[8月16日09:25.天候:晴 千葉県成田市古込 成田国際空港第2ターミナル]
私達を乗せた飛行機は、途中で何回か大きく揺れた。
もちろんそれは気流の影響によるものであり、その揺れ方は走行中の電車がポイントを通過した程度のものであったが、やっぱりいきなり揺れられるとビックリするものだ。
横揺れは走行中の電車のような揺れ方、縦揺れに関しては震度3の地震くらいといったところか。
いずれにせよフライトには影響の無いものであるが、その時の反応で、この乗客が飛行機に乗り慣れているか否かが判断できると思う。
予定通り飛行機は、成田空港第2ターミナルに着陸した。
ここはANAの航空機が離着陸するターミナルである。
愛原:「さあ、着いた着いた」
降機の準備ができたということで、乗客達が前方のドアに向かって歩き出す。
私達もハットラックから荷物を取り出すと、他の乗客達に続いて前に進んだ。
高橋:「飛行機だとあっという間っスね」
愛原:「ああ。だが、ここから都内までが少し距離があるのだよ」
高橋:「確かに」
リサ:「機内食食べたかったー」
愛原:「国内線には無ェよ」
もっとも、国内線でも比較的長距離路線の、それもクラスJとかプレミアムクラスとかだと、軽食のサービスとかはあるんだったか。
愛原:「オマエにはパスポートは発給されない。つまり、外国に行くことはできないんだ」
リサ:「えー……」
愛原:「善場主任と同じ仕事に就けば、大丈夫だと思うがな」
リサ:「うーん……」
リサは首を傾げた。
とにかく、無事に飛行機を降りることができた。
高橋:「ここからはどうするんスか?」
愛原:「善場主任が、話があるから事務所に来て欲しいってことで、直接行くことになる」
高橋:「新橋っスか。えーっと……」
愛原:「JRで行けば、実は1本で行ける」
高橋:「あっ……」
愛原:「ただ、今は本数が少ないから、ちょっと待つことにはなるがな」
高橋:「なるほど。そうでしたか」
愛原:「だから、ゆっくりタバコ吸ってきていいぞ」
高橋:「へへっ!それじゃ、ちょっと行ってきます」
高橋は小走りに、喫煙所に走って行った。
私はスマホで善場主任に、成田空港に到着した旨の連絡をした。
ここからJRで向かうことも付け加えておく。
因みに乗るのは快速電車であり、中間車のグリーン車に乗っても良いか聞いてみると、OKとなった。
そもそもどうしてリサが電車に乗る時、必ず先頭車か最後尾でないといけないのかというと、いざ暴走した時、長編成の列車だと、BSAAが外から狙い撃ちしにくいからだという。
そういう時、『1番前』か『1番後ろ』に乗っていてくれた方が、攻撃目標として分かりやすいのだと。
それが理由なのであれば、首都圏の中距離電車に乗る時、むしろ2階建てグリーン車に乗ってくれた方が却って目標にしやすいのではないか。
善場主任は、そういう考えのようである。
高橋が喫煙所から戻って来ると、私達は駅に向かった。
[同日10:02.天候:晴 同地区 JR空港第2ビル駅→成田線3938F列車5号車内]
空港第2ビル駅のJRホームは1面1線の単式ホームである。
このホームに、上下列車が種別を問わずに停車するわけである。
その為か、ホームの上にはLED式の乗車位置案内が付いていた。
〔まもなく、快速、逗子行きが15両編成で参ります。黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください〕
1番線しか無いからか、あえて接近放送でホーム番線は言わない。
やってきた電車は、旧型のE217系であった。
本当なら新型のE235系への置き換えが進んでいるはずなのだが、それは遅々として進まないようだ。
その理由は、昨今の半導体不足によるものだという。
11両の基本編成に付属の4両編成を連結した15両編成であった。
しかし、隣の成田空港駅から来たはずの電車だが、先客はそんなに乗っていなかった。
グリーン車にあっても、数えるほどである。
まだまだコロナ禍の影響が出ているということだ。
それに、今は東京方面に格安の高速バスが多数運転されるようになって、そちらに客を取られている感もある。
私も下車駅が新橋でなく、東京駅だったら、バスへの乗り換えも選択肢に入れていただろう。
愛原:「荷物もあるから、平屋席でいいか?」
高橋:「いいっスよ」
リサ:「うん」
5号車に乗り込んで、誰も乗っていない平屋席に向かった。
この普通列車のグリーン車の特徴は、1階席と2階席は天井が低い為に荷棚が無いことである。
もしも荷物があって、荷棚を使いたい場合は車端部の平屋席の方が良い。
〔……ドアが閉まりますから、ご注意ください〕
因みにこの駅、ホームドアが面白いことになっている。
ホームドアがロープになっているのである。
普段はロープが張られた状態になっているが、電車が来ると、ロープを吊っている柱が上がって、ロープが上に折り畳まれる。
電車のドアが閉まると、柱が下がって、折り畳まれていたロープがまた張られるという状態になるのだ。
こうすることで、ドア数の違う特急や快速などでも、気にせずに設置できるというわけである。
電車のドアが閉まって、地下トンネル内を走り出す。
〔この電車は総武本線、横須賀線直通、快速、逗子行きです。停車駅は都賀までの各駅と千葉、稲毛、津田沼、船橋、市川、新小岩、錦糸町、錦糸町から先の各駅です。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、成田です〕
因みに私達は、駅の券売機で紙のグリーン券を買っていた。
そうなると、グリーンアテンダントが検札にやってくるのである。
愛原:「リサ、約束だ。このグリーン車には、車内販売がある。そこでおやつを売っているから、きれいなお姉さんから買ってあげるよ」
リサ:「何か、ムカつく言い方……」
高橋:「先生、カンベンしてくださいよ~」
と、そこへ……。
グリーンアテンダント:「失礼致します」
背後から中性的な声が聞こえて来た。
ボーイッシュなアルト声のお姉さんかな?
そう思って振り向いてみると……。
グリーンアテンダント(男):「失礼致します。グリーン券はお持ちではございませんか?」
愛原:「…………」
グリーンアテンダント:「お客様?どうなさいました?」
高橋:「あ、いや、何でも無ェよ。ほら、キップ」
リサ:「はい、キップ」
グリーンアテンダント:「あ、ありがとうございます」
リサ:「お菓子とジュース売ってる?」
グリーンアテンダント:「車内販売ですね?すぐ、お持ちします」
高橋:「先生、ライフ0になった特異菌クリーチャーじゃあるまいし、石灰化しないでくださいよ」
リサ:「先生、いつのまに特異菌に感染してた?」
高橋:「知らねーよ」
(高橋、愛原のポケットからグリーン券を取り出す)
高橋:「ほら、先生の分」
グリーンアテンダント:「ありがとうございます」
……グリーンアテンダントは一旦、乗務員室に引き返すと、商品の入ったバッグを持って来た。
2階建てグリーン車である為、ワゴンは使えない。
その為、バッグに入れて車内販売を行うのである。
高橋:「俺が立て替えといてやるよ」
リサ:「おー!それじゃ、オレンジジュースとポッキー」
グリーンアテンダント:「ありがとうございます」
……愛原は次の成田駅まで、石灰化していたのであった。
私達を乗せた飛行機は、途中で何回か大きく揺れた。
もちろんそれは気流の影響によるものであり、その揺れ方は走行中の電車がポイントを通過した程度のものであったが、やっぱりいきなり揺れられるとビックリするものだ。
横揺れは走行中の電車のような揺れ方、縦揺れに関しては震度3の地震くらいといったところか。
いずれにせよフライトには影響の無いものであるが、その時の反応で、この乗客が飛行機に乗り慣れているか否かが判断できると思う。
予定通り飛行機は、成田空港第2ターミナルに着陸した。
ここはANAの航空機が離着陸するターミナルである。
愛原:「さあ、着いた着いた」
降機の準備ができたということで、乗客達が前方のドアに向かって歩き出す。
私達もハットラックから荷物を取り出すと、他の乗客達に続いて前に進んだ。
高橋:「飛行機だとあっという間っスね」
愛原:「ああ。だが、ここから都内までが少し距離があるのだよ」
高橋:「確かに」
リサ:「機内食食べたかったー」
愛原:「国内線には無ェよ」
もっとも、国内線でも比較的長距離路線の、それもクラスJとかプレミアムクラスとかだと、軽食のサービスとかはあるんだったか。
愛原:「オマエにはパスポートは発給されない。つまり、外国に行くことはできないんだ」
リサ:「えー……」
愛原:「善場主任と同じ仕事に就けば、大丈夫だと思うがな」
リサ:「うーん……」
リサは首を傾げた。
とにかく、無事に飛行機を降りることができた。
高橋:「ここからはどうするんスか?」
愛原:「善場主任が、話があるから事務所に来て欲しいってことで、直接行くことになる」
高橋:「新橋っスか。えーっと……」
愛原:「JRで行けば、実は1本で行ける」
高橋:「あっ……」
愛原:「ただ、今は本数が少ないから、ちょっと待つことにはなるがな」
高橋:「なるほど。そうでしたか」
愛原:「だから、ゆっくりタバコ吸ってきていいぞ」
高橋:「へへっ!それじゃ、ちょっと行ってきます」
高橋は小走りに、喫煙所に走って行った。
私はスマホで善場主任に、成田空港に到着した旨の連絡をした。
ここからJRで向かうことも付け加えておく。
因みに乗るのは快速電車であり、中間車のグリーン車に乗っても良いか聞いてみると、OKとなった。
そもそもどうしてリサが電車に乗る時、必ず先頭車か最後尾でないといけないのかというと、いざ暴走した時、長編成の列車だと、BSAAが外から狙い撃ちしにくいからだという。
そういう時、『1番前』か『1番後ろ』に乗っていてくれた方が、攻撃目標として分かりやすいのだと。
それが理由なのであれば、首都圏の中距離電車に乗る時、むしろ2階建てグリーン車に乗ってくれた方が却って目標にしやすいのではないか。
善場主任は、そういう考えのようである。
高橋が喫煙所から戻って来ると、私達は駅に向かった。
[同日10:02.天候:晴 同地区 JR空港第2ビル駅→成田線3938F列車5号車内]
空港第2ビル駅のJRホームは1面1線の単式ホームである。
このホームに、上下列車が種別を問わずに停車するわけである。
その為か、ホームの上にはLED式の乗車位置案内が付いていた。
〔まもなく、快速、逗子行きが15両編成で参ります。黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください〕
1番線しか無いからか、あえて接近放送でホーム番線は言わない。
やってきた電車は、旧型のE217系であった。
本当なら新型のE235系への置き換えが進んでいるはずなのだが、それは遅々として進まないようだ。
その理由は、昨今の半導体不足によるものだという。
11両の基本編成に付属の4両編成を連結した15両編成であった。
しかし、隣の成田空港駅から来たはずの電車だが、先客はそんなに乗っていなかった。
グリーン車にあっても、数えるほどである。
まだまだコロナ禍の影響が出ているということだ。
それに、今は東京方面に格安の高速バスが多数運転されるようになって、そちらに客を取られている感もある。
私も下車駅が新橋でなく、東京駅だったら、バスへの乗り換えも選択肢に入れていただろう。
愛原:「荷物もあるから、平屋席でいいか?」
高橋:「いいっスよ」
リサ:「うん」
5号車に乗り込んで、誰も乗っていない平屋席に向かった。
この普通列車のグリーン車の特徴は、1階席と2階席は天井が低い為に荷棚が無いことである。
もしも荷物があって、荷棚を使いたい場合は車端部の平屋席の方が良い。
〔……ドアが閉まりますから、ご注意ください〕
因みにこの駅、ホームドアが面白いことになっている。
ホームドアがロープになっているのである。
普段はロープが張られた状態になっているが、電車が来ると、ロープを吊っている柱が上がって、ロープが上に折り畳まれる。
電車のドアが閉まると、柱が下がって、折り畳まれていたロープがまた張られるという状態になるのだ。
こうすることで、ドア数の違う特急や快速などでも、気にせずに設置できるというわけである。
電車のドアが閉まって、地下トンネル内を走り出す。
〔この電車は総武本線、横須賀線直通、快速、逗子行きです。停車駅は都賀までの各駅と千葉、稲毛、津田沼、船橋、市川、新小岩、錦糸町、錦糸町から先の各駅です。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、成田です〕
因みに私達は、駅の券売機で紙のグリーン券を買っていた。
そうなると、グリーンアテンダントが検札にやってくるのである。
愛原:「リサ、約束だ。このグリーン車には、車内販売がある。そこでおやつを売っているから、きれいなお姉さんから買ってあげるよ」
リサ:「何か、ムカつく言い方……」
高橋:「先生、カンベンしてくださいよ~」
と、そこへ……。
グリーンアテンダント:「失礼致します」
背後から中性的な声が聞こえて来た。
ボーイッシュなアルト声のお姉さんかな?
そう思って振り向いてみると……。
グリーンアテンダント(男):「失礼致します。グリーン券はお持ちではございませんか?」
愛原:「…………」
グリーンアテンダント:「お客様?どうなさいました?」
高橋:「あ、いや、何でも無ェよ。ほら、キップ」
リサ:「はい、キップ」
グリーンアテンダント:「あ、ありがとうございます」
リサ:「お菓子とジュース売ってる?」
グリーンアテンダント:「車内販売ですね?すぐ、お持ちします」
高橋:「先生、ライフ0になった特異菌クリーチャーじゃあるまいし、石灰化しないでくださいよ」
リサ:「先生、いつのまに特異菌に感染してた?」
高橋:「知らねーよ」
(高橋、愛原のポケットからグリーン券を取り出す)
高橋:「ほら、先生の分」
グリーンアテンダント:「ありがとうございます」
……グリーンアテンダントは一旦、乗務員室に引き返すと、商品の入ったバッグを持って来た。
2階建てグリーン車である為、ワゴンは使えない。
その為、バッグに入れて車内販売を行うのである。
高橋:「俺が立て替えといてやるよ」
リサ:「おー!それじゃ、オレンジジュースとポッキー」
グリーンアテンダント:「ありがとうございます」
……愛原は次の成田駅まで、石灰化していたのであった。