報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「悪夢の探偵達」

2022-11-27 22:50:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明 時間不明 天候:不明 場所:不明]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 私は何故か、無人の船内を歩いていた。
 見覚えのある船だ。
 これは……あれか。
 東京湾シンフォニークルーズの船の中か。
 不思議だ。
 前に乗った時は、大勢の乗客で賑わっていたというのに。
 今は人っ子一人いない。
 乗客だけでなく、船員もだ。

 高野芽衣子:「愛原先生、こんな所で何をなさっているんです?」
 愛原:「おっ、高野君!キミこそ、どうしてここに!?もしかして、船内でバイオハザードでも発生したのか!?」
 高野:「何を仰ってるんですかw 私は最後のお別れを伝えに来たんですよ」
 愛原:「お別れ!?どういうことだ!?」
 高野:「私はもう先生と2度と会うことはありません。事務所時代は短い間でしたが、お世話になりました」
 愛原:「ど、どういうことなんだ!?」

 すると、高野君は狙撃用のライフルを私に向けた。

 愛原:「な、何をする!?」
 高野:「まだ分からないのですか?」
 高野:「な、何がだ!?」
 高橋:「アネゴ。『知らぬが仏』って言うだろ。余計なこと言わなくていいと思うぜ?」
 愛原:「た、高橋!?余計なことって何だ!?」

 すると、高橋も手持ちのマグナム44を私に向けた。

 高橋:「先生。今までお世話になりました」
 愛原:「な、何だって!?オマエ達、一体どういうつもりだ!?」
 リサ:「もう、お兄ちゃん達!冷たすぎるよ!」

 そこへリサも現れる。

 リサ:「何も知らないまま殺されるのも可愛そうだよ。やっぱり、ちゃんと教えてあげるべきだと思うよ?」
 高橋:「テメェ、なに生意気なことを……」
 高野:「いやいや、それもそうね。リサちゃんの言う通りだわ」
 リサ:「ねー?」
 愛原:「リサ、どういうことだ!?助けてくれんのか!?」
 リサ:「助ける?何で?」
 愛原:「な、何でって!俺、丸腰なのに、この2人に銃を向けられてるんだぞ!?」
 リサ:「当たり前じゃない。だって、先生は……」

 その時、私の背中に強い衝撃が走った。
 力が抜け、床に倒れる私。
 だ、誰だ?
 誰が撃ったんだ……?

 善場:「あなた達、遊んでる場合ではありません。とにかく……」

 と、善場主任!?
 この声は善場主任か!?

[8月28日07:00.天候:晴 東京都中央区銀座8丁目 銀座グランドホテル8F客室]

 愛原:「わぁーっ!」

 枕元に置いたスマホのアラームが鳴って、私は飛び起きた。
 な、何だ……。
 夢だったのか……。

 リサ:「うー……ん……」

 隣に寝ているリサが、呆然とする私を尻目に、手を伸ばしてスマホのアラームを止めた。
 ……ん!?隣!?

 愛原:「……って、おい、リサ!」
 リサ:「あ……先生。おはよー……」

 リサは大きな欠伸をした。
 人間形態の第0形態ながら、変化しきれていない牙が覗く。

 愛原:「何で俺の隣に寝てるんだ!?」

 とはいえ、本当に添い寝だけしていたようで、私の服が脱がされているわけでもなければ、リサが脱いでいるというわけでもなかった。
 もっとも、手繋ぎされていた感じはあるが。

 リサ:「先生の護衛」
 愛原:「は!?」
 リサ:「……ウソ。夜中に寂しくなったから、つい入っちゃった。ゴメンナサーイ……」
 愛原:「あー……びっくりした……」
 リサ:「メーワクだった?」
 愛原:「……まあ、今回は許す」
 リサ:「ホント!?じゃあ、お詫びと許してくれた御礼と『おはよう』のチュー
 愛原:「おい!」

 しかし、私の唇はリサに奪われた。

 リサ:「ハイ。先生のファーストキス、頂きぃ~!」
 愛原:「オマエね!……ったく」

 変な寄生虫を送り込まれた感じは無い。

 愛原:「早く、ベッドから出て。起きるから」
 リサ:「はーい」
 愛原:「うー……嫌な夢見た。ちょっと寝汗かいたから、シャワー入ってくる」
 リサ:「あ、じゃあわたしも入るー」
 愛原:「調子に乗るな。……危うく俺、夢の中でオマエに裏切られるところだったんだから」
 リサ:「わたしが!?」
 愛原:「そうだよ」
 リサ:「先生の夢の中のわたし、暴走した?」
 愛原:「そういうわけじゃなく、結構ガチめの裏切りだったよ。高野君や高橋と一緒にな。あと、善場主任もだ」
 リサ:「何それ?ドッキリ?」
 愛原:「ドッキリだったんなら良かったんだがな。背後から善場主任にショットガンで撃たれて、お陀仏だよ」
 リサ:「ヒドイねー」
 愛原:「だから、オマエもだったんだって」

 私はそう言うと、着替えを持ってバスルームに入った。

 リサ:「背中流そうか?」
 愛原:「いや、軽く汗を流すだけだから、そこまでしなくていい」
 リサ:「そう……」

 ついでに歯磨きと髭剃りもしておこう。

[同日08:00.天候:晴 同ホテルB1F朝食会場 レストラン“銀座 羅豚(らぶ)”]

 朝の身支度を整えた私達は、朝食会場に向かった。
 宿泊プランは朝食付きなので、フロントでもらった朝食券を手にレストランに向かう。

 リサ:「お兄ちゃんの分、勿体ないねー」
 愛原:「結局あいつ、戻って来なかったな……」

 朝食は食べ放題のバイキングではなく、定食形式であった。
 但し、メイン料理や小鉢など、内容は色々と組み合わせをチョイスできるシステムのようだ。
 私は焼き魚を選び、今朝は焼き鮭であった。
 リサは朝からハンバーグ定食をチョイスした。
 主食は御飯と味噌汁をチョイスし、それはリサも同じだった。

 リサ:「TKG、TKG」
 愛原:「俺は納豆にするよ」

 リサは玉子かけ御飯を楽しんだ。

 愛原:「どうせ今日は休みだ。ゆっくり帰ろう」
 リサ:「うん!」
 愛原:「チェックアウトは11時みたいだし、それまでゆっくりしてもいい」
 リサ:「10時じゃなくて、11時なんだ」
 愛原:「高級ホテルには、たまにあるな。急いで帰りたいのなら、そうするが?まだ夏休みの宿題、終わってない?」
 リサ:「それは大丈夫だよ」
 愛原:「そうか」
 リサ:「ねえ、先生」
 愛原:「何だ?」
 リサ:「先生が見た夢の内容、教えて?」
 愛原:「あー……そうだな……。まあ、ちょっと怖い夢だから、ここではな……。部屋に戻ったら話すよ」
 リサ:「分かった」

 私達は取りあえず、朝食を楽しんだ。
コメント
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