報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「銀座の探偵達」

2022-11-23 19:56:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日17:20.天候:晴 東京都中央区銀座8丁目 銀座グランドホテル]

 リサ:「おー!すっごいホテル!」

 銀座地区の最南端にある銀座グランドホテルに移動する。
 ブラウンのシックな外観が特徴だが、歴史を感じさせる佇まいでもあった。

 愛原:「主任はロビーにいるそうだ」

 ロビーやフロントは1階ではなく、2階にあった。
 階段を上って行く。

 善場:「お疲れ様です。愛原所長」

 ロビーのソファに座っていた善場主任が、立ち上がって、ポーカーフェイスながら、微笑を浮かべた。

 愛原:「どうも、お疲れ様です。主任」
 善場:「まずは部屋に入って、一息ついてください。現地には後ほど向かいます」
 愛原:「現地というと……」
 善場:「日の出桟橋です」
 愛原:「ああ、日の出。横浜の大さん橋……うっ……!」

 また、電流が流れるような頭痛が起きた。

 高橋:「先生、大丈夫ですか!?」
 愛原:「だ、大丈夫だ……」
 善場:「一旦、部屋に入って落ち着かれた方が良さそうですね。チェックインは、私がしてきますので、こちらでお待ちください」
 高橋:「姉ちゃん、実は先生、東京湾フェリーに乗ってからなんだ。今日は中止にした方が……」
 善場:「大丈夫ですよ」
 高橋:「大丈夫って……」
 善場:「愛原所長が、この程度で倒れるような方ではないということは、あなたがよく御存知でしょう?」
 高橋:「そ、それは……」
 リサ:「……!?」

 リサは善場主任の冷たい笑みに、息を呑んだ。
 私は善場主任から、ルームキーを渡された。

 善場:「8階だそうですので、どうぞ部屋で一息ついてください」
 愛原:「ありがとうございます。船は何時に出るんですか?」
 善場:「19時です」
 愛原:「なるほど。分かりました」

 私は鍵を受け取ると、黄色いドアが目立つエレベーターに乗り込んだ。
 そして、ドアが閉まってエレベーターが動き出してから気づく。

 愛原:「あれ?鍵が1つしか無いぞ?」
 リサ:「おー!先生と同じ部屋ー!」
 高橋:「高級そうなホテルっスからね、もしかしたら中で部屋が2つに分かれてるのかもしれませんよ?」
 愛原:「そんな高い部屋取ってくれるなんて、心が痛むなぁ……」
 リサ:「それだけ先生がいい仕事してるってことだよ」
 愛原:「オマエも上手くなったなぁ……」

 まあ、高級ホテルの方がセキュリティがしっかりしているという面はあるが。
 エレベーターを降りて、客室に向かう。

 愛原:「えーと……ここだな」

 解錠してドアを開ける。
 中に入ると、確かに安いビジネスホテルのツインルームよりも広かった。
 その広さを利用して、ベッドをもう1つ置いたのだろう。
 そう。
 高橋の言うようなコネクティングルームとかではなく、広いツインルームが1つ。
 そこに通常のツインベッドと、ソファを挟んでもう1つベッドが置かれているといった感じだった。

 リサ:「おー!先生と同じ部屋ーっ!」

 リサは大喜びだった。

 リサ:「先生!一緒に寝よ!?」
 高橋:「バカ野郎!俺がこっちのベッドだよ!てか姉ちゃん、部屋の予約の仕方、間違ってんじゃねーのか!?」
 愛原:「俺もちょっとどういう意図があるのか、疑問に思ったよ。ちょっと聞いてみよう」

 私はスマホを取り出した。

 高橋:「実は間違いでした、なんてな?」
 リサ:「えー……」

 私は善場主任に電話をし、部屋のことについて聞いてみた。

 愛原:「……というわけでして……え?これでいいんですか?」

 善場主任の話では、これでいいらしい。
 今夜は3人で泊まってくれとのことだった。

 善場:「リサは愛原所長の言う事をちゃんと聞くようですし、暴走状態になる心配も小さいでしょう。ですので、部屋を一緒にしても大丈夫だと判断しました」

 リサが年頃の女の子だという意識は、全く無いようだ。
 善場主任自身が、表向きは人間に戻ったとされても、BSAAからはまだBOW扱いされているからなのか、あるいはリサはまだ人間ではないからとか、そんな風に思っているのかもしれない。

 善場:「何か御不満でも?」
 愛原「い、いえ……。そういうことでしたら、了解です」
 善場:「それではあと30分ほど……。18時になりましたら迎えの車が来ますので、それまでは部屋でごゆっくりお過ごしください」
 愛原:「わ、分かりました」

 私は電話を切った。

 愛原:「今夜はリサと3人で泊まれってさ」
 リサ:「おー!」

 リサは私が寝ようと思っていたベッドにダイブした。
 スカートが捲れて、中の黒いスパッツが丸見えになっている。

 高橋:「こら!先生のベッドに何をしやがる!」
 愛原:「まあまあ。悪いがリサ。オマエはあっちのベッドで寝てくれないか?」
 リサ:「えー……」
 高橋:「先生の御命令は!?」
 リサ:「絶対……」

 リサは渋々、エキストラベッドの方へ向かった。

 愛原:「18時に出発だそうだ。それまで、一息つこう」
 高橋:「はい。今、お茶をお入れします」

 高橋はティーサーバーにお湯を入れ、それでお湯を沸かし始めた。

 愛原:「ホテルも高級なら、これから乗るクルーズ船も豪華だぞ」
 高橋:「えっ?ドレスコードとかあるんスか?」
 愛原:「いや、それは無いらしい」
 高橋:「何だ、良かったっス」
 愛原:「それでも、きれいな服は着ていった方がいいかもな」
 高橋:「えーと……確か、荷物の中にアロハシャツがあったな……」
 リサ:「体操服とブルマの方がいい?」
 愛原:「私服でいいっつってんだろw」

 取りあえず私は、高橋が入れてくれたお茶に口を付けた。

 愛原:「メインはクルーズ船でのディナークルーズだよ。ディナーバイキングだっていうから、リサにはピッタリだろ」
 リサ:「バイキングというと……食べ放題!?」
 愛原:「そういうことになるな」
 リサ:「おー!」
 愛原:「言っただろ?俺の焼肉宴会コースなんか、ほんの前座だって」
 リサ:「でも、それはそれで嬉しい」
 高橋:「同感っス」
 愛原:「ああ、そう。それはありがとう」

 リサは自分の荷物の中から、昼間に着た水着を取り出した。

 愛原:「おいおい。水着は要らんよ。豪華客船と違って、プールがあるわけじゃないんだから」
 リサ:「ううん。濡れてるから、乾かしておく」

 リサはそう言って、自分の水着をハンガーに掛けた。
 迷彩柄のような模様の入ったスポブラタイプの上と、ピンク色のビキニショーツである。

 愛原:「それもそうだな」
 リサ:「先生、勝手に取らないでよ?w」
 愛原:「取らねーよ」
 高橋:「先生。俺のパンツと先生のパンツも、乾かしておきます」
 愛原:「済まないな」

 高橋は同じようにハンガーに掛けると、それをバスルームに持って行った。
 なるほど。
 バスルームの換気扇を回しておき、その下に吊るしておくやり方か。
 リサのように窓際に掛けるのと、どちらが良いのかは不明である。
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“私立探偵 愛原学” 「帰京の探偵達」

2022-11-23 15:25:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日15:42.天候:晴 神奈川県横須賀市久里浜 JR久里浜駅→横須賀線1504S電車5号車内]

 

〔この電車は、横須賀線、各駅停車、東京行きです。グリーン車は、4号車と5号車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください〕

 私達はグリーン車に乗り込んだ。
 やってきた電車は新型車両で、ようやく初めて乗れたことになる。
 旧型車両よりも、グリーン車の内装は高級感がグッと出た感じになっていた。
 また、座席にコンセントが付いているという特徴もある。
 リサなど、それでスマホの充電を始めたくらいだ。

 リサ:「……フザけんなよ。先生の御命令だ。さっさとブルマを買いに行けっ」

 ……背後から、リサの冷酷な指令が聞こえて来る。
 私の与り知らぬところで、リサの交友関係が大変なことになっているのではないか?
 それに関しては、隣に座る高橋も見て見ぬフリである。

〔「お待たせ致しました。15時42分発、横須賀線、東京行き、発車致します」〕

 ホームから微かに発車メロディが聞こえて来る。

〔2番線の、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 新型車両であっても、ドアチャイムの音色は変わらない。
 久里浜駅にはホームドアが無い為、ドアが閉まると、すぐに発車する。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は横須賀線、各駅停車、東京行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、衣笠です〕

 愛原:「あー、疲れた」

 私は座席のリクライニングを倒すと、少し休むことにした。

 高橋:「着いたら、起こしますよ、先生」
 愛原:「ああ、頼むよ。……あっと!その前に……」
 グリーンアテンダント:「失礼致します。グリーン券はお持ちではないでしょうか?」

 紙のグリーン券で乗り込んだ為、グリーンアテンダントが確認に来るのだった。

 愛原:「はいはい、これです」
 グリーンアテンダント:「ありがとうございます」

 尚、アテンダントは男性であった。
 リサとしては、私がナンパに走る心配が無くてホッとしているだろう。

 リサ:「……おやつ……車内販売……」

 リサはアテンダントの持ち物を見た。

 グリーンアテンダント:「車内販売でございますか?少々お待ちくださいませ」

 まだ久里浜を発車した時点では、客は少ない。
 京急の影響が無くなる上、一大観光地である鎌倉辺りから混んで来るのではないかなと思う。
 アテンダントは一旦、控室に引き返すと、商品を入れたバッグを持って来た。
 2階建て車両である為、ワゴンは使えない。
 その為、こういうバッグに入れて持って来るのである。

 リサ:「トッポとオレンジジュース……かな」
 グリーンアテンダント:「ありがとうございます」
 リサ:「! このビーフジャーキーも!」
 高橋:「それは、おやつじゃねぇ!」

 BOWにとっては、肉系のつまみはおやつか。

 愛原:「いいから高橋、買わせてやれ」
 高橋:「は?はあ……」

 リサ、手持ちのICカードで購入した。

 グリーンアテンダント:「ありがとうございました」

 アテンダントが立ち去ると、早速リサは買った物を開けた。

 リサ:「BOWはね、肉を食べるほど強くなるの」
 高橋:「化け物だって、自分で認めてんじゃねーかよ……」

 リサは自分が化け物であるという現実を受け止めているから、そんなに悩まないのかもしれない。
 人間に戻れないと、私と結婚できないという葛藤はあるものの……。
 最近では、その力を利用して私の役に立とうしてくれている。
 それはありがたい。
 ありがたいと思うと同時に……いや、この気持ちはダメだ。
 うん、これはダメなんだ。
 リサが……BOWのままでいいと思うことなんて。
 リサには、人間に戻ってもらわなくては。
 その為に、デイライトは動いているし、BSAAだってリサを狙撃しないで待っていてくれているのだから。

[同日17:10.天候:晴 東京都港区新橋 JR新橋駅]

〔まもなく新橋、新橋。お出口は、右側です。山手線、京浜東北線、地下鉄銀座線、都営地下鉄浅草線と“ゆりかもめ”はお乗り換えです〕

 品川駅を出た電車は、地下トンネルに入った。
 2階建てグリーン車は、恐らくトンネル断面ギリギリの所を走っているのだろう。
 それでも静かなのは、パンタグラフもモーターも搭載していない付随車だからかもしれない。

 

 愛原:「どれ、降りるか……」
 高橋:「先生、結局寝なかったんですね」
 愛原:「まあ、少しは休んだよ」

 私はリクライニングを戻して、席を立った。

〔しんばし~、新橋~。ご乗車、ありがとうございます〕

 私達は地下ホームに降りた。
 佇まいは、まるで地下鉄のようである。

 愛原:「先に、宿泊先のホテルに行くぞ」
 高橋:「分かりました」
 愛原:「そこに善場主任が待っているから」
 高橋:「姉ちゃんも泊まるんスか?」
 愛原:「それは聞いてないな……」

 私は首を傾げた。
 そもそも、都内なのに、どうしてわざわざ宿泊するのかが不明だ。
 表向きは、『帰りが遅くなるから』とのことだが、例え終電を逃したとしても、タクシーで帰れば良いだけの話だと思うが……。
 新橋や銀座なんて、空車のタクシーがそこかしこにいるのだし、仮にデイライトが立て替えてくれなくても、経費で落とせば良いと思っている。
 とにかく私達は、善場主任の待つホテルへと向かった。
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“私立探偵 愛原学” 「三浦半島の探偵達」

2022-11-23 11:47:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日14:10.天候:晴 神奈川県横須賀市久里浜 久里浜港フェリーターミナル]

 私達を乗せたフェリーは、無事に東京湾の対岸に接岸した。

 高橋:「先生、着きましたよ。大丈夫ですか?」
 愛原:「あ、ああ……」
 リサ:「先生、船酔いしたの?」
 愛原:「あー……いや……。ちょっと、熱中症気味になったのかもな。ハハ、ハ……」

 私は2人の問いにそう答えた。
 実は乗船中、こんなことがあった。
 船上から東京が見えるということは、横浜も見えるということだ。
 で、横浜港に豪華客船が停泊しているのが見えた。
 横浜港で豪華客船が発着するのは、大さん橋と相場が決まっている。
 その大さん橋から、私は豪華客船に乗り込んだことがあったのを思い出した。
 大さん橋……豪華客船……顕正号……。
 ここまで思い出した時、頭に激痛が走ったのと、それにともなって目眩が発生したのだった。

 愛原:「今は大丈夫」
 高橋:「先生。温泉は、今日は控えた方が……」
 愛原:「あ、いや、大丈夫だよ。さっき、水分と塩分も取ったしな」

 私は船内の売店で購入したスポーツドリンクを見せた。

 高橋:「そうですか……」

[同日15:10.天候:晴 同地区 東京湾フェリーバス停→京浜急行バス久7系統車内]

 温泉の方だが、あんまりゆっくりできなかった。
 別に混んでいたからだとか、設備が悪かったからだとか、そういうことではない。
 温泉に浸かっている間、横浜港に停泊していた豪華客船が外洋に出る為、東京湾を通過していところを見たのだが、それでまたフラッシュバックを起こしてしまったからである。
 しょうがないので、比較的早めに上がることになった。

 高橋:「先生、大丈夫ですか?」
 愛原:「あ、ああ。大丈夫だ……」
 リサ:「先生、熱中症?」
 愛原:「どうなんだろうな……」

 通過していったのは、顕正号なんかではない。
 外国籍の船である。
 それを見ただけで、どうして私はフラッシュバックなど起こすのだろう……。

〔「15時10分発、行政センター経由、久里浜駅行きです」〕

 先ほどのフェリーターミナルの前でバスを待っていると、京急久里浜駅行きのバスがやってきた。
 JR久里浜駅に行きたいのだが、ここからは京急久里浜駅行きしか来ない。
 だが、特に心配は無い。
 JR久里浜駅は、京急久里浜駅の裏手にある為、徒歩で連絡可能だからである。

 リサ:「これは、後ろから乗るタイプ……」
 愛原:「そう。東京23区じゃないからな」

 もちろん、ICカードは使える。
 バスは基本的に、フェリーの着岸時間と接続しているようだ。
 私達が乗り込んだ時には、あまり乗客はいなかったが、後からフェリーが到着したのか、どんどん乗ってきて、殆どの席が埋まった。
 因みにバスは、オーソドックスなノンステップバス。

〔「まもなく発車致します」〕

 バスは中扉を閉めて、発車した。
 クーラーの吹き出し口からは、ガンガン冷たい風が吹いて来る。

〔お待たせ致しました。毎度ご乗車、ありがとうございます。このバスは久里浜行政センター前経由、京急久里浜駅行きです。次は久里浜港、久里浜港。……〕

 高橋:「……船酔いとか?」
 愛原:「いや、気持ち悪くは無いからなぁ……」

 まだ体に違和感はあるものの、特に吐き気とかがあるわけではない。
 頭がやや重いといった感じだ。
 多分、先ほどのフラッシュバックの後遺症なのだろう。

[同日15:20.天候:晴 同市内 京急久里浜駅前バス停→JR久里浜駅]

 

 東京湾フェリーターミナルから京急久里浜駅に向かうバスには、2つの系統がある。
 街中を通って向かう『開国橋経由』と、海沿いを回り込んで向かう私達の乗ったバスだ。
 前者はどうなのかは分からないが、私達の乗った方は特に渋滞に巻き込まれるとかは無かった。
 駅前のバスプールは賑わっていて、多くの乗客が京急久里浜駅に入って行った。
 東京湾フェリーでは、京急線各駅までの乗り継ぎ乗車券を販売しているので、それで徒歩乗船の乗客達は自然と京急に向かうようになっているのだろう。
 しかし、私達は違う。
 裏手のJR久里浜駅に向かった。
 下車駅は新橋駅であり、乗り換え無しで行けるのは京急よりもJRだからだ。
 もちろん京急でも、都営浅草線直通に乗れば乗り換え無しで行けるが、果たしてこの時間帯、そんな電車があったかどうか不明だったので。
 横須賀市久里浜地区の表玄関となっている京急久里浜駅周辺は賑わっており、まるで東京都多摩地区のどこかの駅を彷彿とさせる外観なのであるが、JR久里浜駅の方は……。

 

 こんな感じ。
 駅名看板を隠して、『東北地方のどこかのローカル駅だよ』と紹介しても、信じてもらえる外観である。
 当然、駅周辺は人も少なく、静かなものである。
 とはいえ、ちゃんと駅員はいるし、改札口も自動改札になっているのであるが。

 愛原:「グリーン車に乗るか」

 駅構内に入り、キップ売り場でグリーン券を買い求める。
 あとはICカードで、改札口を通過すれば良い。
 まだ電車は来ておらず、私達はホームで電車を待った。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の電車は、15時42分発、各駅停車、東京行きです。この電車は、11両です。グリーン車が付いております。……〕

 私は電車を待っている間、善場主任に中間車のグリーン車に乗る旨、LINEした。
 リサが中間車に乗る場合、予め連絡をしておかなくてはならない。

 愛原:「……うん、大丈夫だな」
 高橋:「乗ってもいいってことっスか?」
 愛原:「それもあるんだが、俺の体の具合さ」
 高橋:「あっ、はい」
 愛原:「手が震えて、とてもLINEできないなんてことになったら大変だからな」
 高橋:「そんなんだったら、即、病院行きじゃないっスか?」
 愛原:「まあな」
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