報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「船上の探偵達」

2022-11-22 20:27:19 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日13:15.天候:晴 千葉県富津市金谷 金谷港フェリーターミナル→東京湾フェリー“しらはま丸”]

〔「13時15分出航の久里浜港行き、“しらはま丸”は、まもなく改札を終了致します。ご乗船のお客様は、徒歩乗船口までお急ぎください。尚、お車での乗船は……」〕

 愛原:「急げ急げ!」

 昼食をゆっくり食べていたら、時間がギリギリになってしまった!

 係員:「まもなく改札を終了しまーす!」
 愛原:「待ってくださーい!」

 徒歩乗船口に行くと、まるで駅の有人改札口のようなブースがあった。

 係員:「はい、どうぞ」

 私達はブースの中にいる係員に、キップを渡した。
 すると係員は、やはり鉄道の駅員の如く、キップに入鋏した。
 日付入りのスタンプが押される改札鋏だった。
 こうして私達は、どうにか乗船できたのである。
 どうやら、本当に私達が最後の徒歩乗船客だったらしく、乗り込むと同時に、改札口が閉じられた。

 愛原:「あっぶねー!ギリギリセーフ!」
 高橋:「助かりましたねー。ってか、こんなに急ぐ必要あったんスか?次の船でも……」
 愛原:「温泉にゆっくり入ることを考えたら、この船に乗っておいた方がいい」
 高橋:「あ、それっスか……」

 とにかく乗船に成功した私達は、甲板から客室に向かった。
 夏休み最後の週末ということもあり、船内は多くの乗客で賑わっている。
 客室の座席は、一昔前の在来線特急の普通車のそれっぽいが、リクライニングはしないようだ。
 また、後ろの座席や窓側の座席は向かい合わせになっていて、テーブルもある。
 一瞬、最前列の展望席にしようかなと思ったが、既に埋まっていた。
 因みに座席は、全席自由。
 多くの乗客が賑わっているのに満席になっていないのは、天気が良いので、デッキに出たりしているからだろう。

 リサ:「わたしも上に行ってみたい」
 愛原:「そうか?」

 地上にいた時はそんなに気にならなかったが、洋上に出てみると、結構風が吹いているのが分かった。
 2階客室上の甲板に出ようとした時だった。

 ポテンヒット:「ヒック……。今日は風が強いから、お嬢ちゃんが行ったら、パンツ丸見えだぜ。ヒック」

 既に缶ビール片手に出来上がっているオジさんが、何か言って来た。
 因みにリサ、今日はスカートである。
 上は白いTシャツに、下は黒いプリーツスカートだが、膝小僧が丸見えなほどの裾の短さである。

 リサ:「う……先生には見られてもいいけど、他の男には見せたくないから遠慮する!」
 ポテンヒット:「ちっ、そいつぁザンネンだ……ヒック」
 愛原:「リサ、スパッツとかブルマとか穿いて来なかったのか?」
 リサ:「暑いから穿いてこなかった」
 愛原:「マジかよ……」
 リサ:「いや、本当はショーパンにしたかったんだけど、先生的にはスカートの方がいいかなって……」
 愛原:「太ももさえ出してくれたら、どっちでもいいんだぞ」
 高橋:「先生!?なに言ってんスか!?」
 愛原:「はっ!し、しまった!」

 また本音がポロリと……。
 き、きっと、この暑さのせいだ!
 8月のクソ暑さのせいで、頭がどうにかなってしまったのだ!

 リサ:「ふふ……やっぱり先生、わたしのこと……
 高橋:「先生、こんな化けモンに騙されちゃいけませんぜ?船底の倉庫で、『メーデーメーデー』と叫ぶ奴ですから」
 愛原:「オマエも頭やられてるな!……やっぱ、涼しい船室にいよう」

 船室内はさすがに冷房が効いている。

 リサ:「荷物の中に入ってるから、それ穿いて来る」
 愛原:「そ、そうか?」
 リサ:「で、ブルマの方がいいわけね。スパッツもあるけど……」
 愛原:「両方持ってきたのか。ブルマは何色?」
 リサ:「紺色。スカートが黒いから」
 愛原:「なるほど……」

 案外、本当に黒いブルマって無いよな。
 ブルマ全盛期の頃でも、最多数なのは紺色だっただろう。
 その次にエンジとか緑とか、ブルーとかか。
 私が小学生の時、低学年の頃はエンジであった。
 その後、何故か体操服が改正されて、水色に変わった。
 水色というか、スカイブルーといった方が良いかもしれない。
 そして、中学校では紺色だった。
 仙台ではそうだったが、東京の学校を舞台にしたドラマとか観ると、黒もあったようである。
 だが、通販でも、リサが目ざとく見つけた店舗でも、黒いブルマは取り扱っていなかったという。
 エンジや紺色が多かった理由は、生理の際に経血が付いても、目立たないようにする為だったとか。

 リサ:「ここで穿く?」
 愛原:「トイレで穿いて来なさい」
 リサ:「はーい」

 リサはトイレに向かった。
 その後、甲板に出ようとする。

 ポテンヒット:「何だい、お嬢ちゃん。出血大サービスしてくれる気になったかい?……ヒック!」
 リサ:「ブルマ穿いて来たから大丈夫!」
 ポテンヒット:「お嬢ちゃん、今の時代、ブルマはレア物だぜ?.…ヒック!だからよ、スカートが捲れてブルマが見えても、それはそれで俺達、紳士にとっちゃ、御褒美なんだよ。……ヒック」
 リサ:「せんせぇ……」

 リサ、涙目になる。

 愛原:「……今すぐ、スパッツに穿き替えてきなさい」
 高橋:「オッサン!オッサンの言い分じゃ、スパッツ穿いてきても、『スカートの中が覗けりゃ、それはそれで御褒美ぢゃ』なんて言うんじゃねーだろうなぁ!?」
 ポテンヒット:「ヒック!……兄ちゃん、分かってんじゃねーか。オメェも一杯やるか?」
 高橋:「……ムショにいた時、覗きの常習犯でブチ込まれて来た奴がいたんスよ。それも、子供から大人まで、スカートの中を覗き込むのに命掛けるほどのアホで……」
 愛原:「つったって、今時、皆、スカートの下、パンツの上に何がしか穿いてるだろう?」

 リサが私服用のスカートを選んでる時、既にスカートの下にオーバーパンツの付いている『スカッツ』なる物があったのに驚いた。
 リサ自身は、そういうのはあまり好きな方ではなく、そういうのは避けていたのだが、需要はあるらしい。

 愛原:「そんなもの覗いたところで……」
 高橋:「要は万引きと同じっスよ。欲しいから盗るんじゃなく、盗る行為そのものに中毒になって、やめられなくなったってヤツ。覗きも同じです。どうせパンツなんか見えねーだろうし、ましてやノーパンなんてSSR以上だろうに、それでもやって捕まるヤツってのは、覗く行為そのものに中毒になってるんです」
 愛原:「あ、なるほどな」
 ポテンヒット:「まあ、バカは死ななきゃ治らねぇって言うからよ。兄ちゃん達も気をつけな。……ヒック!」

 酔っ払いのオジさんは、そう言ってゆっくり立ち上がると、船室に戻って行った。

 リサ:「風が気持ちい~い!」

 リサは船室上の甲板に上がると、海風をもろに受けて喜んでいた。
 今日は波も穏やかで良かった。

 愛原:「因みにな、あっちが東京の方だ。また、あっち側で船に乗るからな?」
 リサ:「また乗るの!?」
 愛原:「言っただろ?今日は海三昧だって」
 リサ:「そっかぁ……。先生のことだから、パチンコの事だと思ってた」
 愛原:「そっちの海(CR海物語シリーズ)じゃねぇ!」
 高橋:「先生、この前も確変出してましたよね!?しかも4円パチで!」
 愛原:「だからこの前、焼肉宴会コースで還元しただろうが!」
 高橋:「あれ、そうだったんスか!?」

 楽しい船旅になりそうだ。
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“私立探偵 愛原学” 「内房の探偵達」

2022-11-22 15:20:25 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日12:00.天候:晴 千葉県富津市金谷 金谷海浜公園プール]

 私達はうだるような暑さの中、まずは市民プールで涼むことにした。
 目的はリサの水着姿だが。
 駅前の通りを進んで、国道に出た所にある。
 リサはスクール水着ではなく、セパレートタイプの水着を着た。
 競泳水着を上下に分離したような感じ。
 これは以前、静岡に行った時に着たものと同じである。

 リサ:「先生がもっと布面積の少ない水着を着てくれって言ったら、そうするよ?」
 愛原:「そんなことしたら、俺が読者から誤解され……じゃなかった。運営側に追い出されるよ」
 高橋:「運営にバンされたらアウトっスからね」
 愛原:「そうだな」

 そこで私はリサに聞いた。

 愛原:「? そういえば、学校でも水泳の授業あるだろ?あれは?」
 リサ:「高等部用の水着は、競泳水着っぽい感じなの」
 愛原:「ああ、そうだったな」

 中等部のはスクール水着だが、色がスクールカラーの緑になっている。
 高等部になると、競泳水着のデザインになる(が、やはり色は緑)。
 リサは、高等部用を私の前で着ることはなかった(中等部用は八丈島に行った時に着た)。
 それはどうしてかと聞くと、『校章がデカデカと入っていて、何かダサいから』だという。
 まあ、確かに学校で着る専用であることを強調しているのは否めない。
 尚、水泳部用の水着はまた別だという。

 高橋:「先生、そろそろお昼ですよ?」
 愛原:「それもそうだな。よし、そろそろ出よう」

 およそ2時間ほどプールを楽しんだ。

 リサ:「先生、お腹空いた」
 愛原:「分かってる。昼はちゃんと考えてある。まずはシャワー浴びて着替えて来い」
 リサ:「はーい」

 私と高橋、そしてリサは一旦、別れた。

 高橋:「先生。リサの奴、学校で競泳水着じゃなく、スクール水着流行らせたそうですよ?」
 愛原:「なに?」
 高橋:「先生が保存されたスク水JKのエロ動画をリサが観たせいで、『学校で流行らせる』なんて言ってましたから」
 愛原:「マジかよ!Gウィルス、そういうことに使うんじゃねぇ!」

 Gウィルスだけでは、そんなことはできない。
 絶妙に混ざり合ったTウィルスにも感染した寄生虫に寄生されることにより、その人間は洗脳され、リサの言う事を聞くようになる。
 洗脳状態である為、本人の意識はハッキリしている。
 で、確かに異常ではあるが、特に誰かがケガをするわけでもなく、ましてや死ぬわけでもないので、BSAAは出動しないし、デイライトも見て見ぬフリである。
 リサが更に悪用して、死傷者が出るようなことがあったら、さすがに動くだろうが……。
 で、リサもバカなように見えてそうではないので、どこまでならセーフで、どこからがアウトかの線をしっかり把握している。

 愛原:「ん?待てよ……」
 高橋:「な、何スか、何スか?」

 着替え終わった後で、リサと合流する。

 リサ:「先生、次はどこに行くの?」
 愛原:「フェリー乗り場だ。今度は船に乗るぞ」
 リサ:「おー!」
 愛原:「今日は海三昧だって言っただろ?」
 高橋:「海を見ながら入る真水のプールは、絶妙でしたね」
 愛原:「だろ?」
 リサ:「それで、お昼は?」
 愛原:「フェリーターミナルに食う所がある。そこまでの我慢だ。それより、リサ。ちょっと相談が……」

 私はリサにそっと耳打ちした。
 リサは意外そうな顔になった。

 リサ:「えっ!わたしの力で、学校にブルマを復活させるの!?……う、うん。先生の命令は絶対だから、そうするけど……」
 高橋:「何を命令してんスか!w」
 愛原:「誰もケガしないし、死亡するわけではないからセーフだ!」( ー`дー´)キリッ
 高橋:「い、いや、確かにそうっスけど……」

[同日12:30.天候:晴 同地区 東京湾フェリー金谷フェリーサービスセンター・レストラン“波留菜亭”]

 フェリーターミナルの中にはキップ売り場の他、売店やレストランがある。

 愛原:「キップを先に買っておこう」

 入口入ってすぐの所にあるキップ売り場。
 有人窓口もあるが、自動券売機もある。
 そこでキップが買えるのだが、まあ、電車のキップのような感じだった。
 ここで気づいたのだが、どうやら京浜急行の資本が入っているらしい。
 キップを買った後は、早速ターミナル内のレストランへ。
 まあ、やっぱりこういう所に来たからには、魚系だろう。

 愛原:「日替わりミックスフライ定食にしようかな」
 高橋:「あっ、じゃあ俺も……」

 フライの材料は日替わりで、某かの魚介類であるという。
 磯焼きも美味そうだったのだが、時間が掛かりそうだったので、これは辞退した。
 リサが所望したのは、クジラの竜田揚げ定食だった。
 ……うん、魚じゃなく、鯨肉だな。
 注文した後で、リサはスマホを弄っていた。

 愛原:「山もいいけど、こういう海もいいな」
 高橋:「そうっスね。東京湾だから、太平洋っスか」
 愛原:「まあ、広い意味ではそうだな。それがどうした?」
 高橋:「いや、俺は新潟出身なもんで、海と言えば日本海なんスよ」
 愛原:「それもそうか。間違っても東海(トンヘ)なんて呼んじゃダメだぞ?」
 高橋:「分かってます。日本海は日本海です」

 そんなことを話しているうちに、注文したものが出来上がった。

 愛原:「じゃあ、いただきまーす」
 リサ:「……よし、指令完了」

 リサはスマホをテーブルの上に置いた。

 愛原:「何だオマエ?スマホゲームでもやってるのか?課金は……」
 リサ:「違うよ。わたしの寄生虫達に命令したの。『夏休み明けの体育は、ブルマで』って。皆が穿けば、それでOKだよ。水着みたいにね」

 リサはマスクを取ると、牙を覗かせてニヤリと笑った。

 高橋:「先生、こいつガチでやりやがりましたよ?」
 愛原:「高校までの体育って、学校指定のジャージとか体操服を着ないとダメだろうが……」
 リサ:「わたしが、あのブルマ、どこで買ったと思う?」
 愛原:「あ……!」

 東京中央学園は事実上、ブルマが廃止されている。
 事実上というのは、あくまで明文化された校則から削除されただけのことで、明確に禁止とまでは謳っていない。
 また、制服やそういった学校指定の衣料品を取り扱っている店舗にまではそのことが伝わっていない為か、一部店舗では細々とブルマが販売されているのだそうだ。
 リサはそういう所を目ざとく見つけて購入したそうである。
 ……当時まだ『斉藤』という名字だった我那覇絵恋さんと一緒に。

 リサ:「そのお店を教えたから、夏休み終了までに購入しろって言っといた」
 愛原:「夏休み終了って、明日までっことだろうが!」
 リサ:「先生の命令は絶対……!逆らったら、寄生虫が体を食い破る……!」
 高橋:「先生、こいつヤバいっスよ!?」

 私はとんでもない命令をリサに言ってしまったのかもしれない。
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“私立探偵 愛原学” 「房総特急の旅」

2022-11-22 11:08:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日07:45.天候:晴 東京都新宿区新宿 JR新宿駅→中央線9043M列車1号車内]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の7番線の列車は、7時50分発、特急“新宿さざなみ”1号、館山行きです。【中略】この列車は、9両です〕

 新宿駅で朝食の駅弁と飲み物を買い、私達はこれから乗車予定の特急列車が来るホームに向かった。
 新宿駅の特急ホームというと、5・6・9・10番線であるが、臨時特急なのと、中央快速線の線路を走るからか、中央快速線ホームに入線するようである。
 といっても、本線ホームは8番線で、7番線は副線(待避線)である。

〔まもなく7番線に、当駅始発、特急“新宿さざなみ”1号、館山行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。この列車は、9両です。……〕

 電車の接近放送が鳴り響く。
 私達は指定席特急券を手に、最後尾の1号車に並んでいた。
 先頭車は自由席である為、普通車指定席でリサが乗れる車両というと、最後尾ということになる。

 愛原:「来た来た」

 電車がゆっくりと入線してきた。
 255系と呼ばれる車両で、菜の花をイメージした黄色の塗装が目立つ。
 全体的に黄色というわけではなく、房総の海をイメージした青も目に付くのだが、やはり黄色というイメージである。
 当駅始発だからか、電車の座席は既に進行方向にセットされていた。
 ホームドアは無いが、電車が到着しても、ドアが開くまで少し待たされる。
 車両基地または電留線から来た時点では、運転士しか乗っていない為だ。
 ホームで待機していた車掌が乗り込んでからでないと、ドアは開かない。
 ようやくドアが開いて、私達は列車に乗り込んだ。

 

 車内は在来線特急ではオーソドックスな4列シートが並ぶ。
 リサと高橋には後ろに座らせ、私はリサの前の席に座る。
 本当は向かい合わせにでもしたいところだが、コロナ対策でそれは自粛するよう、呼び掛けられている。

〔♪♪♪♪。「ご案内致します。この電車は7時50分の発車を予定しております、特急“新宿さざなみ”1号、館山行きです。中央線、総武線、内房線周りの館山行きです。自由席は6号車から9号車、グリーン車は5号車です。停車駅は秋葉原、錦糸町、船橋、津田沼、千葉、蘇我、五井、木更津、君津、浜金谷、保田、岩井、富浦、終点館山の順に停車致します。【中略】7時50分の発車です。発車まで、車内でお待ちください」〕

 高橋:「オマエ、もう食うのかよ……」
 リサ:「お腹空いた!」

 リサは座席のテーブルを出して、駅弁を開けている。
 やはり肉好きのBOWらしく、牛肉弁当を所望した。
 私はというと、幕之内弁当。
 定番である。

 高橋:「先生、途中で降りるんスか?」

 高橋が前に座っている私の席に来て、指定席特急券を見せた。
 指定席特急券には、『新宿⇒浜金谷』とある。

 愛原:「そうなんだ。今日は海を堪能する日だぞ」
 高橋:「海水浴でもするんですか?」
 リサ:「スイカ割りやるの!?」
 愛原:「しねーよ。まあ、温泉にくらい入るけどな」
 高橋:「さすがは先生らしいですね」
 リサ:「うんうん」

 そうこうしているうちに発車の時間がやってきて、開かない窓の外から発車メロディが聞こえて来た。

〔「7番線から、特急“新宿さざなみ”1号、館山行きが発車致します。ドアが閉まります」〕

 特に駆け込み乗車も無かったか、ドアが閉まると、ゆっくりと走り出した。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は、特急“新宿さざなみ”1号、館山行きです。停車駅は【中略】。次は、秋葉原です〕

 電車は本数の多い中央快速線の合間を走るからか、速度はゆっくりであった。
 確かに、もっと本数の多くなる平日では無理だろう。
 すれ違ったり、並走する通勤電車(各駅停車)を眺めながら、私も駅弁に箸をつけた。

[同日08:54.天候:晴 千葉県市原市 JR内房線9043M列車内]

 新宿駅を出発して、およそ1時間が経過した。
 旧型の気動車が運行されていることで有名な小湊鉄道と接続している五井駅を出ると、私はトイレに立った。

 リサ:「わたしも行くー」
 高橋:「我も我も」
 愛原:「おい、お前ら」

 ついでにゴミを捨てる為、駅弁の空き箱をデッキのゴミ箱に捨てに行く。

 愛原:「おっ、真っ青!」

 特急車両ということもあり、男子用の小便器の個室もあるのだが、そこは壁やら便器やら、殆ど真っ青に塗られていた。
 何でも、『深海』をイメージしているらしい。
 『深海』のトイレ、つまり海の中でオシッコとは、なかなか……w
 因みにこういう奇抜な内装のトイレは男子用小便器個室だけで、他の個室は普通の内装である。

 愛原:「……『深海』でオシッコとはな……」
 リサ:「ムフフ……」( ̄▽ ̄)

 リサ、ニタッと笑う。

 リサ:「わたしもここでするー」
 愛原:「おい、男子用だぞ」
 リサ:「立ちションプレイなら、研究所でさせられたから大丈夫だよ」
 愛原:「そういう問題じゃないって。てか、どういう実験だ!?」
 リサ:「ねー?」

 日本アンブレラの研究所には、変態研究員がわんさかいたのだろうか。
 私はリサを宥めすかして、どうにか普通の洋式トイレを使わせた。

[同日09:40.天候:晴 千葉県富津(ふっつ)市金谷(かなや) JR浜金谷駅]

〔♪♪♪♪。まもなく、浜金谷です。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。浜金谷の次は、保田に止まります〕

 まるで新幹線の車内放送のような言い回しだが、何せ声優さんも同じだったりする。

 愛原:「よし、着いたぞ。ここて降りるぞ」
 高橋:「うっス!」
 リサ:「うっス!」

 新宿駅から1時間50分。
 私達は下車駅である浜金谷駅で降りた。

 

 愛原:「さすがにここまで来ると、ローカルチックな雰囲気だねぇ……」

 JRの駅名でよくある『浜○×』駅。
 これは、それだけ浜に近い場所にあるという意味で付けられる。
 とは浜松町駅や浜松駅は関係無いだろうと思ったが、いやいや、待て待て。
 あの駅や町も立地的には、海に近いよな。
 どうなんだろう?

 リサ:「……ックシュ!……ックシュ!」

 リサが2回ほどくしゃみをした。

 高橋:「お?誰か噂してんじゃね?女同士、陰で悪口とか?」
 リサ:「そしたら、寄生虫を通じて、わたしの所に聞こえて来るからそれは大丈夫。変な臭いがして、それで鼻が刺激されたの」
 高橋:「おい、これは潮の香りだぜ?サーフィンしたくなってくるなぁ」
 愛原:「リサは内陸部育ちだから、潮の香りとかに慣れてないんだろ。ましてや、BOWとして、人間よりも鼻が利くから尚更さ。だから、ほら、あそこにいる犬も同じだろ?」

 同じようにこの駅で降りた家族連れ。
 彼らはペットキャリーに小型犬を連れていたが、その犬もくしゃみを連発していた。

 高橋:「何だ、犬と同じじゃねーか。ほら、ワンと言え、ワンと!」
 トイプードル:「ワン!」
 高橋:「って、うぉっ!?」
 女性:「あら、ごめんなさいね。こら、ショコラ、他の人に吠えちゃダメでしょ」

 背後からやってきた件の犬に吠えられた高橋だった。
 キャリーの中から吠えられる高橋。

 リサ:「ツー!」
 トイプードル:「すりー」
 高橋:「ええっ!?」
 愛原:「そうはならんやろw」

 まあ、今のはギャグである。
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