報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤家の夜」

2022-03-24 20:11:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月5日17:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家1F応接間→B1Fプレイルーム]

 真冬ならもう真っ暗という時間帯だが、3月の今はまだ明るい。
 そんな時、家の前に黒塗りのハイヤーが到着した。
 前はお抱え運転手の新庄さんが送迎を務めていたが、新型コロナウィルスに感染してしまい、今なお後遺症と闘病中の為、復職できないでいる。
 その間は、地元のタクシー会社で東京でも営業している所とハイヤー契約を結び、それで通勤している。

 ダイヤモンド:「お帰りなさいませ、旦那様」

 そこは『御主人様』ではないらしい。
 メイドカフェと区別する為か?

 斉藤秀樹:「ああ。愛原さんは?」
 ダイヤモンド:「はい。探偵の愛原様は、奥の応接間でお待ちでございます。リサ様は御嬢様と一緒に、地下のフィットネスルームで……」
 秀樹:「愛原さんはずっと応接間に?」
 ダイヤモンド:「はい」
 秀樹:「はい、じゃない。それでは、ずっと暇を弄ばれたのではないか?」
 ダイヤモンド:「それは……」
 秀樹:「プレイルームにも案内すれば良かったのに……」
 ダイヤモンド:「も、申し訳ございません」

 そんな話し声が応接間の外から聞こえて来た。

 秀樹:「愛原さん、お待たせしました。長らくお待たせしてしまいまして、真に申し訳ない」
 愛原:「いいえ。全然かまいませんよ。社長こそ、お忙しい中、お疲れ様です」
 秀樹:「ちょっと仕事がおしてしまいましてね……。本当ならプレイルームで時間を潰して頂いても良かったのですが、うちの使用人の気が回らなくて申し訳無かったです」
 愛原:「いいえ、そんな……」

 どうせ、プチカジノバーみたいな部屋だ。
 スロットマシーンやルーレット、ビリヤード台にトランプ台があるだけに過ぎないだろう。
 私がそう思っていたら……。

 秀樹:「知り合いのパチンコ業界関係者から、中古のパチンコ台(“海物語”)を購入しましたので、それでヒマを潰して頂ければなと思っていたので……」
 愛原:「後で是非やらせてください!」
 秀樹:「さて、夕食まで時間がございますので、ご案内致しますよ」
 愛原:「ありがとうございます」

 プレイルームは地下にある。
 メイドのダイヤモンドに鍵を開けてもらい、中に入ると、確かに見覚えのあるパチンコ台があった。

 秀樹:「これで夕食まで時間を潰してください。話の続きは、また夕食後にしましょう」
 愛原:「ありがとうございます」

 私は早速、パチンコ台の前に座った。

[同日18:00.天候:晴 斉藤家1Fダイニング]

 時間になり、メイドのオパールが呼びに来た。
 因みにパチンコ台は、未だにアミューズメント仕様になっていたので、当たりが出やすい設定にはなっていなかった。
 ただ、釘は甘くなっていたので、魚群を回しやすくはなっていたが。

 リサ:「先生、いくら稼いだの?」
 愛原:「いやいや、ゲーセンのパチンコ台みたいなものだから、換金とか無いよ」
 リサ:「そんなにウリンが好きなの!?」
 愛原:「何でいきなりロリキャラ出す!?普通、メインキャラのマリンちゃん出さない?」
 リサ:「先生、ロリコンっぽいし」
 愛原:「ンなワケあるかーっ!」

 普通はマリンちゃんのボインに目が行くだろうが。

 リサ:「めんそーれ沖縄♪ちゅちゅちゅらちゅら沖海♪」
 愛原:「レッツゴー!……って、こら!」
 秀樹:「楽しんで頂けて何よりです。また中古台手に入りそうなら、導入しておきますからね」
 愛原:「は、はあ……」
 絵恋:「お父さん!そんな無駄なお金使うくらいなら……」
 秀樹:「何を言ってる?オマエの大好きなリサさんは、愛原さんと一緒じゃないと来れないのだぞ?」
 絵恋:「先生!今度は何の機種がいいですか!?エヴァ!?それとも大工の源さん!?」
 愛原:「ハハハ。まだ高校生のキミが立ち入って良い話題じゃないよ。因みに私は、“海物語”と“バイオハザード”派だ」
 秀樹:「“バイオハザード”ですか。もしかしたら、CRバイオハザードリベレーションズ2が手に入るかもしれませんな」
 愛原:「あれ、まだ比較的新しい台なんじゃ?さすが社長ですね」
 リサ:「どんな話?」
 愛原:「ナタリア・コルダっていう10歳の女の子が登場する……」
 リサ:「やっぱりロリコンじゃないの!」
 愛原:「いや、本当の話なんだって!」
 リサ:「そいつはエブリンみたいに悪いヤツなの?」
 愛原:「いや、今は確かBSAAの元職員のバリー・バートン氏の家で世話になっているはずだ。カナダのどこか」
 秀樹:「2011年の話ですね。あの頃は日本では東日本大震災があった為に、北海の孤島で起きたバイオハザード事件は、殆ど報道されませんでしたな」

 そしてその2年後、東欧の紛争地帯やアメリカのトールオークス市、中国の香港でバイオハザードが起きる。

 サファイア:「お待たせ致しました」

 キッチンメイドのサファイアが、分厚いステーキを焼いて持って来た。
 300gはありそうだ。

 リサ:「おおーっ!」

 リサはまだ赤身が多く残っているうちから、ナイフとフォークを突き刺した。

 絵恋:「これはテンダーロイン?」
 サファイア:「さようでございます。リサ様は赤身肉がお好きと伺ったもので」
 愛原:「うん。ステーキは血が滴るのが好きだっていうから、赤身肉がいいだろうね」

 その為、リサはいつもレアで注文する。
 本当は更に生に近いブルーレアが良いらしいが、それを受け付けてくれるレストランは、まず日本には無いのではないか。
 最低でもレアからだろう。
 因みに私はミディアム派である(が、作者は店で勧められる焼き方をそのまま選択するという)。
 食中毒を経験したことのある人は、用心してウェルダンを注文するのだとか。

 秀樹:「私達はサーロインですよ」
 愛原:「あ、なるほど。肉が違うのですね」
 秀樹:「はい」
 愛原:「因みに高橋から、宿泊先は浦安駅近くのビジホだとの連絡が入りました」

 そこはディズニーリゾートオフィシャルホテルではないらしい。
 まあ、そこまであの2人にカネは掛けられないか。

 秀樹:「舞浜から路線バスで行ける場所ですからね。けして、不便ではないと思いますよ」
 愛原:「確かにそうですね」

 夕食の後、私と社長は再び応接間へと移動した。
 一方、リサと絵恋さんも再び3階の部屋へ……。
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“私立探偵 愛原学” 「少女達の密会 ~昼の部~」

2022-03-24 15:08:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月5日16:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家1F応接間]

 オパール:「失礼致します。お茶のおかわりをお持ち致しました」
 愛原:「ありがとう」

 私は社長が帰って来るまで、応接間で待ちぼうけをさせられることになった。
 思えば、リサが絵恋さんに会う為に来たようなものであるので、私はオマケみたいなものだ。
 粗方、斉藤社長とは丸の内の本社で話が終わっているし。
 仕方ないので、土曜日であるが、私は善場主任に連絡した。
 といっても、メールのやり取りである。
 私が今、斉藤社長の家にいることを伝えると、主任は、なるべくデイライト側の動きを探らされないように、しかし斉藤社長の動きは探るように頼まれた。
 それにしてもヒマだ。

 オパール:「旦那様は先ほど、会社を出られました。今、こちらに向かっておられます」
 愛原:「分かりました」

 ハイヤーで戻って来るつもりかな。

 愛原:「リサは上の部屋かな?」
 オパール:「はい。御嬢様と過ごしておられます」
 愛原:「そうか。私も行ってみていいかな?」

 するとメイドのオパール、困惑した様子になった。

 オパール:「も、申し訳ございません。御嬢様から、『誰も部屋に近づけるな』との厳命でございまして……」
 愛原:「ほお……?と、言いますと?」
 オパール:「御嬢様はリサ様との2人きりの時間を、それはもう楽しみにしてございました。従いまして、例え愛原先生であっても、部屋に入れてはならぬという厳命を下されたのです。ですので、どうかご理解ください」
 愛原:「部屋で仲良くゲームでもやっているというレベルじゃないね、それは?」

 私が中高生の頃は、友達の家でよくゲーム三昧であったが……。
 桃鉄でキングボンビーが出た時の、人間関係崩壊の序章は今でも忘れられない。

 オパール:「は、はあ……」
 愛原:「部屋で何をしているのか、教えてもらえないかな?」

 リサの事だから、恐らく絵恋さんの老廃物と血液を啜っているのだろうが……。
 具体的には血中に含まれている老廃物といった方がいいか。
 これがリサが考え抜いた、合法的に血液と遺伝子を飲食する方法だった。
 マッサージと称して血管内にいくつもの細い触手を刺し込み、そこから血中老廃物と血液そのものを啜るのだ。
 リンパマッサージやリフレクソロジーだって、正に血中の老廃物を流すのが目的だから、それに被せたものだ。
 そして実際、リサに老廃物を吸い取られた後は、確かに血液がサラサラになっている感じはする。

 オパール:「具体的には申し上げにくいのですが……『運動』とか……」
 愛原:「それは18歳未満閲覧禁止の内容に抵触するものなのだね?」
 オパール:「えー……それは……」
 愛原:「部屋に案内してもらおうか!」
 オパール:「あっあっ、愛原様!どうかお待ちくださいませ!厳命が……」
 愛原:「高校生には禁止されている行為は止めるのが保護者というものだ!」

 私は応接間を出ると、3階へ上がる為にエレベーターに向かった。
 上のボタンを押すと、エレベーターがスーッと下りて来る。
 が、それは私の目の前を通過して下へ向かって行った。
 そして、窓からはリサと絵恋さんの姿が見えた。

 愛原:「んん!?今のはリサ達じゃないか?どこへ向かったんだ?」
 オパール:「恐らく、地下のプールまたはフィットネスルームかと思われます。御嬢様の御命令で、温水プールを稼働させておりますので」
 愛原:「リサの奴、水着なんか持ってきたのか」

 この家に行くことは予定済みではあったが……。

〔上に参ります〕

 そしてエレベーターが折り返してくる。
 その中にリサ達の姿は無かった。
 私はオパールを伴って、3階へ向かった。

〔ドアが閉まります〕

 思えば、屋敷の主人の娘の部屋に勝手に行くのも、それはそれでどうかとは思うが……。
 3階に着いて、私は絵恋さんの部屋に向かった。
 すると……。

 ダイヤモンド:「まあ!愛原様、どうなさいました?」

 部屋の掃除をしているダイヤモンドの姿があった。

 愛原:「リサ達は地下に行ったのか?」
 ダイヤモンド:「はい。こちらでの『お遊び』が一段落しましたので、今度はプールに入ろうかということになりました」
 愛原:「それで、何で掃除してるの?」
 ダイヤモンド:「御嬢様に後片付けを頼まれたものでして……」

 どうやら、激しい『運動』をしたようだな。
 リサが着ていた制服は無造作に脱ぎ捨てられ、そして窓が開けられて換気中とはいえ、微かにリサと絵恋さんの体臭の匂いがした。
 ここで汗をかくほどの『運動』をしたことに他ならない。

 愛原:「……分かった。だいたい、予想通りだと分かったよ。リサは水着なんか持って来たかな……」
 ダイヤモンド:「お持ちのようです。『学校のを持って来た』と仰っておりましたので……」
 愛原:「何だかんだ言って、リサもリサで楽しんでるみたいだなぁ……」
 オパール:「愛原様……」
 愛原:「分かったよ。俺は下に戻る」

 私は絵恋さんの部屋をあとにした。

 愛原:「待てよ。プールは?」
 オパール:「プールでございますか?」
 愛原:「部屋は立入禁止だって、命令してたじゃない?」
 オパール:「はい」
 愛原:「プールも立入禁止っていう命令はしていた?」
 オパール:「少々お待ちください。今、確認を……」
 愛原:「いや、待ってくれ。絵恋さん本人に確認すると、『そうね。忘れてたわ。プールも立入禁止』とか言いかねん。他のメイドさん達がそれを聞いているか確認してくれ」
 オパール:「かしこまりました」

 オパールは今日出勤しているメイド達に確認した。

 オパール:「お待たせ致しました。私も含め、他のメイド達も御嬢様からそのような命令は承っていないとのことです」
 愛原:「よし、分かった。ありがとう」

 私はエレベーターに乗り込むと、地下階のボタンを押した。

 オパール:「行かれるのですか?」
 愛原:「プールの中で、ヘタすりゃ溺死するかもしれん危険な『運動』をしているかもしれんだろ?それを止めに行くのが保護者たる私の使命だ」

 私は地下のプールへ向かった。
 案の定、2人の少女達は、せっかく着て行った水着を脱いで全裸水泳ばかりか、【ぴー】や【ぴー】、おまけに【あらあら】【うふふ】なことをしていたので、強く注意をした。
 それに驚いた絵恋さんがびっくりして足を攣り、却って溺れるという結果を招いてしまったが、すぐにリサが助けに入ったので事なきを得たのであった。
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