思います。それでは時間も時間なんで、これでお開きにしましょう。皆さん、今日はお疲れさまでした」
 リサ「お疲れー」
 上坂「愛原さんも、ありがとうございました」
 リサ「いやいや、別にいいよ。……あ、そうだ。ちょっと待ってて」

 リサは別の教室に向かった。
 壁にはこの校舎が現役だった頃の写真や、現校舎に移った時の写真などが展示されている。

 

 リサ「思い出した!これこれ!」
 上坂「こ、これは……!?」
 1年生女子A「これは昔の体操服……」
 1年生女子B「ぶるまぁ……」
 リサ「お前らもこの学園に入ったからには、ブルマ穿いて体育受けてもらうから!」
 1年生女子A&B「ええーっ!?」
 上坂「で、でも、この写真がどうしたと言うんですか?」
 リサ「左に写っているのが、生前の“トイレの花子さん”」
 上坂「へぇーっ!?」
 リサ「体育祭に出てたから髪は束ねてるけど、普段は束ねてなかったみたいだね。でも、花子さん……斉藤サナエは、別にブルマは良かったらしいよ。わたしは、“花子さん”の意思を継いで、『ブルマ復活運動』をしたんだ。その辺は新聞部にも協力してもらったね」
 上坂「いやあ……去年の話でしょ?僕はまだ1年生だったし……。部長も不思議がってたなぁ……」
 リサ「購買で売ってるから、お前らも買って穿くように」
 1年生女子A「い、いえ、私はもうショートパンツ買っちゃったんで……」
 1年生女子B「わ、私も……」
 リサ「あぁ?」

 リサの目が赤く鈍く光る。
 その目を見てしまった1年生女子達は……。

 リサ「わたしの言う事が聞けないの?」
 1年生女子A「い、いえ……明日買わせて頂きます……」
 1年生女子B「私も……」
 リサ「よし!(この力、何故か愛原先生達には効かないんだよねぇ……)」

 2階の階段から下りる時だった。

 1年生男子「うっ……うわあああああああっ!!」

 ドンッ!!

 リサ「んっ!?」

 突然、背後から1年生男子生徒が叫び声を上げたかと思うと、リサを階段の上から突き飛ばした。
 リサは虚空を舞い、階段から転げ落ちる。

 1年生女子A「きゃああああっ!!」

 リサ自身も何が起きたか分からない。
 最初は1年生男子生徒が、何か怖い物を見てパニックを起こし、リサにぶつかったのかと思ったが……。
 だが、踊り場に倒れたリサの上に男子生徒は飛び下りて、隠し持っていた折り畳みナイフを何度もリサに突き立てた。

 1年生男子「人殺しめ!!死ねっ!死ねっ!!」
 レイチェル「Stop it,now!!」

 レイチェルはブレザーのポケットから、掌サイズのハンドガンを取り出した。
 コルトM1903というものだ。

 パンッ!(発砲音)

 1年生男子「ぎゃっ……!」

 レイチェルが発砲したミニサイズの拳銃は、1年生男子の左肩に命中した。

 レイチェル「離れなさい!」
 1年生男子「嫌だ!こいつが姉ちゃんを殺したんだ!」
 レイチェル「Huh!?」
 リサ「な、なに……?」

 リサは自分の血だらけになっていたが、そこはラスボス級のBOW。
 たかだか折り畳みナイフで刺されたくらいでは死なない。
 刺された傷も、みるみるうちに塞がって行く。

 リサ「お前、名前は……?」

 リサは自分の血が付いた手で、1年生男子の生徒手帳を取り出した。
 そこには、こう書かれていた。

 リサ「『城ヶ崎』!?……誰だ?」
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“愛原リサの日常” 「学校の七不思議ツアー」 2

2024-07-15 14:27:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月21日15時30分 天候:曇 東京都市台東区上野 東京中央学園上野高校・体育館上宿泊施設]

 宿泊施設に出るというモノ。
 そのモノの内容は、年によって違う。
 幽霊が出るという話もあれば、妖怪逆さ女が出るという話もある。
 年によって出没するモノが異なるのは、偏に、そのモノに遭遇した者が特異菌に感染し、その主たる症状の幻覚を引き起こしていたことによる。

 リサ「直近の話だと、幽霊の話ですね」

 新聞部2年生男子の上坂と、1年生の参加者達は資料を片手にリサの話を聞いている。
 3年生だとレイチェルもいる。

 リサ「いじめられっ子の女子が、捨てられていた子猫を宿泊施設でこっそりと飼っていました。しかし、いじめっ子にそれがバレてしまい……彼女らは……猫を殺したと。猫の死体を見つけたいじめられっ子は、悲しみのあまりに自殺してしまったと。まあ、そんなんだからいじめられるんですね。しばらくして、学校恒例の球技大会があり、合宿で宿泊施設に泊まったいじめっ子たちはいじめられっ子の幽霊に遭い、次の日消えてしまったと。 不思議なことに、消えたいじめられっ子達と同じだけの数の猫がいたが、 やがてその猫は引き取り手がなく実験動物として送られることになりました。今でも夜になれば、猫の鳴き声が聞こえて来るそうですが、何かわたしが来てから聞こえなくなったそうで……」

 それにレイチェルはピンと来た。

 レイチェル「資料には書いてませんけど、『猫食い鬼』の話はしなくて良いのですか?」
 リサ「しーっ!!」
 レイチェル「BSAAの資料では、ここに巣くっていた女子生徒達の亡霊が、BOWの乗り込みにより、殆どが逃げ去ってしまったとのことですが?」
 リサ「あれは“トイレの花子さん”のおかげ!」
 上坂「愛原先輩も、この事件に関わってるんですか?」
 リサ「時系列が違うでしょ!この話は、今から10年以上も前の話!」
 上坂「それはそうですが……」
 リサ「次に行こう!次は無限廊下の話!」

[同日16時00分 天候:曇 同学園3階西側階段~廊下]

 

 リサ「今度の話も、特異菌感染による幻覚が引き起こしたパターンですね」

 3階の教室で補習で遅くまで残された男子生徒が、帰ろうと階段を下りた。
 ところが、階段はいつまで降りても2階に着かない。
 そこで、3階の廊下を通って、別の階段から帰ろうとした。
 ところがその廊下、いつまで経っても反対側に着かない。
 おかしいと思っていると、黒い影が見えた。
 男子生徒が近づいてみると、それは旧制服であるセーラー服を着た女子生徒……の化け物だった。
 まるで死に掛けの老婆のように、体中がしなびており……いや、まだ老婆という表現の方がマシだ。
 ミイラのようにしなびていた。
 それが、奇声を上げて襲い掛かって来た。
 男子生徒は逃げるが、それでも廊下の反対側には着かない。
 また、しなびた化け物は3匹くらいに増える。
 ある程度逃げると、砂のようになって消える。
 が、またどこからか現れる。
 この繰り返し。
 ついに力尽きて倒れた男子生徒のところに、しなびた女子生徒達が群がって……。

 リサ「気が付いたら『朝チュン』」
 上坂「ええっ!?」
 リサ「しなびた化け物達に群がられて『朝チュン』迎えてもねぇ……ククク……!」

 リサは喉の奥で笑った。

 リサ「いや、ほとんど真っ裸の状態で、そこら辺の廊下に転がってたらしいです。体には歯形とか引っ掻き傷とか、キスマークが付いていたりとか……」
 レイチェル「リサの仲間じゃないですよね?」
 リサ「なワケあるか!」

 因みにリサは黒いマスクをしているので、笑っても牙が見えることはない。

 リサ「要はどういうことかというと、彼もまた特異菌の感染者で、幻覚を見ていたということですね」
 1年生男子「質問があります」
 リサ「なに?」
 1年生男子「特異菌というのは、どこで感染するんですか?」
 リサ「最終的に、これから行く旧校舎。今も旧校舎は立入禁止だけど、『教育資料館』になる前までも、こっそり中に入る生徒とかいて、それで感染したみたい」
 レイチェル「私から捕捉させてもらいますと、感染した後、どのタイミングで発症するかはランダムです。なので、感染しても無症状というパターンもあります。だから、全部の生徒や先生達もワクチンを打ってもらったのです」
 1年生男子「分かりました、ありがとうございます」
 リサ「それじゃ次は……トイレ休憩を挟みがてら、トイレの怖い話を1つ……。せっかく今、3階にいるもんでね」

 リサは今度は、3階北側のトイレに向かった。
 ここは特別教室が並んでいるエリアということもあり、利用者はあまりいない。

 リサ「ここの女子トイレは、現在進行形で怖い話が起きています。下校のチャイムが過ぎると、どこからともなく吸血鬼が現れて、血を吸われるという話ですね」

 

 リサ「何か、用を足している音が周りに聞こえるのが嫌だからと、こういうあまり利用者のいないトイレを穴場スポットだと思ってくるコがいたりするんですけど、ここが絶好の狩り場……らしいんですよね。でも、大丈夫。ちょっと血と老廃物を座れるだけなので、命までは取られませんw」
 レイチェル「リサ……」
 1年生女子A「別のトイレ使います」
 1年生女子B「わ、私も……」
 1年生男子「愛原先輩、男子は襲われないんですか?」
 リサ「男子生徒には興味無いから大丈夫」
 1年生男子「そうですか……。あ、あと、図書室でも怪談があったと聞きましたが……」
 リサ「図書室?……知らないな……」

 リサは上坂を見た。

 上坂「確かに、『呪われた本の話』がありますが、詳細は不明です」
 リサ「だってさ」
 1年生男子「いや、本の話は自分も初めてです。『本棚が倒れてきて、下敷きになったのにも関わらず、無傷だった女子生徒』の話です」
 リサ「あ、それ、わたし」
 上坂「それは奇跡の話であって、怖い話ではないでしょ」
 1年生男子「それもそうですね」

 トイレ休憩が終わった後、一行は再び次なる場所に向かうことにした。
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